フレンズ1-4その4 ご質問 のコメント欄 で、
Finders keepers, loosers weepers.
I'm rubber, you're glue, whatever...
というフレーズに関するコメントをいただきました。
今回の記事では、そのフレーズに関して、もう少し詳しく説明したいと思います。
また、フレンズ1-4その2 のコメント欄 では、
...And he lived in a village, and you live in the Village.
というセリフに出てきた Village についてのご質問がありました。
Village は、モニカたちが住んでいる Greenwich Village(グリニッチ・ヴィレッジ)を指すのですが、その Village についても、今回の記事でもう少し説明してみたいと思います。
まず、Finders keepers, loosers weepers. と I'm rubber, you're glue, whatever.... が出てくるやり取りは以下のようになっていました。
ホッケーの試合を観戦中に、パックが顔に当たり、病院で治療を受けたロスは、そのパックがどこにいったか尋ねます。
ロス: Where's my puck? (僕のパックはどこ?)
ジョーイ: Oh, ah- the kid has it. (あぁ、あー、その子供が持ってる。)
ロス: The kid? (TO KID) Excuse me, uh, that's, that's my puck. (子供だって? [子供に] ちょっと、あの、それは、それは僕のパックだよ。)
子供: I found it. Finders keepers, losers weepers. (僕が見つけたんだ。拾った者が持ち主で、落とした者は泣きを見る、だよ。)
(ROSS LOOKS AT CHANDLER FOR HELP)
ロスは助けを求めるようにチャンドラーを見る。
チャンドラー: You gotta do it, man. (やらなきゃだめだ。)
ロス: (TO KID) Oh, yeah? Well, I'm rubber, you're glue. Whatever you-- (TO CHANDLER) I can't do it. (TO KID) Listen, uh, give me back my puck. ([子供に] ああ、そうかい? そうだな、僕はゴムで君はのりだ。君が何を言おうと… [チャンドラーに] 僕にはできないよ。[子供に] ねぇ、僕のパックを返してよ。)
Finders keepers, loosers weepers. も、I'm rubber, you're glue. も、よく知られた決まり文句みたいですね。
Finders keepers というフレーズは、英辞郎の finder 「見つける人、発見者」の例文に載っていました。
英辞郎では、
Finders keepers.=《諺》拾ったものは自分のもの。
Finders keepers, losers weepers.=《諺》拾った者が持ち主、落とした者は泣きをみる
とあります。
I'm rubber, you're glue. について。
rubber は「ゴム」、glue は「のり、接着剤、膠(にかわ)」ですね。
こちらは、オンラインスラング辞典である Urban Dictionary に載っていました。
Urban Dictionary: I'm rubber you're glue
英語で詳しく説明されているので、以下に引用させていただきます。
I'm rubber you're glue 142 up, 18 down
A riposte used when someone calls you a name. Indicates that whatever names or words someone uses in an attempt to offend or insult you, those words will bounce off you, and stick to the name-caller, indicating that he or she is actually indicative of the connotation he or she originally wanted to impart upon you. Also, what I say to Peter to make him cry.
例) I'm rubber you're glue, your words bounce off me and stick to you.
訳しますと、「誰かが人をある名前で呼ぶ(呼んだ)時に使われる当意即妙の答え[鋭い即答]。人の感情を害する、または侮辱しようとして、誰かが使う名前や言葉がどんなものであっても、それらの言葉は相手から跳ね返って、その名前を呼んだ人にくっつく、ということを示唆する。また、その人(名前を呼んだ人)が元々相手に伝えたいと思っていた言外の意味を実際に暗示しているということも同時に示唆する。別の表現で、what I say to Peter to make him cry という表現もある。
例文は、「僕はゴム。君はのり。君の言葉は僕から跳ね返って、君にくっつくよ。」
(ちなみに、「同じ意味として、what I say to Peter to make him cry という表現もある」ように書いてあるのですが、この表現は、検索してもヒットしません。ほんとにこういう表現あるんでしょうか…??)
