2010年03月12日

空港免税店のトブラローネ フレンズ4-17その6

ロスはエミリーに会うためにイギリスに行ったのですが、エミリーはアパートにいませんでした。
ロスの電話でそのことを知った後、モニカの部屋にそのエミリーが現れます。
エミリーもロスに会うために、またアメリカに戻ってきたのですね。
ロスが自分のアパートのそばにいると知って、エミリーは自分の電話(留守電になっている)に電話をかけ、その音声がロスに聞こえることを祈りながら、ロスへのメッセージを話しています。
エミリー: Ross, are you there? Ross, I don't know if you can hear this, but.... (Ross has moved to the window, apparently so that he can hear better.) I'm gonna talk anyway, uh, I'm in the States with your sister and your friends. And it's all over with Colin. I came here to tell you that and to tell you-- what. Yes, Joey, you can have all the chocolate you want, just take it! Uh, I came here to tell you that I love you. (ロス、そこにいるの? ロス、あなたがこれを聞くことができるのかどうかわからないけど… [ロスは(エミリーの部屋の)窓のところに移動する。どうやら(電話から聞こえるエミリーの声を)もっとよく聞こえるようにするためらしい] とにかく話すわね。あの、私はアメリカにいるの、あなたの妹さんや友達のところにね。それから、コリンとは完全に終わったわ[別れたわ]。私はそのことを言うためにここ(アメリカ)に来たの。そしてあなたにこのことを言うために… 何? いいわ、ジョーイ。あなたが欲しいだけそのチョコレートをあげるわ。いいから持って行って! あの、私はここに来たのはあなたにこう言うためなの、あなたを愛してる、って。)

留守電へのメッセージが音声として聞こえることを利用して、エミリーは、そこにいるかもしれないロスに向かって話しています。
今、アメリカのモニカの部屋に来ていること、コリンという彼と別れたことなどを話します。

そういう大事な話をしている時に、...what. Yes, Joey, you can have all the chocolate you want, just take it! という関係のないセリフが入っています。
チョコレートとは、アメリカの空港で売っていた大きなチョコレート菓子 Toblerone 「トブラローネ」のこと。(英語の発音は、「トウブラローン」という感じ。)

Wikipedia 日本語版: トブラローネ
Wikipedia 英語版: Toblerone

日本語版ウィキペディアの説明では、「スイスのチョコレート菓子」で、「免税店などでよく見かける」「日本国内では見かけないが巨大なサイズのものも存在する」とあります。
その「巨大なサイズのもの」が今回フレンズで登場しているものです。
英語版にも、It is well-known for... (中略) ...its ubiquity in airport duty-free shops.
つまり、「空港の免税店でよく見かけることで有名である」と書いてあります。
今回のエピソードは、アメリカとイギリスを何度も行き来し、空港を使う機会が多かったので、「いかにも空港で買いました」的お土産として、トブラローネが使われているわけですね。

今回のエピソードでは(解説では省略しましたが)、トブラローネが何度も登場します。
1つ目。イギリスに帰ろうとするエミリーが空港でロスに別れを告げる時、そのトブラローネの長い箱を持っていました。機内に持ち込める手荷物は1つだけだから、と言って(それくらいこの箱が大きいというジョークでもある)、最終的にその箱をロスに渡していました。
2つ目。エミリーを驚かせるためにイギリスに行くことに決めたロスに、ジョーイが "If you're going to the airport, can you pick me up another one of those Toblerone bars?" 「もしロスが空港に行くのなら、あのトブラローネ(バー)をもう1つ俺に買ってきてくれる?」と言っていました。
3つ目。イギリスからアメリカに戻ってきたエミリーがモニカの部屋に入ってきた時、彼女のバッグからトブラローネが突き出ているのを見て、ジョーイが「おお、これは! 俺が食べたいと思っていた、あのトブラローネ!」みたいな顔で目を大きくしていましたが、その時はエミリーには欲しいと言えませんでした。

そういう一連の流れがあって、エミリーが電話でロスにメッセージを伝えているという大事な時に、ジョーイが「このチョコ、もらっていい?」と尋ね、「欲しかったらどうぞ」とエミリーが言っているこのセリフになるのですね。

エミリーもジョーイもこのチョコが大好きらしく、何度もアイテムとして登場するのが、いろんな伏線の張ってあるフレンズの脚本の面白さでもあります。


電話のメッセージで、ロスに I love you. と伝えたエミリー。
ロスはそれを聞くことができたので、公衆電話からモニカの部屋に電話をかけてきます。
ロスへのメッセージを話している時に、キャッチホンが入ったので、そのキャッチホンに出てみたエミリーが聞いたのは…
ロス: Hi. (はーい。)
エミリー: Ross, I love you! (ロス、愛してるわ!)
ロス: Ohh! Thank you. (ああ! ありがとう。)

やっと直接、電話で話すことができた二人。
エミリーは、あの時、空港で言えなかったメッセージを、直接言うことができました。
雨の降る中、イギリスの公衆電話から電話をかけているロスはそれを聞いて、本当に嬉しそうに Ohh! Thank you. と言っています。
フレンズ4-17その2 で解説したように、「僕が I love you. と言ったのに、エミリーは Thank you. と答えただけだった」と絶望していたロスでしたが、今度はロスが同じ返事を返すことになった、という面白さですね。
もちろん、この場合は、エミリーに対するお返しのつもりで、軽くイヤミなセリフを言ったのではなく、一人寂しくイギリスに残されたロスにとっては、そのエミリーの言葉が本当に嬉しくありがたいものだった、ということでしょう。
「I love you. と言ってくれて、ありがとう」としか言えない、エミリーの一言でとても救われたロスの気持ちがよく表れているし、それが同時にオチにもなっているという、面白いエンディングだと思います。


