予定が変わったのに連絡がなかったことを怒っているイギリス人のエミリー。
レイチェル: Oh well, no, I.... (あぁ、あの、違う、私は…)
エミリー: Oh, no-no-no, that's not rude. It's perfectly in keeping with the trip where I've already been run down by one of your wiener carts, and been strip-searched at John F. Kennedy Airport. Apparently to you people, I look like someone who's got a balloon full of cocaine stuffed up their bum. (あら、違う違う違うわ。そんなの失礼じゃないわよ。こういう旅行を上手くこなすのが流行なのよね。あなたがたアメリカの車にひかれそうになったり、ジョン・F・ケネディ空港で、裸にされてボティチェックされたり。どうやら、あなたがたアメリカ人には、私はコカインがいっぱい詰まった風船をお尻に詰めているような人間に見えるらしいわね。)
モニカ: I-I-I think you look great. (私は、私は、あなたは素敵に見えるわよ。)
相手(レイチェル)の態度が失礼だと思っているのは明らかなのに、あなたがやったことは別に無礼な、失礼な(rude な)ことじゃない、と言っています。
その後、いろいろと自分の体験を語っていますが、ここアメリカに来て、他にもいろいろ無礼なこと続きだったから、ここではこういうのが普通で、あなたのしたことだけが特別 rude なわけじゃないのよ、という感じの皮肉です。
It's perfectly in keeping with the trip where... の部分がよくわからないのですが、in を前置詞だとすると、perfectly 「完全に」という副詞がかかるべき言葉がありませんよね。
「完全に…である」の「…」に当たる部分がない、ということです。
これは、その前の文に出てきた、rude 「失礼な、無礼な」という形容詞が省略されている、と考えるべきでしょうか?
でもそういう場合は、It's perfectly so in keeping... のように、前に出てきた形容詞 rude の代わりに、so が入るような気もするんですよね。
また、in には「流行している、はやっている」という意味もあります。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
in [adverb] : if clothes, colors etc. are in, they are fashionable.
例) Long hair is in again.
つまり、「服や色などが in というのは、それらがファッショナブルである(流行している)ということ」。例文は、「ロングヘアーがまた流行している」。
この in が「はやっている」という意味だとすると、keeping は動名詞で、keep with... することは、完全にはやっている、みたいな感じになるでしょうか。
keep with は「…と(調和を)保つ、調和する、一致する、…に沿う」なので、keep with the trip where... は「私が…という経験をしたような旅行と調和する」ということでしょうか。
調和する、というのは、そういういやな経験の旅行でも文句を言わずに旅行を進めて行く、ということかなぁ、と。
「あなたがしたことは失礼じゃないわ。こういう旅行をこなすののは完璧な流行ですものね」みたいに、アメリカではあなたの行動も含めて、そういう無礼なことをするのが流行であり当たり前、それにいちいち目くじら立てるイギリス人の私がきっとどうかしてるのね、的なことがいいたいのかな、と思いました。
で、その the trip の内容がその後続きます。
run down は「(車が)(人などを)ひく、引き倒す」。
wiener carts について。
cart は「荷車」「手押し車、カート」などで、ショッピングカートのカートなどを指しますね。
ここでは、cart に run down されかけた、という話なので、ショッピングカートくらいの大きさではなく、もう少し大きな荷車を指すでしょうか。
wiener はいわゆる「ウインナー(ソーセージ)」。
LAAD では、
wiener [noun] [countable]
1. a type of SAUSAGE used to make HOT DOGs
2. (spoken) someone who is silly or stupid
3. (spoken) a word used by children meaning a PENIS
と出ています。
最初、2. の stupid という意味、つまり、your stupid cart のように「あなたたちアメリカのばかなカート」とののしる表現かと思ったのですが、もしかしたら、やっぱり「ウインナー」かもしれないと思い始めました。
LAAD の 1. の語義に出ているように、ウインナーと言えば、ホットドッグに使うソーセージのことですよね。
ホットドッグと言えば、アメリカを代表する食べ物。とすると、wiener cart は「ホットドッグを売っている車、屋台」みたいなイメージなのでは?と思ったりします。
hotdog wagon や hotdog vendor みたいな意味で、wiener cart と言っているのかなぁ?と。
アメリカではあっちこっちにある、ホットドッグの車にひかれそうになって…と言うことで、アメリカに対する不満を表現しているような気がするんですよね。
大阪に行ったら、たこやき屋の車にひかれそうになったわよ、と怒っているような感じでしょうか。
strip-search は「ボディチェックする」「裸にして所持品を調べる」という意味ですね。
「ストリップ」にして「サーチ」するわけですから、日本人にもわかりやすいニュアンスです。
Apparently は「どうやら…らしい」という意味ですから、Apparently to you people は「どうやらあなたたちアメリカ人には(私は…のように見える)らしいわね」という感覚ですね。
balloon は「バルーン、風船」。
stuff up は「詰める、詰め込む」。
My nose is stuffed up. なら「鼻が詰まっています」と病状を説明する時のセリフになります。
bum はイギリス英語の俗語で、「尻」という意味。
フレンズたちなら、butt (怒りが爆発しているならもっと下品な ass)と言うところを、イギリス人であるエミリーは、bum と言っているわけで、ここにもイギリス英語の特徴が出ていますね。
空港で、お尻にコカインの袋を入れていると疑われて身体検査されたのよ!と怒っているのですが、そのセリフは、エミリーのお尻がでっかい(笑)ことを言っているような気もします。
服のお尻の部分にそういうものを詰め込んでいるように見えたということは、そこがとても膨らんでいた、という意味ですからねぇ。
そういう意味でも、ただ「コカインを密輸する」ではなくて、「コカインをお尻のところに詰めている」という表現が、彼女のお尻が大きいことを示すことになり、より面白く聞こえる、というセリフの妙でしょうか。
