2010年08月12日

やめるべき時を知る フレンズ5-3その5

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[Scene: A hallway, Monica and Dan are talking.]
(病院の)廊下。モニカとダンは話をしている。
ダン: So, I'll call you tomorrow. (それじゃあ、明日、電話するよ。)
モニカ: Great. (ええ。)
(Dan leaves as Chandler enters.)
ダンは去り、チャンドラーが入ってくる。
チャンドラー: So, are you really gonna go out with that nurse man? (それで、モニカは本当に、あの看護師男とデートするつもりなの?)
モニカ: Well uh, you and I are just "goofing around." I thought, why not "goof around" with him? (そうねぇ、あなたと私はただ、「遊びで付き合ってる」のよね。私は思ったの。彼と「遊びで付き合って」もいいじゃない、って。)
チャンドラー: Y'know, I don't know if you've ever looked up the term "goofing around" in the dictionary. Well, I have, and the technical definition is, "two friends who care a lot about each other and have amazing sex and just wanna spend more time together." But if you have this new fangled dictionary that gets you mad at me, then we have to, y'know, get you my original dictionary. I am so bad at this. (ねぇ、モニカがこれまでに、"goofing around" って言葉を辞書で調べたかどうか俺は知らないけどさ。俺は調べたよ。そして、その専門的な定義はこうだ。「二人の友達がお互いをすごく大事に思って、素晴らしいエッチをして、ただもっと多くの時間を一緒に過ごしたいと思うこと」なんだよ。でももし、君に俺に対する怒りを覚えさせるようなこの新しい混乱した(?)辞書を君が持ってるのなら、そしたら、俺たちは、ほら、君に俺のオリジナルの辞書を買ってあげないといけないな。[うまく説明できないことを言い訳するように] 俺って、こういうの、すっごく苦手なんだよね。)
モニカ: I think you're better than you think you are. (あなたが自分で思っているよりもいいと私は思うわよ。)
チャンドラー: Really? Okay. So if-- (ほんとに? よし。それじゃあ、もし…)
モニカ: (interrupting) Know when to stop. ([チャンドラーの発言をさえぎって] やめるべき時を知りなさい[引き際が肝心よ]。)
チャンドラー: Y'know, I sensed that I should stop. So we're okay? (ねぇ、やめるべきだって俺も感じてたよ。それで、俺たちって大丈夫だよね?)
モニカ: Yeah. All right, I'm gonna go tell Dan that it's not gonna happen. (They kiss and as she starts to leave, Chandler starts to dance. Without turning around.) Don't do the dance. (ええ。大丈夫よ。これからダンに、デートはなし、って言いに行ってくるわね。[二人はキスをする[注:モニカがチャンドラーの頬にキスをする] そしてモニカが行こうとした時に、チャンドラーは踊り始める。(モニカは)振り返ることなしに] そのダンスをするのをやめなさい。)
チャンドラー: Right. (そうだよね。)

チャンドラーは、ダンのことを、that nurse man と言っています。
nurse の中でも特に男性のナース(a male nurse)であることを強調したくて、that nurse man と表現したのだと思います。
日本語での「あのナース男」と同じような感覚でしょう。
男であることを強調するためのチャンドラーの造語でしょうが、何となく響きが、earthman (地球人)と似ているので、実際にありそうな言葉に聞こえるのもポイントでしょうか。

Why not...? は、「なぜ…しないの? なぜ…したらだめなの?」という文字通りの意味から転じて、「もちろん…してもいいじゃない」という意味になる反語表現ですね。
上のセリフも、「あなたと私はただ "goof around" してるだけだから、(それなら)別の人と "goof around" するのがなぜいけないの?別にいいじゃない、って私は思ったの」という意味になります。

goof around については、
英辞郎では、
goof around=サボる、ぼんやりする、怠ける、ふざける
例) Should you be goofing around? 「仕事をサボってていいんですか?」

と出ています。

そのような「仕事をサボる」という意味は、フレンズ3-12その8 で、以下の形で登場しています。

ロス: Hi. What's ah, what's Mark doing answering your phone? (やあ。マークは君の電話に出たりして、何をやってるんだ?)
レイチェル: Oh, he's just goofing around. (あぁ、彼はただ、さぼってるだけよ。)
ロス: Ohhhhh yeah, that's, that's funny. Why ah, why isn't he goofing around in his own office? (あぁ、そう。それは、それは面白いね。どうして、彼は自分のオフィスでさぼらないの?)

LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
goof around : [phrasal verb] (informal) to spend time doing silly things or not doing very much
つまり、「くだらないことをして時を過ごす、またはあまり多くのことをしないで過ごす」。

意味のないことをして時間を過ごす、みたいな意味なので、「とりあえず付き合ってるだけで、あんまり深い意味はない」→「真剣ではない遊びの付き合い」みたいなことになってしまいますね。
フレンズ5-3その4 で、二人が喧嘩状態になった経緯を軽く説明しましたが、チャンドラーが、We're goofing around と表現したことで、二人の付き合いが軽いものであるとチャンドラーが言ってしまったからモニカもムッとした、ということです。

モニカが、goof around という言葉にカチンと来て、仕返しのようなことをしたと言ったのを聞いて、チャンドラーは、"goof around" という言葉の定義はこうなんだ…と説明し始めます。
looked up the term ... in the dictionary は「辞書で…という言葉を調べる」。
I don't know if you've ever looked up... 「君が今までに調べたことがあるかどうか知らないけど」の後の I have は、I have looked up ... before. 「僕は(以前に、これまでに)調べたことがある」という経験を語る現在完了形を意味します。
そして、自分が辞書で調べたという定義をモニカに説明していますね。

チャンドラーの語る「定義」を聞いていると、何だか泣けてきちゃうのですが、友達から恋人になった二人の今の気持ちを素敵に表現できている気がします。
and have amazing sex のところで、モニカも観客も笑っていますが、ちょっと感動的なセリフの中に、そういう笑いの要素も入れるのは、チャンドラーらしい「照れ」なのでしょうね。
「エッチも最高だしさ」という言葉も挟みつつ、お互いを大切に思い、一緒にもっと多くの時間を過ごしたいと思う、と表現しています。
いつも本音をジョークでごまかしてしまうチャンドラーは、その言葉を自分の本当の気持ちとしてモニカにダイレクトにぶつけることは、やはりどこか「恥ずかしい」気持ちがあるのでしょうね。
それで、「あれー、知らなかった? 俺が言った goof around って言葉の意味は辞書にはこう書いてあるんだよ」と辞書の定義として客観的に説明することで、モニカへの思いを伝えようとしているわけです。
そこがとてもチャンドラーらしくていいな、と思いました。

this new fangled dictionary について。
DVD英語字幕では、this new dictionary と表記されていますが、ネットスクリプトには、this new fangled dictionary と書いてあります。
ただ、fangled という単語が辞書に載ってないんですよねぇ。
tangled であれば「絡まった、もつれた、混乱した」のような意味なので、今ある新しい辞書は意味が混乱していて、正しい定義がわからなくなっている、という感覚で、this new tangled dictionary と表現したのかな、とも思えるのですが、音声を聞く限りはやはり、「タングルド」ではなく、「ファング…」みたいに聞こえるのです。(ですから正直、fangled の部分はよくわかりません)

モニカはその新しい辞書の意味で怒ってるのかもしれないけど、俺のオリジナルの辞書には、俺が今言ったようなことが書いてあるから、何ならそれをあげようか?とチャンドラーは言っています。
それを聞いてモニカがくすっという感じで笑っているので、「あぁ、今のはあんまりうまく説明できてなかったよねぇ」みたいな意味で、「こういうこと言うの、俺、苦手なんだ」とチャンドラーは言います。

チャンドラーの気持ちを知ったモニカは「あなたが思ってるほど悪くない、うまく説明してくれてたわよ」みたいなことを言っています。
その言葉に気を良くしたチャンドラーはさらに話を続けようとするのですが、すぐに Know when to stop. とモニカに言われてしまいます。
この命令形を直訳すると、「いつやめるべきかを知れ」ということで、「引き際を知りなさい、心得なさい」みたいな意味になります。
せっかくいいこと言ってくれたんだから、ここで終わりにしといた方がいいわよ、という感じですね。

ダンに断ってくる、と立ち去ろうとするモニカの後ろで、チャンドラーはいつもの妙な(笑)喜びのダンスを踊り出そうとします。
が、モニカにすかさず、「そのダンスはやめて」と言われてしまっていますね。
ト書きにあるように、モニカはチャンドラーを振り返ることなくそう言っています。
チャンドラーの姿を見なくても、今チャンドラーがそのダンスを踊っていることがわかる、というところも、長年の付き合いである親友の証なのでしょう。
いかにもチャンドラーとモニカっぽいオチなのが微笑ましいなと思いました。


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posted by Rach at 09:49| Comment(7) | フレンズ シーズン5 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
こんにちは。相変わらずこれだけの量を書かれるRachさんの筆力に頭が下がります。

ぼくは春に実名で本を書いてから、新ブログを立ち上げて英語関係はすべてこちらで扱うことに決めたのですが、新しい記事はおろか古い記事も移動できていません。元のブログは映画・海外ドラマとミステリーなど趣味のものだけにしました。

