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[Scene: Monica and Rachel's, Chandler enters to find Monica waiting patiently for him. He closes the door and they start kissing.]
モニカとレイチェルの部屋。チャンドラーが入ってきて、モニカが辛抱強くチャンドラーを待っていたことを知る。チャンドラーはドアを閉めて、二人はキスを始める。
モニカ: Oh. What took you so long? (あぁ、どうしてこんなに遅くなったの?)
チャンドラー: I got caught up and work. But I'm quitting tomorrow. ((仕事に)巻き込まれて残業してたんだ。でも明日には仕事をやめるぞ!)
モニカ: Oh, good. (あぁ、素敵。)
まずはト書きの Chandler enters to find Monica waiting... について。
この to は to不定詞の副詞的用法の「結果」ですね。
日本人英語学習者には、to不定詞の副詞的用法というと、「…するために」という「目的」のイメージが強い気がします。
それでつい、「モニカが待っているのを見つけるために部屋に入る」というように後ろから訳し上げてしまいそうになりますが、「何かを見つけるために入る」のではなくて、「入って、…であることを見つける」というのが実際のニュアンスになります。
数研出版「基礎と完成 新英文法」の p.357 の「副詞的用法 基本用法」でも、
<結果>:<目的>と異なり、通例は意図的な行動ではない。
のように説明されていますが、「BしようとしてAする」のではなくて、「Aする結果、Bする」ということになるのですね。
私はいつも、to という単語に「→(右向きの矢印)」のイメージを持っていて、今回の場合も、Chander enters → find Monica waiting というニュアンスで捉えました。
部屋に入って、そこで、モニカがそうしているのを見る、見つける、という感覚です。
「take someone 時間」は、「人に(それだけの)時間がかかる」という意味ですね。
研究社 新英和中辞典には、
The work took him a week. 「その仕事に(彼は)1週間かかった。」
という例文が載っています。
主語が仕事で、その仕事をするのに、彼に1週間という時間がかかった、ということですが、それを自然な日本語にすると、「彼はその仕事(をするの)に1週間かかった」ということになります。
英語のニュアンスは、「仕事のせいで彼は1週間という時間をとられた」という感じになるのでしょうね。
上のモニカのセリフも、意味としては「どうしてこんなに遅くなったの?」ということですが、英語そのもののニュアンスは、「何があなたの時間を(こんなに遅くなるまで)そんなに長く奪ったの?」というところでしょう。
遅くなった「理由」を尋ねているというより、あなたを帰さずに長い間引き止めていたものは「何か」を尋ねる感覚だと思います。
catch up は「(人)に追いつく」という意味でもよく使われますが、この場合は「(人)を巻き込む」という感覚が近いでしょうか。
ですから、get caught up は「(人)が…に巻き込まれる」という感じになりますね。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
be/get caught up in something : to be or become involved in something, especially something bad
つまり、「何かに巻き込まれている、もしくは、巻き込まれるようになること、特に何か悪いことに」。
I got caught up and work. は「仕事中にあることに巻き込まれて、それで仕事をしないといけなかった」みたいなニュアンスになると思います。
work は原形になっていますが、意味としては、had to work ということでしょう。
次の、But I'm quitting tomorrow. について。
未来を表す表現としては、1) will do, 2) be going to do, 3) be doing(現在進行形)の3つが主に挙げられると思いますが、このチャンドラーのセリフをその3つで表現した場合に、どういう違いが生じるかを少し考えてみたいと思います。
will と be going to の違いは、今、思いついたのか、少し前からそう思っていたのか、という違い、ですね。
ですから、I'll quit tomorrow. だとすると「思いつきの表現」となり、日本語にすると「そうだ、俺、会社やめる」と、たった今思いついたニュアンスになるでしょう。
話をしている間に今、そう思った、そう考えた感じですね。
これが、I'm going to quit tomorrow. だと、will よりももっと練った、考えた末の予定、という感じがします。
「俺、会社をやめようと思ってるんだ、やめることにしてるんだ」みたいな感じになるでしょう。
そして今回のセリフの現在進行形ですが、未来の予定がすでに確定している場合にこういう現在進行形が良く使われますね。
ですから、ここでの I'm quitting tomorrow. は、思いつきは思いつきだけれども、will よりもずっと強い意志を示している気がします。
チャンドラーも早く家に帰ってモニカとキス(など)をしたかったし、モニカが自分をずっと待っててくれたのを知って、余計に愛しさが募ったのでしょう。
仕事のせいでこんなに遅くなって、恋人のモニカにも寂しい思いをさせて…という気持ちから、「あんな会社、やめてやるぞ!」という「ゆるぎない決意」の言葉である現在進行形が使われた、という感覚だと思います。
もちろん、ほんとに会社をやめるわけではないですが、その時の気持ちは「仕事なんてどうでもいい、今すぐ辞めてやる!」という気持ちだった、ということですね。
モニカとキスしているところを見られたチャンドラーは、あくまでこれは友情のキスであることを強調するために、レイチェルとフィービーにも熱烈なキスをして、そのまま部屋を出て行きます。
ジョーイ: (Jumping out of his way) See you, man. (To the girls.) What the hell was that? ([チャンドラーが通る場所から飛びのいて] じゃあな。[女子に向かって] 今のは一体何だったんだ?)
