シーズン4 第12話
The One with the Embryos (チャンドラーの仕事は何?)
原題は「胚の話」
[Scene: Monica and Rachel's, it's later that morning, everybody has gotten up and Ross and Phoebe has joined them for breakfast. Rachel is returning from shopping.]
モニカとレイチェルの部屋。その前の朝のシーンの後、みんなはすでに起きていて、ロスとフィービーは朝食を彼らと一緒に食べている。レイチェルは買い物から帰ってきたところ。
フィービー: Hey! (はーい。)
ロス: Hey, what are you doing shopping at eight in the morning? (はーい。朝の8時に買い物したりして何やってんの?)
レイチェル: Well, I've been up since six, thanks to somebody's dumb-ass rooster. (そうねぇ、私は6時からずっと起きてるのよ。誰かさんのバカな雄鶏(おんどり)のお陰でね。)
フィービー: You guys, you really should get rid of those animals. They shouldn't be living in an apartment. (ねぇ、あなたたちは本当にその動物たちを自由にすべきよ。彼らはアパートメントで暮らすべきじゃないわ。)
レイチェル: Yeah! Especially not with all of these knives and cookbooks around. (そうよ! 特に、まわりに包丁[ナイフ]とか料理本とかがある状態では暮らすべきじゃないわ。)
レイチェルは朝早く買い物して帰ってきた様子。
what are you doing shopping at eight in the morning? という文では、What are you doing ...ing? 「…したりして何やってんの?、なぜ…してるの?」という構文が使われています。
その構文については、フレンズ3-12その8 でも解説しています。
「朝の8時から買い物したりするなんて、一体君は何をやってるんだ? どうして朝の8時に買い物なんかしてるんだ?」という「驚き」「なぜ?」のニュアンスですね。
レイチェルは、I've been up since six という現在完了形の継続を使って、朝の6時からずっと起きていると言っています。
thanks to は「…のおかげで」ですが、この場合は皮肉っぽい使い方ですね。
日本語でも「誰かさんの…のおかげで、えらい目にあっちゃったわ」みたいな言い方をすることがありますが、英語でもこのように thanks to somebody's... と同じような言い回しをするのが興味深いです。
dumb は「ばかな」ですが、今回は卑語の ass までついて、dumb-ass 「大ばかの」とまで言っています。
オープニング前のシーンでは、朝暗いうちから「コケコッコー!」というニワトリの鳴き声がうるさくて、モニカとレイチェルがチャンドラーとジョーイの部屋を怒って訪ねるというシーンがありました。
そのバカなニワトリの鳴き声のせいで目が覚めちゃって寝られないから、買い物に行ってきたのよ、ということですね。
dumb-ass は下品な卑語なので英語学習者の我々は使わないように気をつけるべきですが、ここでは、朝早く起こされて非常に腹が立っているので、rooster にこういう形容詞をつけているということです。
ちなみに、最初は黄色だったヒヨコが、白くてフワフワになり、今ではすっかりニワトリになってしまった、という展開なわけですが、あのヒヨコはメスだったのでは?(笑)
フレンズ3-21その6 でも触れましたが、chick には「ヒヨコ」という意味と、「若い女性」という意味があるために、チャンドラーは常にそのヒヨコに対して、女の子に対するような態度で接して言葉をかけていました。
そのエピソードでも、ヒヨコを her と表現していますし、ベイ・ウォッチのヤスミン・ブリースにちなんで、リトル・ヤスミンとも呼んでいました。
ですから、少なくともチャンドラーとジョーイはヒヨコをメスだと思っていたはずです。
それなのに「本当はオスだった!」というオチなのか、もしくは「オンドリになって朝鳴くようになって、みんなが迷惑をこうむる」という展開にするために強引にオスという設定に変えたのか、のどちらかでしょうね。
(2009.11.19 追記)
上であれこれ考察していますが、「ジョーイとチャンドラーはあのヒヨコをメスだと思っていたのに、本当はオスだった!」というオチのようです。
この記事を書いた時は見逃していたのですが、今回のエピソードの冒頭シーンで、以下のセリフがありました。
「コケコッコー!」っていうあの声は何?と激怒するレイチェルに、
ジョーイ: It's the chick. She's... going through some changes. (ヒヨコだよ。彼女は…変化を経験しているところなんだ。)
モニカ: What kind of changes? (どういう変化なの?)