さて、new fangledは本来2語でnewfangledと使われて、lately come into fashion; of a new kindの意味です。LAADにもnewfangledなら見出しがあります。ただ、fangledだけでnewfangledの意味で使われることもあるようです。「ハンバーガー」から「バーガー」という単語ができたように(これをback formationといいます。というような知識を残念ながらぼくが有してわけではなく、ぼくがアメリカから持ち帰ってきたWORLD BOOK DICTIONARYという普通の人はもっていない辞書に書いています)。 disapprovingとlabel表示があるので、訳は「新しい奇特な辞書」ぐらいでしょうか。
Posted by outrageous2007 at 2010年08月12日 13:30
fangledは fake + angleのadjective化した単語らしい。
Posted by Fen at 2010年08月13日 22:35
outrageous2007さんへ
ご本を出版されたことは存じ上げていました。(遅ればせながら)おめでとうございます!
やはり、自分の本が出る、というのは嬉しいことですよね。「超頻出ポイント」にターゲットを絞るのは、TOEIC 対策として重要な要素だと私も思いました。

そして、fangled に関する貴重な情報、ありがとうございます。
newfangled の形では、研究社 新英和中辞典や英辞郎などの英和にもちゃんと載っていました。

英辞郎では、
newfangled
【形-1】最新(式)の、流行している、新奇の
【形-2】〈軽蔑的〉目新しいだけの、新しもの好きの

と出ていますが、この「軽蔑的」なニュアンスが近いのでしょうね。

残念ながら、DVD英語字幕では、this new dictionary としか表記されていませんでしたので、new fangled というネットスクリプトの単語が、newfangled という一語の言葉だと気づかなかったようです。
そしておっしゃるように、newfangled からの変形で、fangled だけでも同じような意味で使われるようになった、ということですね。

上の記事を書いた時は、とりあえず手持ちの辞書で fangle や fangled を調べたら載っていなかったので、そのままあっさりあきらめてしまったのですが(笑)、ネット検索していれば、意外に簡単に見つかっていたようです。
ネットのオンラインフリー辞書、the Free Online Dictionary には、fangled の形で載っていました。
Fangled - definition of Fangled by the Free Online Dictionary
http://www.thefreedictionary.com/Fangled

情報、ありがとうございました。


Fenさんへ
私も語源を調べてみたのですが、
LAAD の Etymology (Word Origin) には、

1400-1500 newfangle newfangled (14-16 centuries), from new + Old English fangen seized

と出ています。
つまり、fangen という古語が seized という意味だ、ということらしいです。

また、Merriam-Webster's Online Dictionary にも、fangled の部分は、take, seize という単語で説明されています。

実際のところはどうなのでしょうね。語源については、はっきりしたことを知るのは難しいですね。
Posted by Rach at 2010年08月14日 09:54
お返事ありがとうございます。そうですね。本が出た時はすごくうれしかったです。いまとなっては、ああしておけば…、というような点は結構ありますが(苦笑)。それは、あと音声レコーディングと最終ゲラチェックだけになった2冊目の本、たぶん年内にだせればという3冊目の本に反映したいと思っています。

本来ならば、Rachさんのブログの多くの読者と重なる(と推測される)一般的な英会話の実力を伸ばしたい英語学習者のために「リーディングとスピーキングを結び付ける」教材をつくろうとずっと考えているのですが、その本当に書きたい本の原稿は少し止まっています。

でも、Rachさんがこれだけの内容と分量の記事を定期的に書かれているのですから、ぼくも言い訳せずに着実に前に進むようにしたいと思います。
Posted by outrageous2007 at 2010年08月14日 13:26
outrageous2007さんへ
こちらこそ、お返事ありがとうございます。

2冊目、3冊目と着実に進んでおられるのですね。素晴らしいことだと思います。「本当に書きたい本」と、「出版社が出したい本」との間には、乖離があったりしますが、やはり、ブログなどで文字を書いている人間としては、「書きたい本」が出せるといいな、と思いますよね。

また、拙ブログの内容をお褒めいただきありがとうございます。一時期ちょっとしたスランプで、自分で納得できるものが書けなくなっていた頃があったのですが、今は記事を書くのがとても楽しいです。やっぱり私は、このブログあってこその私なのだと思います。書きたいことが書けて、それを簡単に読んでもらうことができるブログというツールは偉大ですよね。

今後ますますのご活躍をお祈りしております。私も頑張ります。
Posted by Rach at 2010年08月15日 09:21
こんにちわ!

'New-fangled' is a VERY old word, as you've seen. It has been less and less used over the past century, and now it's associated with stereotypical elderly people—although even this generation's elderly don't use it any more! Chandler, by using the word 'new-fangled', is sort of implying in this moment that he is a very old traditionalist who is averse to any new inventions or ideas.
Posted by John Fraser at 2015年01月14日 05:54
John Fraserさんへ
こんにちは。Thank you for your informative comment.

"Very old. Associated with elderly people..." I totally understand the nuance of the word.

Now I guess what Chandler tried to say is:
"Although your dictionary says that the meaning of the word 'goof around' is 'to spend your time doing silly things' or something, but I don't buy it, because my traditional and reliable dictionary says different things, which is the true meaning of the word, I believe."

Thank you, again, for the valuable info. :)
Posted by Rach at 2015年01月15日 15:43
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