2010年03月23日

あのお金は食費だったのに フレンズ4-18その4

ジョシュアはレイチェルを自分の実家に連れてきます。
その実家が大邸宅だったのでレイチェルはびっくり。
ジョシュアの両親は旅行中のため不在のはずだったのですが、その両親が旅行を早く切り上げて帰ってきてしまいました。
それを知らないレイチェルは、セクシーなレースのネグリジェ(or 下着)で、ジョシュアを誘惑しようとソファに座っていたところを、ジョシュアの両親に目撃されてしまいます。
ジョシュア: Uhh, Rachel, my parents. (あー、レイチェル。僕の両親だ。)
レイチェル: Ohh! So nice to meet you. (She goes over and shakes their hands.) Hello. (まあ! お会いできて光栄です。[両親のところに行って、握手する] こんにちは。)
ジョシュアのパパ(Mr. Burgin): Hi. (やあ。)
レイチェル: Hello. (こんにちは。)
ジョシュアのママ(Mrs. Burgin): Hello. Well, Joshua, that $500 was for groceries. (こんにちは。ねぇ、ジョシュア、あの 500ドルは、食料品(や日用品)のためだったのに[食料品・日用品を買うために渡した 500ドルだったのに]。)
レイチェル: What? This, this? Oh, no, oh no, no-no-no, this is not... that's not, that's not what it is. See, see, okay, I work in fashion. See and, and, this is a real dress, actually. It's, it's, they're, they're wearing it in Milan. So part of my job is to wear the clothes and then I see how people respond. And then I report back to my superiors at Bloomingdale's. So.... And obviously, in uh, in-in this case, (She grabs a pen and paper) I am going to report back: "U.S.A. not ready." (何ですか? これ、これ[この服]ですか? あぁ、違う、違う違う違う違うんです。これは違う、そういうものじゃないんです。あの、私はファッション業界で働いているんです。それで、これは本物のドレスなんです、実際に。それは… ミラノの人はそれを着ているんです。それで、私の仕事は、その服を着て、それから人々がどのように反応するかを見ることなんです。その後、ブルーミングデールズの私の上司に報告するんです。それで… 明らかに、今回の場合は、[レイチェルは(そばの台に置いてあった)ペンと紙を掴んで] 私はこのように結果を報告します。「アメリカはまだ(このドレスを受け入れる)準備ができていない。」)

セクシーにジョシュアを誘おうとしていたところを両親に見られ、気まずい空気が流れます。
レイチェルが着ているのは、紫と黒のレースのランジェリー(下着)のように見えるのですが、ト書きには、a lace nightie 「レースのネグリジェ」と書いてあります。
ネグリジェなのか下着なのかはともかく、いずれにしろ、露出度の高い、限りなく下着に近い衣装です。

気まずいながらも、レイチェルは、ジョシュアの両親と挨拶を交わします。
ジョシュアのママのセリフ、That $500 was for groceries. は、短い文章ながら、なかなか辛辣ですね。
groceries は「食料品や日用品」。このように複数形で使います。
直訳すると、「あの 500ドルは、食料品(や日用品)のため[を買うため]だった」ということ。
自分たち両親が旅行で不在になるため、事前に渡しておいたあの 500ドルは食費だったのに、という感じです。
つまり、「食費に渡したはずの 500ドルをジョシュアは別のことに使ったのね」と言っているのですが、それは暗に、目の前で露出の多いセクシーな格好をしているレイチェルを指して、「ジョシュアはその 500ドルで、この女性を買ったのね」と言っていることになりますね。
ジョシュアのママはレイチェルのことを、売春婦(a hooker, a whore)だと思っているわけです。

そのママのセリフから、自分がそういう「お金で買われた女性」であると誤解されたことに気づいたレイチェルは、「この服からそう判断されたのかもしれませんが、これはそういう服ではなくて、これは本物のドレスなんですよ・・・」と必死に弁解する流れになります。

ママは「あの 500ドルは食費だったのに」としか言っていないのですが、それだけで、「食費に渡しておいた 500ドルなのに、あなたはそれをこの女性を買うのに使ってしまったのね」と言いたいことがわかる、そこがこのセリフのポイントですね。
「あなたはお金で女性を買ったのね」とダイレクトには言わないところがセリフとしてしゃれていると思うし、そういう遠回しなニュアンスを英語のまま理解することが、「英語のセリフを楽しむ」ということだと思うのです。
ママはそのセリフで、ジョシュアが女性をお金で買ったことを示唆し、それを聞いたレイチェルも瞬時にそのセリフの意味を理解して、なんとか誤解を解こうとしている、そのやり取りを楽しんでいただけたらと思います。

