2010年07月17日

ホットとキュート フレンズ5-1その7

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チャンドラー: Oh. Y'know, that night meant a lot to me too. And it wasn't because I was in a bad place or anything. It just meant a lot to me 'cause you're really hot! Is that okay? (あぁ。ねぇ、あの夜は俺にとっても大きな意味があったよ。そしてそれは俺がつらい状況にいたからとかじゃないんだ。君が本当にセクシーだったから俺にとって大いに意味があったんだよ。それでいい?)
モニカ: (laughs) That's okay. ([笑って] それでいいわ。)
チャンドラー: And I'm cute too? (それで、俺もセクシー?)
モニカ: And you're cute too! (そしてあなたもセクシーよ!)
チャンドラー: Thank you. (They hug.) All right, I gotta go unpack. (ありがとう。[二人はハグする] よし、荷物を解かなきゃ。)
モニカ: Okay. (わかったわ。[二人はここでハイファイブをする])
チャンドラー: Bye. (じゃあね。)
(After he closes the door, Monica starts to follow him, but thinks better of it and stops.)
チャンドラーがドアを閉めた後、モニカは彼を追おうとするが、それを考え直して(そうしない方がいいと思い直して)立ち止まる。
チャンドラー: (entering) I'm still on London time. Does that count? ([部屋に入ってきて] 俺はまだロンドン時間なんだけど。それって有効かな?)
モニカ: Oh, that counts! (えぇ、有効ね!)
チャンドラー: Oh, good! (They start kissing.) (あぁ、良かった! [二人はキスし始める])

昨日の続きです。
「つらい時だったから、あなたと過ごせたあの夜は私にとっては大きな意味があった」と感謝の言葉を述べたモニカ。
それに対してチャンドラーも、「俺にとっても大きな意味があった」と返しています。
チャンドラーも、スピーチがスベってしまったことで、つらい思いをしていたわけですが、チャンドラーはそれが理由じゃない、と言っています。
あの夜に大きな意味があったのは、それは、君がほんとに hot だからだよ、と言っていますね。
それを聞いてモニカは思わず吹き出して笑っています。

hot というのは、この場合は、「性的に魅力的な、セクシーな」という意味ですね。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
hot : SEXUALLY ATTRACTIVE
a person who is hot is sexually attractive

つまり、「hot な人は、性的に魅力的である」

モニカは、「つらい時に友人のあなたがいてくれて私はとても救われたの、ありがとう」という感じでお礼を述べたのですが、チャンドラーは「あの夜、君はとってもセクシーだったよ」と返しているわけですね。
傷ついた者同士がお互いを慰め合ったという意味で重要だったんじゃなくて、君がセクシーであの夜二人は燃えたから、俺にとっても大切な夜になったんだ、みたいな言い方です。
長年の友人・親友であるチャンドラーが、モニカに対して「女性としてとても魅力的だった」と言ったので、モニカは恥ずかしさも含めて、思わず笑ってしまったのでしょう。

今度はチャンドラーが、自分から、「俺って cute ?」と尋ねています。
この場合の、cute も「セクシー」のような意味ですね。

LAAD では、
cute : pretty in a way that you think is sexually attractive
つまり、「性的に魅力的であると思うような感じで pretty である」

上の LAAD の語義説明には、I think she's really cute. という例文が載っていて、それだと女性に対しても使えそうに思えるのですが、実際にネイティブの方に聞いてみると、「sexually attractive という意味の cute は、男性に対してしか使わない。女性に対して cute と言うと、「子供に対する無邪気なかわいさ」みたいな感じに聞こえるので、大人の女性には使わない方が無難」だそうです。
女性に対して sexually attractive だと言いたい場合は、今回のチャンドラーのように、hot を使うべきだということですね。

