2009年08月29日

ゴミの上にゴミを投げる フレンズ4-6その4

デート相手シェリル(Cheryl)の部屋に行ったロスは、その部屋のあまりの汚さにびっくり。
デートから帰ってきて、そのことをジョーイに話します。
[Scene: Chandler and Joey's, Ross and Joey are standing and talking, Ross is tying a tie.]
チャンドラーとジョーイの部屋。ロスとジョーイは立ち話をしている。ロスはネクタイを結んでいるところ。
ジョーイ: So you just left? Her place was really that bad? (それで、ただそこを立ち去ったのか? 彼女のところは本当にそんなにひどかったのか?)
ロス: You know how you throw your jacket on a chair at the end of the day? (一日の終わりに、椅子の上にジャケットを放り投げるだろ?)
ジョーイ: Yeah. (あぁ。)
ロス: Well, like that, only instead of a chair, it's a pile of garbage. And instead of a jacket, it's a pile of garbage. And instead of the end of the day, it's the end of time, and garbage is all that has survived. (Ross takes the loosely tied tie off and hands it to Joey who puts it on.) Here. (あぁ、そんな感じなんだよ。ただ椅子の代わりに、ゴミの山に、だ。そして、ジャケットの代わりに、ゴミの山を、だ。そして、一日の終わりの代わりに、時間の終わりごとに、だ。そしてゴミだけが生き残る。[ロスはゆるく結んだネクタイを外し、そのネクタイをつける(ことになる)ジョーイに渡す] どうぞ。)
ジョーイ: Wow. Thanks. So, uh, what happened? (わぁ、ありがと。で、何が起こったの?)
ロス: What do you mean? Nothing happened. I had to get out of there. (どういう意味? 何にも起こらなかったよ。そこから出て行くしかなかったんだ。)
ジョーイ: All right, so... next time, you take her to your place. (わかったよ、それじゃあ…次は、お前が彼女を自分の部屋に連れてこい。)
ロス: No, I tried that. She says it has a weird smell. (だめだよ。そうしようとしたんだ。彼女は、僕の部屋は変なにおいがするって言うんだ。)
ジョーイ: What kind of smell? (においってどんな?)
ロス: I don't know. Soap? (さあね。石鹸かな?)

シェリルの部屋の汚さを説明するロス。
ジョーイは、Her place was really that bad? と聞き返しています。
that bad は「そんなに、それほどまでに汚い」という感じですね。
ものすごい美人のシェリルの部屋に案内されて、普通ならロマンティックなムードになりそうなところですが、そんな気持ちにもならずただ部屋を出てきた、そんな結果になるほど汚かったのか?というニュアンスです。

ロスはシェリルの部屋の様子を、ジョーイに語って聞かせます。
一日の終わりに、椅子にジャケットを放り投げる様子を、ロスはジョーイに説明します。
You know how+S+V という構文はフレンズに時々登場しますが、「どんな風に…するかを知ってるだろ?」みたいなことですね。
「ほら、よく、ジャケットをポンと椅子に放り投げるだろ」と、その時の様子を相手に思い出させているのですね。
それを思い出させた上で、instead of という言葉を3回も使って、シェリルの場合はこうなんだよ、と説明しています。
僕たちが椅子の上にジャケットを放るように、シェリルはゴミの山の上にゴミの山を投げるんだよ、ということですね。
僕らが何気なくジャケットを放る感じで、何の罪悪感もなく、ポーンとゴミを投げちゃうんだ、ということです。
そして、僕らがジャケットを投げるのは、一日の終わりだけだけど、彼女の場合は、the end of time だと言っています。
漠然とした表現のような気もしますが、一日という区切りではなく、ことあるごとに、しょっちゅう、ゴミを投げてるんだ、という感覚かな?と思います。
一日なんて長いスパンの終わりじゃなくて、もっと短い単位の終わりのたびに投げている、それを、day と time という長さの対比で表している気がします。

Garbage is all that has survived. は、Garbage is all (that has survived). で、that は関係代名詞ですね。
直訳すると、「ゴミは、生き残った・生き延びたすべてのものだ」ということになり、そんな風にゴミの上にゴミをまた捨てることを繰り返しているから、その部屋にはゴミしか残ってない、ゴミしか存在していない、まさにゴミだらけの部屋なんだよ、と言いたいのでしょう。