また、レイチェルの必死の言い訳も面白いですね。
this というのは自分の着ている下着のような服のことで、この衣装を見てママが誤解したことがわかったので、どうして自分はこういうものを着ているのかを説明します。
a real dress というのは、「本物のドレス」ということで、とてもドレスには見えないと思いますけど、これは立派なドレスなんです、と主張しているのですね。
Milan はイタリアのミラノですね。英語では「ミラーン」という感じの発音になります。
本当はジョシュアを誘惑するための服なのですが、自分は本当にファッション業界の人間であることを利用して、これは最先端のドレスで、ミラノでは実際にこのドレスを人々は着ているんです、などと嘘をでっちあげています。

そして、ファッション業界で働く人間として、私はこの服を着て人々の反応を見て、その結果を上司に報告するという仕事をしているんです、と説明しています。
今、その結果が出た、という感じで、レイチェルは近くにあったペンとメモを取り、上司にはこのように報告することにします、と言った後、声に出しながらメモを書きます。

"U.S.A. not ready." は、U.S.A. is not ready. ということで、「アメリカはまだ準備ができていない」。
ミラノでは受け入れられているけれど、アメリカではこれをまだドレスとしては認識してもらえず、売春婦か何かかと誤解されてしまう。だから、このドレスをアメリカに持ち込むのはまだ早い、という感じですね。
実際に、アメリカの人の前で着てみたところ、まだ受け入れられる段階ではない、という貴重な結果が出ましたわ、このことを上司に報告しますわね、と言って、その場をごまかした、ということです。

ちなみに、ジョシュアのパパである、Mr. Burgin を演じているジョン・ベネット・ペリー(John Bennett Perry)は、チャンドラー役マシュー・ペリーの実のお父さんです。
Wikipedia 英語版: John Bennett Perry
IMDb: John Bennett Perry

ウィキペディアによると、何度か息子のマシュー・ペリーと共演したことがあるようですね。
今回のフレンズのことも書いてあります。(同じシーンでご対面することがなかったのは残念でしたが…)

ジョシュアのママは露骨にいやな顔はしないまでも、上のセリフのようにレイチェルのことをよく思っていないことがわかりますが、ジョシュアのパパの方は、レイチェルのセクシーな姿を見て嬉しそうな顔をしています。
資産家のご主人という設定ながらも、レイチェルにニヤニヤしてしまうところが何だか可愛くて、チャンドラー役のマシュー・ペリーの実のお父さんだと言われればそうかもなと思えるような共通点も感じられる気がしました。


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posted by Rach at 09:09| Comment(4) | フレンズ シーズン4 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
記事、書きました!!
気に入ってくれるとうれしいです。
それと、申し訳ないんですが、前にコメントしたとき、一度エラーになって、もう1度送信したら、あとで見たら、2個も同じコメントがアップされてまして、お手数ですが、削除のほうお願いします。
それでは、また来ます^^
Posted by Madeline at 2010年03月23日 13:46
Madelineさんへ
貴ブログの記事、拝読させていただきました。拙ブログや拙著を素敵にご紹介下さり、誠にありがとうございます。とっても嬉しいです!

「私が1番大好きな海外ドラマ」とおっしゃるだけあって、お詳しいですね。そういう方に参考になると思っていただけると、これからも頑張ろう!と思えます。
ご紹介ありがとうございました。これからもよろしくお願いします。
Posted by Rach at 2010年03月24日 10:21
Rachさん
チャンドラーの実のお父さんなんですね!
言われなきゃ分かなかったので読んで驚きました。確認して観てみます(^^)
レイチェルとジョシュアの現実での交際の事とかも知らなかったので、知ると更に楽しめますね。

That $500 was for~ のセリフはそう言う事を言ってたんですね。分からなかった〜 悔しい。。
Posted by Hiro at 2014年04月15日 07:31
Hiroさんへ
コメントありがとうございます。
そうなんですよ、実のお父さんが登場してたなんて、面白いですよね。私もそれを知った時に、そうなのかー!と声に出してしまいました(^^)

Wikipedia 英語版や、IMDb (Internet Movie Database) では、そういう裏話的なことも書いてくれていたりするので、ファンとしても楽しいところです。実生活で交際していた、とか聞くと、何だか余計に注目してしまいますよね^^

That $500 was for~ みたいに、「ダイレクトに言わずに、暗に非難する」というセリフは、ノンネイティブには難しいところですよね。聞いた瞬間にはわからなくても、後からその「本当の意味」がわかったりするのだけでも楽しいなと思います。そういうものの積み重ねで、今後同じようなパターンのセリフが出てきた時に、気付けるようになるんだろうと。

記事をいろんな角度で楽しんでいただけているようで嬉しいです(^^) これからもよろしくお願いします。
Posted by Rach at 2014年04月18日 10:26
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