2009年12月04日

浮気を非難し演技もけなす フレンズ4-13その3

チャンドラーの恋人キャシーは舞台女優で、連夜、相手の男優とエッチな芝居をしています。それを見たチャンドラーは、キャシーが相手の男性と浮気しているんじゃないかと心配でなりません。
ジョーイから「舞台裏でもエッチしているカップルは、舞台では燃えない、情熱(heat)が感じられないものだ」という話を聞いた後、再び芝居を見に来たチャンドラーとロス。
その芝居を見たチャンドラーは「以前はあった情熱が、今回の舞台では消えていた。二人はエッチしてるに違いない」とロスに言い張ります。
そして、舞台が終わって挨拶に来たキャシーに、
チャンドラー: Oh, I loved the play. You were great. And Nick, ditto. Clearly, you're having sex with him. (あぁ、今の芝居、良かったよ。君は素敵だった。そして、ニックも同じく[同上、右に同じ]。明らかに、君は彼とエッチしてるね。)
ロス: Okay.... (Walks away.) (よーし… [立ち去る])
キャシー: Clearly, I'm having sex with him? (明らかに、私が彼とエッチしてる、ですって?)
チャンドラー: Oh, come on, it was so obvious. There was no chemistry between you two! (そうだよ、とぼけないでくれ、ものすごくはっきりしていたよ。君ら二人の間には、恋人同士のような相性[恋人らしい雰囲気]がなかった!)
キャシー: Okay, so let me just get this straight. You're accusing me of cheating on you, and insulting my performance? (いいわ。それじゃあ、ちょっとこのことを整理させて。あなたは私があなたを裏切って浮気してることを非難していて、なおかつ、私の演技も侮辱してるわけ?)
チャンドラー: Y'know, I-I can see how this could happen, y'know you're up there every night, you're naked, touching, kissing. (ほら、俺には、こういうこと(共演者との浮気)がどうやって起こるのかわかるんだよ、ほら、君は毎晩舞台の上にいて、君は裸で、お触りしたり、キスしたりして。)
キャシー: Acting. Chandler, this is my job. I'm-I'm playing a part in a play. How can you not trust me? (演技してるのよ、チャンドラー、これは私の仕事なの。私は芝居の中で一つの役柄を演じているのよ。どうして私を信じることができないの?)
チャンドラー: Well, you can understand, given how we started. (あぁ、君もわかるはずだ、俺たちがどう始まったかを考えたら。)
キャシー: Oh, wow. I can't believe you're throwing that in my face. (まあ。あなたがそんなことを私に向かって言うなんて信じられない。)
チャンドラー: Well, that is what happened, and I don't even see you denying this. (そうだな、それが(実際に)起こったことだろ[実際、そうだったろ]。それに、君がこの浮気を否定するのを俺は見てさえいない。)
キャシー: I'll tell you what, Chandler, why don’t you call me when you grow up. (よく聞いて、チャンドラー。あなたが大人になってから電話してきたらどう?)
チャンドラー: Yeah, well, don't expect that to happen any time soon! (あぁ、そうだな、俺が大人になることが今すぐにでも起こるように期待する[思う]なよ!)

チャンドラーは、キャシーに芝居を見た感想を述べますが、「今の芝居を見る限り、君らは明らかにエッチしてるよね、(芝居の上だけじゃなくて)実際にも寝てるよね」と言ってしまいます。
言ってはいけない一言を言ってしまったのを聞いて、ロスは何か言おうとしますが、Okay... と言った後、くるっと向きを変えて、無言のまま立ち去るのが面白いですね。
何かフォローになることを言おうかと思ったけど、やっぱりとても僕の手に負えない、という感じです。
ジョーイに言われたことが念頭にあるチャンドラーは、「舞台の上では、二人には恋人らしい情熱や雰囲気がなかった」と言います。

それを聞いたキャシーは、「ちょっと今の発言を整理させて」と言っていますね。
Let me get this straight. 「このことを整理させて」というのは、よく使われる表現です。
フレンズ2-7その8 にも出てきました。
混乱してごちゃごちゃしているものを、まっすぐ(straight)にさせて、みたいな感覚でしょう。

キャシーはジョーイのアドバイス「舞台の上で恋人らしい情熱が感じられなければ、それは、裏で実際にエッチしてるってことだ」という話を知りませんので、チャンドラーの言っている意味が飲み込めません。
「舞台では恋人っぽくなかった」みたいに言われたので、「彼と寝たと疑っている上に、芝居では恋人同士のように見えなかった、つまり私たちの芝居が下手だった、と言いたいわけ?」と聞き返しているのですね。

