シーズン4 第5話
The One with Joey's New Girlfriend (間違いだらけの恋人選び)
原題は「ジョーイの新しい恋人の話」
セントラルパークにいる美女に目が釘付けのチャンドラー。
モニカに促されて、思い切って声をかけることにしますが、いつものようにぎくしゃくしてしまい、うまくナンパできません。
お互いに名前を名乗った後、
キャシー(Kathy): Wow, you are really good at this! (まぁ。あなたは本当にこういうナンパが得意なのね!)
チャンドラー: Hey, come on, give me a break. I'm out on a limb here! (ねぇ、お願いだよ、大目に見てよ[そんな風に皮肉を言うのは勘弁してよ]。俺は今ギリギリの状態なんだ。)
キャシー: I'm sorry. You're right. I apologize, but I should tell you that I'm waiting for a date. (Joey enters) Oh, and there he is now! ((からかって)ごめんなさい。あなたのいうことは正しいわ。謝るわね。でも、あなたに言っておかないと。私はデート相手を待っているところなのよ。[ジョーイが入ってくる] あぁ、今、彼が来た!)
ジョーイ: Hey! (よう!)
チャンドラー: Hey! Hey, hey-hey, hey. (よう! ようようようよう。)
ジョーイ: Hey, I see you guys already met, huh? (Joey kisses Kathy.) (なぁ、すでに二人は知り合いになったみたいだな、だろ? [ジョーイはキャシーにキスする])
チャンドラー: Yes-yes, I was just trying to figure out a way to uh, demonstrate how I could get my exceptionally large feet into my even bigger mouth. (そう、そうなんだよ。俺はただあることをする方法を見つけ出そうとしていただけなんだ。それは、俺の例外的にデカい足(両足)を、それよりさらにデカい口にどんな風に入れるかを実演してみせること、だ。)
ジョーイ: Didn't I tell ya? Always showin' off. (俺が君に話してたろ? (チャンドラーは)いつも自分の能力を見せびらかすんだよ[自分をよく見せようとするんだよ]。)
やはり美人をうまく口説けないチャンドラー。
気まずい空気が流れ、キャシーという相手の女性は、「あなたってほんとに女の子を誘う、口説くのが上手ねぇ。」というようなことを言っています。
これは明らかに皮肉ですね。
それを聞いたチャンドラーは、Give me a break. 「そういう皮肉は勘弁してよ」と言っています。
out on a limb は「枝の上に乗り出して」という意味から、「危険な[不利な、困難な]立場[状態]で、孤立無援の状態で」という意味になります。
フレンズ3-1その14 にも出てきました。
この場合は、いつ細い枝がポキッと折れて下に転落するかわからない、という非常に危険な状態で、危険を顧みず決死の覚悟で、俺は勇気を振り絞って声をかけたんだから、そんな皮肉を言わないでくれよ、という感じでしょう。
からかってしまったことを詫びたキャシーは、自分は今、デート相手を待っているところだったの、と説明します。
なんとその相手はジョーイ。
ジョーイのデート相手に声をかけてしまったことを、大変気まずく感じたチャンドラーは、自分がしていたことをジョーイに説明しています。
I was just trying to figure out a way... というチャンドラーのセリフは、直訳しただけでは意味がよくわかりませんが、put one's foot into one's mouth というイディオムを元にしているように思います。
(以下、このイディオムが元になっている、という想定で話を進めていきます。)
英辞郎では、
put one's foot into one's mouth (または、put one's foot into it)
=へま[不謹慎]なことをうっかり言ってしまう、失言する、問題発言をする、へまをする、どじを踏む、しくじる、失敗する、自縄自縛
(直訳) 自分の足を口に入れる
と出ています。
有名なイディオムなので、one's mouth を it で済ますことも多いようですね。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
put your foot in your mouth: to say something that is embarrassing or that upsets someone, because you have not thought carefully about what you are saying
つまり、「恥ずかしいこと、あるいは誰かを困らせることを言うこと。自分が言おうとすることを事前に注意深く考えなかったために。」
チャンドラーのセリフを直訳すると、「自分のでっかい足を、でっかい口に入れるのを実演してみせようとしていた」ということですが、上のイディオムを下敷きにしていると考えると、「どれだけものすごいヘマや失言ができるかを試していた」→「俺はとんでもないヘマをした、とんでもない失言をしていたところなんだ」という意味で言っているのではないかな?と思います。
