2010年04月28日

なかなか死なぬダイハード フレンズ4-21その2

チャンドラーとジョーイは、「俺たち、エベレストに登るぞ!」と盛り上がったものの、命の危険性があることをフィービーに指摘されて、「それじゃあ、エベレスト登山のビデオを見るだけにしよう」とトーンダウンします。
ジョーイ: And while we're down at the video store, you know what else we could rent? Die Hard! (Chandler's excited.) But, y'know what? I just remembered. That Everest thing is only available through mail order. (そして、ビデオ屋にいる間に、他に何が借りられるかわかるか? ダイ・ハードだよ! [チャンドラーは興奮する] でも、ほら、俺、今、思い出しちゃった。そのエベレストのやつ(ビデオ)は、通信販売でしか買えないんだ。)
チャンドラー: (dejected) Oh, well.... ([落胆して] ああ、そうか…)
フィービー: So you guys'll stay here and hang out with me? (それじゃあ、あなたたちはここにいて、私と時間を過ごす?)
チャンドラー: Yeeeeahhhh. (あーー、そうだね。)
ジョーイ: Yeah. Yeah. (ああ。ああ。)
チャンドラー: But I'll tell you something. One of these days we're gonna get off our butts and rent Die Hard again! (でも、言っとくけどさ。いつかそのうちに、再び俺たちは腰を上げて動き出し、ダイ・ハードを借りるぞ!)
ジョーイ: Yeah we are! (そうだ、そうするぞ!)

エベレスト登山のビデオを借りるために(レンタル)ビデオショップに行けば、そのついでに「ダイ・ハード」も借りられるじゃん!とジョーイは大喜びしています。
1988年の映画「ダイ・ハード」(原題:Die Hard)は日本でも有名ですよね。
最近の洋画の邦題は「カタカナでそのまんま」のものが多くて味気ない、という意見もありますが、そういうカタカナタイトルだと、今回のように英語のセリフ内で言及された場合、日本人でも「ああ、あの映画か」とわかる利点もありますよね。

Wikipedia 日本語版: ダイ・ハード
いかにも男子が好きそうな、アクション映画の代名詞で、実際、後のエピソード フレンズ7-6 でも、フレンズ男性陣がダイ・ハードのビデオを見るシーンが出てきます。その後、ダイ・ハードに関するセリフのやり取りもあります。
そのダイ・ハードの主役を演じるブルース・ウィリスは、フレンズ6-21,22,23 にゲスト出演します(そこでは一般人を演じています)。
フレンズではこのように、俳優(有名人)として認識されているはずの人物が、別人の(一般人の)役柄でゲスト出演する、ということが時々あります。
(ウィノナ・ライダーは、3-5, 3-24 で俳優として名前が言及されますが、7-20 では一般人を演じています。スーザン・サランドンも 3-5 で俳優として名前が挙げられますが、7-15 で別の名前の女優を演じています。)

ちなみに、die hard は「なかなか死なない」「(習慣・慣習・考え方などが)なかなかなくならない、容易に滅びない」という意味です。
ブルース・ウィリス演じるジョン・マクレーン刑事が「なかなか死なない」タフな奴、だからですね。(そういうキャッチコピーがあったような、なかったような…ちょっとうろ覚えです)

LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
old habits/prejudices/customs etc. die hard :
used to say that it takes a long time to change to a new way of doing something

つまり、「古い習慣・偏見・慣習などが die hard 」という表現は、「新しいやり方に変わるのに長い時間がかかることを言うのに用いられる」ということ。
「昔からの古い習慣などは、いつまでも残っていて”なかなか死なない”」というニュアンスですね。
上にも書きましたが、映画のタイトルとして原題そのままの「ダイ・ハード」という言葉を知っている日本人は多いですよね。
英語を学びたいと思うのなら、そこからもう一歩進んで、その die hard という言葉の意味と、Old habits die hard. のような決まり文句とを一緒に覚えることで、英語の知識を増やしていけると思います。
「エンターテインメントなどの娯楽」と「語学学習」を別物と考えないこと、それが楽しく英語を学べるコツだと思っています。

