[Scene: Central Perk, Chandler is there.]
セントラルパーク。チャンドラーがそこにいる。
レイチェル: (entering) Chandler, you have the best taste in men. ([入ってきて] チャンドラー、あなたは男性の趣味が最高ね。)
チャンドラー: Well, like father, like son. (そうだな、父親に似たんだよ。)
レイチェル: Patrick and I had such a great time last night! I mean, I think this could maybe turn into something serious. (パトリックと私は昨日の晩、最高の時間を過ごしたわ! つまり、今回のことは、シリアスな[真面目な]ものに発展しそうに思うのよ。)
チャンドラー: Really? I-I thought you weren't looking for something serious. I thought you were looking for some kind of a fling. (ほんとに? 俺は君がシリアスな関係は求めてないと思ってた。俺は君が軽いお遊びみたいなものを求めてると思ってたんだ。)
レイチェル: Well, y'know, possibly. (pause) You didn't tell him that, though, right? (そうね、ほら、ひょっとしたらね。[沈黙] 今チャンドラーが言ったことを彼に言ってないわよね?)
チャンドラー: Ummmmmmmm, no. (ウォォォォ、言ってない。)
レイチェル: You told this guy that I was looking for a fling? You don't tell the guy that! (私がお遊びを求めているって、あなたはこの人に言ったのね? そんなことをその人に言っちゃだめでしょ!)
チャンドラー: Why not? I'd be thrilled if I heard that some hot girl was just looking to get-- Oh, I see. (どうしてだめなんだよ? もし俺だったらワクワクしちゃうよ、もしどこかのセクシーな女の子がただ(軽いお遊び)をするのを期待してるって聞いたら…あぁ、わかった[そういうことか]。)
レイチェル: Oh, between you telling him that I wanted to have a fling and me putting out on the first date oh, he's so gonna get the wrong idea! (あぁ、あなたは彼に私が軽いお遊びを欲しがってたって言うし、私は最初のデートで彼と寝ちゃったし[体を許しちゃったし]で、彼は絶対に誤解しちゃうわ!)
taste は「好み、趣味、センス」。
Tastes differ. または There's no accounting for tastes. は「人の好みは違う、さまざまだ」ということで、日本語で言うところの「蓼(たで)食う虫も好き好き」「十人十色」に当たります。
「男性の趣味に関して最高のセンスを持ってるわね」という褒め言葉なのですが、このセリフで、チャンドラーが紹介してくれた男性が恋人候補としてとても素敵な人だった、ということがわかります。
それに対してチャンドラーは、like father, like son と言っています。
Like father [mother], like son [daughter]. は、「この親にしてこの子あり」。
親子が似ていることを言った表現です。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
like father, like son: used to say that a boy behaves like his father, especially when this behavior is bad
つまり、「ある少年がその彼の父親と同じように行動することを言うのに使われる。特にこの行動が悪いものである場合に」。
チャンドラーは「あの父親の子供だからね。父親に似たんだよ」と言っているわけですが、チャンドラーのパパがゲイで、若い男性好きであることは、フレンズ3-8その26 のセリフなどで過去に示唆されたことがあります。
チャンドラー自身もゲイに間違えられることが多いですよね(今回のエピソードでも同僚に対して必死に否定していました…笑)。
ですから、「あなたって男性の趣味が最高」という褒め言葉はゲイに対する褒め言葉のように聞こえます。
その上、「その趣味は父親から受け継いだんだ、あの人の息子だから俺も男を見る目があるんだろうね」と自虐的なジョークを言っているのが面白いのですね。
パトリックとのデートは最高だったから、シリアスな関係に発展しそうと言うレイチェル。
チャンドラーは「君はお遊びの関係を求めてたんじゃなかったっけ?」と問い返しています。
possibly は「もしかすると、ひょっとしたら、ことによると」ということで、確かに私は a fling でいいと言ったけど、もし相手が素敵な人なら、シリアスな関係に発展することだって「もしかしたらありうることだわ」と言っているのだと思います。
チャンドラーが a fling の話を持ち出したので、レイチェルはあることに気づきます。
あなたもしかして、a fling の話を彼に言ったの?とキツい調子で尋ねていますね。
あわあわ…という感じで慌てて否定するチャンドラーですが、その口調から実際には言ってしまったことがわかります。
そんなこと言っちゃだめでしょ、と言われた後の、チャンドラーの Why not? I'd be thrilled... という仮定法のセリフが面白いです。
I'd be thrilled if I heard... という仮定法過去は、「今回は俺がそれを伝える役目だったけど、俺が逆の立場(その話を聞く立場)だったとしたら」という仮定の条件が含まれていますね。
セクシーな女の子が遊び相手を探してるって話を聞いたとしたら、俺ならゾクゾクしちゃうよ、どうしてそれがいけないんだよ…と言おうとして、自分の言った言葉の意味にはたと気づくのです。
自分の立場に置き換えて、「俺だってそんなおいしい話、ホイホイ乗っちゃうよ」と思った時点で、かわいい女の子が後腐れのないお遊びを求めてると言ったら、エッチだけが目当ての男がいっぱい寄ってくるに決まってることに気づいたということです。
次のレイチェルのセリフ、between you telling him that I wanted to have a fling and me putting out on the first date の部分は、between ... and 〜 が使われています。
この between ... and 〜 は「理由」を表しています。
研究社 新英和中辞典では、
between=[between...and...で、原因・理由を表わして] …やら…やらで (用法:三つ以上の場合にも用いる)
例) Between astonishment and sorrow, she could not speak a word. 驚きやら悲しみやらで彼女はひと言もものを言えなかった。
今回のレイチェルのセリフも、between ... and 〜 の部分に、you telling... と me putting... という動名詞が入っていますね。
「あなたが彼に…と言ったこと」やら「私が put out したこと」やらで、彼はきっと get the wrong idea するわ、という流れになります。
put out は一般的には「差し出す」(offer something to people)というニュアンスがありますね。
その「差し出す、提供する」感覚からでしょうか、put out は have sex という意味にもなります。
Macmillan English Dictionary (マクミラン英英辞典)には以下のように出ています。
put out:
7. [intransitive] (impolite) if you put out, you agree to have sex with someone
つまり、「人が put out するというのは、誰かとエッチすることに同意する、ということ」。
素敵な男性と初デートにして盛り上がったレイチェルは、その最初のデートで彼と寝てしまったようです。
「レイチェルはお遊びを求めてるんだ」とチャンドラーは説明し、レイチェルは最初のデートでエッチを許した、この2つの理由が決定的となって、相手の男性パトリックは「レイチェルは遊びでエッチしたいだけ、っていう話は本当だな」と確信しちゃうわ!と言っているのですね。
レイチェル自身は「最初は軽い気持ちでも遊びでも構わないけど、できれば真面目な関係を築ける素敵な男性を探したい」という思いがあるので、「エッチできればそれでいい」みたいに思われてしまうことは大きな誤解です。それを、the wrong idea 「間違った考え」と表現しているわけですね。
(Rach からのお願い)
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2009年10月27日
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