2009年10月17日

あなたの不幸は私の不幸 フレンズ4-9その7

モニカとフィービーは、このエピソードの冒頭で、二人でケイタリングの仕事をするためのバン(ライトバン)を用意していました。
ところが、モニカに「アレサンドロズのヘッドシェフ」という嬉しい仕事が舞い込んで来ました。
ケイタリングはやめて、そのヘッドシェフの仕事を引き受けたいと言うモニカに、フィービーは大激怒。
何とか納得してもらおうと、フィービーがバンを使ってできる仕事案をモニカはメモに書いてきました。
ところが、モニカの言う、花の配達、ピザの配達などの仕事に難色を示すフィービー。
モニカ: All right, I got a whole bunch of uh-uh, stuff in this area. But umm, I'm getting the feeling that you don't want to deliver. (わかったわ。このエリアの非常にたくさんの仕事があるんだけど[このメモに書いたんだけど]、でも、あの、フィービーは配達はしたくないみたいね。)
フィービー: No. (したくないわ。)
モニカ: Okay. I'm guessing if you don't want to deliver, you probably don't want to pick up stuff either. (わかった。推測するに、もしあなたが配達をするのがいやなら、多分、何かを引き取る仕事もいやよね。)
フィービー: No. (いやよ。)
モニカ: Y'know what? Let's do the catering business. (ねぇ。ケイタリングの仕事をやりましょう。)
フィービー: Really? Are you sure? (本当に? 確かなの?)
モニカ: Yeah, y'know I-I made a commitment to you. Y'know what, it'd be, it'd be fun. (えぇ、ほら、私はあなたに約束したもの。ねぇ、きっと(やったら)楽しいわ。)
フィービー: Oh! It will be fun! Ohh! Yay! Oh! Okay, ooh, let's plan the wedding reception. (She grabs the notebook which Monica used for her ideas and starts flipping page after page after page after page after page to find a blank one.) Wow! You really wanted me to do something with this van. (pause) Y'know what? I want you to take the chef job. (えぇ! 楽しくなるわよ! あぁ! イェイ! あぁ、(予約を引き受けた)結婚披露宴の計画をしましょう。[フィービーはモニカがアイデアを書くのに使っていたメモを掴み、空白部分を探すために、次から次へとページをめくり始める] まぁ! あなたは本当に私にバンを使って何かをして欲しかったのね。[沈黙] ねぇ? 私はあなたにシェフの仕事を引き受けてもらいたいわ。)
モニカ: Really? (ほんとに?)
フィービー: Yeah. That's what you really want. Yeah, I don't want to be the reason you're unhappy. That would just make me unhappy. And I really don't want to be the reason I'm unhappy. (えぇ。それが私が本当に望むことよ。そう、私はあなたが不幸である理由になりたくないの。それはただ私を不幸にするわ。そして、本当に、私は自分が不幸である理由になりたくないの。)
モニカ: Thank you. (ありがとう。)
フィービー: Besides, it might be kinda fun to form the new A-Team. (それに、新しいAチームを結成するって楽しいって感じかも。)

バンでできそうな仕事として、花やピザの配達を挙げたモニカ。
でもフィービーは明らかにいやがっています。
その他にもさまざまな配達の仕事を考えていたらしいモニカですが、フィービーが乗り気でないのを見て、「どうやらフィービーは、deliver の仕事はいやみたいね」と言っています。
さらには、deliver がいやなら、pick up 「引き取る」のもいやよね、とも言っていますね。
配達系の仕事だけではなく、そういう「引き取る」系の仕事もいっぱいメモしてきたことがここでわかります。
配達も引き取りも仕事としては同じ感じですし、アイテムが違ったところで、配達に興味がなければそれは全部ボツ。
ですから、フィービーの返事を聞いて、モニカはメモに大きく斜線を引いています。

これまで何度も説明してきたことですが、フィービーの返事の2つの No. は、No, I don't want to (deliver/pick up). ということで「そういう仕事はしたくない」という意味です。
「いいえ」という日本語にしてしまうと、モニカの言うことを否定したみたいに聞こえますので、「したくない」と訳してみました。

make a commitment は「…すると約束・確約する」。
コミットメント フレンズ3-4その12 でも解説しましたが、フレンズでは男女の恋愛関係を指す言葉として、commitment がよく登場します。
その場合は「遊びではなく、真剣に異性と付き合う」という意味になります。
今回の commitment は「約束、言質」という意味ですね。

