[Scene: Chandler and Joey's, Chandler is watching Yasmein Bleeth running on TV, and the duck starts quacking.]
チャンドラーとジョーイの部屋。チャンドラーは、テレビでヤスミン・ブリースが走っているのを見ている。そして、アヒルがクワックワッと鳴き始める。
チャンドラー: Yeah, I know what you think. Yes, yes, your breasts are just as firm and juicy. (そうだね。お前の考えはわかってるよ。そうそう、お前の胸は(彼女と)同じくらい、引き締まっていて、みずみずしいよ[ジューシーだよ]。)
(There's a knock on the door.)
ドアにノックの音。
チャンドラー: Come in. (入って。)
キャシー: (entering) Hey! (sees what's on TV) Oh, God! Is that Baywatch? ([入ってきて] はーい! [テレビでやっているものを見る] まぁ! それってベイウォッチ?)
チャンドラー: Uh yes, but uh, I just watch it for the articles. (あぁ、そうだよ。でも、その、ただ、記事(or 論文)を書くために見てるだけなんだ。)
キャシー: So is Joey around? (それで、ジョーイはここにいる?)
チャンドラー: No-no, he's not back yet, but he'll be here any minute. So uh, come on in, have a seat. Bow or stern? (いや、いや。ジョーイはまだ帰ってない。でも、すぐに戻るよ。それで、あの、こっちに入ってきて、座りなよ。(カヌーの)船首[へさき]がいい?、それとも、船尾がいい?)
キャシー: I uh, don't really have a preference. You? (私は、その、特に好みはないわ。あなたは?)
チャンドラー: I like it in the stern. (Realizes what he just said.) Of the boat. (俺は、お尻の方がいいな。[自分がたった今言ったことに気付いて] (お尻と言っても)ボートの、だよ。)
チャンドラーは、また(!)ベイウォッチを見ています。
最近のエピソードでは、フレンズ3-21その6 でもベイウォッチを見ていました。
ベイウォッチを見ながら(?)鳴いているアヒルに、チャンドラーは面白いことを言っています。
アヒルが何か訴えようとしていると(もちろんジョークですが)解釈したチャンドラーは、お前が思っていることはわかってるよ、と理解を示します。
just as があることから、省略されている部分を補うと、your breasts are just as firm and juicy as hers [her breasts]. になるでしょう。
お前の胸は、彼女(ヤスミン・ブリース)の胸と同じくらい、firm で juicy だよ、お前がそう言いたいことは、俺はちゃんとわかってるよ、という感じですね。
firm は「硬い、堅固な」という意味ですが、肉や筋肉の場合は「堅く引き締まった、身が締まった」という意味になります。
juicy は日本語にもなっている「ジューシー」で、「水分の多い、みずみずしい」です。
また、juicy gossip だと「刺激的できわどいうわさ話」という意味になります。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
juicy gossip/details/stories etc. (informal) interesting or shocking information, especially about people's sexual behavior
つまり、「興味深くて、衝撃的な情報。特に、人の性的行動に関する情報。」
juicy gossip は、「エッチがらみのゴシップ」という感じですね。
ヤスミンの胸も、アヒルの胸も、同じくらいどっちも firm で juicy だ、と言っているのですが、ヤスミンの胸については、セクシーな女性の胸としての魅力を語っています。
そして同じ言葉を使いながら、それがアヒルの胸の話になると、胸肉という食材としての魅力を語っているように聞こえるのがミソですね。
ヤスミンの胸は、引き締まった美しい形をしている、つまり、ぶよぶよだったり垂れたりしてない…(笑)、そしてみずみずしい、つまり、ピチピチしていてはちきれんばかりの感じだと言いたいのでしょう。
また、juicy gossip などの juicy のイメージもあって、セクシーであるというニュアンスも入っているのかもしれません。
まぁ、女性の胸を juicy と表現するのは、露骨な感じもしますので、相手を目の前にしての褒め言葉としては使えない気もしますが…。
その同じ形容詞で、今度はアヒルの胸肉を形容した場合、「ぶよぶよじゃなくて、身が引き締まっている」「パサパサじゃなくて、(肉汁たっぷりで)ジューシー(でおいしい)」というような意味に聞こえますね。
