シーズン4 第8話
The One With Chandler In a Box (チャンドラーの箱)
原題は「箱の中のチャンドラーの話」
モニカとレイチェルの部屋。入ってきたチャンドラーに、
レイチェル: So are things with you and Joey any better? (それで、チャンドラーとジョーイの状況は、少しは良くなったの?)
チャンドラー: They couldn't be worse. I spent eight hours calling him last night, just trying to get him to talk to me. (状況は最悪だよ。昨日の晩も、彼に電話するのに8時間も費やしたんだ。ただ、ジョーイが俺と話をしてくれるようになって欲しくて。)
レイチェル: Oh wow, eight hours. So you could probably really use one of those plug-in telephone headsets, huh? (まぁ。8時間も。それじゃあ、多分、よくあるあの差し込み式の電話のヘッドセットが欲しいでしょ?)
ロス: Should we all expect Christmas gifts that can be stolen from your office? (僕たちは全員、君のオフィスから盗み出すことができるようなクリスマスプレゼントを期待すべきなのかな?)
レイチェル: You shouldn't. (あなたは期待しないで。)
フィービー: Speaking of Christmas, umm, since Monica and I are starting a new business and have like no money, umm, this year maybe we could do Secret Santa and then we each only buy one gift. And-and there's the added mystery of who gets who. (クリスマスと言えば、あの、モニカと私は新しいビジネスを始めたから、お金がないの。それで、今年は多分、シークレットサンタ方式にすることができると思うの。そしたら、私たちはそれぞれ1つのプレゼントを買うのよ。そして、誰が誰、当たるかっていうミステリーも加わるし。)
ロス: Who gets "whom." (They all look at him.) I don't know why I do that. (誰が”誰に”当たるか、だ。[フレンズたちは全員ロスを見る] 今みたいなことを言うのはどうしてか僕にもわかんないよ。)
前回、ジョーイの知らないところでキャシーとキスしていたことがばれて、ジョーイは大激怒。
今回もまだ、怒りは収まっていないようです。
any better? の any は、疑問文で使われると「少しでも、いくらか」というニュアンスになりますね。
They couldn't be worse. を直訳すると「Things がこれ以上さらに悪くなることは不可能だろう」ということで、これ以上悪くなることはないくらい最悪、というニュアンスです。
couldn't be better が「最高である」という意味になるのと同じ仕組みですね。
spend+時間+doing は、「…するのに(時間)を費やす、過ごす」。
8時間の間、電話をかけてもかけてもジョーイはしゃべってくれなかった、ということです。
8時間も電話をかけていた、と聞いて、プラグインの、つまり、プラグで接続して使う差し込み式の、電話用のヘッドセット(マイク付きヘッドフォン)があったらありがたいわね、みたいなことをレイチェルは言っています。
could use は「…があるとありがたい、…がぜひとも欲しい、…が必要だ」。
フレンズ3-21その4 にも出てきました。
そんな長時間の電話なら、電話のオペレーターみたいに、手ぶらで話せるヘッドセットがあったら嬉しいでしょ?という感じです。
ロスはそれを聞いて、レイチェルはまさか、それをチャンドラーのクリスマスプレゼントにするつもりじゃないだろうな?、会社のオフィスの備品からそれを盗んでプレゼント代を安くあげよう、って作戦か?みたいに意地悪な質問をしています。
(ちなみに、今回の フレンズ4-8 は感謝祭のエピソードで、感謝祭は 11月の第4木曜日に行われます。ですから、1ヶ月後に迫ったクリスマスプレゼントの話題が登場するのは、時期的に自然な流れになります。)
ロスは We と言っているので、チャンドラーも含め、僕たち全員君からのプレゼントはそういった会社の備品になっちゃうの?という感じです。
レイチェルの You shouldn't. は、少なくともあなたはそんなことは期待しないで、他の人にはそういうものをあげるかもしれないけど、あなたにはそういうものすらあげないわ(そんな意地悪なことを言うあなたには何もあげない)という感じかな、と思いました。
フィービーとモニカはペアでケイタリングの仕事を始めたばかりで金欠だから、今年は、シークレットサンタをしましょう、と言っています。
その後のフィービーのセリフでもわかるのですが、シークレットサンタとは、簡単に言うと「誰からとは言わずにグループ内でプレゼントを渡すこと」のようですね。
Secret Santa については、詳しくはウィキペディアで。
Wikipedia 英語版: Secret Santa
サンタが誰だかわからない、だから「秘密のサンタ」なわけです。
フレンズたちも、いつもは、一人がそれぞれにプレゼントを渡しているのですが、今回は金欠メンバーがいるので全員に買うのは大変、だから、シークレットサンタ形式にして、匿名でプレゼント交換をすれば、一人一個買うだけで済むから、経済的にも助かる、ということです。