I gotta go unpack. の go unpack は、go to unpack または、go and unpack の to や and が省略された形です。
go to unpack は「unpack する(荷解(ほど)きする)ために行く」、それが、go and unpack になると「行って荷をほどく」という感じになりますね。
go to unpack よりも、go and unpack の方がくだけた表現になり、さらにその and も省略されたのが、go unpack になるということです。
フレンズのセリフでは、and も省略された、go+動詞の形が圧倒的に多い気がします。

旅行の荷物を片付けるために部屋に戻ろうとするチャンドラー。
二人がハイファイブをするのが「親友」っぽくていいですね。
ロンドンではいろんなことがあったけれど、二人の友情は壊れることなく、むしろ精神的により深く分かり合えて、お互いを大切に思えた…みたいな感じが出ている気がします。
爽やかな笑顔を残して去っていくチャンドラーも素敵ですね。
このシーンを見ると、フレンズ3-6その22 で、チャンドラーとモニカがお互いを指差すシーンを思い出すのですが、ロマンチックな恋愛ばかりでなく、こういう男女の友情も素敵に描かれているのがフレンズの魅力なのかな、と改めて思いました。

チャンドラーが出て行った後、モニカはチャンドラーのところに行こうとして、でもやっぱりダメダメ…という感じで自分を制しているのに泣けますね。
でもその後、やはり同じ気持ちであったチャンドラーは戻ってきます。

チャンドラーが言った Does that count? の自動詞 count について。
LAAD では、
count :
3. BE ALLOWED [intransitive, transitive usually passive] to be allowed or accepted according to a standard, set of ideas, or set of rules, or to allow something in this way
6. IMPORTANT [intransitive] to be important or valuable

3. の意味は、「ある基準や、一連の考えや、一連の規則に従って許される、または受け入れられること。または、何かをこのような方法で許すこと」
6. の意味は、「重要であること、または価値のあること」

自動詞の count は上の 6. の語義の「重要である」という意味で使われることが多いような気がしますが、今回のチャンドラーのセリフは、3. の語義に近いように思いました。
英辞郎には、
count=【自動-2】重要である、重視される、肝心である、無視できない、値打ちがある、価値がある、有効である
という意味が載っていますが、その中で、「無視できない、有効である」という感覚が近いのかな、と思います。
日本語で言うと、「カウントされる」みたいな感覚に近い気もします。
重要か重要でないか、というよりも、「俺の中では(NYにいても)まだロンドン時間なんだけど、それってアリかな?」みたいな感じなんだろうと思います。
エッチはロンドンにいる間だけ、というルールを二人で決めていたわけですが、今でもロンドン時間だと思っても構わない?、そう思うことは許される?、そう思ってもオッケー?ということですね。

そして二人は情熱的なキスをするのですが、見ている観客も歓声を上げていますね。
フレンズ4-24 で、ベッドのシーツの下から二人が顔を出した時も驚きましたし、フレンズ5-1 でも服を脱がせようとしているシーンなどもありましたが(笑)、二人が passionate なキスをしているのをこんなにはっきりと映像として見せたのは、多分、このシーンが初めてだと思います。
エピソードの一つとして二人が勢いで(笑)寝てしまった…というのから一歩進んで、二人が今度どうなるか?ということに注目せざるを得なくなる、インパクトの強い映像だと思いました。


