2010年02月02日

まさにこのこと トークアバウト フレンズ4-15その3

レイチェルと一緒に行ったネイルのお店で、ジャニス(!)と再会してしまったチャンドラー。
またジャニスの勢いに押されてデートしてしまったのですが、帰りに寄ったセントラルパークでジャニスに別れを告げようとします。
チャンドラー: (laughs) Okay, we have to talk. I'm just getting out of a very serious relationship. ([ジャニスの例の笑い声を受けて笑って] よし、俺たちは話をしなきゃ。俺はものすごく真剣な(男女)関係から抜け出そうとしてる[を忘れようとしてる]ところなんだよ。)
ジャニス: I know. And I'm just getting out of a marriage. I mean, talk about "meant to be." (わかってるわ。そして私は結婚[婚姻関係]から抜け出そうとしてる[を忘れようとしてる]ところなの。つまり、まさに「運命づけられてる」っていうのはこのことね。)
チャンドラー: Right. But I just think that this is happening too soon. (そうだね。でもこんなこと(君との関係を始めること)はあまりにも早すぎると思うんだけど。)
ジャニス: Oh, too soon, too schmoon! Face it, honey, I am not letting you get away this time. (あぁ、トゥー・スーン、トゥー・シュムーンね! 現実を見て[現実から目を背けないで]、ハニー。今度はあなたを逃がしはしないわよ。)

We have to talk. は誰かと込み入った話を落ち着いてしたい時の決まり文句ですね。
「君に聞いて欲しい話がある、じっくり話し合いたいことがある」というようなニュアンスです。
チャンドラーもジャニスも、I'm just getting out of a... という同じフレーズを使って、「自分はちょうどあることから抜け出ようとしているところ」だと言っています。

チャンドラーの a very serious relationship とは、フレンズ4-13 で別れてしまったキャシーとの関係ですね。
ジャニスは、マットレス・キングの社長さんと結婚していて、一時期そのダンナさんと離婚しそうになっていた時期がありました。ちょうどその頃、チャンドラーに再会し、しばらく付き合っていたのですが、ジャニスはやはりそのダンナさんのことが忘れられず、フレンズ3-8 で、ジャニスはその社長さんの方を選ぶことに決めた、という話になっていました。
このエピソードの最初の方で、再会したモニカに「どうしてた?」と聞かれ、ジャニスは "Oh, well, I’m divorced." と答えていましたので、結局、そのダンナさんとも離婚してしまったようですね。

俺は真剣な関係を終えたばかりだから、とても次の関係を始めようという気持ちにはならない、とチャンドラーは言っているのですが、ジャニスはそれを受けて、「私だって結婚という、ある意味、もっと真剣な関係を終えたばかりなのよ」と言っています。
真剣な関係が終わったばかりなのは、何もあなただけじゃないわ、私だってそうなのよ、ということです。

talk about "meant to be." について。
talk about は「…について話す」ということですが、このように、Talk about...(!) として使われると、「まさに・実に・すごい…である」「…とはまさにこのことである」というような意味になります。
強調する言い方なので、語尾に感嘆符がつくことが多いです。
(be) meant to be は「…であるように運命づけられている」。

隠れた主語の神が前面に出てくる フレンズ3-16その13 でも触れたのですが、マーク・ピーターセンさんの 続・日本人の英語 (岩波新書) の、p.8 「小指に結んだ赤い糸」で、You were meant for me. というフレーズについての説明があり、そこに、meant についての興味深い解説があります。

以下、一部引用させていただきますと、

p.10 隠れた主語は「神」
"were meant for" という英語は、受動態である。ということは、能動態の "meant for (mean for の過去形)もあるはずである。それに、その主語もどこかにあるはずである。つまり、
Who meant you for me? という問題になる。

p.11 "mean" の受動態の多くの場合、その「つもり」をもつ、背景にある主語は「運命」、あるいは、もっと厳密に言えば「造物主」である。「神」である。


つまり、mean の主語は「神」である、ということで、ジャニスは、「神様によって運命づけられてる、っていうのはまさにこのことね」と言っているのですね。
二人ともちょうどシリアスな関係が終わったばかりの状態で出会った、二人がこうして出会ったのは神の思し召しなのよ、二人はフリーになって再び出会う運命だったのよ、と言いたいわけです。

ジャニスを拒みたい(笑)チャンドラーは、関係が終わったばかりだから、今はそんな気になれない、という理由に使おうとするのですが、ジャニスにしてみれば、「何のしがらみもなく堂々と付き合えるんだから却って好都合よ、二人が再び恋人に戻れるように、神様が二人の前の関係を終わらせるようにしてくれたのよ」と言っているということです。

