アマンダという女性の部屋で、お互いの子供を遊ばせることになったロス。
子供が寝た後、アマンダといい雰囲気になることを期待して、ワインのボトルを持参して、アマンダの部屋を訪れたロス。
アマンダ: I am so glad that you could come over tonight. (今夜、うちに来てくれてとっても嬉しいわ。)
ロス: Oh no-no-no. It's my pleasure. (あぁ、いやいやいや。どういたしまして。)
アマンダ: Okay, well, my cell phone number is right here on the counter. Please help yourself to anything in the fridge. (さて。えーっと、私の携帯の番号はカウンターの上にあるから。冷蔵庫のものは何でも自由に食べてくれていいわ。)
ロス: What? (何だって?)
アマンダ: I appreciate this soo much. I've been trying to go out with this guy for like a month. (今回のことはとっても感謝しているわ。もう1ヶ月くらい、彼とデートしようと試みていたのよ。)
ロス: I-I-I.... (僕は、僕は…)
アマンダ: (noticing the bottle of wine he has) Oh, I don't mean to be a square, but I'd really appreciate it if you wait and drink your wine after the kids are asleep? Oh uh, thanks for this. I hope I can do the same for you sometime. (She leaves) (ロスの持っているワインのボトルに気付いて) あぁ、堅苦しい人間みたいなことを言うつもりはないけど、でも、子供たちが寝てしまうまでそのワインを飲むのを待ってくれると本当にありがたいわ。あぁ、今回のことはありがとう。いつか、あなたのために同じことができるといいなと思ってるわ。[アマンダは出て行く])
ロス: Who wants to make some long-distance calls? ([二人の子供たちに向かって] 誰か、長距離電話をしたい人はいる?)
ロスが自分の部屋に来たことを、アマンダはとても喜んでいます。
それを見て、ロスは今夜アマンダとの仲が進展することを期待したはずですが、アマンダはそそくさと出かけようとします。
アマンダは、I've been trying to go out with this guy for like a month. と言っていますね。
継続を表す現在完了進行形で、ここ1ヶ月くらいずっと、ある男性(今からデートすることになる男性)とデートしようとトライし続けていた、という感じです。
ずっとデートしたい、デートしたい、と思っていたけれど、なかなか子供の預け先が見つからなくて、こうしてあなたが子供の面倒を見てくれることになったお陰で、やっとデートできるわ、ありがとう、というニュアンスです。
感謝の言葉を述べつつも、アマンダはロスに一言注意してから出て行きます。
square は「四角、正方形」ですが、人を指す場合は「堅苦しい人、堅物(かたぶつ)、まじめな人、保守的な人」という意味になります。
日本語の「四角四面」も、まじめな様子を指しますので、その感覚は同じでしょうか?
丸くなくて”かくかく”している感じが、そういう意味に繋がるのでしょうね。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
square [noun]: BORING PERSON (old-fashioned informal) someone who is boring and unfashionable
つまり、「退屈で、ファッショナブルでない人」。
このロングマンの語義だと、「真面目で細かいことを言ってノリを悪くしてしまう人、雰囲気をぶち壊してしまう人、真面目すぎて野暮(やぼ)ったく見える人」みたいな感じでしょうか。