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posted by Rach at 06:06| Comment(10) | フレンズ シーズン5 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
Rach さん、ちょっと気になってフレンズ及び他のスクリプトでも "cute" で検索してみたのですが、やはり セクシー の意味での cute は女性から男性に対してのみ使われていました。あと、英語フォラムみたいな所では、女性に対して使う場合はあまりその人が魅力的でない場合に使う、と言う意見もありましたので、参考までに。
Posted by FDJ at 2010年07月21日 06:16
FDJさんへ
他のスクリプトも調べて下さったのですね。ありがとうございます!
私の記憶や感覚でも、「セクシー の意味での cute は女性から男性に対してのみ使われる」という気がします。
そのフォラムのお話を聞くと、女性を何と褒めていいか困った場合に、とりあえず cute と言っておけば無難かな、みたいな感じなんでしょうかねぇ?
例えば、FDJさんに日本語で「Rachさんはキュートやねぇ、、、」と言うてもらえたら素直に嬉しいですが、英語で You're (so) cute, Rach. みたいに言われた場合は、喜んどったらあかん、っちゅーことですね(笑)。
Posted by Rach at 2010年07月22日 10:20
Oh, Rach, you're soooo cute!〓(笑)
Posted by FDJ at 2010年07月22日 12:25
Dear FDJ
Wow, thank you for your "compliment." <fingers quote-mark gesture>
Feel soooo glad & honered. (笑)
Posted by Rach at 2010年07月23日 08:26
Rachさん。いつもお疲れ様です。

ちょっと前にフレンズに挫折しNHKのビジネス英語を1ヶ月ほど死ぬほど音読していたのですが、いかんせん内容に興味がわかずまた戻ってきてしまいました。また早々に挫折する可能性大ですが(汗)。

今回はちょっとでもライブ感を感じれるように(?)と思いまして現在進行中のブログに近いところということでシーズン5を買ってきてひたすらリスニング+音読してます。

ここで挫折する理由について考えてみるにつけ、Scriptを見ながらでもどうしても聞き取れない(というよりそもそも台詞内の単語が認識すら出来ない)台詞が各エピソードに必ずいくつかあり、上達という光が見えない闇の中を歩いている気分になることがあるように思います。

僕の聴覚は平均的な日本人並だと思うのですが(汗)、このどうしても単語を認識できない現象の可能性として
@そもそも日本人には認識できない
A努力と慣れで音は取れるようになる(希望的観測1)
Bネイティブにも取れてない音はあるが経験と予測でカバーできている(希望的観測2)
などがあると思うのですが・・・

ちなみに僕が5の1でどーーーしても聞き取れない(単語すら認識できない)台詞は以下の通りです(聞き取れないのでScriptのままです(爆))。

結婚式で
Mrs.ゲラー
This is worse than when he married the lesbian.

チャンドラー
It could've been worse, he coule've shot her.

式のあとのパーティーで
モニカがチャンドラーに
How could we have let this happen?(何でやっちゃったのかしら?)→7回も!

モニカが肉を食べているジョーイに
You promised Phoebe you wouldn't eat meat until she has the babies!

モニカの部屋にいたレイチェルが、やってきたモニカとチャンドラーに
Do you guys want to go downstairs and get a drink?

コマーシャルブレイク後
モニカとチャンドラーの膝の上でロスが寝てしまったシーン
モニカが
I've been looking at those doors, they look pretty sound proof, don't you think?

NYへの機内で話し込んでいたジョーイがトイレから帰ってきたモニカに
Hey, Monica, wow you've been in the bathroom for like a half-hour.

これらの台詞をRachさんがどのくらい聞き取れているのかを、失礼を承知でお聞きしたいのです(いや、本当に失礼ですね すみません)。そしてRachさんの上達の過程での経験をもとにリスニングの指針を示していただければ幸いです。

本当に図々しいのですが、これらの聞き取りに関するRachさんの回答は多くの英語学習者の参考(もしくは福音)になる思ってます。また時間がある時にでも(そんな暇無いかもしれませんが)お願いできればと思います。
Posted by 不惑前医師 at 2010年10月19日 14:04
不惑前医師さんへ
ねぎらいのお言葉、ありがとうございます。お返事が遅くなり申し訳ありません。

上で示していただいた、5-1 の聞き取れないセリフたちを、私がどの程度まで聞けているか、については、来週ぐらいにお返事させて下さい。

全般的な話をすると、やはり「聞き取りにくいセリフ」というのは常に存在します。私も一応、TOEIC のリスニングは満点ですが、だからと言って、映画やドラマのセリフが一字一句完全に漏れなく聞こえる、ということはありません。間違いなく、映画やドラマのような生きたセリフの方が、聞き取りは「断然」難しいですから。