エベレスト登山のビデオをレンタルしようとしたジョーイは、ある残念なことに気づきます。
そのビデオはレンタル屋さんで借りることはできず、only available through mail order だと言っていますね。
available は「入手できる」、つまり「販売されている」ということで、メールオーダー、つまり通信販売を通してのみ入手可能、通販でのみ購入できる、というニュアンスです。
こういう available は TOEIC によく登場しますね。

エベレストのビデオがレンタル店で借りられないことを知り、がっくりする二人。
結局、いつものように、セントラルパークで時を過ごすことになるのですが、チャンドラーは決意表明のように、「いつかダイ・ハードのビデオを借りるぞ!」と叫んでいます。

one of these days は「いつかそのうちに、近いうちに、近日中に」。
LAAD では、
one of these days : at some time in the future
例) One of these days I'm going to clean out the garage.

つまり、「未来のいつか」。例文は「いつかそのうちに、ガレージをきれいに掃除するつもりだ」
この例文も、今回のセリフと同じように、未来形の be going to が使われていますね。

one of がつかない these days の例文では、LAAD に以下の文章が載っています。
I don't have the time to do much exercise these days (= now, as opposed to in the past).
意味は「今は十分な運動をする時間がない」で、these days は「now の意味で、「過去に」と対照的な言葉である」と説明されています。
these days は「現在」で、one of these days は「未来」になるという違いが興味深いですね。

get off one's butt は「腰を上げる、(仕事に)取りかかる」。
今はこうして、セントラルパークでだらだら過ごしてるけど、いつかきっと、ここからすっくと立ち上がって、ビデオ店にダイ・ハードを借りに行くぞー!ということですが、よく考えてみると、そんなことはいつでもできちゃいそうな簡単なことですよね。

「エベレストに登るぞ!」→「死の危険があるから、ビデオを借りるだけにする」→「ついでにダイ・ハードも借りる」→「エベレストのビデオは通販のみで、レンタルできないことが判明」→「セントラルパークでいつものように過ごすしかない」→「でも、いつかそのうちに、ダイ・ハードのビデオを借りに行くぞ!」という流れですね。
エベレストに登ると言っていたのが、最終的に「ダイ・ハードのビデオを借りるぞ!」という話に変化してしまって、いつもの日常にスケールダウンしているにもかかわらず、それをエベレスト登山と同じような決意表明のように叫んでいる面白さ、なのでしょう。
それじゃあ、結局いつもとおんなじじゃん!というところで、それなら one of these days とか言ってないで、If you wanna rent Die Hard, just do it, now! とツッコミたくなる感じですね。


(おまけの話)
全くの余談ですが、今回の記事タイトルは、「なかなか死なないダイ・ハード」と書きたいところを「なかなか死なぬダイハード」にしました。
というのは、人気ブログランキングの新着記事のタイトルが12文字までしか表記されないので、何とかそれに全部入るように合わせたからです。
いつも12文字以内に収まるわけではありませんが、収まらない場合でも、最初の12文字で何とか記事の内容が伝わるように、いつもタイトルを考えています。

4月26日の日経新聞夕刊の「話題新書インフォメーション」で「ヤフー・トピックスの作り方」という話題の本が紹介されていました。
ヤフトピは「見出しが13文字」と決まっていて、その理由は「ひと目で内容を理解しやすい長さ」であること、また「(見出しを)13文字で抽出する、大変だけど面白い作業です」という著者のお話も載っていました。
私もいつも12文字を意識しながらタイトルを考えているので、その「13文字へのこだわり」には共感する部分が多くありました。
いざ文字にしてみると、12文字や13文字というのは、すっごく少ない文字数なんですよね。
私も、ヤフトピほどバシッとキメることはできないながらも、12文字でどこまで読者の方にアピールできるかを意識しながら記事タイトルを考えて行きたい、と改めて思いました。


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posted by Rach at 09:24| Comment(7) | フレンズ シーズン4 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
こんにちは、kentです。ブログ拝見しました。
気になる内容でしたので、コメントさせてくださいね。
英語学習法、参考になります。