ト書きに表示されているように、ロスはゆるく結んだネクタイをジョーイに渡しています。
このシーンの最初から、ネクタイを結んでいたロスですが、実はそれはネクタイの結び方を知らないジョーイのためにロスが結んでやっていたものだ、ということがここでわかるのですね。
キャシーの誕生日なので、おしゃれしてネクタイをしてみた、ということでしょう。

What happened? と改めてジョーイに聞かれて、ロスは、What do you mean? Nothing happened. と答えていますね。
「何が起こった?と聞かれても、起こったも何も、そんなゴミだらけの部屋で何も起こるはずないじゃないか」というニュアンスですね。
彼女の部屋がダメなら、お前の部屋に連れて来いよ、とジョーイは言うのですが、ロスもそのことはすでにトライしようとしていました。
が、シェリルの一言で、それも不可能だとわかったのですね。
ロスが言っている She says it has a weird smell. は、実際にシェリルの部屋でのシーンでは、以下のようなセリフでした。
ロスが、「僕の部屋に来ない?」と誘った時、彼女は行きたくないと言い、その理由として挙げたのが、
シェリル: Okay, um, don't take this the wrong way, but your place kinda has a weird smell. (いいわ。あの、悪いように取らないで欲しいんだけど、でも、あなたの家は変なにおいがするって感じなのよ。)

don't take this the wrong way という前置きがあるので、その後、相手に対して失礼な言葉が続くことが示唆されますね。
ロスも観客も、a weird smell がするのはどっちの部屋だよ!?とツッコミたくなるセリフです。

a weird smell という言い方は明らかにいやなにおいを示唆しています。
こんなゴミだらけの部屋の人に、a weird smell と言われて、ロスもカチンと来たのでしょう。
僕の部屋は彼女の部屋と違って清潔だから、清潔感あふれる石鹸の香りがしたんじゃないの?、彼女の鼻はおかしくなっていて、その清らかな石鹸の香りを変なにおいだと感じるんだろ、と怒っていますね。


(Rach からのお願い)
このブログを応援して下さる方は、下のランキングサイトをクリックしていただけると嬉しいです。
人気ブログランキング
にほんブログ村 英語ブログ
皆様の応援クリックが、とても励みになり、ブログを続ける大きな原動力となっています。心より感謝いたします。
posted by Rach at 07:21| Comment(4) | フレンズ シーズン4 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
how you throw your jacket on a chair at the end of the day.の後

only instead of a chair, it's a pile of garbage. から、
jacket on a pile of garbageとなって、つまりCherylがジャケットをゴミ山の上に放り投げる。

instead of a jacket, it's a pile of garbage.から
a file of garbage on a chairとなって、つまりCherylがゴミを椅子上に放り投げる。

よって、椅子の上にゴミ、ゴミの上にジャケットの感じで、またジャケットがゴミによって汚れて、ゴミになり、結局全部ゴミになったとも考えられないもないですが。




Posted by Fen at 2009年08月31日 17:31
Fenさんへ
only instead of a chair だけだと、確かに、ジャケットを(椅子ではなくて)ゴミの山に放り投げる、になりますね。

ただ、私がセリフを聞いた感覚では、
You know how you throw your jacket on a chair at the end of the day?
と言った後、まず最初に、a chair を a pile of garbage に置き換え、それだけではなくさらに、your jacket をも a pile of garbage に置き換えるという2段構えになっているため、余計にそのジョークに笑えてしまう、という感じがするのです。
She throws a pile of garbage on a pile of garbage. 「彼女はゴミの上にゴミを投げる」という行為を、椅子→ゴミの山、ジャケット→ゴミの山、と1つずつ置き換えていくことで、さらに笑いを誘っている、という気がするのですね。

「椅子の上じゃなくて、ゴミの山に投げるんだよ。で、投げるものもジャケットじゃなくゴミなんだ。だからゴミだらけ」みたいな感じかなと私は思いました。
Posted by Rach at 2009年09月02日 07:12
Well, like that, only instead of a chair, it's a pile of garbage. And instead of a jacket, it's a pile of garbage. And instead of the end of the day, it's the end of time, and garbage is all that has survived. の解釈についてです。