ですから、「TOEIC で高得点が取れるようになって、映画やドラマのセリフもスラスラわかるようになった」というような体験談を聞くと、何か嘘くさいなぁ〜と思ってしまう自分がいます(笑)。
また、海外で英語を使ってバリバリお仕事されているような方でも、映画やドラマの英語は難しい、わからない、というコメントも耳にします。それの方がよっぽど真実味があります。それくらい、映画やドラマのセリフは難しいと思って下さい。何しろ、ネイティブが娯楽作品として見ているものですから、ほんとに「容赦がない」のです。
かっこいい例えで言うと、マラソン選手が高地でトレーニングしているようなもので、ドラマのセリフに耳が対応できるようになってくると、TOEIC のリスニングは「はっきり、ゆっくり」聞こえる気がする、という感じかもしれません。

具体的に 5-1 の個々のセリフについては、来週お話ししますが、「聞こえないもの、わからないものは当然ある」という事実を知っていただいて(私に限らず、どんな英語の達人でもノンネイティブであれば、やはり聞こえない部分はあると思います)、「わからないことで落ち込まない」というスタンスで続けていただきたいと思います。

挙げていただいた「単語を認識できない現象の可能性」については、
@そもそも日本人には認識できない
ということはないと思います。
私が英語のリスニングを真剣に学び直したのは32歳の頃ですが、それでも全然遅くないと思いました。もっと年齢が上でも大丈夫だろうと思います。
つまり、
A努力と慣れで音は取れるようになる(希望的観測1)
ということですね。「慣れ」は大きいです。ただその「慣れる」という行為も、ただやみくもに音の洪水を浴びているだけでは効果が薄い気がします。英語の発音について、一度じっくり、本などで一通り学ばれることをお薦めします。
そして、
Bネイティブにも取れてない音はあるが経験と予測でカバーできている(希望的観測2)
というのも間違いなくあると思います。「音そのもの」を聞き取ることが全てではない気がしますね。それよりも、英文の構造を意識しながら聞けているかどうかが大事なのかな、と。構造を把握しながら聞けていれば、意識は先へ先へと向かいますし、次に来るであろう言葉を予想・想定しながら聞くということも可能になります。

自分の経験から言うと、リスニング力がアップしたのは、耳が英語の音に慣れてきた、ということに加え、英語の構造を把握する力がついてきた、ということも大きかったと思っています。仮に音が全部拾えてそれを文字化できたとしても、その意味がわかるかどうかは、そういう構造を把握する能力によると思うのです。ネイティブのナチュラルスピードについていけるかどうかは、耳の良し悪しよりも、英語をあの英語の語順のまま受け入れられる土壌があるかどうかで決まる気がします。

5-1 のセリフについては、来週お返事させていただくことになると思います。申し訳ありませんが、もうしばらくお待ち下さいませ。
Posted by Rach at 2010年10月22日 13:38
Rachさん。

ブログアップだけでも大変なのにとても丁寧なコメントありがとうございます。というかこんなに丁寧だと申し訳ないのでもうちょっと適当にお願いします(笑)。

Rachさんの、「日本人でも音は取れるようになる」とのコメント、とても励みになります。英語耳の著者の松澤さんも100%聞き取れるようになると言ってますが、なんか遠い人が言ってるような気がして「ほんとかなあ???」と思ってましたが、もっと身近な人に言っていただけると希望が持てますよね(勝手に身近な人にしてしまってすみません(苦笑))。

発音については英語耳ほかの教本で練習し、その後の音読練習で聞き違いされない程度には発音できるようになっていると思います。またリスニングには音読で文の構造を頭に刷り込むのも大事かと思い、3年ぐらい前から多い時で2時間ぐらい音読してきました(といってもリスニング重視で音読してない時期も結構ありますが)。

そこで、Rachさんの「英語の構造を把握する力がついてきた、ということも大きかったと思っています」というところに繋がるわけですが、僕はそれを身につける方法がリスニングに続いて行う音読、シャドゥイングだと思ってやってきました。が、先日挙げたセリフ以外は、音の認識はできるもののあの猛スピードではSentenceとしての認識は不可能と思われます(特にチャンドラーのジョークといったら… なんなんだあの速さは…)。Rachさんがその力をどうやって身につけたのでしょう?