英語を学習する方のために、英語教材をお得に購入できるオークション出品情報を扱っています。よろしければご覧くださいませ。
Posted by kent at 2010年04月29日 00:37
Rachさんこんにちは。
Die Hardはそういう意味だったのですね。勉強になりました。
ところで今回の解説読んでて改めてなるほどそうか、と思ったのは、なぜDie Hardが出てきたかということでした。その前のエベレスト行き、フィービーのYou would die. そしてじゃあビデオで。そしてDieのしりとりとしてDie Hard。そしてチャンドラーがass-printの続きの意味合いで、今度はbuttを使って、ここからいつか立ち上がってビデオを借りるぞ。
と言うふうに展開して落ちがついたのですね。(と自分なりに分かったつもりになりました。)
Posted by koroyakun at 2010年04月29日 21:42
kentさんへ
参考になると言っていただけて光栄です。
英語教材のオークション情報を扱っておられるのですね。頑張って下さい。


koroyakunさんへ
コメントありがとうございます。
そうですね、You would die. からの流れで、Die Hard になるのは「Die つながり」ですね。「死んじゃうわ」と言われ、ビデオを借りるだけにして、さらには「なかなか死なない男」の代名詞である映画ダイ・ハードを見る、という流れですよね。

ソファにどっかり座って ass-print を残すだけ、というのが、エベレストに ass-print を残す話になり、結局それはできないけれど、いつまでもここに尻跡を残してないで、いつかそのうちに get off our butts するぞー!ということですね。

英辞郎には get off one's ass というフレーズも載っていて、同じような意味の「卑語」だとあります。何度も ass-print という言葉を使っているので、最後も get off one's ass でも良かったのかもしれませんが、ass ばかり登場するとお下品なので(?)、わざと別の butt に変えたのかもしれませんね。単語は違うけど、また「尻」を使ったフレーズを言っている面白さなのでしょうね。
Posted by Rach at 2010年04月30日 10:24
こんばんは。
もちろん、Rachさんの記事があってこそ、こんなにFriendsを楽しめるようになったと思っています♪ありがとうございます。
DVDはシーズン4を見終わって、非常に続きが気になっているところです〜。5待ち(友人から借りているので)の今、シーズン4を復習中。
ところで、上記のwe are down at the video store...のdownはどんなニュアンスなのでしょうか?downを調べて見たのですがあまりピンとこなくて。。。
Posted by K at 2015年11月01日 20:33
Kさんへ
こんにちは。コメントありがとうございます。
「Rachさんの記事があってこそ」と言っていただけて光栄です。Friends の楽しさを少しでもお伝えできているとしたら、とても嬉しく思います。
次が気になるようなお気に入りの作品で英語を学べたりするのは、本当に素敵なことですよね♪

ご質問の、"we are down at the video store" の down について。上の記事内の訳では、そこに触れずに流してしまっていましたね^^
この時の会話は、「エベレストに登ることを考えたが、フィービーに危険だと言われ、登山のビデオを見ることにした」という流れになっていますね。
「高い山に登る代わりに、地上のビデオ屋でビデオを借りる」というニュアンスの、「高い山ではない低いこの場所」という感覚が、down に出ているのではないかと感じました。
上の階、下の階などの場所の高低差を感じながら会話をしている際に、up there, down here みたいな言い方をすることがありますが、そういう「その人が感じている高さのイメージ」が言葉に出た感じかな、と私は思いました。

「絶対にそうだ!」と断言できるほどでもないのですが(笑)、私の受けた印象はそんな感じ、というところです(^^)
Posted by Rach at 2015年11月02日 16:20
ありがとうございます〜!
へー、エベレストに対比させて…!!
日本語ではあまりない感覚ですよね(たぶん、、、)。なんだかオシャレ。日本語には日本語のオシャレ?ポイントがあると思うのですが、それぞれ違って面白いです。
今晩も引き続きRachさんブログで楽しみながらお勉強しまーす☆
Posted by K at 2015年11月02日 20:35
Kさんへ
ご丁寧なお返事、こちらこそありがとうございます!
おっしゃるように、エベレストという高い場所の話をしていたことへの「対比」としての「こっちの低い場所」という感覚だと私は思ったわけですね。
場所を表わす言葉に、さらっと up/down などが挿入されるところは、私もオシャレだなと思います(^^)

拙ブログで楽しみながら勉強していただけること、本当に嬉しく思います。私も楽しんでいただけるような記事が書けるように頑張りまーす☆
Posted by Rach at 2015年11月03日 10:38
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