ちなみに、辞書に出ているイディオムは、英和、英英とも、put one's/your foot into one's/your mouth となっていて、上のセリフでは、get my feet into my mouth にいろいろな形容詞の修飾語がついたものになっていますよね。
つまり、動詞が put ではなく get、足は単数形 foot ではなく、複数形 feet、という違いがあります。
特に、足が複数形 feet になっていることに関しては、片方の足を口に入れるだけでも大変、もしくはとんでもないことなのに、それを両足(feet)入れるという、さらに上の状況になっていることを示しているのかな、と思います。
このように、put one's foot into one's mouth というイディオムとは完全に一致していないので、このイディオムの存在をあらかじめ知っていないと、このセリフに隠された意味を瞬時に理解することは難しいかもしれません。
このイディオムは、アリーmy Love (Ally McBeal)にも出てきたことがあります。
それもあって、私にはこのイディオムがとても印象的なのですね。
アリーのシーズン1第4話「ラブ・アフェア」(原題:The Affair)。
恩師のお葬式でアリーが失言してしまった時、アリーが自分の足をカポッと自分の口に入れる映像が挿入されます。
アリーの表情も、「あ、しまった、失言しちゃった!」という感じの顔になっています。
「どうして足を口に入れるんだろう? これって何かのイディオム?」と思って調べて、このイディオムの存在を知ったのですね。
アリーでは、イディオムなどの表現を文字通りの映像にして見せることがたびたびあり、これもその一つだったわけですが、その衝撃的な映像(笑)のお陰で、このイディオムが深く頭に刻まれたわけです。
(フレンズのセリフに戻ります)
その何とも回りくどい表現をしたチャンドラーを見て、ジョーイはキャシーに、Didn't I tell ya? Always showin' off. と言っています。
「俺は君にルームメートのチャンドラーの話をしなかったか?(したよね?)、チャンドラーはいつもこんな風に、show off するんだよ」ということです。
show off には、「(自分の力量などを)見せびらかす、ひけらかす、よく見せる、誇示する」「注意を引こうとする、人目を引くようなことをする」という意味があります。
ジョーイはここでは「(力量・能力を)見せびらかす」という意味で使っているようですね。
チャンドラーのセリフ「足が口に入るかを実演してみせようとしていた」を文字通りにとって、「自分はこんなすごいことを出来るんだぞ、ってすぐに自慢したがるんだよ、コイツ。」みたいに言っている気がしました。
もしくは、大袈裟な話をして、相手の気を引こうとするんだよ、と言いたいのかもしれません。
いずれにしても、チャンドラーはこのセリフで、俺は今、自分の友達の彼女に声をかけちゃうっていうヘマをしちゃったんだ、と言っているのですが、ジョーイはセリフに隠された「ヘマをした、失言した」という意味がわからず、ただチャンドラーが何が大袈裟な自慢話をしているように思って、「ほら、俺が言ってたように、こいつはすぐに何でもひけらかすんだよ」と言っている、そのズレが面白いジョークなんだろうと思いました。
多分、キャシーはチャンドラーのセリフの意味がわかっていたと思いますが、あまりにも回りくどい表現だったために、ジョーイにはわからなかった、ということだと思います。
(Rach からのお願い)
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ここ2ヶ月程、ほぼ毎日拝見させて頂いてます。
何をコメントしたらいいか考えるだけでなかなかコメントできないでいました。
有名人のブログにコメントしようとしてる気分で緊張しています。
私はFriendsは10シーズン全部持ってます。
7シーズンくらいまで全部一通り見て、残りはまだ封を開けてません。
Rachさんのように一字一句調べるなんですごいですね。
私はFriendsが好きなのは笑って気分が↑になれるからです。
誰がお気に入りかと言えば自分に重なる部分もあるからチャンドラーですかね。
この前ダンボールの中からシーズン4のDVDをふと手に取ってみたんですが
その後TVに切り替えたらTV東京で同じepisodeが放映されていて
Rachさんのブログ見たら、その日にこれまた同じepisodeの解説がありました。
デジャブーだと思いました。じゃなくて偶然か・・・
一通りブログ拝見しましたが
TOEICも英検も極められてすごいですね。
私は6月に6年ぶりにTOEICを受けました。
誤差範囲程度(805→820)に上がっていましたが、Rachさんのブログ見て
英語全般の勉強をサボってた自分にカツを入れています。
私は71年生まれなので、あと2年以内に990点取りたいと思っています。(謎)
Ally McBeal、いいですね。
そのepisodeは印象的でした。
Allyは笑いあり、泣きあり、で最後はケセラセラなところが好きです。
Whatever will be, will be.
今夜またダンボール(引越ししたばかりなので)から出して見ようと思います。
まとまりのないコメントですみません。また来ますね。
ここまで調べられるのもやはり「好き」からくるのでしょうか?
get my exceptionally large feet into my even bigger mouth
の意味深すぎです。w でもRachさんの説明わかりやすくて、
嬉しいです。
直訳の意味でJoeyがとって、chandlerはどちらかの意味?
で使用してたとなると深いですね。汗
僕は直訳してました。汗
put one's foot into one's mouth .