あとRachさんはフレンズ何話目ぐらいでリスニング力を実感されましたか?人それぞれ自力が違うので答えにくいかも知れませんがもし宜しければちょこっと触れて頂ければと思います。僕も高校、大学受験で結構英語は勉強したんですけどね…(泣)。

忙しい中回答いただいているだけで恐縮ですので、来週でも再来週でもそれ以降でも時間のある時にお願いいたします。
Posted by 不惑前医師 at 2010年10月22日 18:00
不惑前医師さんへ
お返事遅くなり申し訳ありません。

「英語耳」の松澤先生とは、Twitter で相互フォローさせていただいています。音を聞き取れるようになるには、まず「英語の正しい音を知る必要がある」と松澤先生もおっしゃっていますが、私もその通りだと思っています。子音・母音の個々の発音と、結合・消音などの音声変化が実際どういう「音」であるかを、多くの英語に触れることで耳に馴染ませていく、という感じでしょうか。

個々の音や音変化を知ることで、音として聞き取れる部分が増えてくるわけですが、それを sentence として認識し、意味を取ろうとするには、意味を取るために重要な部分がまずは聞けているかどうか、が大切になってくるでしょうね。

私はまず最初にDVDを「英語音声、字幕なし」で見るのですが、そこで確かめたいと思っているのは、「音がどれだけ拾えるか?」ではなくて、「音だけで意味がどこまでわかるか?」という部分です。ですから私はその時に、ディクテーションはしていません。細かい音が拾えるかどうかは、もちろんリスニングを極める上では大切なことですが、「まずは」英語の音声を聞いて意味がわかるかどうかが大切で、DVDを見る際にも、TOEIC のリスニングでも、そして、実際のネイティブとの会話でも、そこが一番のポイントになってくると思うのです。全ての音が拾えなくても、重要な言葉を英語の語順で理解する能力があれば、意味はわかるようになる、ということだと思います。

私も聞き取りに挑戦してみよう!という方のために(笑)、以下のセリフには、DVDの時間も書いておきます。
やはり、「どーーーしても聞き取れない」とおっしゃるだけあって、どの部分もリスニングは難しいですね。こういうものが全部完璧にディクテーションできなくても、TOEIC で満点は取れる、ということでもあります。全て聞き取れなくても、内容を理解することは可能なわけで、これまでに蓄積された知識が、聞こえない部分を補完してくれるということもあると思います。
そして、細かい部分まで聞けるようになるためには、この文がこういう音になるのか、ということを、多くの人が話す多くのセリフに触れることで耳で覚えていくしかない、ということだろうと思います。


1:59
結婚式で
Mrs.ゲラー: This is worse than when he married the lesbian.

これは、This is worse than ... married the lesbian. にしか聞こえませんね。
あえてカタカナで書くと、than ウェニ married the lesbian みたいな感じで、he の h の音が消えて、whene みたいになっているということでしょう。
聞こえた部分から、「これはよりひどい、レズビアンと結婚した(よりも)」みたいに意味は取れるので、全て聞き取れなくても、ママの言いたいことはわかる、という感じでしょうか。

その、はっきり聞こえない部分は、「はっきり聞こえなくてもさほど問題ないから、はっきり言っていない」ということでもあります。How you doing? で、are は意味的にさほど重要ではないから、もはや発音していないということと同じです。

英語の文には、「内容語」と「機能語」があり、「内容語」が強く発音されます。その「内容語」が文の内容を伝えてくれているのですね。弱く、そして素早く発音される「機能語」が多少わからなくても、「内容語」が英語の語順でポンポンと頭に入ってきて、その語順のままでイメージできれば、意味が取れるようになる、ということだと思っています。
(「内容語と機能語」については、野中泉さんの「英語舌のつくり方」で詳しく説明されています。)


2:16
チャンドラー: It could've been worse, he could've shot her.