モニカ: Probably some, y'know, European goodbye thing he picked up in London. (多分、その、チャンドラーがロンドンで身に付けたヨーロッパ風のさよなら(の行為)なのよ。)
レイチェル: That's not European! (あんなの、ヨーロッパ風じゃないわ!)
フィービー: Well, it felt French. (そうねぇ、フランス風(フレンチ)って感じだった。)
(Joey is intrigued.)
ジョーイは好奇心をそそられたような顔をする。
チャンドラーはジョーイの前を通って部屋を出て行くのですが、俺にまでキスされたらたまんないよ!というように、飛びのくジョーイも面白いですね。
Probably some, y'know, European goodbye thing he picked up in London. を正しい文章にすると、It was probably some European good-bye thing (that) he picked up in London. になるでしょう。
pick up の基本は「(ものを)拾い上げる」ですが、そこから「(知識などを)手に入れる、身につける、(外国語などを)聞き覚える」という意味にもなります。
LAAD では、
9. HABIT/BEHAVIOR pick sth up, pick up sth : if you pick up a habit or a way of behaving, you start to do it because you have spent a lot of time with a particular group of people or in a particular place
例) The children had all picked up the local accent.
つまり、「ある習慣や、ある振る舞いのやり方を pick up する、というのは、ある特定のグループと一緒に、あるいはある特定の場所で、多くの時間を過ごしたことで、それをやり始める、ということ」。
例文は、「その子供たちは、その地方のアクセント(方言)をすっかり身につけた」。
14. LEARN pick sth up, pick up sth : to learn a skill, language, or idea without much effort or without being taught in a class
例) I've picked up a few words of Russian, since I got here.
つまり、「大した努力なしに、または授業で教わることなしに、スキルや言語や考えを学ぶこと」。
例文は、「ここに着いてから、ロシア語の単語を2、3個学んだ。」
今回のセリフのニュアンスは、9 の「習慣を身につけ、それをやり始めるようになった」という感覚が近いですね。
ロンドンに長くいたせいで、ロンドンの風習を身につけちゃったんでしょうね、という感じです。
それを聞いてレイチェルは、「あんなのヨーロッパっぽいやり方じゃないわ!」と言うのですが、フィービーは「ヨーロッパっていうより、フレンチって感じよね」と言っています。
フレンチキス(French kiss)は日本語になっていますので、このセリフは日本人にもわかりやすいものですね。
英語学習者用の真面目な辞書である LAAD を見てみたら、その語義説明が妙にリアル(笑)だったので、参考までに引用させていただきます。
French kiss [noun] [countable] : a romantic kiss between two people with their mouths open and with their tongues touching
恥ずかしいので訳しません(笑)。
ジョーイが「ふーん、なるほどぉ…」みたいにへの字口をして感心した風な顔をしているのも笑えます。
「ロンドンで身につけたヨーロッパ風」→「ヨーロッパ風でも、ロンドン(イギリス)じゃなくてフレンチ(フランス)」というオチは、ある程度予想されたジョークである感じもしますが、それでもやっぱり私は笑ってしまいました。
モニカと恋人であることを隠すために、他の女性陣にもフレンチキスをしなければならなくなったチャンドラー。それで今回のタイトルも、The One With All the Kissing 「キスばかりの話」になっているわけですね。
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DVDを見直してみたところ、DVD英語字幕では、
I got caught up at work. But I'm quitting tomorrow.
