2009年11月13日

自然史の博物館 フレンズ4-11その6

ジョーイはロスの紹介で、ロスの職場である博物館でツアーガイドのバイトを始めます。
が、ランチの時、ジョーイがロスに「ここで一緒に食べよう」と誘うと、「僕はこっちの科学者たちのテーブルで食べるから」と断られてしまいます。
白衣を着ている科学者[博士]たちと、青いブレザーを着ているツアーガイドたちは、別々のテーブルで食事をとることが暗黙の了解で決まっているようです。
ジョーイは、「わかったよ、仕事場では俺たちは友達じゃないんだよな」と言って、渋々そのルールに従おうとするのですが、友達であるジョーイを傷つけてしまったロスは、ある行動に出ます。

博物館のカフェテリア。
相変わらず、科学者たちのテーブルと、ツアーガイドのテーブルにそれぞれ分かれて食べているところに、トレイを持ったロスが入ってきます。
科学者1: Dr. Geller? There's a seat over here. [gesturing across from him] (ゲラー博士? こっちに席がありますよ。[ロスの向こう側でジェスチャーをしている])
ロス: Thank you Dr. Phillips. But I'm having my lunch at this table. [puts tray down on middle table] Here in the middle. I'm having my lunch right here with my good friend, Joey. If he'll sit with me. (ありがとう、フィリップス博士。でも僕はランチをこのテーブルで食べます。[トレイを真ん中の(誰もまだ食べていない)]テーブルに置く] 真ん中のここで。僕はランチをここで食べます、僕の親友のジョーイと。もし彼が僕と一緒に座ってくれるつもりがあるのなら。)
ジョーイ: [gets up, tray in hand, and walks to the middle table] I will sit with you, Dr. Geller. [he puts his tray down on the table and Ross and Joey shake hands.] ([立ち上がり、手にトレイを持ち、真ん中のテーブルに歩いてくる] 俺は君と一緒に座るよ、ゲラー博士。[彼はテーブルにトレイを置き、ロスとジョーイは握手する])
ロス: You know, we work in a museum of natural history. And yet, there is something... unnatural... about the way we eat lunch. Now, I look around this cafeteria, and you know what I see? I see, I see division. Division between people with white coats and people in blue blazers. And I ask myself, "My God, why?" Now, I say we shed these coats that separate us. And we get to know the people underneath. [He whips off his lab coat and throws it on the floor.] I'm Ross! I'm divorced and I have a kid! (ほら、僕たちは自然史の博物館で働いている。それにもかかわらず、何か…不自然なことがある、僕たちがランチを食べるやり方に。今、僕がこのカフェテリアを見回すと、何が見えるかわかる? 僕には見える、分裂が。白衣を着た人々と青いブレザーの人々との間の分裂だ。そして僕は自分に問う、「なんてこった、なぜだ?」 今、我々は我々を分けているこんな白衣を脱ぐことを宣言する。そしてその(服の)下にある人間を知ることができるように。[ロスは自分の研究室の白衣をさっと脱いでそれを床に投げる] 僕はロスだ! 僕は離婚していて子供が一人いる!)

いつものように科学者仲間に一緒に食べるように誘われたロスはそれを断り、科学者のテーブルでもツアーガイドのテーブルでもない、真ん中にあるまだ誰も食べていないテーブルで食べると言います。
If he'll sit with me の he'll は、he will で、ジョーイの「意志」を表していますね。
「ジョーイが僕と食べるとしたら」という仮定であれば if he sits with me になりますが、この場合は will があるので「ジョーイに僕と一緒に食べるという意志(つもり)があるのなら」という感じです。

それを聞いたジョーイは、I WILL sit with you と will を強く発音しています。
「もちろんそのつもりがあるよ」という強調ですね。
それまでの慣習を打ち破り、ロスがみんなの前で「僕は親友のジョーイと食べる!」と宣言したので、その件で怒っていたジョーイも素直にロスの意見に従ったのですね。
親友が仲直りした瞬間です。

