フィービーと二人でアメリカに残っていたレイチェルは、フィービーと話している間に、自分がまだロスを愛していることに気付いてしまいます。
レイチェルは「これからロンドンに行くわ!」と言って、大きな荷物を持って出かけようとします。
それを何とかして止めようとするフィービー。
フィービー: I, Rachel, you can't go! Ross loves Emily. (私は…レイチェル、行っちゃだめよ! ロスはエミリーを愛してるのよ。)
レイチェル: I know, I know, I know he does. But I have to tell him how I feel! He deserves to have all the information and then he can make an informed decision. (わかってる、わかってるわ。彼がエミリーを愛してるのは知ってる。でも、私がどんな気持ちかを彼に伝えないといけないの! 彼にはすべての情報を知る権利がある。そしてそれから(それを知った後で)、情報に基づいた決断を下すことができるわ。)
フィービー: That's not why you're going! You're going because you hope he's gonna say: "Yeah, I love you too, Rach. Forget about that British chippy." (あなたが行こうとしているのはそんな理由じゃないでしょ。あなたが行こうとしてるのは、彼がこう言うだろうと願っているからよ。「ああ、僕も君を愛してるよ、レイチェル。あんなイギリスのあばずれ女のことなんか忘れよう」ってね。)
レイチェル: Ohh. Do you think he will? (まあ。彼はそう言うと思う?)
フィービー: No! Because he's in love with the British chippy! Look, Rachel, if you go, you're just gonna mess with his head and ruin his wedding! Y'know, it's too late! You missed your chance! I'm sorry. I know this must be really hard. But it's over. (いいえ! だってロスはそのイギリスのあばずれ女を愛してるんだもん! ねぇ、レイチェル、もしあなたが行ったら、あなたはロスの頭を混乱させて、彼の結婚式を台無しにすることになるだけよ! ほら、もう遅すぎるわ! あなたは自分のチャンスを逃しちゃったのよ! ごめんなさい。これがほんとうに(あなたにとって)つらいことだってわかってるわ。でも、終わったのよ。)
レイチェルは、大きくため息をついて、
レイチェル: Y'know what? No, it's not over until someone says, "I do." (Exits) (ねえ知ってる? いいえ、(まだ)終わってないわ、誰かが「誓います」と言うまではね。[出て行く])
フィービー: I do! I do! I do! (Chases her into the hall, but Rachel doesn't stop.) I do! (Gives up.) Ugh. Like I can really chase you. I'm carrying a litter! (誓います! 誓います! 誓います! [廊下までレイチェルを追いかけるが、レイチェルは立ち止まらない] 誓います! [フィービーは(レイチェルを止めるのを)あきらめる] あー、あなたを追いかけられるはずないのに。私は何匹もお腹にかかえてるのよ!)
how I feel は「私がどう感じているか」ですから、「私の気持ち」ですね。
deserve to は「…する価値がある、…するにふさわしい、…するべきだ」。
ロスは全ての情報を得るべきなのよ、それを知る権利を当然持ってるのよ、という感じです。
make a decision は「決定する、決心する」という決まり文句ですが、今回は decision に informed という形容詞がついています。
inform は「(情報など)を与える、知らせる」という意味ですから、informed は「詳しい情報に基づいた、情報を得た上での」という意味になります。
「医者が患者に詳細な説明をした上での同意」という意味の informed consent 「インフォームド・コンセント」は日本語になっていますよね。
情報に基づいた決定、というのは、レイチェルがロスを今でも愛している、ということを知った上で、エミリーと結婚するかどうか決めて欲しい、ということですね。
That's not why you're going! は、That's not the reason why you're going! ということで、「それ(今レイチェルが言ったこと)が、あなたが(ロンドンに)行こうとしている理由ではない」という意味。
「そんなことでロンドンに行こうとしてるんじゃないでしょ」とも訳せます。
「あなたは…だから行こうとしているのよ、あなたが行こうとしている理由はこうよ」と、You're going because... を使って、レイチェルの本音を突きます。
chippy というのは、「売春婦、いかがわしい女」という意味のアメリカの俗語。
なぜか、ロングマン、マクミランなどの英英辞典には載っていませんでしたが、研究社 新英和中辞典、英辞郎などの英和には載っていました。
あなたの本音はこうでしょ?と言うフィービーに一瞬、息を呑むレイチェル。
それを聞いた時は「何てひどいことを言うの?私はそんなこと思ってもいないわ」とでも言いそうに見えたのですが、その次に出た言葉は「彼はそんな風に言うと思う?」
私が告白したら、彼はそう言ってくれるかしら?とレイチェルが期待していることがわかりますね。
それにあきれたフィービーは、「とんでもない!」と言って、ロスはエミリーを愛してるんだから、そんなこと言うはずないでしょ、と否定します。
否定しながらも、自分が言った the British chippy という悪口をまだ使っているのがフィービーらしいです。
あなたが行けば彼を、そして結婚式をめちゃくちゃにしてしまうだけ、と、mess with や ruin を使って説明しています。
遅すぎる、チャンスをもう逃してしまった、と言うと、レイチェルはちょっと顔を伏せます。
それを見て、キツいことを言いすぎたと思ったフィービーは、ごめんなさい、と謝るのですが…。
ホーと大きくため息をついたレイチェルは、それであきらめる決心がついた…のかと思いきや、No, it's not over until someone says, "I do." と言い残して、心を決めたように部屋を出て行きます。
I do. は結婚式での決まり文句、
"Do you take this woman/man to be your lawful wedded wife/husband?" "I do."