ですから、I don't mean to be a square は、「堅物(かたぶつ)になるつもりはないけど、堅物みたいなことを言うつもりはないけど、堅苦しいことを言うつもりはないけれど」という感じです。
ロスがワインを持ってきているのを見て、それを飲むのは待ってね、子供たちが寝てしまってからそれを飲んでね、ということです。
ロスは子供たちが寝た後にアマンダと二人で飲むつもりで持ってきたのですが、アマンダは最初から自分の彼とデートするつもりだったので、ロスのそういう意図には全く気付いていません。
「この状況で、どうしてあなたはワインを持ってきたのかしら? 二人の小さい子供の世話をするのに、ワインを飲みながら世話するつもり?」と、ロスの行為を少々非常識なものだと捉えたようです。
ですから、「堅苦しいことを言うつもりはないけれど」と前置きした後、「それを飲むのは子供が寝た後にしてね。子供が寝るまでは、酔っ払ったりしないでね。」と釘を刺しているということです。
デートするつもりが子供二人の世話を任されてしまった、ワインのことまでケチをつけられてしまった…むっとしたロスは、まだ小さい子供二人に向かって、「誰か、長距離電話をしたい人はいる?」と尋ねています。
子供たちは意味がわからずきょとんとしていますが、いろいろなことを押し付けられたので、せめてもの仕返しに、お金がかかる長距離電話でもしてやるか、と言っているわけですね。
その怒りが子供たちに通じないだけに、余計に惨めなロスです。
(Rach からのお願い)
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Ross自分がlong-distance callsをしたいですから、そう言ったのかとも思います。
ロマンティックのことを期待して、アマンダさんのところに行ったのに、
一人で寂しく残されます。long-distance電話はアレ系の電話を示唆しているかもしれません。
いつも楽しく拝見させていただいてます。
Rachさん発行のシットコムで笑え!も拝見し、真似して、Rach流を試しているのですが、いかんせん5回目の完全理解に時間がかかってしまいます。フレンズ1話を完全理解しようと、一時停止を繰り返し、辞書を調べ、ネットを調べしていると、軽く5時間は経過してしまいます。
そこで質問です。Rachさんは1話終了させるのにどのくらいの時間をかけているのでしょうか?時間はあまり本質ではないことは重々承知なのですが、なんとも自分は時間がかかりすぎているような気がしてなりません。
お時間できましたら、どうかご回答願えないでしょうか?
私は「誰か、長距離電話をしたい人はいる?」と訳してしまいましたが、その場合だと、Does anyone want to make...? になるかもしれません。
今回のセリフを直訳すると、Who wants to...? 「…したい人は誰でしょう?」になりますね。
「僕は今、長距離電話をかけたい気分だよ」というのを、「今、長距離電話をかけたいと思っているのは誰でしょう?」と、事情のよくわからない子供に向かって質問形式で言っている、というニュアンスのようですね。
「僕は今、アマンダに怒りを感じているし、これから長時間をここで過ごすことになるわけだし、長距離電話でもかけてやろうか!」という気持ちを、「長距離電話をかけたいと思っている人はだーれだ?」と言った、ということでしょうね。「一人寂しい」状況でもあるので、おっしゃるように、ソレ系の電話を示唆している可能性もあるように思います。
ご指摘ありがとうございました。
Alenさんへ
はじめまして。コメントありがとうございます。
まず最初に、同じ内容のコメントが3回入っていましたので、1つにさせていただきました。
うちのブログは動作が重いことがよくあり、コメントを「書込」しても、すぐに反映しない場合があります。コメントが投稿されなかったように見えるので3回も投稿していただく結果になったのだと思います。お手数をおかけして申し訳ありませんでした。
拙著も読んで下さったとのこと、誠にありがとうございます!