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posted by Rach at 11:39| Comment(6) | フレンズ シーズン4 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
Rachさん、こんばんわ。ハイペースで進んでいます(笑)
このRachさんの解説の後に出てくる部分で質問です。
エミリーが言う
" I suppose there’s not much chance you did heard that, ・・・”なんですが、日本語訳は「こんなの無駄ね」になっていますが、ロスが聞いている可能性がないだろう、ということですよね?
いまエミリーが話していて、それをロスが聞いている可能性がないだろう、というのであれば何故didと過去形なのかな?って思いました。可能性ならwould とかcouldとかを使って仮定法にするなら判るかな?と考えたんですが、間違っていますか?Rachさんの解釈教えてください。
Posted by やっちん at 2014年07月31日 21:46
やっちんさんへ
コメントありがとうございます。
「ハイペースで進んで」おられるとのこと、いい感じですね^^

さて、ご質問のセリフについて。
そのセリフなのですが、ネットスクリプトには間違いがあるようで、正しくは、
"I suppose there's not much chance you did hear that"
で、did hear のようですね。(DVDの英語字幕も、did hear で、実際に音声を確認してもやはり did hear でした)
この did heard という間違いは、heard という過去形を強調するための did を付けたことで、「heard を原形にするのを忘れた、過去形のイメージでそのまま heard として残してしまった(書いてしまった)」という感じなので、この間違い自体はさほど致命的なものではないと思います^^

ここで問題になっているのは、「なぜ did hear (heard の強調)という過去形なのか?」ということですね。
このシーンは、自分の本当の気持ちを伝えようとして、エミリーがアメリカに来て、ロスがイギリスに行って、二人が入れ違いになってしまったシーンですね。
エミリーの家の外で待っているロスに聞こえるかと思って、エミリーはアメリカからイギリスの自宅に電話して、留守電から聞こえるメッセージをロスが聞いてくれることを期待しています。
上のセリフを含む部分の前に、エミリーが、
Uh, I came here to tell you that I love you.
と言っていますが、I love you. という言葉が、エミリーがロスに伝えたかった言葉ですよね。

I love you. という言葉を言った後、「ロスが今のを聞いたかどうかが分かればいいのに。近所の笑い者になってるかも。ニューマンさん、もし聞いているのなら、どっかに行って」みたいなことを言った後のセリフが、
"I suppose there's not much chance you did hear that"
でした。
you did hear that の that は、少し前の発言の I came here to tell you that I love you. を、特にその中の、I love you. の部分を指していると思います。
「あなたに愛してるって言うためにアメリカに来たの」と言った後、「ロスはこれを聞いてるかしら、それともご近所さんが聞いて笑い者になってるだけかしら」みたいな話をひとしきりした後で、「私がさっき言った I love you という言葉をあなたが(確かに)聞いたという可能性は少ないと思うわ」というのが、エミリーのセリフのニュアンスだと思います。

今まさに話しているエミリーの話や声を、今ロスが聞いているかどうかの話であれば、there's not much chance you're hearing this のように、that ではなく、this を使うように思うのですね。that 「さっきのそれ」のような「距離感」が、「さっき私が言った I love you という言葉」を指していることになると思うわけです。
「少し前の(さっきの)I love you を、あなたが聞いた」というのが、you did hear that のニュアンスだということだと思います(^^)
Posted by Rach at 2014年08月01日 16:21
Rachさん、お返事ありがとうございました。ネットスクリプトからコピペしてしまったので、did heardになってましたね。気づかないで投稿してしまいました。確かに字幕でもdid hearになってました。 で、そのあとのthatに鍵があったとは!そのthatは気にしていませんでした。Rachさんのthat と thisの解説とても納得です。thatの距離感って大西先生もどこかで言っていた気がします。
(違っていたらごめんなさい)
Rachさんの解説は本当にいつも勉強になります。ありがとうございました。
Posted by やっちん at 2014年08月01日 20:15
やっちんさんへ
こちらこそご丁寧なお返事ありがとうございます。
私の that と this の解説に納得していただけたとのこと、嬉しいです(^^)
大西先生は、「過去形」のニュアンスをご説明される際に、「距離感」という言葉をよく使われていたように思います。今回のセリフも、距離感のある that だから、同じく距離感のある「過去形」と相性が良い、ということになるのでしょうね。

勉強になります、と言っていただけてとても嬉しいです。これからも頑張りますね!(^^)
Posted by Rach at 2014年08月05日 11:10
こんばんは。
順調に楽しんでいます!
再開してからは英語音声のみで何本か見て、あとで日本語音声字幕で見てどのくらいわかってたかチェックし、Rachさんのブログで音読 笑(しかし、けっこうタイムラグが…)
そして気に入ったストーリーを再度見る…という感じで進めています!(ただ、これだと劇的に英語力伸びることはなさげな…)
この回は、ジョーイがチョコレート買って来てって頼んでたんですね。そこを聞き逃していたみたいです!それでも笑えましたが、もう一回見てみよう〜。最近は、英語音声で聞いた時点で笑えることが増えて嬉しいです。
Posted by K at 2015年10月27日 18:55
Kさんへ
こんばんは。コメントありがとうございます。

学習を再開されてからも、そのように順調に楽しまれているとのこと、私のブログが少しでもお役に立てているとしたらとても嬉しいです。

「英語音声で聞いた時点で笑えることが増えて」というのは、本当に嬉しいですよね。そういう経験がまた、次へと繋がって行くのだと思っています。

どうかこれからも楽しみながら続けて下さいね。私もフレンズの楽しさと面白さを伝えることができるように頑張ります!
Posted by Rach at 2015年10月28日 20:30
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