2009年09月18日

お前には線は点にすぎない フレンズ4-7その7

チャンドラーはとうとうジョーイに、キャシーが好きなことを告白します。
すると、ジョーイは「キャシーとはもう別れた」と言った上、チャンドラーとキャシーが付き合うことも構わないと言います。
ジョーイが傷つくのなら、無理にとは言わないけど、とジョーイを気遣うチャンドラーに、
ジョーイ: No-no-no, no it's uh, it's okay. (いや、いいんだ。)
チャンドラー: Yeah? (そうなのか?)
ジョーイ: Yeah. You know why? 'Cause you came to me first. (そうだ。なぜだかわかるか? それは、お前が俺のところに最初に来てくれたからだ。)
チャンドラー: Well, I thought that would be the best thing to do. (あぁ、それがベストなことだと思ったんだ。)
ジョーイ: But hey, listen, just so you know, you might have your work cut out for you. 'Cause when I talked to her, I kinda got the feeling she's into some other guy. So.... (でも、なぁ、言っとくけど、お前には厄介なことが待ち構えているかもしれないぞ。だって、俺がキャシーに話をした時、キャシーは誰か別の男に夢中だって感じが何となくしたからな。)
チャンドラー: See uh, that's-that's actually what I wanted to talk to you about. I-I think I know who the other guy is. (なぁ、その、そのことが実際、俺がお前に話したかったことなんだ。俺はその別の男が誰かを知ってると思う。)
ジョーイ: Who? (誰だよ?)
チャンドラー: Oh. It's me. I'm the other guy. (あぁ、俺だ。俺がその別の男なんだ。)
ジョーイ: What? (何だって?)
チャンドラー: Yeah, I mean when you were late last night, Kathy and I got to talking, and one thing led to another, and.... (そうなんだ。昨日の晩、お前の帰りが遅かった時、キャシーと俺は話をし始めて、いろんなことが重なって、それで…)
ジョーイ: And what? Did you sleep with her? (それで、何だよ? お前はキャシーと寝たのか?)
チャンドラー: No! No! No! I just kissed her. (違う!違う!違う! 俺はただ彼女にキスしただけだ。)
ジョーイ: What? That's even worse! (何だって? それじゃ(寝たのより)さらに悪い!)
チャンドラー: How is that worse? (どんな風にそんなに悪いんだよ?)
ジョーイ: I don't know! But it's the same! (わかんないよ! でも(寝たのと)同じだ!)
チャンドラー: Look, I'm sorry. But there's nothing I could do. I think I'm in love with her! (なぁ、ごめん。でも、俺ができそうなことは何もない。俺は彼女に恋してるんだ!)
ジョーイ: Who cares? You went behind my back? I would never do that to you! (構うもんか。お前は俺を裏切ったんだぞ? 俺ならお前にそんなことは決してしない。)
チャンドラー: You're right. I have no excuses. I was totally over the line. (お前の言う通りだよ。俺には弁解のしようもない。俺は完全に一線を越えたんだ。)
ジョーイ: Over the line? You-you're-you're so far past the line, that you-you can't even see the line! The line is a dot to you! (一線を超えただと? お前は、お前は、線をずーっと遠くまで超えたんだ。お前はその線が見えてさえいないんだ! その一線は、お前にとっては、一つの点なんだよ!)
チャンドラー: Yes. Yes, right! And I feel horrible. You have to believe me. (そうだ、そうだ、その通りだよ! そして俺は最悪の気分だ。俺を信じてくれよ。)

決死の覚悟でキャシーが好きなことを告白すると、ジョーイの反応は意外にも冷静でした。
キャシーとすでに別れた後であったこともありますが、ジョーイがチャンドラーの気持ちを素直に認めてやろうという気になったのは、'Cause you came to me first. というセリフで説明されていますね。
俺のところに最初に来てくれたから、というのは、キャシーに対して何らかの行動を起こす前に、彼氏であり親友である俺に、まずそのことを言って俺の了解を得ようとしてくれた、親友である俺の気持ちを真っ先に考えてくれたからだという意味です。

その言葉を聞いて、チャンドラーは「それがベストだと思ったから」と言っていますが、声にそれまでの勢いがなくなり、消え入るような声になっています。
前回の記事、キスする前に言っていれば フレンズ4-7その6 で出てきた、「キャシーとキスする前にジョーイに話していたら、きっとジョーイは身を引いてくれただろう」というロスたちの見解が当たっていたことがわかったからですね。