魅力的なヤスミンの胸にお前の胸も負けてないよ、と言いながら、アヒルの胸肉を食肉として褒めているのがこのチャンドラーのセリフのポイントだということですね。
チャンドラーがベイウォッチを見ていたのを知って、キャシーは「まぁ」と言っています。
「やっぱりあなたも男の子ね。そういうの、好きなのねぇ」みたいにちょっとあきれている感じ。
article は「記事、論説、論文」のような意味があるので、具体的に何に載せる記事か論文かは知りませんが、そういうものを書くために見てるだけなんだよ、と言い訳しているようです。(もちろん、すぐにウソだとバレる、白々しい言い訳ですが)
部屋の真ん中には、相変わらずカヌーが置いてあります。
ジョーイが帰ってくるまでの間、そのカヌーの中に座って待ってたら?とチャンドラーは提案します。
bow は「船首、へさき」で、stern は「船尾」ですね。
preference は「好み、嗜好」ですから、I don't really have a preference. は「特に、これという好みがない。特にどちらがいい、ということはない」というニュアンスです。
カヌーに乗るシチュエーションはそんなにないから、どっちがいい?と急に言われてもわからないわ、という感じでしょう。
あなたはどっちが好きとかあるの?、あなたが好きなのはどっち?とキャシーが尋ね返すと、チャンドラーは、I like it in the stern. と答えます。
その後、Of the boat. と付け加えていますね。
stern は船だけではなく、「(ものの)後部」も指します。
そこから、「尻」という意味にもなるようです。
stern の方がいい、と言った後、「後部、尻」と言っても、もちろん、船の後部のことだからね、と付け加えたのですね。
I like it in the stern. は、「stern の場所にいるのが好き」という感じでしょうか。
I like the stern. だと、「船尾」という対象物が好きか嫌いかの話になってしまう気がします。
どっちに座りたい?という話なので、「stern にいる、座るのが好き」という意味で、I like it in the stern. という風に、目的語として it が入り、その後、in the stern という副詞句が続きます。
it は漠然と状況を指している感じでしょうか。
ちなみに、自分の職場などを指して「私はここが好き」ということがありますが、その場合も、I like it here. と it が入ります。
here は副詞ですから、like の目的語にはならないのですね。
日本語では「ここが好き」となりますが、それが実際に指す内容は「ここにいるのが好き」のようなことになりますので、英語では「ここ」は目的語になりません。
「ここにいるという状況」を指す感じで、it を目的語にしている感覚かな、と思います。
TOEICテスト 新公式問題集 の Part 3、『解答・解説編』の p.97 でも、転職を考えているという女性とのやり取りで、
(Man) I thought you liked it here. (ここが気に入っていると思っていたのに。)
(Woman) I do like it here. (大好きよ。)
というものがありました。
この it、日本人の感覚では抜かしてしまう気がするんですよねぇー。
I like it in the stern. は、I like it here. と同じような感覚で、「ある場所にいるのが好き」という意味になりますが、stern が「尻」に聞こえてしまうとすると、I like it in the stern. は、(勘ぐり過ぎかもしれませんが)「お尻を使ったエッチが好き」みたいな意味に聞こえてしまうのかもしれません。
エッチを it と表現したりすることもありますので、言ってしまった後、「お尻でのアレが好きなんだよね」みたいに聞こえたらマズいと思って、stern と言っても「(人間の)尻」じゃなくて、「船尾」だからね、と慌てて付け足した、ということかも?とも思います。
(Rach からのお願い)
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I asked a question about this on the internet.
please refer to the following link.
http://lang-8.com/65120/journals/233890
※日本語を入れないと、投稿できないのは初めて知りました。
そう言っていただけて嬉しいです。私も、こういう it に初めて出会った時(「アリー my Love」でした)、「へぇ」と思ったことがあったので、今回それを説明してみたくなりました。何となく聞いていると流してしまいそうな部分ですが、日本語と見比べてみるとこの it の存在が気になりますよね。
Fenさんへ
フレンズ1-12その4 に入れるはずのコメントであった、という非公開コメントでのご連絡、ありがとうございます。
ちょうど、名無しさんが Fenさんのこのコメントをそちらにコピーして下さったので、この件についてはそちらでお返事します。
なお、つい最近、「半角英数字のみのコメントは受け付けない設定」に変えました。一時期そういうスパムコメントが多かったもので…。