最初の it は聞こえません(実際にも発音していない気がします)。worse, he could've shot her. の部分ははっきり聞こえます。shot は特に強めに発音されていますね。正直、最初の部分が、It could've been であるかどうかは私も聞き取れない気がします。
ただ、決まり文句として、It could be worse. というフレーズがあるので、聞いた時に、そのフレーズは頭に浮かぶかな、という気はします。It could've been worse. は、be が have been の形になったものですよね。


5:08
式のあとのパーティーで
モニカ: How could we have let this happen?

ここも、最初の部分は聞き取りにくいですね。let this happen は聞こえるとして、前半部分は、ハウクィヴ let this happen? みたいな感じでしょうか。頑張って何とか聞こうとトライすると、最初は How could かな?と何とか推測できるという程度だと思います。


6:57
モニカが肉を食べているジョーイに
You promised Phoebe you wouldn't eat meat until she has the babies!

最初の You は聞こえません。最後の she has the babies は聞こえます。
wouldn't eat meat などの部分は、単語の最後の -t がはっきり発音されることはないですから、どんなに頑張って聞こうとしても、ウドゥン・イー・ミー、にしか聞こえないですね。

フレンズ1-3 で、ロスの発音がくどいという話から、レイチェルが、Indeed there isn't. の最後の isn't の t をこれでもか、みたいにはっきり破裂させていましたが、それはつまり、普通はそんなに最後の t を音としてははっきり出さない、ということでもあります。

モニカは早口で有名なので、モニカのセリフを一字一句完全に聞き取ることはあきらめた方がいい、という気もします(笑)。


9:03
モニカの部屋にいたレイチェルが、やってきたモニカとチャンドラーに
Do you guys want to go downstairs and get a drink?

これは、want to が wanna になっているにしても、かなりの早口ですね。
Do you guys と最後の get a drink はまぁわかりますね。
go downstairs の部分は、stairs が聞こえますので、まぁ、そういう意味かな、と話の流れから察することは可能かな、と。drink が一番大事な部分で、何か drink に誘っているらしいセリフとわかれば十分かな、という気はします。


12:53
コマーシャルブレイク後、モニカとチャンドラーの膝の上でロスが寝てしまったシーン
モニカ: I've been looking at those doors, they look pretty soundproof, don't you think?

doors や、don't you think? はよく聞こえますが、このセリフのポイントとなる、pretty soundproof は、プリサンプ、みたいにしか聞こえない感じですね。
これは初見で聞いた時には私も聞き取れなかった気がします。
モニカはエッチのことしか今は考えていないので、door の話で、サンプ、だったら、soundproof かな、と推測することになるかもしれませんが、ちょっと難しいですね。


16:07
NYへの機内で話し込んでいたジョーイがトイレから帰ってきたモニカに
Hey, Monica, wow you've been in the bathroom for like a half-hour.

