2010年03月17日

私は何の料理を作ってる? フレンズ4-18その2

今夜はジョシュアと初めて過ごす夜、ということで興奮気味のレイチェル。
レイチェル: I'm so exited! I've been waiting for this for months. I got my hair colored. I got new sheets. I'm making him a very fancy meal. (私、とってもワクワクしてるのよ! この時を何か月もずっと待っていたのよ。髪の毛も染めたし、シーツも新しくしたわ。彼のために豪華な食事も作ってるし。)
モニカ: Um-hmm. (ふーん。)
レイチェル: What am I making him by the way? (ところで、私は彼に何(の料理)を作っているのかしら?)
モニカ: Well, you're making him a frisee salad with goat cheese and pine nuts, wild rice, roasted asparagus and salmon en croute. (そうね、あなたは彼に、ゴートチーズ(ヤギ乳で作ったチーズ)と松の実を添えたフリゼイ(カーリー・エンダイブ)サラダ、ワイルドライス、ローストしたアスパラガスに、サーモンのパイ包み(パイ皮に包んで焼いたサーモン)を作っているところよ。)
レイチェル: I thought I was making him filet mignon. (私は彼にフィレミニヨン(フィレ肉のミニステーキ)を作るんだと思ってたのに。)
モニカ: Yeah, you were, but you decided to make salmon because you had some left over at the restaurant. And then you realized if you (Points at Rachel) bitched about it, then you (Points to herself) would stop cooking, and you (Points at Rachel) would have to make your famous baked potato and Diet Coke. (そうね。そのつもりだったわ。でもあなたはサーモンを作ることにしたのよ。レストランで(いくつか)残り物(のサーモン)があったからね。それでその時、思ったんだけど、もしあなたが [レイチェルを指差す] そのことで(料理をフィレからサーモンに変えたことで)文句を言うのなら、その時はあなたが [自分自身を指差す] 料理を作るのをやめるでしょうね。そしてあなたが [レイチェルを指差す] あなたのお得意の[ご自慢の]ベイクトポテトとダイエットコークを作らないといけないでしょうね。)
レイチェル: Wow, I really get crabby when I cook. (まあ。私は料理する時、随分、気難しくなるのねぇ。)

レイチェルはジョシュアとの初めての夜ということで、とても嬉しそう。
I've been waiting for this for months. は、現在完了進行形の「継続」で、何ヶ月もずーっと待っていた、待ち続けていた感が出ています。
I'm making him a very fancy meal. 「私は彼のために豪華な食事も作っている」と言うレイチェルですが、その後、キッチンで料理を作っているモニカに向かって、What am I making him by the way? 「ところで、私は彼に何を作っているのかしら?」と尋ねています。
このやり取りで、レイチェルの代わりにシェフであるモニカが、その a very fancy meal を作っていることがわかりますね。
手料理などほとんどしないレイチェルが、彼のために料理を作ってるなんておかしいなぁ、と思ったら、やっぱりこういうことだった、ということです。

「この料理は私が作ったのよ」とジョシュアに言うつもりのレイチェルは、私(レイチェル)が料理を作っている、という前提で話をするために、「私は何を作っているところかしら?」と言っているわけですね。
自分はレイチェルの代わりに作っていることを了承済み、納得済みのモニカは、「私はこういうものを作ってる」と説明するのではなく、you're making him 「あなた(レイチェル)は彼に、こういうものを作ってる」と、主語を you にして話しています。
あくまでも「ジョシュアのために今料理を作っているのは、”レイチェル”である」という前提で、ここでの一連の会話は進んでいるのです。
料理を作っているモニカが、料理人である主語のことを you と表現し、ただ見ているだけのレイチェルが、料理人である主語のことを I と表現している、という面白さがここのやり取りのポイントですね。

メニューを説明するモニカに、レイチェルは「”私”は、フィレ肉の料理だと思っていたのに、どうしてサーモン料理を作っているのかしら?」という疑問をぶつけます。
「確かに、”あなた”はフィレ肉にするつもりだったわ。でも…」と言って、モニカは、レストランでサーモンの残り物があったから、それを使うことにしたのよ、と説明します。

レイチェルが作ったということにして、豪華な料理をせっせと作ってあげているというのに、レイチェルはメニューにケチをつけたので、モニカは、もし文句を言うならどういうことになるか、ということを脅しのように言っています。

Yeah, you were 以降の文章は全て主語が you ですが、ト書きでモニカがレイチェルと自分を交互に指差していることからもわかるように、実際は、「もしあなた(レイチェル)がそんな風にメニューに文句を言うのなら、私(モニカ)は料理をやめるわよ。そしてあなた(レイチェル)は、あなたお得意のベイクトポテトとダイエットコークを出したらいいわ。」と言っていることになります。
それをすべて、you と表現しているところに、このセリフの面白さがあるわけです。
セリフとト書きだけを文字で追っている分にはわかりにくいところもありますが、実際に、映像としてこの場面を見ると、モニカの指差しが助けとなって、モニカのセリフの指している主語が明確に理解できます。
こういうセリフを楽しめるのも、映像付きのドラマでセリフを学ぶことの醍醐味ですね。

シェフとして凝った料理を作ってあげているのに文句を言うなら私はやめる。私が作らなければ、料理のできないあなたは、ベイクトポテトとコーラを出すしかないだろうけどね、と皮肉を言っているのです。

レイチェルが文句を言うのに怒ってそういう意地悪な返事を返したモニカに対して、レイチェルはまだ、主語に I を使って、「私は料理の時、えらく気難しいわね」と言っています。
もちろんそれはモニカのことを言っているのですが、料理を作っているのはレイチェル、という前提はまだ続いていて、「私ったら、いつもはご機嫌なのに、料理を作っているとなんだかイライラして、機嫌が悪くなって、友達にひどいこと言ったりするようになっちゃうのね」と感心しているかのようなセリフになっているわけですね。

英語では、自分の体験を人に話す時に、主語を you にすることがよくあります。
一例を挙げると、
フレンズ4-4その1 でのチャンドラーのセリフ、
Then they use all of these phrases and peppiness to try and confuse you. 「するとジムのやつらはあらゆるフレーズと元気いっぱいさを使って、俺を混乱させようとするんだよ」
などの you が 「自分、俺」を表す you ですね。

その you は「一般の人」を指し、回り回って「自分自身(私)」をも指す、という you ですが、上に挙げた今回のレイチェルとモニカの一連のセリフは、その you ではありません。
今回の場合はあくまでも、「レイチェルがジュシュアのために料理を作っている」という前提で話をしているために、実際に料理をしているのがモニカであっても、それをわざとレイチェルであるかのように表現している、ということですね。

上のセリフが通常通り、「あなた(モニカ)は何を作ってるの?」「私(モニカは)こういうものを作ってるのよ」のような事実を示す正しい主語で表現されていたら、ここのセリフはごく普通の事実を伝えるだけのやり取りになってしまいます。
さも自分が作っているように話を続けるレイチェルに、「あなたが怒らせるようなことを言ったら、”あなた(レイチェルとして料理を作っているモニカ)”はあなた自身(レイチェル)に反旗を翻(ひるがえ)すわよ」と脅しているのが面白いということですね。
ですから、今回のセリフでは、you と I はきっちりと「あなた」「私」と訳出した方が、セリフの面白さがより伝わるはずだと思います。


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posted by Rach at 11:11| Comment(0) | フレンズ シーズン4 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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