このことが起こるのは、つまり、こんな風に別れた直後に誰かとまた関係を始めるのは、too soon 「早すぎる」とチャンドラーは言っています。
その too soon という言葉を聞いて、ジャニスは、too soon, too schmoon と返しています。
フレンズ3-19その5 で、
レイチェル: It's not very fair to you. (あなたにとってはあまりフェアじゃないわよね。)
マーク: Ahh! Fair, shmair. (あー! フェアー・シュメアーだよ。)
というやり取りがありましたが、この schmoon というのは、その shmair と同じような使い方だと思います。
その記事のコメント欄で教えていただいたのですが、イディッシュ語(アメリカなどの国々でユダヤ人が使う言語)は、sh- や sch- で始まる単語が多く、shm- や、schm- をつけた言葉を直後に繰り返すことで、やや否定的なニュアンスを出す、という使い方があるようです。

ここでも、too soon と言ったチャンドラーに、「何が too soon よ、ばかばかしいわ」のような否定的なニュアンスで、too soon, too schmoon と言ったのですね。
一種の言葉遊びのような感覚で、「しかし…」「しかしも、かかしもない!」みたいに返すのと似ている気がします。


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posted by Rach at 12:13| Comment(4) | フレンズ シーズン4 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
shmoonなんて辞書にないですものね。
本当に細かなところまで解釈されているのですね。すごい。
時々、引いても分からない単語が、あとで調べてみると固有名詞だったりすることもよくあります。(昨日は、Pottery Bornが分からずネットで調べたら家具屋さんの名前でした)
日常会話には、当地の文化を知る必要もありますよね。フレンズは宗教に関することはでてきませんか??会話の中でキリストに由来するようなフレーズも時々耳にするのですが、よく分かりません。
先日のコメントに対するお返事もとても丁寧に回答いただきありがとうございました。
自分のシチュエーションで使えそうなものを実際にどんどん使ってみないとですね!
その前に、私は自在に書けるようにならねばなりませんね。
子どもは話すのが先かもしれませんが、大人は書くことのほうが先のような気がしています。
ではでは、これからも楽しみにしています。
Posted by ひなた at 2010年02月03日 01:46
ひなたさんへ
shmoon はたまたま、以前に似たフレーズが出てきたのでわかっただけですが、「すごい」とお褒めいただけて光栄です。
Pottery Barn は、フレンズ6-11 を始め、何度かセリフに登場しますね。

フレンズでは、ロスとモニカはユダヤ教徒という設定なので、ユダヤ教に関する言葉がたまに出てきますが、それもそれほど多くはないですし、キリスト教関係の言葉もそれほど出てこない気がします。

「子どもは話すのが先かもしれませんが、大人は書くことのほうが先」というお話、私もそうだと思います。相手を目の前にして話す訓練というのは、特に大人になってからは難しいですよね。フレンズなどで覚えたフレーズを使って、思ったことを文字で書いてみるという練習をしていくと、書くことがスムーズになるにつれて、口からその言葉も出やすくなるのでは?と思っています。
こちらこそ、これからもよろしくお願いします。
Posted by Rach at 2010年02月05日 07:17
Urban DictionaryにShcmoonはSmirnoff vodka(スミルノフ製のウオッカ)入りのgoonbag(二日酔いでひどい頭痛がするような安物のワイン)として載っています。
ジャニスのセリフの中ではチャンドラーがまだ前の恋に悪酔いしているという意味で使っているような気がしますが。
Posted by teruchan at 2011年03月11日 23:20
teruchanさんへ
おっしゃるように、Urban Dictionary には、そういうお酒の意味が載っていますね。
Smirnoff + Goon = Schmoon
と説明されているように、二つの単語を合体させた言葉のようですね。
現在のところ、その語義に対する評価は、thumbs up 「賛成、同意、承認」が 5 になっていますね。お酒の名前を表すこの単語が、一般的にどれほどメジャーなのかよくわからないのですが、お酒好きの人なら知っている単語なのかも、と思います。

今回のセリフは、その形式や意味を考えると、shm-reduplication 「shm- の反復」の典型的な例だと思うのですが、

(参考) Wikipedia 英語版: Shm-reduplication
http://en.wikipedia.org/wiki/Shm-reduplication

schmoon がそういうお酒を指す単語であることをジャニスが知っていたとすると、そういうお酒の意味ともかけて使っているのかもしれませんね。

興味深い情報、ありがとうございました。
Posted by Rach at 2011年03月15日 14:11
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