シーズン4 第22話
The One with the Worst Best Man Ever (消えた指輪の行方)
原題は「史上最悪のベストマンの話」
チャンドラーとジョーイの部屋にやってきたロス。
ロス: All right. Here's the ring. (Shows Chandler the wedding ring he plans on giving Emily) (よし、ほら、これが指輪だ。[エミリーにあげる予定にしている結婚指輪をチャンドラーに見せる])
チャンドラー: (shocked) Yes, yes! A thousand times, yes! ([衝撃を受けたように] イエス、イエス! 1000回言う。イエス!って。)
ロス: So uh, any ideas for the bachelor party yet? (バチェラー・パーティーの案は何か決まった?)
ジョーイ: Whoa-whoa-whoa! Before you start handing out wedding rings and planning bachelor parties, don't you have to decide who your best man is gonna be? (おいおいおい! 結婚指輪を配ったり、バチェラー・パーティーを計画したりを始める前に、誰がベストマンになるかを決める必要があるんじゃないのか?)
チャンドラー: Oh, it's awkward. It's awkward. It's awkward. (ああ、気まずい。気まずい。気まずい。)
ロス: I sort of already asked Chandler. (僕は、その、すでにチャンドラーに頼んだんだ。)
ジョーイ: What? He got to do it at your first wedding! (何だって? チャンドラーはロスの最初の結婚式でベストマンをやったじゃないか。)
ロス: Joey, I figured you'd understand. I mean, I-I've known him a lot longer. (ジョーイ、君ならわかってくれると思うけど。ほら、(ジョーイより)チャンドラーの方をよりずっと長く知ってるし[チャンドラーの方が付き合い長いし]。)
ジョーイ: Come on, Ross! Look, I-I don't have any brothers. I'll never get to be a best man! (頼むよ、ロス! なあ、俺には男兄弟が一人もいないんだぞ。俺は一生ベストマンになることができないよ!)
チャンドラー: You can be the best man when I get married. (俺が結婚する時に、ジョーイはベストマンになれるさ。)
ジョーイ: (pause) I'll never get to be a best man! ([少しの間(ま)があって] 俺は一生、ベストマンになることができないよ!)
ロスは指輪のケースをパカッと開けて、中の指輪を見せています。
それを見てチャンドラーが、何度も Yes! と言っていますね。
このちょっと大げさな言い方は、プロポーズされた女性の真似をしているのかな?と思いました。
アメリカではプロポーズする時に、男性が女性の前にひざまずいて、指輪を見せながら、"Will you marry me?" 「僕と結婚してくれる?」と問い、それに対して女性が、"Yes." 「はい」と答える、というお決まりのパターンがありますね。
そのイメージで、結婚指輪を見せたロスに対して、恋人の女性の真似をして、「ええ、もちろんイエスよ。1000回イエスって言っちゃうわ!」みたいなセリフを言ったのかな?と思います。(言い方がちょっと女性っぽい感じもしますし)
実際のところは、ロスはチャンドラーにベストマン(花婿の付き添い役)をやってもらうために、指輪を託しているようです。(後のセリフでそれがはっきりします)
ベストマン(best man)は、複数いる花婿付き添い役(groomsmen)の中で、主要な役割を果たす人物。
ベストマンについては、フレンズ2-24その6 でも説明しています。
そういう意味では、「指輪を渡すこと=ベストマンをやってくれとお願いすること」を意味していて、ベストマンの依頼は喜んで受けるよ、という意味で何度もイエス!と言っているという解釈も可能な気がしますが、後のやり取りを聞いていると、チャンドラーにベストマンを頼むことは、もう暗黙の了解でずっと前から決まっていたような印象があります。
ですからやはり、ここでチャンドラーが何度もイエス!と言っているのは、「よっしゃ!ベストマンなら任せとけ!」という意味ではなく、プロポーズで指輪を見せられてときめく女性の真似をしている、と考えるのが自然かな?と私は思いました。