と表記されていました。ネットスクリプト(transcript)で、caught up and work と書かれていたので、そのまま使ってしまったようです。ネットスクリプトを使う場合でも、事前に、DVDの字幕や音声とチェックして、間違いを訂正しているのですが、今回は見逃してしまいました。
ご指摘ありがとうございました。
まずストーリーを最後まで見たいのでRachさん学習法を取り入れるところまでいってないんですが、見る→ブログ、気になったところをチェックしつつ見直したりしつつ先に進む、は続けてます。
だんだん、あ、フレンズらしい(登場人物の○○らしい)、っていう表現に気がつくことが増えてきた気がします^^
そして、少し前にブログ存続の危機についてのところも読んで、それ以来気がついたらバナークリックさせてもらっています。
あまりくどくど書いてもアレなんですが、、今、昔よりフレンズのストーリーも英語についても深く楽しめているのはここのおかげなので、それを少しでも伝えられたらなーと、でも心の中で思ってるだけじゃ伝わらないですよね(苦笑)
たまにコメントさせてもらおうと思って入るんですが、分かりやすい方法が目の前にもあるのでこれからも実践していきますね!(英語に関係ないストーリーについて、『ですよねRachさん!やっぱそれ連想しましたよね!』みたいなのもいっぱいあるけど自粛していますw)
あの記事を読んで以来、どこかでお伝えできればと思っていたので、ここで書かせてもらいました。
さて、ここからはちゃんと英語の話なんですが(笑)
この回を観たときに、チャンドラーのBut I'm quitting tomorrow.はちょっと気になったんですね。
一瞬、え、今辞めているとこなの!?って思って、いやいやtomorrowって言うてるしこれは近未来の進行形だよな、会話の勢いで言っているからほんとに辞めはしないだろうけど…ん、でも何か違和感、何でwillじゃないんだろう?
という順でいろいろ考えたところだったので、記事を読んで強い意志、なるほど!と納得しました。
学校では未来を表す表現では意思未来とか予定とか、いろいろな言い方で習うんですが、使い分けってしっかり習ってこなかった気がします。
こういう使い分けを押さえていくと、より自分の言いたいニュアンスが出せるんだろうな、って思いました。
まだまだ読む記事があるので、ブログが続いていることに感謝しつつ、失礼致します^^
こんにちは。コメントありがとうございます。
シーズン5 まで来られて、順調に先に進まれていること、このブログを書いている者としてとても嬉しく思います。
〇〇らしい、というのに気づけるようになると、さらに楽しくなってきますよね。
それから、ブログ存続危機の記事もお読み下さったこと、本当にありがとうございます。バナークリックしていただけていることにも心より感謝申し上げます。ありがとうございます。
あの時は本当に続ける自信をなくしていたのですが、皆様の応援クリック、メッセージのおかげで私は本当に救われました。あれ以降はランキングが下がってしまった、、などと落ち込むことは全くなく、Gamiさんや他のクリックして下さっている方々にはただただ感謝の気持ちでいっぱいです。
こうして楽しくブログを続けさせていただいていること、本当に幸せに感じています。
それから、I'm quitting tomorrow. の件についてもありがとうございます。
私も学生時代は will / be going to などを含め、漠然と「未来形」としか捉えていなくて、その差について突き詰めようという気持ちにもならなかったのですが(笑)、セリフのニュアンスを考えようとすると、そういう細かい部分にもだんだん目が行くようになってきました。それが生きたセリフで英語を学ぶ効果の一つなんでしょうね。
私もブログを続けさせていただけていることに感謝しつつ、これからも楽しい記事となるよう頑張りますね♪
温かいコメント、ありがとうございました!(^^)