ジョーイは、俺がたとえいいと言っても、彼女には他に男がいるみたいだから、話はすんなり行かないかもしれないぞ、と忠告しています。
have one's work cut out for... は「(人)が難しい仕事をあてがわれている、厄介な仕事が(人)を待ち構えている」。
直訳すると「(人)のために、その人の仕事が切り抜かれた[準備された、あてがわれた]状態になっている」みたいな感じでしょうか。
これからお前にはやるべき仕事があるぞ、というニュアンスでしょう。

the other guy の話が出たので、チャンドラーは思い切って、そのキャシーの想い人は俺のことなんだ、と告白します。
one thing led to another は、「1つのことが別のあることに繋がって」ということで、「いろんなことが重なって」というニュアンスですね。
フレンズ2-2その4 にも出てきました。

LAAD では、
one thing led to another: used when explaining the way in which something happened, without giving many details
つまり、「何かが起こった時の様子を説明する時に使われる、多くの詳細を語ることなしに。」

そんな風に、詳細を省略されたせいで、ジョーイは余計に気分を害したみたいですね。
で結局、最後にはどうなったんだ?寝たのか?と尋ねています。

even は比較級を強調するので、even worse は「もっと悪い、さらに悪い」。
チャンドラーは、「寝ただなんてとんでもない。そんなことまではしてないよ。ただキスしただけだよ」と、決してエッチはしていない、ということを言うために、just kissed と表現したのですが、その言い方が、怒っているジョーイにとっては、「寝たわけじゃないからまだましだろ」的な開き直りに聞こえてしまったようです。
自分でも上手く理由を説明できないながらも、「エッチでもキスでも、俺を裏切ったことには変わりがない。キスだから寝たよりましだってことはない」と言っています。

go behind someone's back は「人を裏切る」。
I would never do that to you! は、I would で「もし俺がお前の立場なら(こうする)」という仮定を表しています。
「俺なら、俺だったら、親友(のお前)に対してそんな(ひどい)ことは決してしない」ということですね。

何を言われてもただ謝るしかないチャンドラー。
I was totally over the line. と言っています。
line というのは何とも抽象的な表現ですが、日本語の「一線を越える」という感覚と似ているように思います。
the line と the がついているのは、人間として許される行為の境界線、みたいな感じかなぁ、と。
超えてはいけない一線を俺は乗り越えてしまったんだ、という感じが、I was over the line. なのでしょう。

ジョーイは、over the line どころか、you're so far past the line だと言っています。
ちょっとその一線をひょいと乗り越えたみたいにお前は言うけど、ちょっと乗り越えたなんてレベルじゃなくて、その一線を通り過ぎて、ものすごく遠いところまで離れちゃってるよ、という感じでしょうか。

the line はお前にとっては a dot だ、と言っているのは、そういう大切な人の守るべき境界線が、お前にとっては、たった1つの点にしか見えてないんだろう、という感じでしょうね。
乗り越えるのが困難な「線」ではなくて、長さのないただの「点」だから、そんなに簡単に乗り越えちまったんだよな、というニュアンスだと思います。


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posted by Rach at 07:04| Comment(3) | フレンズ シーズン4 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
線を遥かに越えてから、線がDotのようにしか見えないと考えられないもないと思います。(行き過ぎをexaggerateしています)
Posted by Fen at 2009年09月18日 09:36
物から離れすぎたら小さい点のように見えますよね。
越えた線から離れすぎて、もう線が点の様にさえ見えるところまで行ったよ、すっごく悪いことしたよ、ということだと思います。
Posted by 長月 at 2009年09月19日 05:33
Fenさん、長月さんへ
ご指摘ありがとうございます。おっしゃる通りだと思います。
over じゃなくて、so far past と、その線からものすごく離れていることを強調していて、また、線が見えない、とも言っていますし、距離が離れ過ぎているから、チャンドラーにとっては「線が点に見えている状態」だと言っているわけですね。

ちょっと一線を越えた、というレベルじゃなくて、人間としてあるまじきことをした、とジョーイは言いたいわけでしょうね。

貴重なご意見、ありがとうございました。
Posted by Rach at 2009年09月20日 07:32
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