「あなたは(汝は)この女性(男性)を妻(夫)とすることを誓いますか?」「誓います」
のことですね。
レイチェルは、「ロスが」ではなく「誰かが、誰かさんが」とわざとはぐらかして言ったため、フィービーは、「誰かがそれを言えばいいのなら、私が言うわ」とばかりに、何度も I do! を繰り返します。
が、心を決めたレイチェルはフィービーの言葉にひるむことなく、ロンドンに向かってしまいました。
Like I can really chase you. を直訳すると、「まるで私があなた(レイチェル)を追いかけることができるみたいに」。
つまり、「あなたを追いかけて捕まえることができるみたいに追いかけようとしてみたけれど、この私が追いかけられるはずもないのにね」というような反語表現です。
litter は「動物(犬などの)ひと腹の子」。
自分が三つ子を身ごもっていることをそう表現しているのですね。
(Rach からのお願い)
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本文とは関係のない質問名のですが、フレンズは見たことがあるけれど学習対象として見たことがなかった人が、フレンズ学習を始めるのに適したエピソードとかありますでしょうか? やはり最初から見るべきでしょうか?
レイチェルは「ロス」であるとわかりきっている人をわざと「誰かさん」と言ったのでしょうね。そしてもちろん、someone を使うことで、フィーブスが「誰かが言えばいいのなら、私が言うから」と何度も I do. を繰り返す、、、という流れにも自然に繋がるようになっているのでしょう。
今回の場合は、「次のフィーブスの "I do" の為に、わざと someone にしている」という面は強いと思いますが、レイチェルが someone を使ったことも、セリフとしては特に不自然ではない、わざとらしい感じはしない、と思います。
「フレンズ学習を始めるのに適したエピソード」については、基本的に一話完結であることから「どこからでもいい」とは思うものの、特にどれ!と指定するよりは、やはり最初から見るのが一番自然なのではないかと思います。
個人的には、フレンズ1-1(パイロット版)は難しいと感じているので、フレンズ1-1 は「とりあえずまずは」という程度の気持ちで軽く見て、あまりこだわりすぎずに 1-2 以降に進んでいくことをお薦めしたいですね。
3か所解説をお願いします。
1.01:54〜
Joey: London baby!
Chandler: Okay, 'cause that's not gonna get annoying.
Joey: (louder) London baby!!
Chandler: Hey, y'know what? I was wrong.
2.03:50〜
London callingが聞き取れません
3.17:35〜
Chandler: That was pretty intense huh? 深刻
Joey: Yeah. (Pause) Hey, I hope Ross didn't think that we just went in there because we were uncomfortable being out here!
Chandler: (glares at him) I hope he did!
よろしくお願いします。
ご質問ありがとうございます。お返事大変遅くなり申し訳ありません。
1.
ジョーイ: London, baby! (ロンドン(だぜ)、ベイビー!)
チャンドラー: Okay, 'cause that's not gonna get annoying. (いいさ、だってそれはうっとうしくならないから。)
ジョーイ: (louder) London, baby! ([より大きな声で] ロンドン(だぜ)、ベイビー!)
チャンドラー: Y'know what? I was wrong. (なあ? 俺が間違ってたよ。)
チャンドラーもロンドン行きを楽しみにしているので、ジョーイがはしゃいでもまあ問題ないという意味で「うっとうしくならないから(まあ)いいや」といったんは答えたものの、顔を近づけてさらに大きな声で言ってきたので「うっとうしくならないと言ったさっきの俺の発言は間違いだった」→「前言撤回、それ、うっとうしいからやめろ」と言ったことになると思います。
2.
The Clash の London Calling について。聞き取れないとのことですが、確かに「ロンド・コー」くらいにしか聞こえない感じはしますね。
3.
ロスがこの部屋に入ってきた時、モニカがエミリーにした助言のことで、ロスは明らかに怒っており、兄妹がモメそうになっているのを見て、15:34 で、
チャンドラー: I'm going to go to the bathrroom. (俺、トイレに行ってくる。)
と言って、チャンドラーとジョーイの二人はその部屋を出ていきます。
その後、ロスとモニカがかなり長い間議論していて、とりあえず二人が和解し出て行った後の会話が問題の部分ですね。
チャンドラー: Oh, pretty intense, huh? (あぁ、かなり深刻だな。)
ジョーイ: Yeah. (Pause) Hey, I hope Ross didn't think that we just went in there because we were uncomfortable being out here! (あぁ。[間があって] なぁ、俺たちがここにいるのが居心地悪いからあっちに行ったとロスは思ってないと思うんだけど[思ってないといいけど]。)
チャンドラー: (glares at him) I hope he did! ([ジョーイを睨んで] ロスはそう思ってると思うよ!)
あのタイミングで「トイレに行く」と言って出て行けば、気まずくなりそうだから席を外したのは明白なのに、ロスはそうは思ってないよな、と言うジョーイにあきれて、チャンドラーが「居心地悪いからあっちに行ったとロスは思ってるさ」と返したことになると思います。
I hope は「(〜であればよいと)思う」という望みや期待を表す表現ですが、「よいと思う」というよりもシンプルな「思う」に近いニュアンスだけの場合もあります。
ジョーイは「ロスが気づいてないといいな」と思っているので「思ってないといいけど」と訳してもよいですが、チャンドラーの場合は「ロスがそう思ってるといいけど」と訳すよりも「ロスはそう思ってると思う」と訳した方がしっくりくるように思いました。
ジョーイが I hope Ross didn't と言ったことに対して、チャンドラーは険しい顔でジョーイの発言を否定する様子で I hope he DID! と did を強めに言っています。
その後、ジョーイが「え、そうなの?」というようにキョロキョロ見回して、チャンドラーが「そりゃそうだろ、それがわかんないのか、ん?」というようにジョーイを見つめ返していることからも「ロスは逃げたとは思ってないよな」「ロスは逃げたと思ってるさ」とジョーイの意見を否定していることになると思います。