I stink. 「僕はくさいんです[臭うんです]」と言って、ヘストンのシャワールームを使っていたことを弁解するジョーイ。
チャールトン・ヘストン: Joey, right? (ジョーイ、だったな?)
ジョーイ: Yeah. (ええ。)
チャールトン・ヘストン: (tosses him a towel, motions for him to get out of the shower and sits down on the couch) Every actor, one time or another-- opp! (Joey tries to sit down next to him and Heston makes him sit somewhere else.) Every actor thinks he stinks. Even Laurence Olivier sometimes thought he stank. Bob Redford won't even watch himself. ([ジョーイにタオルを投げ、ジョーイにシャワーから出ろというしぐさをして、カウチに座る] どんな役者もあれやこれやの時に…おっと! [ジョーイはヘストンの隣に座ろうとしたので、ヘストンはジョーイを別の場所に座らせる] どんな役者も自分が下手だと思うものだ。ローレンス・オリビエでさえ、自分は下手だと時には思った。ボブ・レッドフォード[ロバート・レッドフォード]は自分自身(の演技)を見ることすらしなかった。)
ジョーイは、自分はシャワーを長い間浴びてないので悪臭がする、と説明しているのですが、ヘストンはもっと抽象的な意味で捉えたようです。
フレンズ2-17その12 でも、stink という単語について説明していますが、stink は「悪臭を放つ、いやなにおいがする」という「動詞」ですね。
日本語だと「僕は臭い(くさい)」のように「形容詞」になりますが、英語では「悪臭を放つ」という「動詞」になっていることも、興味深い点かなと思います。
そして、その動詞 stink には「…がひどく下手である」という意味もあるのですね。
研究社 新英和中辞典では、
stink=(口語)〔…が〕ひどく下手である 〔at〕
例) He stinks at tennis. 彼はテニスがひどく下手だ。
英辞郎では、
stink=【自動-2】どうしようもない、ひどいものだ、お粗末だ、駄目だ
例) Your cooking stinks. あなたの料理はまずい[ひどすぎる]。
と出ています。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
stink :
1. to have a strong and very bad smell
2. something stinks (spoken informal)
a) used to say that something is bad or that you do not like it
つまり、1. は基本的な意味で、「強くてとてもひどい臭いを持っていること」
2. は「何かがひどい、または自分がそれを好きではないことを言うために使われる」
つまり、ヘストンは stink を「下手である、ひどい」という意味で解釈した、ということです。
それで、「自分は下手だ、自分の演技や芝居がひどい」と思うのは何も君だけじゃない、どんな名優だってそんな風に思うもんだ、と具体的な俳優の名前を挙げているのですね。
stink は「くさい」ことを意味する動詞だと説明しましたが、日本語で「演技がくさい」「くさい演技」と言う場合、「くさい」は「しらじらしい、わざとらしい」というような意味ですよね。
手持ちの「広辞苑 第三版」には、そういう「演技がくさい」のような「くさい」の意味は出ていないのですが、
研究社 新”和英”中辞典には、
くさい【臭い】=〈演技がわざとらしい〉 unnatural, artificial, theatrical, 《口語》 hammy
句例) しろうとくさい演技 an amateurish performance
という訳が出ています。
ですから、stink は「悪臭がする」「くさい」というような意味であることから、I stink. を「僕の演技はくさいんです」のように訳してしまうと、少しニュアンスが違ってしまうような気もするんですね。
俳優として良くない部分を語っているというネガティブな意味である、という点では、方向性は同じですが、「僕の演技はくさい」のではなく、「僕の演技は下手、ダメ」だと言っているということにも注目したいな、と思います。
DVDの日本語訳では、
ジョーイ: …(俺は)臭いんです。
ヘストン: 役者は多かれ少なかれ…自分を臭いと思うもんだ。
のように訳されていましたが、日本語訳を作る場合は、そう訳すのが最善の策だろうと思います。
英語でダブルミーニングである以上、日本語でもダブルミーニングにするためには、どちらも「臭い」と訳すのがこの場合は適切だ、ということになりますね。
文字数制限や秒数制限のある字幕や吹替では、stink は「(演技が)くさい」というよりは「(演技が)下手だ」のニュアンスである、ということを説明する余地がありませんし、それを説明してしまうとダブルミーニングの面白さが半減してしまいますからね。
ここで私が言いたいことは、日本語訳で「くさい」と訳されているからと言って、それをそのまま鵜呑みにせず、日本語の「演技がくさい」というような意味が英語の stink にもあるのかな?と自分で辞書で調べてみることの必要性です。
DVDの日本語訳は、「ドラマの日本語版」を作っているのであって、英語本来のニュアンスが全て訳し出されているとは限らない、英語のセリフそのものの意味はやはり辞書などで確認しないとわからないこともある、ということですね。
stink と「くさい」の違いを見てみると、逆に、日本語を学んでいる外国人の方が、「演技がくさい」というのを「演技が下手だ」という意味で理解している可能性もあるかもしれない、と思ったりもします。
いずれにせよ、日本語とは少しニュアンスが異なるところもまた、外国語を学ぶ楽しみなのかな、とも思います。
ローレンス・オリヴィエ(Laurence Olivier)は、Lord という爵位を与えられた、イギリスを代表する名優、そしてシェークスピア俳優でもあります。
Wikipedia 日本語版: ローレンス・オリヴィエ
「風と共に去りぬ」のヴィヴィアン・リーと熱愛し、結婚・離婚したことでも有名ですね。
前回のカーク・ダグラスの説明で登場した映画「スパルタカス」では、そのダグラスと共演しています。
Bob Redford は、Robert Redford (ロバート・レッドフォード)のこと。
Bob というのは、Robert の愛称なんですね。
Wikipedia 日本語版: ロバート・レッドフォード
「明日に向かって撃て!」(原題:Butch Cassidy and the Sundance Kid)、「スティング」(原題:Sting)などへの出演で有名な俳優ですが、監督としても、1980年に「普通の人々」(原題:Ordinary People)でアカデミー監督賞を受賞しています。
ヘストンも名優だけあって、名前を出す俳優も大御所ばかりですね。
Every actor と言っているので、もちろん自分自身も含んでの話でしょうが、「私も自分が下手だと時々思うさ」とは言わないところに、彼のプライドが垣間見える気もします。
(Rach からのお願い)
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お久しぶりです。
ブログを拝見させていただきまして、いつも当時フレンズを見ていた時代の時を思い出して、懐かしい気分になります。
また昔みたいにテレビで放送してくれないですかね…(~_~;)
また来ますのでこれからもがんばって下さいね。
お久しぶりです。フレンズを懐かしいと言っていただけると、こういうブログを書いている者として、とても嬉しいです。
また、テレビで放映してくれるといいですね。
お互いブログを頑張りましょう。これからもよろしくお願いします。
もうすでに解説されているかもしれませんが、外野が爆笑していたようなので解説をお願いします。
08:36-10:48
Phoebe: (going over to comfort her) Aww, Pheebs.
Rachel: Honey, that’s you’re name.
Phoebe: That’s short for Phoebe?! I thought that was just what we called each other!
ご質問ありがとうございます。
フレンズたちはフィービーのことを短縮形の Pheebs という愛称で常々呼んでいますが、当人はそれが自分の愛称だったと知らなかった、という笑いですね。
フィービーは、Pheebs を、honey や sweetie のようなお互いに呼びかける言葉だと思っていたということがこのセリフからわかりますが、もうシーズン4 だと言うのに、今まで知らなかったの? という面白さになるでしょう。