直訳したので、意味がわかりにくいですが、相手が自分に対して悪口を言ってきた場合に、それを「そっくりそのまま返すよ」と言いたい場合の表現だということですね。
indicating that he or she is actually indicative of... の部分がよくわからないのですが、何かの名前を言うことで、相手を侮辱しようとしていたという話者の意図もお見通しさ、ということも示すことになる、ということでしょうか。
(2015.5.12 追記)
上に書いた Urban Dictionary の訳について、下のコメント欄でご意見をいただきました。
call someone names は「人の悪口を言う」という意味になります。
そのフレーズの意味と、また、indicating... 以下の訳について、下のコメント欄に訂正と追加説明がありますので、詳しくはそちらをご覧下さい。
(追記はここまで)
上の例文では、your words bounce off me... となっていますが、your words 「君の言葉、君の発言」が、whatever you say 「君の言うことは何でも」というフレーズになっている場合もよくあるようです。
whatever を使うと、
I'm rubber, you're glue. Whatever you say bounces off me and sticks to you.
となるわけですね。
ロスのセリフは、I'm rubber, you're glue. Whatever you-- となっていましたが、Whatever you の部分も、その決まり文句の続きだったようで、そこまで言って結局最後まで言わずに途中で言うのをやめた、という描写だったようです。
まとめますと、直訳では「僕はゴム、君はのり。君が言うことは何でも僕で跳ね返って、君にくっつく」。
相手が自分に対して言ってきたことに対して、その内容は跳ね返って君への言葉になるよ、ということで、「君の言った言葉は、君に跳ね返ってくるよ」「その言葉、そっくり君に返すよ」というニュアンスになるわけです。
子供もロスも、自分で考えた言葉ではなくて、元々存在する表現を使っているわけですが、このタイミングで子供が Finders keepers, loosers weepers. と韻を踏んだことわざを使ってうまく返してきた、そこで大人のロスが負けじと返したセリフが、I'm rubber.... だったので、全然対抗できてない、という面白さがあるのでしょう。
I'm rubber... は本来、相手が自分に対して何らかの悪口、例えば「このバカ!」みたいなことを言った場合に、「バカはそっちだよ」とその言葉をそっくり返して、そんな風に言うお前の方がバカだよ、と言い返す言葉だと思われます。
子供とロスのやり取りについては、喧嘩で言い返す時の常套句であるけれども、ことわざを使って「拾った者勝ちだよ」みたいなことを言った子供に対しての返しとしては、ややピント外れであった、という面白さがあるように思います。
「その言葉をそっくり返す」と言ってしまったら、「拾った者勝ち」であることを認めたことになってしまいそうですしね。
常套句で言い返した後、この状況でこのセリフでは相手を言い負かせないことに気付いたので、これではダメだと思って途中でやめた、という感じなのかな、と思いました。
次に、Village について。
レイチェルは、「ジャックと豆の木」のジャックのようだわ、とフィービーが言う場面。
フィービー: And he lived in a village, and you live in the Village. (ジャックはヴィレッジ[村]に住んでいた。そしてあなたはヴィレッジに住んでいる。)
最初の village は「村」で、2番目に出てくる Village は、場所の名前(地名)です。
地名、すなわち固有名詞なので、大文字で始まっている、ということです。
ドラマの設定では、モニカたちは、Greenwich Village(グリニッチ・ヴィレッジ)に住んでいることになっていて、その Greenwich Village のことを、Village とも言うのですね。
この記事で解説している フレンズ1-4 より後のエピソードになってしまいますが、フレンズ2-10その7 のセリフにも、Village という地名が出てきます。
Wikipedia 日本語版: グリニッチ・ヴィレッジ には、以下の説明があります。
なお、観光ガイドブックや地図などでは「グリニッチ・ヴィレッジ」を「ウェスト・ヴィレッジ(West Village)とイースト・ヴィレッジ(East Village)を合せた総称」のように記載しているものが多いが、実は必ずしもそうではなく、現地では「グリニッチ・ヴィレッジ」と言えば一般に「ウェスト・ヴィレッジの別称」である。たんに「ヴィレッジ」と言うときにも、一般には「グリニッチ・ヴィレッジ」のことを指す。一方の「イースト・ヴィレッジ」は、常に「イースト・ヴィレッジ」と呼称され区別される。
Wikipedia 英語版: Greenwich Village でも、