フィービーが言った who gets who というフレーズを、ロスは who gets whom と訂正します。
これは、他動詞 get の目的語に当たるから、文法的には who じゃなくて、目的格の whom になるはず、ということのようです。
口語では、目的格の場合でも who を使うことが多いですが、前置詞の直後に続く形だと whom もまだよく使われますね。(from whom など)
厳密に言うと目的格だから whom なのでしょうが、動詞の後なのでそれが目的格であることは明らかですから、who と言っても間違いではない、という気もします。
日向清人先生の 即戦力がつくビジネス英会話―基本から応用まで の p.21 に、
who reports to who(m) 誰が誰の部下か *report to 〜「〜の部下である、〜の指揮下にある」
という表現が載っていますが、who(m) (つまり who でも whom でも可)と表記されているのは、恐らく「前置詞 to の後なので厳密には目的格 whom になるところだが、慣用的に who も使われる」という感覚なのだろうと思いました。(実際、p.20 の DIALOG では、who reports to who が使われています。)
いずれにせよ、国語の授業でもないのに、楽しくクリスマスプレゼントの話をしている時に、ささいな文法的指摘をしたことで、何となく座がしらけてしまったので、フレンズたちはあきれてロスを見ます。
ロスは、 I don't know why I do that. と言っていますね。
I don't know why I did that. なら、「今、そんな風に文法間違いを指摘しちゃったけど、どうしてそんなことしたのかわからない」ですが、I do that と現在形になっているのは、ロスが普段からそういうことを指摘したがる習性があることを言っているような気がします。
「どうして僕は(いつも)場の空気を考えずに、細かい指摘をしちゃうんだろうね、自分にも理由がわからないよ」と、つい口から出てしまった言葉を、自分でも何でそんなこと言っちゃったのかわかんない、と逃げているセリフかな、と思いました。
そして、who gets who のニュアンスですが、get は実に多彩な意味があるので、どの日本語を選ぶのか難しいですね。
get+人+物、だったら、「人に物を買ってやる」という意味になり、クリスマスプレゼントの話とも合うのですが、ここでは、get+人、になっていて、目的語は「人」だけです。
ですから、「(人)をゲットする」、つまり、くじ引きか何かで、誰が誰に渡すことになるのかを決める、誰が誰になるのか、誰が誰に当たるのか、誰が誰を担当するのか、みたいなニュアンスかな?と思います。
(Rach からのお願い)
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They couldn't be worse は最初聞いた時は、否定だから最悪でも
ない?とか思いましたが、裏の意味というか、もうこれ以上悪く
はならない=最悪 という意味と分かっておもしろいなと思いました。
僕はでもとっさに会話でこういうセリフがでてこなくて、ネイティブ
に聞かれたら、good か badという非常にやさしい英単語が口から
でて逃げてしまいます。汗
ちゃんと使いわけて英語使用できるようになりたいものです。汗
もともとTOEICも良い点数もってないので、語彙力も文法力も
甘々の僕ですが、Friendsで使用されてる言葉を現実で使用したい
とも思うので、ちゃんとやらなきゃと反省したりもします。汗
who gets whomに関してはロスが文法の事を言ってるのは分かりました。
ネイティブの人達にとってこういう会話の時、文法的にwhoを使用
するかwhomを使用するかにどれくらい重要度があるかは分からないで
すが、whoでも通じる所をわざわざ「正式にはwhomだ」という所を
あの会話のシチュエーションでつっこんでくる細かさはロスも
モニカもやはり兄妹って感じがしました。w
ちゃんとキャラクターは性格も作られててすごいな〜とか感じて
しまいますね。
最近仕事でTOEIC980を過去にとった人と一緒にいるのですが、
なんでそんな点数とれるのか不思議でした。汗
僕と英語脳が絶対違いますね。汗
あ、でもRachさんも満点ですね。 結果のシートを見た時、
僕の目は宝を見たように光ってたと思います。笑
TOEICも良い点とって、会話もちゃんとできるレベルになりたいです。
ネイティブにはなれないという事は分かってても、目標はとりあえず、
チャンドラーで。笑
ジョークいえるようになったら結構嬉しいです。笑
They couldn't be worse. のような比較級の否定文は、確かにパッと理解するのは難しいですね。
そういうものは、たくさんの英語を浴びていく間に、だんだん身についていく、ということなのでしょう。そういう凝った表現を自分から発信するのはなかなか難しいですが、まずはセリフでそういうものが出てきた時に、結局は good なのか bad なのか?というニュアンスを理解できることから始めないといけない、ということですね。
who gets whom に関しては、詳しい文法事項はともかく、ロスが文法の間違いを指摘した、ということがわかればそれで十分だと思います。
ロスはそういうことを流せないタイプの人だと観客は知っているから、余計に面白いわけですね。
チャンドラーのレベルになるのは私にとって「憧れ」です。TOEIC満点という目標は、TOEIC という特殊なテストに特化した勉強をすることで、だんだんそれに近づくことができますが、チャンドラーのように、絶妙のタイミングでネイティブも思わず笑ってしまうようなジョークを言うことは、ノンネイティブの我々にとっては非常に難しいことです。こればかりは、実際のネイティブの会話を研究し、その呼吸みたいなものを学ぶことでしか身に付かない気がしますね。