2010年05月26日

消毒してないから産んじゃだめ フレンズ4-22その5

モニカとレイチェルの部屋で、妊婦のフィービーは突然、お腹を押さえ、contraction 「子宮の収縮、陣痛」みたい、と言います。
それを聞いて慌てるモニカとレイチェル。
フィービー: Yeah, I thought I felt one a couple of minutes ago, and now I know that definitely was one. (ええ、2、3分前に陣痛を感じたと思ったの。今、それは間違いなく陣痛だってわかるわ。)
モニカ: Oh, wait, wait, wait. You can't have the baby here! I mean, I haven't sterilised the apartment since the guys moved out! (ああ、待って待って待って。ここで赤ちゃんは産めないわ! だって、男子たちが(引っ越して)出て行ってから、アパートを消毒してないんだもん!)
レイチェル: Okay. It's okay. We're gonna be okay. Y'know what? It's okay. I'm gonna, I'm gonna, I'm gonna boil some water and just rip up some sheets! (わかった、大丈夫よ。私たちは大丈夫だわ。ほら、大丈夫。私はお湯を沸かして、シーツを裂くわ!)
フィービー: No. It's all right. It's probably false labor. They said that that can happen near the end. So just somebody get the book. (いいえ、大丈夫よ。多分、偽陣痛[前駆陣痛]ね。妊娠の終わり頃に、そういうのが起こるって言ってたわ。だから、誰か本を取って。)
モニカ: Rachel, get the book! The book! (レイチェル、本を取って! 本を取って!)
レイチェル: Okay! (Runs and grabs a book and hands it to Monica.) Okay! Here! (わかった! [走っていって、ある本を掴み、それをモニカに渡す] オッケー。はいどうぞ!)
モニカ: The Bible? (聖書?)
レイチェル: I don't know! (わかんないのよ!)

少し前に陣痛らしき痛みを感じたけど、今はそれが陣痛だって確信できる、みたいなことをフィービーは言っています。
それを聞いてモニカは、「陣痛が来たとしても、今、ここで産めないわ、産んじゃだめよ!」と叫んでいます。
その理由は、「男子たち(チャンドラーとジョーイ)が引っ越して出て行ってから、この部屋を消毒してないのよ」ということでした。
今は、モニカとレイチェルのものであるこの部屋は、賭けに負けたことで、一時期、チャンドラーとジョーイの部屋になっていました。
結局また、それぞれ元々住んでいた部屋に今は戻っているのですが、彼らが出て行ってから一度もこの部屋を消毒してないから、ここで産んじゃいけないわ、と言っているのですね。
、、、って、チャンドラーとジョーイは病原菌かっ!?と突っ込みたいところです。
どさくさに紛れて、何て失礼なことを…という感じの発言ですね。

同じように慌てているレイチェルですが、大丈夫、大丈夫、と言いながら、「私はお湯を沸かして、シーツを裂く」と言っています。
それも、何だか時代劇に出てくる江戸時代のお産の風景のようですね。

そのうちフィービーは、これは本当の陣痛ではなく、false labor だと言っています。

Wikipedia 日本語版: 分娩 の「正常分娩」の「分娩の前兆」という項目に以下の記述があります。
分娩の3〜4週間前より、不規則で1時間に2〜3回の陣痛が見られるようになり、これを偽陣痛または前駆陣痛という。

Wikipedia 英語版: Pre-labor にも以下の記述があります。
Pre-labor, also called "prodromal labor," consists of the early signs before labor starts. It is the body's preparation for real labor.
Prodromal labor has been misnamed as “false labor."

つまり、「pre-labor は、prodromal labor とも呼ばれ、陣痛が始まる前の初期兆候から成る。本当の陣痛に向けての体の準備である。predromal labor 「前駆陣痛」は false labor という誤った名前で呼ばれてきた。」

false だと「偽物」みたいで聞こえが悪いですが、実際に妊娠の過程で起こるれっきとした一症状だということですね。
それなのにまるで「偽物」みたいに、false labor という名前で呼ばれてきた、ということでしょう。

また、Braxton Hicks contractions 「ブラクストン・ヒックス収縮」も、false labor と呼ばれるようです。
Wikipedia 英語版: Braxton Hicks contractions に以下の記述があります。
Braxton Hicks contractions, also known as false labor or practice contractions are sporadic uterine contractions that usually start around 6 weeks however are not usually felt until the second trimester or third trimester of pregnancy.
つまり、「ブラクストン・ヒックス収縮(false labor や practice contractions としても知られている)は、散発的な子宮の収縮で、たいていは6週目あたりで始まるが、妊娠4-6カ月や、妊娠7-9カ月になるまでは通常感じられない。」

ブラクストン・ヒックス収縮の方は、臨月などの妊娠終期ではなく、もっと前の時期に起こる子宮の収縮を指すようですね。

フィービーは臨月くらいですから、いわゆる「前駆陣痛」を false labor と呼んでいるのでしょう。
(私は前駆陣痛を経験しなかったので、どんなものかよくわかりませんが)

妊娠終期、臨月には、本当の陣痛ではない、そういう陣痛らしきものを感じることがあると言っていたのを聞いたことがあるから、本を取って、とフィービーは言います。
妊娠のガイドブックに書いてあるだろうから、それを見せて、ということですね。
ですが、レイチェルが手渡した本は聖書。
フィービーとモニカは、the book 「その本」と特定することで、the book とは「妊娠のことが書いてある本」だという共通認識があったのですが、レイチェルは、the book と言われても、どの本のことかわかっていなかった、それで、よくわからないのでとりあえず近くに置いてあった聖書を手渡した、ということでしょう。
話し手と聞き手に共通認識があり、「その本」だと特定できる場合に the という定冠詞を使うわけですから、フィービーやモニカは、the book と表現することで、「妊娠の本」であることがレイチェルにも当然伝わると思ったのですね。
でもレイチェルだけ、「the book と言われても、いったいどの本?、そこに置いてるその聖書のこと?」のように、二人の指しているものがわかっていなかった、ということがわかりますね。


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posted by Rach at 10:11| Comment(2) | フレンズ シーズン4 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
Rachさんこんにちは、少しご無沙汰でした。
解説ありがとうございます。やはり出産の臨場感はなかなか男には想像できません。でもこの場面見て解説読んで、教科書で習わなかった英語で、こう言うのかと分って感激(?)した時のことを思い出しました。ここに出てきたlaborやcontractionなど、あとdeliveryや別のカテゴリーですが兵役のserviceなどが新鮮に感じましたね。
Posted by koroyakun at 2010年05月26日 22:05
koroyakunさんへ
コメントありがとうございます。

出産がらみの英語が登場すると、「あぁ、あれは英語ではこう表現するんだー」とわかって、何だか感慨深いです。
フレンズ1-23 の The One With the Birth などは、出産がメインのエピソードだったので、そのやり取りをずっと見て、用語や決まり文句に慣れてくると、アメリカでも出産できそうな気がしました(笑)。

特殊な状況の単語ほど、実際にそれが使われているセリフから学ぶ方が頭に入りやすい気がしますよね。
Posted by Rach at 2010年05月28日 07:30
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