フレンズ1-8その5 のコメント欄 で、
"Mardi gras without the papier-mache heads" のような状態とはどのような状態なのでしょうか?
というご質問をいただきました。
興味深いご質問だったので、今回、私なりの考えを、記事の形で投稿します。
お返事が大変遅くなってしまって、誠に申し訳ありません。
その部分のやり取りは以下のようになっていました。
チャンドラーの会社の休憩室で、チャンドラーは同僚のローウェルに会います。
ローウェルは、同僚のシェリーがチャンドラーのデート相手にセッティングしようとしていた男性ですので、つまりローウェルはゲイなわけです。
そのローウェルと言葉を交わすチャンドラー。
チャンドラー: So how's it going there in Financial Services? (それで、財務担当はどんな感じ?)
ローウェル: It's like Mardi gras without the papier-mache heads. (張り子の頭がないマルディグラみたいな感じだね。)
まず、Mardi gras (マルディグラ)について。
マルディグラは「懺悔火曜日」などと呼ばれるもので、ニューオーリンズなどではパレードが行われます。
papier-mache は「張り子の」という意味なので、papier-mache heads は「張り子でできた頭」ということですね。
マルディグラについて、詳しくは、以下のウィキペディアで。
Wikipedia 日本語版: マルディグラ
Wikipedia 英語版: Mardi Gras
「張り子」については以下を。
Wikipedia 日本語版: 張り子
Wikipedia 英語版: Papier-mâché
上の「Wikipedia 日本語版: マルディグラ」に、「フロートを制作中(ニューオリンズにて)」というタイトルの画像があり、アトリエのようなところで、大きな女の子の頭を製作中である様子が映っています。
また、「Wikipedia 英語版: Mardi Gras」では、「Mardi Gras Papier-mâché masks, Jacmel, Haiti.」というタイトルの画像があり、ハイチ共和国のマルディグラで使われるオンドリの頭のようなものが並んでいます。
これは「張り子のマスク」とありますので、人間がかぶるのでしょう。
「Wikipedia 英語版: Papier-mâché」にも、ハイチのオンドリのマスクが載っていますし、また、Carnival floats の右にある画像では、張り子の製作過程と、実際にそれを人がかぶっているらしき画像も載っていますね。
「日本語版マルディグラ」の「女の子の頭」は人間がかぶるにはデカすぎるように思ったのですが、どうやらこれも「かぶりもの」のようですねぇ?
ですから、「張り子の頭」とは、2つの写真にあるようなもの(人間がかぶる巨大な頭やマスク)を指しているということになるのでしょうね。
以上の情報から、「張り子の頭のないマルディグラ」というのは、そういう張り子の頭はないけれど、パレード・お祭りのマルディグラぐらい大騒ぎだよ、という意味がまず考えられるだろうと思います。
「マルディグラみたいな感じだよ。とは言ってもさすがに張り子の頭はないけどね」という感じでしょうか。
ですが、マルディグラについて調べているうちに、話はそこで終わりではなく、ローウェルの言葉にはまた別の意味があるのではないかと思えてきました。
英辞郎で Mardi Gras を調べると、以下の説明が載っていました。
Mardi Gras
【1】告解火曜日、ざんげの火曜日
【2】〈豪〉ゲイ祭り◆2月
謝肉祭、カーニバル、ざんげ火曜日◆受難節の前日、フランス語で Fat Tuesday の意味
【2】に注目してみましょう。「ゲイ祭り」と書いてありますね。
上で紹介した Wikipedia 英語版: Mardi Gras のページには、「あいまいさ回避」のページへのリンク、
Mardi Gras (disambiguation) が載っています。
そのページでは、Mardi Gras と名の付くものがいくつか載っていて、以下のように書かれています。
Mardi Gras is the Carnival festival held the day before Ash Wednesday
Mardi Gras may also refer to:
Mardi Gras Indians
New Orleans Mardi Gras, Carnival festival held in New Orleans, Louisiana
Mardi Gras in Mobile, the Carnival festival held in Mobile, Alabama
Sydney Gay and Lesbian Mardi Gras, gay pride parade held in Sydney, Australia
... (以下略)
may also refer to の4番目に、
Sydney Gay and Lesbian Mardi Gras, gay pride parade held in Sydney, Australia
がありますね。これが英辞郎の説明にあった「〈豪〉ゲイ祭り」のようです。
ウィキペディアでは以下のページになります。
Wikipedia 英語版: Sydney Gay and Lesbian Mardi Gras
そして、以下の All About でガイドさんが書かれている記事が、このシドニーのマルディグラを大変わかりやすく説明して下さっています。
All About > 海外旅行 > オーストラリア > 世界最大のゲイ&レズビアンの祭典 禁断のマルディグラ
上の All About の記事の中の写真には、張り子の頭は映っていませんね。
また、上で紹介した Wikipedia 英語版: Sydney Gay and Lesbian Mardi Gras を見てみると、フロート(floats)は出るようですが、Papier-mâché という言葉が見当たらないので、もしかしたら、シドニーでは「張り子の頭」は使われないのかもしれません(確信はないですが)。
ここからは私の想像に過ぎませんが、シドニーのマルディグラは「ゲイの祭典」、つまり「自分がゲイである」ことを高らかに宣言し、歌い踊るお祭り、みたいなイメージですよね。
「これが私なのよ!」という感じで自分をアピールする場所なので、他の地域のマルディグラと違って、張り子の頭はかぶらない(顔は隠さない)という可能性もあるのかな?と思ったりもします。
こういうことは、実際にシドニーのマルディグラをご覧になったことのある方に聞いた方が早いので、「張り子の頭がある、ない」などの情報をご存知の方は、お知らせいただけると嬉しいです。
あくまで仮説ですが、「もし、シドニーのマルディグラでは、他の地域のマルディグラとは違って、張り子の頭をかぶらない」ということであれば、
Mardi gras without the papier-mache heads = Sydney Gay and Lesbian Mardi Gras という式が成り立ちますね。
ローウェルは、「張り子のないマルディグラ」と表現することで、「うちの部署はゲイのお祭りみたいな感じだよ」と言っているのかもしれないと思いました。
それだと、「マルディグラみたいだけど、張り子の頭はないけどね」ではなくて、「”張り子のないマルディグラ”(すなわち、シドニーのマルディグラ)みたいだけどね」という感じになるでしょうか。
ローウェルが登場した時点で、それまでの話の流れから彼がゲイであることは明らかになっています。
その彼がそういうセリフを言うことで、「うちの部署は僕も含めて、ゲイが大勢いて、みんな楽しく盛り上がってるよ」ということを言っているセリフなのかな、と思いました。
また、もしシドニーのマルディグラでも張り子の頭が使われているとしても、ローウェルが他の祭りではなくあえてマルディグラの名前を出したのは、やはり「アメリカ・ニューオーリンズのマルディグラ」のことではなく、「シドニーのゲイ・アンド・レズビアン・マルディグラ」のことが頭にあったのだろうと思います。
ゲイであるローウェルにとっては、マルディグラと言えばシドニーの方を想像するのが自然かなぁ、と。
このエピソードは、やたらとゲイにまつわる話が登場する回でしたが、こういうちょっとしたセリフにも、ゲイ繋がりの言葉が出てくる、という面白さなのだろうと思いました。
大変長くなってしまいましたが、ゲイがらみの話だとすると、なかなか奥深いセリフだなぁ、と思ったので、いろいろ調べてみました。
最後まで読んで下さった方、ありがとうございました。
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2009年12月10日
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