おっしゃるように最後の「セリフを解釈しじっくり調べる段階」は、かなりの時間がかかりますね。
私はかかった時間を記録していないので、「1話終了に何時間かかる」というはっきりした数字は言えないのですが、ほんとうにきっちり調べていけば、1話で5時間は決して長すぎる数字ではないと思います。一つのサブカルネタを調べる、もしくは、「このセリフの意味がわかりません」と質問されたコメントの返事を書くのに調べ物をしていたらあっと言う間に1時間経っちゃった、とか、今でも当たり前のようにありますので。
英語学習者の誰もが、英語学習のための時間をやりくりして捻出しているのですから、できるだけ時間をかけずに効率的に学びたいですよね。ですがやはり「時間をかけるべきところには、きっちり時間をかけなくてはいけない」とも思うのです。
私のDVD学習法は、セリフを理解する、という過程そのものが「英語学習」なんですよね。暗記するための時間は存在しません。とにかく、出てくるセリフを1つ1つ理解するために「調べる」こと、それを積み重ねていくことで、初めて見た英文にも対応できるようになる英語力をつける、のが目的なのです。
私はとにかく「フレンズのセリフを理解すること」を主目的にしています。その結果、かなりの時間がそれに割かれてしまうわけですが、まずはその「理解」がないと、音だけでその意味を理解できるようにはなりませんし、ましてやそれと同じような文章を自分で作り出せるようにはなりません。
ですが、あまりに時間がかかりすぎると感じて、やる気が失せてしまうようなことがあれば、それは英語学習にとってマイナスですね。
私は「完全5段階」を本でも最初に説明していますが、あれは「はしょる3段階」で十分です。また、ネットで固有名詞を調べることも推奨していますが、時間がない場合はそういうサブカルネタも省略可能ですね。私がブログを書くのに一番時間がかかるのがそこですし。そういう部分こそ、私のブログを利用していただければ、とも思います。
大切なのは、「どうしてこの英文がこういう日本語のニュアンスになるのか?」を理解することです。もちろん、最初から全てが理解できるわけではありませんので、ある程度時間をかけてわからなければ、「わからない」とメモして、次に進むという思い切りの良さも必要ですね。
ただ1つだけ言えるのは、私がドラマを原語で楽しめる段階に到達したのは、「わからないことを1つ1つ調べていくことで、わからない部分をつぶしてきたから」です。何かをひたすら暗記するとか、そういう方法で私は英語を学んできたのではない、とにかく「わからないことを調べる」ことで学んできた、ということです。
英語学習を続けていて、英語が「なんとなく」わかってきたような気がするけれど、なかなか突き抜けた実感が得られないでいる方は多いですよね。「なんとなく」で終わってしまうのは、自分のわからない部分がどこかをはっきり認識できていないからだと思います。わからない部分を知るには、実際に生きた英語に当たってみて、それを自分が理解できるかどうかで確かめていくしかないのですね。
最近読んだ本、「越前敏弥の日本人なら必ず誤訳する英文」の p.84 「関係詞」の前書き部分に以下の記述があります。
「形に慣れるまでは、ゆっくり時間をかけてかまいませんから、先行詞が何であるとか、ふたつの文に分解するとどうなるかとか、ごく基本的なことの確認を、納得がゆくまで繰り返すほかに体得の道はありません。そういった手続きを踏まずに速読ばかりしていても、せいぜい表面的なコミュニケーション能力が身につくばかりでしょう。」
(引用終わり)
この文章は日本人が苦手とする関係詞についての話ですが、これは英語全般についても言えることだと思います。「英文の構造」をしっかり理解しようとせず、ただ量だけで勝負しようとすると、越前さんのおっしゃるような「表面的な」英語力で終わってしまう気が私もするのですね。相手を理解する、自分を理解してもらう言語としてのレベルに達するには、英語をじっくり見つめることが必要なのです。
DVDを何枚見た(=映画を何本見た、ドラマを何話見た)とか、本を何冊読んだとか、問題集を何冊やったとか、そういう目に見える形で人は自分の学習成果を計りたいものですが、大事なことは「そのやった内容の中で、どれだけのことが理解できたか」です。1話終了に時間がかかりすぎると感じる場合でも、それだけの時間をかけて自分で理解しようとしたことは、必ず自分の英語力向上に寄与します。通りいっぺんの表面的な部分だけを調べて「私はフレンズのこのエピソードを使って学習した!」という自己満足に浸るのではなく、1つ1つのセリフをじっくり見つめることが大切なのですね。「私はこれだけ調べた」という量や事実が大切なのではなく、「わからない部分を理解するために調べ物をする」という行為が大切なのです。
時間ばかりかかると焦ってしまうお気持ちはよくわかります。ですが、きっちり調べていくことが、最終的な英語力の向上に繋がるということを信じて、マイペースで続けていただければ、と思います。
また、コメントの書き方を把握していなくて、申し訳ございませんでした。焦って3,4回押してしまいました。
Rachさんの解説、本当に励みになりました。これで自分のやり方に疑いなく取り組めそうです。ありがとうございます。
これからもRachさんの記事、楽しみにしております。
こちらこそ、お返事ありがとうございます。
励みになったと言っていただけて光栄です。
マイペースで頑張って下さいね! 私もブログを頑張ります。