特に、bathroom という単語が、「バ・ウー」みたいに聞こえる感じですね。th の発音をするような位置に舌は来ているけれど、そこから鋭い息を出すことなく、そこで音を止めているだけ、みたいな感じです。

手でモニカが来た方向を指しているので、トイレのことだろうと見当はつきますが、これは聞き取れないことを残念がるよりも、bathroom をラフに発音すると、こんな風に th の音が消えちゃうんだぁ…という方向から、音と単語の関係を身体に染み付けて行くというアプローチが有効かな、と思います。

フレンズではあまり感じないのですが、他のドラマで、something を「サム・ン」みたいにしか聞こえない発音で言う人をよく見かけます。リスニングやスピーキングの練習のため、というよりは、英語のものまねをするんだ、というお遊び的な気持ちで、そういう極端にはしょられた感じの発音を真似てみたりすると、実際にそういう音に出会った時も聞き取れるようになってくる気がします。
アメリカ英語の特徴である「tのラ行化」(フラップ/t/)なども、自分で実際に口に出してそれを真似してみることで、リスニングの際にもその音変化が拾えるようになってきた、という経験が私にもあります。

リスニング力を何話目で実感したか?という質問は実はすごく難しくて、自分でもあまりはっきり覚えていないのです。第1話を見た時に、「全然、全く」聞き取れなかったということだけはよく覚えているのですが(笑)、それに比べて徐々に少しずつ、聞こえる部分が増えてきたのを実感していた、という記憶しかありません。
フレンズ1-8 を見た時に、これからも、この「海外ドラマのDVDを使った学習法でやっていこう!」と決心したので、その時に「何か」自分で感じたことがあったのかもしれません。特にどの部分が聞けた!という具体的なことではなく、英語のセリフを聞いて面白いと思えた部分がどこかにあったという程度だと思います。

シーズン1を一通り見終わる時には、何かしらの達成感みたいなものは感じていました。それはよく覚えています。それでシーズン2のボックスを買うことを決めたので。ただ、その時点でも、「すごくリスニング力がついた」と感じていたわけではないです。あくまで「全然わからなかったのに、少しずつ聞き取れる部分が増えてきた」という感じですね。
Posted by Rach at 2010年10月30日 10:46
Rachさん。

いつも真摯に答えて頂いてありがとうございます。

「この音は聞こえない、もしくは言っていないかも」って言うのって勇気要りますよね。リスニング力を試すような失礼な質問でしたが、やはりほっとしました。Rachさんが聞こえないならまあいっかと(笑)

でも「聞こえない音もあるけれど、それでも意味はわかる」というのは特にノンネイティブに取ってとても大事なことのように思います。リスニング力は実は英語を理解する能力だということも。

音そのものは割と取れるし発音も音変化も理解はしているのに、なぜかリスニングは出来ないという問題に少し解決の糸口が見えてきた気がします。

あとこれは仮説ですがネイティブも実は100%は聞こえていないのではと思ったりします。あくまで希望的観測ですが。機会があればネイティブに100%音が取れているか聞いてみたい気もします。でもやっぱりスクリプト通りに聞こえると答えられてがっくりきたりして…(笑)

今回は面倒なことをお願いして申し訳ありませんでした。でもやはりお願いして正解でした。ありがとうございました。
Posted by 不惑前医師 at 2010年10月30日 16:55
不惑前医師さんへ
こちらこそ、ご丁寧なお礼ありがとうございます。

私が聞こえなかった部分を示すことで、何かのお役に立てたとしたら光栄です。
TOEIC 満点と言っても、あんまり聞こえてないんじゃん、と拍子抜けした方もおられたかもしれませんが、正直なところ「こんなもん」だと思いますし、自惚れも卑下もしていません。

容赦のない映画やドラマのセリフのリスニングは、やはり TOEIC ほどにはクリアには聞こえないのは間違いないと思います。リアルさを出すために、わざとラフに言ったり、むちゃくちゃ早口でまくし立てたりもしますからね。

「ネイティブは 100% 音が取れているのか?」というお話、興味深いなと思ったので、今日、一つの記事として投稿させていただきました。

リスニングの脳内処理
http://sitcom-friends-eng.seesaa.net/article/388471687.html

普段は、「音」そのものにじっくり向き合う機会も、またそれについて深く考えることもあまりなかったので、今回は良い刺激になりました。ありがとうございました。
Posted by Rach at 2010年11月02日 12:24
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