Greenwich Village, often simply called "the Village"
つまり、「しばしば簡単に the Village と呼ばれる」という記述もありますね。
英語版ウィキペディアの In media という項目にも、
The 1994-2004 NBC sitcom Friends is set in the Village と書いてあります。
set in は「(ドラマなどの舞台を)…に設定する」ということですから、フレンズというシットコムは the Village を舞台として設定されているということです。
モニカたちのアパートの外観がシーンの切り替わりに挿入されますが、あの外観は、West Village の Grove Street と Bedford Street の角にある実在する建物で、その写真がウィキペディアにも出ていますね。
この写真が説明に使われていることからも、フレンズと The Village との関係の深さがよくわかる気がします。
(Rach からのお願い)
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そうですね。喧嘩の常套句なわけですし、ノンネイティブがこれを使うと違和感がありそうな気もしますが、そういう意味なのか、と知っておくことは大切だと思います。ロスが考えた言葉なのか、多くの人がよく使うフレーズなのか、というところもポイントですね。
私はこれ以外に聞いたことはないのですが、またいろいろと英語に触れていくうちに、どこかで再会するだろうな、と思っています。
貴重なご指摘ありがとうございます。
Urban Dictionary の語義の someone calls you a name の部分を、「人をある名前で呼ぶ」と私が訳してしまっているのは完全な間違いですね。間違ったこと以上に、この記事を書いた当時(2009年)の私が、その日本語訳が意味不明であることに不自然さを感じなかったこと、何かのイディオムだろうと調べようともしなかったらしいことが、自分でも驚きです。
calls you a name という表現から、とりあえず英和で name を調べてさえいれば、
研究社 新英和中辞典に、
name=【C】 悪口
call a person names (ばかのあほうのと)人の悪口を言う、悪態をつく
と出ていて、それだと気付いたはずですのにね。
また、name-caller という表現も、英辞郎にそのままバッチリ、
name-caller=【名】悪口を言う人
と出ていたのにもかかわらず、です。
上の記事内では「相手が自分に対して悪口を言ってきた場合に」と書いていて、そういうニュアンスだとわかっていただろうのに、Urban Dictionary の訳では、name=名前、としか訳していないので、これでは意味が通りませんよね。過去記事の間違いをご指摘いただき、心より感謝申し上げます。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、call の項目にも、name の項目にも、両方に出ていました。
call の方では、
call somebody names : to insult someone by using words that are not nice to describe them
例) The other kids always called him names.
つまり、「ある人を描写するのに良くない言葉を使って、その人を侮辱すること」。例文は、「他の子供たちはいつも彼に悪口を言った」。
name の方では、
call somebody names : to say something insulting to someone
つまり、「誰かに侮辱的なことを言うこと」。
上の記事内で「indicating that... の部分がよくわからないのですが」と書いた通り、やっぱり私はわかっていなかったようです(笑)。いただいたコメントを読ませていただいて、indicating... の部分の語義説明のニュアンスがよくわかりました。
元々は相手に衝撃を与えようという意図で言った含蓄(含みのある言葉)を、それを言った人自身が示していることを示唆している、というところでしょうか。「相手を貶めようとして言った言葉が、言った本人を表す言葉にもなっている」ということで、悪口を言った人に「その悪口は君が言われるべきことだ」と返している感覚ですよね。
I'm rubber, you're glue. というのは私も本当に面白い言い回しだと思います。その説明でピント外れだった部分をご指摘いただけたことで、この表現の意味が、より明確になりました。
貴重なご指摘とご意見、本当にありがとうございました。
お返事ありがとうございます。私の対応について、そのように評価していただき光栄です。
今後そのような部門ができた時に(笑)ダントツ1位となれるよう、さらに頑張って行きたいと思います。
温かいコメント、ありがとうございました!