チャンドラーは、毎晩裸で touch したり、kiss したりしてれば、そりゃそんな気持ちにもなるよねぇ、みたいなことを言っています。
touching, kissing は分詞構文の感覚でしょう。
キャシーは、「あなたは touching, kissing と言うけれど、それは acting よ、私は演技しているだけなのよ」と言っています。
女優として、芝居の中で役を演じているだけなのに、どうして信じてくれないの? どうしてすぐに浮気だって決め付けるの?と訴えています。

それに対するチャンドラーの返事、これが決定的になってしまいます。
You can understand, given how we started. の given は、接続詞的に用いられて、「(given 以下)を仮定すれば、(given 以下)を考えると」という意味になります。
「俺たちの関係がどう始まったかを考えると、君にも理解できるはずだ」という感じですね。
それはつまり、元々はジョーイの恋人だったキャシーが、その親友のチャンドラーとくっついてしまったことを指しています。
ジョーイという恋人がいながら、その親友の俺とキスしてしまったのが始まりだっただろ? だから今、俺という恋人がいても、その恋人を裏切らないっていう保証はどこにもないんだ、とチャンドラーは言いたいのです。

throw that in my face を直訳すると「そんな言葉を私の顔に投げつける」みたいな感じでしょう。
面と向かってそんなことを私に言う、というニュアンスです。
チャンドラーとキャシーは、お互いが好きだという気持ちを抑えられなくなって、結果的にジョーイを裏切ることになってしまったわけですね。
恋人や親友を裏切ったという自己嫌悪や苦しさは二人ともよくわかっているはずですし、大事な人を裏切ったのはチャンドラーも同じです。
それなのに、「ほら、俺との関係も君の浮気から始まったんだし」みたいに、キャシーが浮気性、尻軽女であるかのように言ったチャンドラーに、キャシーが「事情をよく知っているはずのあなたが私にそんなことを言うなんて信じられない」というのは当然のことですね。

チャンドラーは、「君はそうやって俺の意見に抗議するけど、「彼とは寝てない」ってはっきり否定しないじゃないか」と言います。
「寝てない」と言ったところで、はいそうですか、と信じることはないかもしれないけど、少なくともそれを否定する言葉は君の口から聞いてない、ということです。

勝手な言い分をぶつけられて、キャシーはすっかり激怒してしまいます。
「私は本当に寝てないの、わかって」などと言うこともなく、「そんな子供じみただだをこねるのなら、もう行くわ。あなたがもっと大人になって冷静な言動ができるようになったら、電話してきたらどうかしら?」と言って、その場を立ち去ります。

去っていくキャシーの後姿に、「俺がすぐ大人になるなんて思うなよ」みたいな捨て台詞をぶつけています。
いつも「子供っぽい、幼稚である、大人になりきれていない」と言われるチャンドラーは、ここでも自虐的に「大人になったら電話して、だなんて、この俺がそんなにすぐに物分かりのいい大人になれると思ってるのか! 俺は永遠のお子チャマなんだぞ!」みたいに言っているのですね。


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posted by Rach at 10:40| Comment(2) | フレンズ シーズン4 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
Rachさんこんにちは(^^)

チャンドラーとキャシーもいいカップルだったので悲しいです。
でもチャンドラーの性格上、仕事としてでも彼女がベッドシーンを演じるのは受け入れられなさそうだし、納得の展開ですかね。
チャンドラーが成長するのはまた後でのお楽しみですね。

ジョーイが「俺が演じてた舞台で相手役とのケミストリーを感じたか?」と聞いて
みんなが「No!」と言って「ほらな見てみろ、彼女達と舞台の外で寝てるからだよ!」みたいな顔してる所は面白かったですね(笑)
Posted by Hiro at 2014年03月31日 21:02
Hiroさんへ
こんにちは。コメントありがとうございます。

私も、チャンドラーとキャシーは、感性が似ているし、お似合いのカップルだな、と思っていたんですよ、、 上のやりとりは見ていて悲しくなってしまいますが、キャシーの言い分もよくわかるし、やりきれないチャンドラーの気持ちも痛いほどよくわかります。基本的にはコメディーのフレンズではありますが、こんな風に本音をぶつけるシーンのセリフはやはり、胸にぐっとくるものがありますね。

ジョーイのセリフも面白かったですね。そのジョーイに対する No! というみんなの反応がまさに「演技をけなす」ということだったのに、それに気づかずに得意気な顔をしているのが、とってもジョーイらしいです(^^)
Posted by Rach at 2014年04月02日 15:00
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