チャンドラー: Well, the vet seems to think that she's becoming a rooster. (The rooster crows.) We're getting a second opinion. (そうだな。獣医は、彼女がオンドリになりつつあると考えているみたいだな。[そのオンドリが鳴く] 俺たちはセカンド・オピニオン(別の獣医の意見)をもらうつもりだよ。)
このやり取りで、ジョーイとチャンドラーははっきり she と言っています。
「どうやら彼女はオンドリへ変化中みたいなんだ」と説明しているわけですが、she であるメスが rooster というオンドリになるわけがないので、二人が she だと信じていたヒヨコは、実はオスであったことが、二人のセリフでわかるわけです。
成鳥になって、見た目もオンドリのようなトサカがついているのでしょうが、それは画面では見せていません。
コケコッコー!とオンドリの鳴き声を何度も聞かせて、「例のヒヨコの彼女がオンドリになったみたいでね。何かの間違いかもしれないから、別の医者にも意見を聞くつもり」というセリフで、ジョーイとチャンドラーがメスだと勘違いしていただけだ、ということがわかるのですね。
メスがオスに変化したのではなくて、元々オスだったものがオンドリになっただけですから、セカンド・オピニオンを求めても同じだってば!ということです。
chick には「若い女の子」という意味もあることから、「リトル・ヤスミン」と名づけたりして、メスのように可愛がっていたのに、大人になったらオンドリになってしまった!、実はオスだった!ということで笑えるわけですね。
(追記はここまで)
フィービーは動物たち、つまりニワトリやアヒルを get rid of すべきだと言っています。
get rid of は「取り除く、追い払う、処分する」という意味ですが、ここで「処分する」と言ってしまうと、「殺してしまう」という風にも聞こえますね。
フィービーは動物愛護の精神の持ち主ですから、もちろん殺せと言っているのではなく、動物をアパートのような密閉された部屋で飼うべきではない、というニュアンスで言っているはずですから、「あなたたちが飼うのをやめて手放す、解放する」みたいなニュアンスでしょう。
アパートで飼うべきじゃない、というフィービーに、続けてレイチェルも一言言っていますが、そのセリフは非常に辛辣ですね。
not は、they shouldn't be living in an apartment を省略した形です。
「そうそう!」とフィービーの意見に賛成し、Especially not with... を使って、「特に…という状況では暮らすべきじゃないわ」と言葉を付け足しています。
その状況とは、「包丁や料理本がすぐそばにあるという状況」。
アパートの部屋には、包丁や料理本があるんだから、そんなところで飼ってると、包丁でさばかれて、料理にされちゃうわよ、ということです。
それはつまり、いつまでも部屋の中で飼って、今朝みたいにまた私に迷惑をかけるなら、私は怒ってあのニワトリたちを料理して食べちゃうわよ!という脅しですね。
(Rach からのお願い)
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他の獣医に見せると言ってたのにそんな深い意味が
あったとは!! ここでの笑いはなぜか分かりませんでした。汗
Rachさんさすがです!! うあ〜〜〜〜もっと英語理解できるように
なりたいです。汗 根性なしです。すいませんです。汗
でもがんばります。w
フィービーがたしかにget rid ofと言った時、僕もアルクのオンライン
辞典で調べてしまいました。彼女がまさか殺すみたいな事は言わないだ
ろうと思いましたが、そのとおりでしたね。w
フレンズで勉強してますが、僕は研究とかはさすがにやってない
ので、まだフレンズへの愛が足りないです。w
いや、大好きなんですけどね。 最近勉強、娯楽、両方の目的でまた
シーズン4見てます。あれほど勉強になるドラマないですね。
心も和むし。 英語早くできるようになりたいです。
Rachさんのすばらしい解説にいつも頭下がります。
いつか僕も英語研究みたいな感じをできるくらいの気持ちを持ちたい
です。たまに根性なしになる自分にguiltyを感じます。←なんでそこだ
け英語。汗
また解説を楽しみにしてます。
コメントありがとうございます。
冒頭シーンで、ヒヨコのことを she と言っていたのに、私も最初はそれに気づかず流してしまっていたようです。
「メスだったはずなのに、rooster(オンドリ)だなんておかしいよねー!」と思った後で、冒頭のチャンドラーとジョーイのセリフの中で、その矛盾がすでに示されていたことに後から気づいたということです。
get rid of は「処分する」と訳すとだいたいうまくいくことが多いのですが、フィービーが「ペットを処分する」というのは違和感がありますよね。
そのことを考えて、あえて「処分」という言葉は使わないようにしました。
おっしゃるように、フレンズは英語を学べると同時に、見ていると心が和みますよね。
新しいエピソードに入る時に、セリフをチェックしながら一通り見るのですが、昔一度見たはずのシーンでも、また大笑いしてしまうこともしばしば。脚本がうまく出来ているなぁ、と感心します。研究しがいがあるというものです。
いつも解説をお褒めいただきありがとうございます。お互い、フレンズで楽しく英語を学んで行きましょう。