その後、ロスはみんなが行っていた「職種ごとにまとまってランチを食べる」という行為についての意見を述べます。
we work in a museum of natural history. And yet, there is something... unnatural... about the way we eat lunch というセリフがとても面白いです。
僕たちは natural history つまり「自然史」の博物館に勤務しているはずなのに、ランチを食べる時の流儀が unnatural 「不自然」なことになっているじゃないか!ということですね。
「自然」を扱っているはずの僕たちの間でこんな「不自然な」ことがまかり通っていいんだろうか?という訴えです。

このカフェテリアを見回すと、不自然な division が見えると言っていますね。
"My God, why?" の言い方がお芝居口調なので笑えます。
shed は見た目、過去形に見えますが、これが原形で「(衣服を)脱ぎ捨てる」という意味。
よく使われるのは、shed tears 「涙を流す」、shed blood 「血を流す」というフレーズの、「(血や涙を)流す」という意味ですね。
お互いの職種を示すこんな制服を脱ぎ捨てて、その下にある生身の真実の人間を知らないといけないんだ、と言っています。
科学者で博士という肩書きを取った僕は、バツイチの子持ちなんだ!と叫んでいますね。
これが本当の僕なんだ!という感じ。

さてここで、a museum of natural history という言葉に注目してみたいと思います。
この部分、ネットスクリプトでは、the Museum of Natural History となっていましたが、DVD英語字幕では、a museum of natural history と書いてあります。
実際のロスの発音も、the ではなくて、a と発音しているようです。
the+大文字表記だと固有名詞扱いになるので、「自然史博物館」という名前を指すことになりますが、a+小文字表記だと一般名詞扱いになるので、「自然史”の”博物館」という感じになるでしょうか。
「自然史に関する・自然史を扱う博物館のうちの一つ」という感覚ですね。

ロスの勤務先の話 フレンズ3-2その3 で、
ロスの勤務先は、
(the) Museum of Prehistoric History 「先史博物館」か?
(the) Museum of Natural History 「自然史博物館」か?
という話を延々書いて、そこで今回の フレンズ4-11 のセリフについても以下のように考察しています。

(a がついて小文字になっているという)この表現だと、「自然史博物館」という固有名詞ではなく、「自然史を扱う、とある博物館」という感じになり、その次に出てくる unnatural という単語と対比させるために、つまり、「不自然なことがあるけど、ここは自然史の博物館なんだよ。」と、unnatural であることがそぐわないことを言いたいがために、この名称を出してきただけだ、とも考えられます。

今回改めてロスのセリフを見直してみましたが、やはり私の結論はそれと同じです。
ロスの勤務先の名前が「自然史博物館」なのではなくて、「自然史を扱う博物館なのに、何か不自然なことが起こってる」と言いたいセリフなのだろうと。

the Museum of Natural History という大文字表記だと、the 「その、ご存知の」と付けば当然「アメリカの」ということになりますね。
フレンズ3-2その3 でも書きましたが、American Museum of Natural History とは「アメリカ自然史博物館」のことで、ベン・スティラー主演の映画「ナイト ミュージアム」(原題:Night at the Museum)の舞台になった有名な博物館ですね。
Wikipedia 日本語版: アメリカ自然史博物館

私はアメリカに行ったことがないので、当然、自然史博物館を見学したこともないのですが、今回のエピソードで映る博物館の様子を見ると、その有名な自然史博物館に比べるとスケールがずーっと小さい感じがあります。
また、そんな有名な博物館のツアーガイドとして、恐竜のことを全く知らないジョーイが雇われた、という設定も、いくらコメディーであったとしてもちょっと考えにくいですね。

セリフを音として聞いた場合は、大文字が小文字かはわかりませんので、判断の基準は a か the かの違いだけですが、その a と the の違いで、あの有名な「アメリカ自然史博物館」を指しているのか、単にいくつかある「自然史の博物館」の中の一つということを述べているに過ぎないのか、という違いが出てくる、ということです。

