エミリーを愛しているのなら、今から空港に行って、その気持ちを彼女に伝えるべきよ、とモニカに促されたロス。
そのロスが帰ってきました。
(Ross enters.)
ロスが部屋に入ってくる。
モニカ: Ohh! Did you do what I said? Did-did-did you tell her? (ああ! 私が言ったことをしてきた? ロスは彼女に言ったの?)
ロス: I did. (言ったよ。)
モニカ: And well, what did she say? (それで、その、彼女は何て言ったの?)
ロス: "Thank you." (「ありがとう」。)
モニカ: Oh, you're totally welcome. What'd she say? (まぁ、全く、どういたしまして、よ。彼女は何て言ったの?)
ロス: She said, "Thank you." I said, "I love you." And she said, "Thank you." (彼女は言った、「ありがとう」と。僕は「愛してる」と言って、彼女は「ありがとう」と言ったんだ。)
チャンドラー: Whoa-whoa, wait a minute, did you say you love her? (おいおい、ちょっと待てよ。ロスは彼女に愛してると言ったのか?)
ジョーイ: Yeah, what were you trying to get her to do? (そうだよ。お前は彼女に何をさせようとしていたんだよ?)
ロス: What do I do now? (それじゃあ、僕は何をするんだ?)
ジョーイ: You play hard-to-get. (「手に入れるのが難しい[簡単には落ちない]」人間を演じるんだ。)
ロス: She already lives in London. (エミリーはすでにロンドンに住んでるんだぞ。)
ジョーイ: So you go to Tokyo. (じゃあ、お前は東京へ行け。)
モニカが言った通り、ロスはエミリーに愛してると言ったかどうかを、モニカはロスに確認しています。
それに対するエミリーの返事を尋ねたモニカに、ロスは "Thank you." と答えていますね。
ネットスクリプトでは、引用符はついていませんでしたが、DVD英語字幕ではこのように引用符がついていました。
実際、このシーンの前に、空港でのロスとエミリーのシーンがあったのですが、決死の覚悟で、I love you. と告白したロスに対して、ロスをきつくハグした後、エミリーは Thank you. とだけ言って、そのまま飛行機に乗り込んでしまいました。
観客、視聴者は、そのシーンを見ているので、ここでのロスのセリフ、Thank you. は、モニカに「ありがとう」と言ったものではなく、エミリーが言った言葉を説明していることがわかるため、引用符をつけているのですね。
ただ、そのことを知らないモニカは、「モニカが良い助言をしてくれたんで、素晴らしい結果になったよ。ありがとう」とお礼を言われたものと思ったのですね。
それで、「どういたしまして。そんなお礼なんていいから、とにかくエミリーが何て返事したのか教えてよ」と、もう一度同じ質問をしているわけです。
今度は、僕の "I love you." に対して、エミリーは、"Thank you." とだけ答えた、ということをはっきり説明しています。
ロスの言う Thank you. は、「さんきゅ」みたいに軽い感じで発音していて、僕は必死に告白したのに、返ってきたセリフはたったそれだけだよ、というがっかり感が出ています。
このように、引用符がついていると、それがロス自身の発言ではなくて、誰かの発言をそのまま伝えたものであることがわかりますが、音として聞いている場合は、ロスがモニカにありがとうと言ったように聞こえます。
そこから来る誤解が、上のようなロスとモニカのトンチンカンなやり取りに繋がっている、ということですね。
また、今回は、ロスとエミリーのシーンを見せた後でこのセリフが登場したので、引用符をつけてもネタバレにはなりませんが、そのシーンを見せずに、モニカが誤解したように、観客や視聴者にもまずはモニカにお礼を言ったのだと思わせたい場合は、引用符をつけないでいた方がネタバレにならないですむでしょう。
今回の場合は、観客にはオチがわかっているが、知らぬはモニカばかりなり、という状況だということです。
チャンドラーは、I love you. を言いに行ったロスに驚いています。
これまでの解説でも何度か説明してきましたが、それほど I love you. という言葉は「重い」のですね。
何となく好き、ぐらいの程度では使わない言葉だということです。
ジョーイたちは、そんなに簡単にお前の方から I love you. なんて言っちゃだめだ、と言いたいようです。
hard-to-get は「ゲットするのが難しい」、つまり、「入手困難な、手に入れるのが難しい」。
ですから、play hard-to-get は「簡単には落ちない・落ちにくい人間を演じる」ということで、こちらからホイホイと近づいていくのではなくて、「つれないふりをする、その気がないふりをする」ということになります。
play hard-to-get は、前回のエピソード 4-16 にも出てきました。(前回の解説では省略した箇所になります。)
ジョシュアが好きなのに、離れた場所にいるレイチェルに対して、
チャンドラー: Why are you over here if Joshua is all the way over there? (ジョシュアはずっとあっちの方(リビング)にいるのに、どうしてレイチェルはこっち(キッチン)にいるの?)
レイチェル: Because I'm trying to play hard-to-get. (だって、私は落ちにくい女を演じてるのよ。)
というセリフがありました。
また、その演出がうまく行かないので、
レイチェル: This playing-hard-to-get thing is not working. (この、落ちにくい女を演じるってやつは、うまく行ってないわね。)
と言って、結局、ジョシュアのそばに行くことにしたのでした。
むちゃくちゃ好きなのに、それを相手に気取られないようにこっちが優位に立っているように見せるのが、play hard-to-get だということです。
そのようにジョーイは、自分から I love you. と簡単に口にしたりせず、落ちにくい男、簡単には手に入らない男を演じなきゃだめだ、とアドバイスしています。
ですが、今回の場合は、イギリスとアメリカという超長距離恋愛で、「簡単には手に入らない」ことを演じるも何も、そんなことを演じるまでもなく、元々、「簡単には手に入らない、簡単に会うことすらできない」相手なんだよ、とロスは言いたいのですね。
エミリーはロンドン在住で、僕ら二人はお互いすでに、hard-to-get な状態なんだ、だからそんなことをしても無意味だし、むしろ気のないふりなんかしたら、二人の心の距離が離れるのをも加速することになってしまうよ、と言いたいのでしょう。
ですが、ジョーイはまだ、play hard-to-get にこだわっているようで、エミリーがロンドンに住んでいて、今でも十分 hard-to-get な状態だったとしても、それならもっと hard-to-get になるために、お前は日本の東京に行け!と言っています。
ロンドンとNYよりも、ロンドンと東京の方が、もっと距離的に離れるぞ、そうしたら今よりも、さらに hard-to-get な状態になるぞ、と言っているのですね。
ロスは二人の物理的な距離が離れ過ぎているために、相手の気を引くために通常使われるような play hard-to-get というテクニックは今回は使えない、と説明しているのですが、ジョーイは、「今、向こうがロンドンだって言うなら、今度はお前がもっと遠いところに移動してやれ」と妙な方法を提案しているということです。
それを聞いて、「あちゃー(ジョーイは何にもわかってない)」という顔をしているチャンドラーが楽しいです。
また、日本人として、「東京」という地名が「フレンズ」に出てくるのも何だか嬉しいですね。
(Rach からのお願い)
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