ジョーイとチャンドラーが、モニカとレイチェルのことを何でも知っているかのように言うので、それじゃあどっちが相手のことをよく知ってるか、クイズで決めましょう!ということになります。
ロスがクイズ番組のように、ジャンルに分けたクイズ用ボードを作り上げ、とうとうそのクイズが始まります。
ロス: Gentlemen, pick your category. (男性陣、カテゴリーを選んで。)
チャンドラー: "Fears And Pet Peeves." (怖い物と大嫌いなもの。)
ロス: "What is Monica's biggest pet peeve?" (「モニカが一番大嫌いなものは何?」)
ジョーイ: Animals dressed as humans. (人間のように服を着た動物。)
ロス: That's correct. Ladies? (正解。女性陣は?)
モニカ: Same category. (同じカテゴリーを。)
ロス: "According to Chandler, what phenomenon scares the bejesus out of him?" (「チャンドラーによると、彼を非常に怖がらせる現象は何?」)
モニカ: Michael Flatley, Lord of the Dance! (マイケル・フラットリー、ロード・オブ・ザ・ダンスの!)
ロス: That is correct. (正解。)
ジョーイ: (to Chandler) The Irish jig guy? ([チャンドラーに] 例のアイリッシュのジグ[ダンス]男か?)
チャンドラー: His legs flail about as if independent from his body! (彼の脚は、まるで彼の体から独立しているかのように、バタバタ動くんだぞ!)
pet peeve は「イライラさせる不満、一番嫌なこと」。
peevish 「怒りっぽい、いらいらした」という形容詞があり、そこから、peeve という単語ができたようです。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
peeve: [noun] [countable] (informal) something that annoys you
例) One of my pet peeves (= things that annoys me most) is pointless meetings that go on forever.
つまり、「人をいらいらさせるもの」。
例文は、「私を最もいらいらさせるものの一つは、永遠に続くポイントのない会議だ。」
peeve の前についている pet の意味について、研究社 新英和中辞典の以下の意味が当てはまるでしょうか。
pet (形容詞)=得意の、おはこの
a pet subject 得意の題目、おはこ
It's his pet theory. それは彼の持論だ。
LAAD にも、
a pet project/theory/subject etc. : a plan, idea, or subject that you particularly like or are interested in
という語義が載っています。
ちなみに、研究社 新英和中辞典には、上に挙げた「得意の、おはこの」の pet とは別の項目で、
pet (名詞)=(子供っぽい)不機嫌、すねること
be in a pet about... …のことですねる
という語義も載っていました。
それだと、「不満、嫌なこと」という peeve と似た意味の言葉を重ねた、という可能性もあるのですが、LAAD で、pet peeves = things that annoys me most と最上級を使って説明されていたことから、やはり「おはこの」という意味が近いのだろうと思います。
「おはこの」というと、好きなもののベストみたいなニュアンスですが、peeve というネガティブな単語と結びつくことで、「最高に嫌なもの」という意味を表しているのだろうと。
bejesus という言葉は、他の辞書にあまり載っていないのですが、英辞郎には載っていました。
英辞郎によると、
bejesus out of=大いに、非常に
「ビジーザス」のように発音していますが、これは恐らく、Jesus (ジーザス、イエス・キリスト)から来た言葉でしょうね。
驚きや怒りの表現として、Jesus! と言うことがありますが、その流れから来た強意表現なのでしょう。
チャンドラーを最もビビらせるもの、それは、マイケル・フラットリーだそうです。
彼は脚の動きがすごいダンサーであることが、その後のやり取りからもわかります。
flail は元々、麦などの穀物を打つための「からざお」という道具を指すようです。
そこから、「腕を振り回す、脚をバタバタする」という動詞になったようですね。
jig は「ジグ、テンポの速いダンス」。
さて、そのマイケル・フラットリーですが、彼は有名なアイリッシュ・ダンスのダンサーです。
そのアイリッシュ・ダンス、日本では「リバーダンス(Riverdance)」が有名でしょうか。
Wikipedia 日本語版: リバーダンス
上のウィキペディアにも、「アイリッシュ・ダンスの中でも特に体幹や腕を使わずに足の動きだけで踊るアイリッシュ・ステップダンスと呼ばれる舞踊を元にしている。」とあります。
この「足の動きだけ」のダンスがあまりにすごくて、体から足(脚)が独立しているみたいで怖いよー!とチャンドラーは言っているのですね(笑)。
そのウィキペディアの「歴史」の項目にも書いてありますが、マイケル・フラットレーはリバーダンスのリードダンサーだったのですが、1995年にリバーダンスを離脱したそうです。
その後、Lord of the Dance という舞台をやっているようですね。
彼についての詳しい情報は、英語版ウィキペディアで。
Wikipedia 英語版: Michael Flatley
In pop culture では、フレンズを始め、彼に言及したドラマや映画の名前が書いてありますね。
それくらい有名なダンサーだ、ということです。
彼の公式サイトなどでは彼のダンスの動きを見ることはできませんが、動画サイトなどでは探すことができるようです。
リンクははりませんが、興味のある方は探してみて下さい。
(Rach からのお願い)
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コメントありがとうございます。
確かにそういう話を嬉しそうに語ってしまうと、そういう話が好きな人だと思われてしまいますね。私も気をつけなければ(笑)。
覚えた言葉をすぐ使う、というのは語学を学ぶ上で大切なことですよね。私も心がけたいと思います。
こちらこそよろしくお願いします。
http://en.wikipedia.org/wiki/Pet_peeve
これによると周りの人には特に気にならないことでも馴染みがあるか身近な人の行動や態度などをひどく嫌うことに使われるようです。
この記事のExternal linksのWord Detective origins of Pet Peeve
http://www.word-detective.com/060704.html
を見てみるとA goat to be gottenという項目にこの言葉の語源が説明されていてpet付きが定番になったのはしゃれて韻を踏んでいるのと(お気に入りのいらだたしさというちょっとした矛盾語法を使って)和らげた強情さの表現であるために流行して今まで言葉が生き残ったのだと説明しています。
コメントありがとうございます。
英語版Wikipedia に、Pet peeve という項目が存在するのですね。おっしゃるように、「周りの人には特に気にならないことでも」ある人にとってはものすごく気になり嫌だと感じてしまう、という部分がポイントのようですね。
また、The Word Detective に書かれている説明も大変興味深いです。
「ペット・ピーヴ」のように、Pe-, Pee- の音が、威勢の良い頭韻になっているのと、意味的には、favorite annoyance、つまり、意味的に少々矛盾していて、ちょっとひねくれた表現であったことが、この言葉が長年使われ生き残ってきた理由、ということなんですね。
この表現の面白さがよくわかる説明だと思いました。
貴重な情報ありがとうございました。