うっかり言う、どじをふむ、 うっかりという風に覚えておこう。
このセリフを聞いて理解して笑うというネイティブがすごい。w
ま、当たり前なんだろうけど。汗
いつもためになる解説ありがとうございます。
9月のTOEIC受けるのでまたがんばります!
まだまだ英語ぜんぜんですが。汗
はじめまして。ご訪問&コメント、ありがとうございます。有名人のブログみたいに緊張されることないですよぉ〜、ただの大阪のおばちゃんなんで(爆)。
フレンズは見ていて楽しい気分になれますよね。こういう友達がいたらいいな、って思わせてくれますし。私もチャンドラーが大好きなんですよ。チャンドラーが悔しがるくらいのジョークが言えるようになるのを目指しています(笑)。
今、テレビ東京系でフレンズが放映されていますよね。こちら関西でもテレビ大阪で、平日の午前11:30-12:00 に放映されています。今年の4月6日(月)に始まって、今、シーズン4が放映中ですね。
テレビ東京のサイトはこちら(↓)
FRIENDS フレンズ:テレビ東京
http://www.tv-tokyo.co.jp/friends/index.html
私の解説と、テレビの放送が重なっていたのは、2009/7/28 のフレンズ4-4 ですね。私も「あ、今日でもう抜かされちゃう」と思っていました(笑)。
このように全国ネットで再放送されているのって、フレンズのブログを書いている人間としてはとても嬉しいんですよ。このテレビのフレンズを見て、フレンズに興味を持ってくれる人がまた増えるといいな、と思っています。
(読者の皆様へ
フレンズを一度見てみたいけど、DVDをレンタルするのも面倒だし…という方は、是非、テレビ東京系の放送を一度ご覧になって下さい! 2ヶ国語放送なので、英語音声も聞けますよ!)
TOEIC、頑張って下さいね。71年生まれだと、私より2歳お若いんですね。同世代の方が頑張っておられるととても嬉しいです。
アリーもいいですよね。アリーでも同じようにDVD英語学習をしたので、印象深いセリフが多いです。Que sera, sera, whatever will be, will be... なところ、ありますよね。
またお越しいただけると嬉しいです。
TAKUMAさんへ
セリフの調べ方についてのお褒めのお言葉ありがとうございます。そうですね、やっぱり「好き」だからでしょうね。フレンズたちのセリフの面白さを原語で理解したいと思って、それを調べるのがとても楽しいのです。義務感でいやいややっていたのでは、そこからあまり多くのものは学べないと思うんですよ。
あくまで私の解釈に過ぎませんが、チャンドラーが feet や mouth という言葉を使ったのは、やはりそのイディオムを意識してのことだと思います。実際にヘマもしていたわけですしね。
このセリフはイディオムそのままではないし、さらには余計な形容詞がたくさんくっついているので、ノンネイティブである我々には余計に難しいですね。
9月のTOEIC、頑張って下さい! 英語力の伸びが点数に反映するといいですね。
福岡のおじさんです。
緊張の夏、日本の夏、ということで前回は緊張していましたが(謎)
今回は大丈夫そうです。
今日はご報告に参りました。
7月のTOEICは880点(L:485,R:395)でした。
とりあえずUPしたのでチャンドラーダンス(仰け反りダンス)をしております・・・
9月は950目標なんていいつつ、密かに990を狙っております。
Rachさんにできる事が自分にできないわけないと、都合よく勝手に思っています。(笑)
今日も暑いので、せめて涼しくなってもらおうと
defense mechanismが働いてしまいました・・・
すみません。
ではまた、陰ながら応援しています。
またお越しいただきありがとうございます。福岡にお住まいなのですね。
TOEIC の点数アップ、おめでとうございます! リスニングはほぼ満点ですね。素晴らしいです。
チャンドラーダンス、というのは、フレンズ3-17 でチャンドラーがやっていた、あのダンスのことでしょうか?(笑)
「人ができていることなら、私にだってできるはず!」と思うのは大切なことですよね。880点まで来られたのなら、990点は十分狙える圏内です。どうせ狙うなら、目標は高いところに置いた方がいいのかもしれませんね。私の場合は、「思ったような点数が取れなかったら、所詮はマークシートに過ぎないんだから・・・と思って、悪い結果を気にせずさっぱり忘れよう」という defence mechanism が働いていたのですが(笑)。
満点のご報告が聞けるのを楽しみにしています。
英文法の本出されたんですね。おめでとうございます。紀伊国屋梅田毎週行くので見てみます!まずはこっそり立ち読み…(>_<)
コメントありがとうございます。
視聴再開されたのですね。イディオムがらみのジョークなどは、笑いながら英語を学べるので楽しいですし、そういうものが豊富なのがフレンズの良さですよね。
また、英文法の本について、お祝いのお言葉ありがとうございます! 紀伊國屋さんで、実際に手に取って見ていただけると嬉しいです(^^)