フィービーが納得する仕事が見つからないので、やっぱりケイタリングの仕事をやりましょう、というモニカ。
モニカの it'd be fun に対して、フィービーは、It will be fun と言っていますね。
この would と will の違いは、二人の温度差を表しているような気がします。
would の場合は、「もしケイタリングの仕事をするとしたら、きっと楽しいわ」という感じでしょうか。
仮定のニュアンスが入っていて、ケイタリングの仕事をすることが100%確定していない感覚のような気がします。
口ではケイタリングの仕事をやろう、と言っているけれど、心の中ではまだシェフの仕事をあきらめ切れていない、「ケイタリングの仕事を二人でやれば、きっと楽しいわ」と自分自身に言い聞かせている感じもします。

一方のフィービーの will は「単純未来」ですね。
話し手が「未来はこうなるだろう」と思っている、信じている感覚です。
will にはモニカの would のような仮定のニュアンスはなく、モニカが「一緒にケイタリングやろう!」と言ったことに何の疑いも持っていない、モニカがそう言うからには、もうケイタリングの仕事をやることに決まったと思っているから、「これで楽しくなるわね」みたいに当然の未来のこととして、will を使っているのかな、と思いました。

早速、ケイタリングの仕事のプランを考えようと、メモするための空白を探すのですが、めくってもめくっても白紙のページが出てこない。
つまり、モニカは、フィービーがバンでする仕事案を、メモ帳全部使うほど考えていた、ということですね。
それを見てフィービーは、どれほど自分にバンの仕事をして欲しかったか、つまりは、モニカがどれほどシェフの仕事を受けたがっているかを知ることになります。

フィービーが unhappy という単語を使っている一連のセリフについて。
フィービーの論理の流れはこうですね。
1. 私はモニカの不幸の理由・原因になりたくない。
(私がケイタリングの仕事を一緒にやろう!と頑張るとモニカを不幸にしてしまう。)
2. モニカが不幸であることは私を不幸にする。
(that は、you're unhappy を指すと思われます。)
3. そして、私が不幸であるという理由に私自身がなりたくない。

つまり、モニカにシェフを引き受けろと言っているのは、最終的には私自身が幸せになるためよ、という感じでしょうか。
モニカが希望の職に就けず不幸になるのなら、私も不幸になってしまう。私は自分が不幸になる原因を自ら作り出したくはないから、私が幸せになるためにはモニカにも幸せになってもらわないといけない、だからモニカのやりたいことを選ぶように私は勧めるわ、という感じかなと思います。
自分が不幸になりたくないから、という最終的な理由は、フィービーなりの優しさなのでしょうね。

自分のためだと言って、快くケイタリングの仕事をあきらめてくれたフィービーに、モニカも素直に感謝の気持ちを述べています。
Besides 「それに加えて、さらに」とフィービーは続けます。
A-Team は、日本でも放映されていたアメリカの人気ドラマ「特攻野郎Aチーム」(原題:The A-Team)のことですね。
日本語のタイトルにも「Aチーム」という言葉があるために、このフィービーのセリフは、日本人にもわかりやすいものだったかもしれません。

Wikipedia 日本語版: 特攻野郎Aチーム
特攻野郎Aチーム:テレビ東京

フレンズ2-14その10 のセリフに、Mr. T (ミスターT)という人物名が出てきたのですが、その Mr. T が特攻野郎Aチームに出演していた、ということで、その記事及びコメント欄で特攻野郎Aチームの話題が出ています。

form the new A-Team というのは、あのAチームの新チームを結成して、バンに乗り込み悪と戦う、というイメージみたいですね(笑)。


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posted by Rach at 07:11| Comment(2) | フレンズ シーズン4 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
お久しぶりです!
....が、相変わらず「フレンズ」は教材の1つです♪
シーズン5まで集めました。
おお、やっと半分まで来たと思いきや、
近く全シリーズをまとめたDVDセットが出るそうですね!
高そう。。。。
なので、手は出せませんが(実は)欲しい私です。
最近は日本語字幕なしでも楽しめるようになりました!
あちこち分からないところもありますが、
のんびりペースで頑張ります!
Posted by Emi at 2009年10月19日 17:41
Emiさんへ
お久しぶりです! コメントありがとうございます。
DVDセットが出るという話は初耳です。フレンズは比較的手ごろな価格でDVDが入手できますが、やはり全部をまとめて一気に買うとすると、かなりの金額がかかってしまいますよね。

日本語字幕なしでも楽しめるようになると、ますます面白くなってきますね。やはりマイペースで続けることが一番です。お互い、英語学習、頑張りましょう!
Posted by Rach at 2009年10月20日 06:47
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