この場面でのthe end of timeはこの世の終わりという意味ではないでしょうか?「一日の終わりの代わりにそこにはこの世の終わりがあった。生き延びたのはごみだけだった。」というすごくおおげさな表現で、絶望的なくらいごみだらけだったと言うことで、ロスにとっては仕事から帰ってきてジャケットを脱いで一息つくのはやすらぎの象徴ですが、彼女の家ではそこに絶望があったという気持ちを表していると思います。

the end of timeをGoogleで画像検索してみると、暗黒の中に巨大な核爆発のようなきのこ雲がある絵、星が炎に包まれている絵、燃え盛る街の上にサタンなど、いかにもこの世の終わり的な絵がたくさん出てきます。survivedという言葉とも相性がよさそうです。

無冠詞のtimeは物理的な時間ごとという意味にはならず、もっと大局的なものや観念的なものを指すように思います。

http://eow.alc.co.jp/search?q=the+end+of+time

to the end of time
いつまでも

Toward the End of Time
【著作】
終焉◆米1997《著》ジョン・アップダイク(John Updike)

until the end of time
時の終わりまで、永久{えいきゅう}に

wander the earth until the end of time
永遠{えいえん}に地をさまよう

Posted by 神田 at 2013年01月14日 20:19
神田さんへ

ご意見ありがとうございます。コメントを読ませていただいて、おっしゃる通りだと思いました。

まず、私が記事で書いた解釈に至った経緯を先に書かせていただいて、でも今はこう考える、ということをその後に述べます。

まず、セリフを文字として見た場合に、instead of を3回連続で使っているということは、すべての単語をそれぞれの言葉で置き換えたものが正しい文章になる、という気がしたのです。
最初に、普通はこうだろ?と言って、you throw your jacket on a chair at the end of the day という文章を言っていますね。
それを、instead of A, it's B 「A の代わりに B」とすべてロスが言った通りに置き換えると、
you throw a pile of garbage on a pile of garbage at the end of time になる、と。
つまり、「一日の終わりに、椅子の上にジャケットを放り投げる」代わりに、「時間の終わりに(一日単位ではなく時間単位で)、ゴミの山の上にゴミの山を放り投げる」ことを言いたいのかなぁ、と当時は考えたのですね。ただ、上の記事に書いた、「そして、一日の終わりの代わりに、時間の終わりごとに、だ」という自分の訳が、今改めて読むと、かなり意味不明な気がするのは否めません(笑)。

最初にロスが例に出した、at the end of the day は間違いなく、「(普通、人は)一日の終わりにジャケットを放り投げる」という、動詞「投げる」の行為が起こる「時」を説明している言葉ですよね。
ただ、「ゴミの山の上にゴミの山を放り投げる」と言った方のロスのセリフにおいては、その「放り投げた時」を説明しているのではなくて、神田さんがおっしゃるように、「一日の終わりの代わりにそこにはこの世の終わりがあった」と言っているような気が私にもしてきました。ご指摘の通り、「生き延びたのはごみだけだった」という表現が、終末、この世の終わり的なものをイメージしている気がしますものね。「仕事から帰ってきてジャケットを脱いで一息つくのはやすらぎの象徴ですが、彼女の家ではそこに絶望があった」という表現にも納得です。survivied とも確かに相性がいいですよね。

day に対比する形での time のイメージが私には抜けきらなかったようですが、LAAD でも、
until/till/to the end of time : (literary) forever
と出ています。

私は、instead of のパターンが3回出てきたので、とにかくそれを入れ替えた(数学的に言うと、記号に数字を代入したようなイメージで)できた文章がその答えだ、みたいな考え方をしてしまったようですが、このロスの長いセリフは、最後の部分がオチになっているわけなので、「椅子の代わりにゴミ、ジャケットの代わりにゴミ、だから一日の終わりがこの世の終わりのように、ただゴミだけが生き延びる世界となっている…」となっていないと、うまくオチてくれませんよね。at the end of the day の代わりに、the end of time を持ってきた、というのがオチになるわけで、そこをただ「放り投げる時が違う」と解釈しては、オチがオチにならない、ということですよね。the end of time だからこそ、and garbage is all that has survived という大仰しい表現が生きてくる、ということが、いただいたコメントでよく理解できました。

貴重なご意見ありがとうございました。
Posted by Rach at 2013年01月16日 15:56
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。