指輪を渡して、バチェラーパーティーの予定はどうなってる?と尋ねるロス。
「バチェラー・パーティー」(花婿の男性の友人が集まる、独身さよならパーティー)については、バチェラー・パーティーに付き物の… フレンズ3-12その3 でも説明しています。
その二人のやり取りを聞いていたジョーイは、指輪とかバチェラーパーティーとかよりも、ベストマンを決める方が先だろ?と言います。
それを聞いてチャンドラーは、 It's awkward. 「気まずい」と言っていますね。
awkward は「気まずい、きまり悪い」という意味。
ジョーイがベストマンを先に決めなくちゃ、と言ったことから、ジョーイはまだ誰がベストマンになるかを知らない、そして、自分もベストマン候補だと思っていることがわかりますね。
すでにベストマンの依頼を受けているチャンドラーは、そのジョーイの気持ちを知って、「もう俺に決まってるんだ」と言うことになるのが気まずい、と思っているわけです。
チャンドラーが気まずい、気まずい、と言ってつらそうなので、ここはやはり依頼人であるロスが、ジョーイに真実を告げます。
それを告げる場合も、sort of という「ちょっとはぐらかす」表現を使っていますね。
フレンズによく出てくる kind of と同じで、「はっきりと断言するのを避ける」言い方です。
ニュアンスを出して訳すと、「僕は、その、何ていうか、すでにチャンドラーに(ベストマンになってくれと)頼んじゃったんだ」という感じですね。
ジョーイがやりたがっているのがわかるので、ジョーイを傷つけないように、「あのー、そのー、実はもう頼んじゃってて…」みたいに言いにくそうに言っているのです。
それを聞いてジョーイは驚きの声を上げます。
1回目の(キャロルとの)結婚式でもチャンドラーはベストマンをやったのに、2回目もチャンドラーなのか?、チャンドラーが2回もするなんてずるいよ、チャンドラーは1回経験済みだから、今度の結婚式は当然俺だろ?と言いたいのですね。
I figured you'd understand. の you'd は、you would の略で、丁寧に訳すと、「君なら理解してくれるだろうと僕は思う」という感覚。
ベストマンをやりたいって言うジョーイの気持ちはわかるけど、チャンドラーは大学時代からの知り合いで、付き合いもずっと長いから、彼に頼むのが自然な流れなんだよ。その事情を考えたら、今回の僕の決定を受け入れてくれるだろ?という感じです。
それでもジョーイはあきらめません。
俺には男兄弟がいないから、今回のロスの結婚式を逃したら、一生ベストマンにはなれない、と言っています。
ベストマンというのは、「花婿の友人」から選ばれると思っていたのですが、ジョーイのこのセリフから判断すると、男兄弟がいる場合は、その兄弟の付添い人をすることも可能、なんでしょうか??
「一生ベストマンになれないよ!」と嘆くジョーイに、チャンドラーが「俺の時にすればいいじゃないか」と言うのですが、それを聞いて、また同じセリフ、「一生ベストマンになれないよ!」と訴えるジョーイに笑ってしまいます。
ジョーイは、チャンドラーは結婚できないと思っていることがわかります。
チャンドラーの結婚式を待ってたら一生ベストマンになれずに終わってしまう、だから今回が最後のチャンスだから、どうかロスの結婚式でベストマンをやらせてくれよ!という感じですね。
チャンドラーはジョーイを慰め、助け舟を出すつもりで「俺の時にすればいい」と言ったのに、そのセリフには全く意味がないかのようにジョーイは同じセリフを繰り返す、という面白さを感じていただければと思います。
(Rach からのお願い)
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私もベストマンなどは親友がやるイメージだったんですけど、うちのアメリカ人の主人のベストマン、グールームズマンはなんと全員兄弟たちで済ませましたよ。
兄弟がやるのはよくあることのようです。
彼の親友は結婚していて小さなお子さんもいて忙しいので、兄弟に頼む方が気が楽だと。
主人の母の再婚相手に三人の息子がいるし、主人の妹の旦那さん、実父の再婚相手の息子など、離婚再婚が当たり前の家族では探せばいくらでも兄弟はいたので(笑)。
お久しぶりです。コメントありがとうございます。一話から読んでいただけているとのこと、大変光栄で嬉しいです。
また、貴重な情報ありがとうございます。やっぱり親しい友人に頼むのが通例とは言っても、実際問題として相手の手間などを考えると、気を遣ったりもするんですね。兄弟の方が気が楽、というのは、日本人にも納得できる感覚ですね。
おっしゃるように、stepfamily の多いアメリカでは、年の似た身内を探すのは日本より簡単そうですよね。そういう方に頼むことで、また家族が広がって行くというのも、アメリカらしいのかなぁ、と思ったりします。
情報ありがとうございました。