実際、10シーズンあるフレンズのエピソードの中で設定の混乱みたいなものも見られるので断言はできませんが、ロスが a と発音していて、DVD字幕も a museum of natural history と書いてあることから、今回の設定では、ロスが勤務しているのは「アメリカ自然史博物館」ではなく、「自然史を扱う博物館の一つ」(恐らく正式名称は、(the) Museum of Prehistoric History 「先史博物館」)であると言えるのではないかと思います。


(Rach からのお詫び)
これまで、1つのエピソードにつき「その7」まで、つまり記事を7つ書いてきたのですが、今回は「その6」までとなってしまいました。
私からのお願いとして、今回以降、「その6」までの6つの記事で1エピソードを終える、というふうに方針変更させていただきたいと思います。
自分なりに投稿ペースを考えた上での勝手な変更になりますが、どうかご了承下さいませ。


(Rach からのお願い)
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posted by Rach at 08:52| Comment(4) | フレンズ シーズン4 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
こんにちは。いつも感心しながら読ませていただいています^^
着ているもの、身につけてるものの前置詞なんですが、Rossの言ったセリフの、"people with white coats and people in blue blazers"ですが、withとinっていうのは、何か意味的なニュアンスの違いってあるんでしょうか??
わけわからないですね…
つまり、"in white coats"でも、"with blue blazers"でもいいんかなぁ??と、少し気になってしまって。やはり、英語的リズムなんですかね、そういうのは??たとえ、inとwithでも…
結構単純なことなのでしょうか??
前置詞って、なかなか難しいので、読んでいるうちにふと思ったので、コメント書かせていただきました。
なんだかややこしいこと、すみません:(
これからも、いろいろな解説、楽しみにしています^^
Posted by Madeline at 2009年11月22日 17:18
Madelineさんへ
コメントありがとうございます。
おっしゃるように、with と in という別の前置詞を使っているところ、気になりますね。

私もはっきりとはわからないのですが、普通は「…を着た」という着用を表す場合は、in を使うことが多いでしょうか。白衣(white coats)のように丈が長く、体をすっぽり包んでいるものの場合は、余計に in がふさわしいような気がするのに、このセリフでは、with が使われているんですね。

色も white と blue で対比されているので、両方とも in の方が対比としてはきれいな形になるように思うのですが、あまりに単調すぎるので前置詞を変えているのでしょうか?
日本語で言うと、「白衣を身につけている人と、青いブレザーを着ている人」のようにちょっと表現を変えているような感じなのでしょうかねぇ? おっしゃるようにリズムも関係しているのかもしれません。

ここでは、with も in も「(服を)身につけている、着ている」という意味なので、前置詞を入れ替えることも可能なのでしょうね。このセリフを見る限り、前置詞としては with, in どちらも使えることがわかった、といえるのかもしれません。

なんだかはっきりしないお返事ですみません。今後も同じようなフレーズが登場した時に、どちらが使われるのかに注目してみることにしますね。興味深いコメント、ありがとうございました。
Posted by Rach at 2009年11月24日 06:43
ご丁寧にお返事ありがとうございます。
そうですね、日本語で言うときも、同じ感じでも言い方が違うっていうときありますもんね。
英語ってリズムがってところもあるし、Rachさんの説明で、すっきりしました^^ありがとうございます!!

やっぱり、FRIENDSはおもしろいですよね。
また見たくなりました…って学業優先ですが(笑
でも、このブログさまは勉強になるので、チェックさせていただいてます:D
こちらで得た知識とともに、またDVD見ようとます♪
Posted by Madeline at 2009年11月24日 20:07
Madelineさんへ
こちらこそ、お返事ありがとうございます。

日本語で言う時も、わざとちょっと言い回しを変えてバリエーションをつけてみる、みたいなことがありますので、それと似た感じなのかなぁ、と。あくまで私の想像に過ぎませんが。

フレンズを面白いと言っていただけると、こういうブログを書いている者としてとても嬉しいです。学業を優先されるのはもちろんですが、合間にDVDを見て、楽しみつつ英語を学んでいって下さい♪
Posted by Rach at 2009年11月26日 12:43
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