あまりのエミリーの勢いに、いつもは強気のモニカも気圧(けお)されたようで、「(あなたたちアメリカ人にはこんな風に見えるらしいわね、って言うけど)私には素敵な人に見えるわよ」と、何とか怒りを和らげようとしてるのも面白いですね。
(Rach からのお願い)
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私も何度見たか分かりません。
普段字幕なしで見ているので、細かいところは見逃しがちです。
ここで勉強させて頂きます。私のブログにもブックマークさせて頂きました(笑)
今年もRachさんのブログのお世話になります。
in keeping with の部分ですが、
「あなたの態度は全然 rude なんかじゃないわ、だって今回の旅の調子と正にぴったりなんだもん、ホットドッグ売りのカートに轢かれそうになったり、ドラッグ密輸を疑われて空港で身体検査をされたりしたけれど、それだって全然 rude じゃないものね」
というエミリーの嫌味だと僕は解釈しました。
ご訪問&コメント、ありがとうございます。また、ブックマークしていただいたとのこと、ありがとうございます。
フレンズは本当に楽しいドラマですよね。字幕なしで見ていても何となくわかってしまう部分はありますが、それをきっちりと字幕で確認していくことで、自分があやふやだったところがわかってくるという効果もあると思います。
これからもよろしくお願いします。
ネムネムさんへ
明けましておめでとうございます。
こちらこそ、今年もお世話になります。よろしくお願いします。
It's perfectly in keeping with the trip は「今回の旅の調子と正にぴったり」だと解釈されたというお話、なるほどなと思いました。今は私もそれが正解だと思います。
私はなぜか、I keep with the trip のように keep の主語が「私」であるように考えていたのですが、そうではなくて、あなたの態度などの今の状況(it)が、旅の調子とぴったり合っている、あなたがしたことも今回私が旅で経験したこともみんな同じだ、と言っているということですね。
その経験の内容が悲惨なものだったので、それと同じだと語ることで、あなたのしたこともその流れにあったひどくて非礼な行為だ、と言っているイヤミなんでしょうね。
貴重なご意見ありがとうございました。
いつもマイペースにこちらのブログを読ませていただいています。
なのでこのブログの進行とは関係なく、シーズン4ですがこちらにコメントさせていただきます。
someone who's got a balloon full of cocaine stuffed up their bumという部分ですが、「お尻が大きく見えた」というのは少し深読みし過ぎなのかなぁと思いました。
少しリアルな説明になってしまうのですが、薬物を密輸する人の中にはゴム状の物に薬物を包んでお尻の中に入れてしまうことがあると聞きます。
その場合ですとstuffed upという表現がしっくりくる気がします。
それを疑がって身辺検査をするということは、とてもrudeな検査をしているという想像ができて、それがおもしろいんじゃないかなぁ・・・
というのが私の感想です。
これからも愛読させていただきますので、よろしくお願いします♪
拙ブログを読んで下さっているとのこと、ありがとうございます。
また、貴重なご意見も、ありがとうございます。
私は上の記事で「お尻に詰めている」と書いていて、その時のイメージでは、ズボンやパンツの中に袋を詰めて、見た目が膨らんでいる→お尻が実物より大きく見えている、と解釈してしまったのですが、コメントを読ませていただいて、おっしゃる通りだと思いました。
その「リアルな説明」、よくわかります。下着や服とお尻の間に詰め込むのではなくて、まさにお尻の”中”に、というか、もっとダイレクトに言うとお尻の穴に、坐薬のように(笑)入れてしまう、わけですね。確かに、stuff up の up にそういうニュアンスが感じられる気がします。
今考えると、bum という単語だったので、私にはピンと来なかったのかもしれません。stuffed up their butt や、もっとダイレクトに、stuffed up their ass とかだったら、実際に中に入れる、詰める、というイメージがもしかしたら湧いたのかもしれない…と思ったりもします。
麻薬の密輸というのは、どこでも重罪ですから、ちょっと服の間に挟んだくらいでは簡単にバレてしまいますよね。だから、他人が簡単には見つけられないような「体内」に隠す、ということですよね。
私もうろ覚えですが、麻薬を持っていることを見つけられそうになって、慌てて袋ごと飲み込んだら、それが胃の中で破れてしまい、急性薬物中毒になって救急車で運ばれることになってしまった…みたいな事件の話を聞いたような気もします。「体内に隠す」のは究極の最終手段、という感じですね。
尻の中に隠してるだろ!と疑われて、その部分をくまなく検査された、ということで、strip-searched という単語も使われているのですね。rude であり、humiliating 「屈辱的な」身体検査をされて激怒しているわけですね。エミリーが怒るのも無理はない、というところです。
的確なご指摘ありがとうございました。こちらこそ、今後ともよろしくお願いいたします。
もう一ついただいているコメントへのお返事は、もうしばらくお待ち下さいませ。
If one didn't know something like the Oscar-Mayer Wiener-Mobiles existed it would be hard to imagine them by oneself, so it's understandable to think of a hot-dog vendor's cart, but I am pretty sure Emily is speaking of the superb majesty of https://www.google.co.jp/search?q=wiener+car&tbm=isch
こんにちは。Thank you for your comment and for showing us the images of such a gorgeous mobile. Well, I should've done Google image search then. ;)
What was in Emily's head while she's speaking of the cart is definitely that mobile, now I believe. Not just a hot-dog vendor's cart, literally & visually a "wiener cart". Must draw the attentions of many.
I can imagine how much she was surprised to see the cart for the first time in the U.S. If one DID know the cart, they could enjoy her line much more. Now that I know what the cart looks like, I can enjoy the line to the fullest.
Thank you so much for the pictures. :)