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昨日の続きです。
代理母として産んだ三つ子ちゃんに話しかけているフィービー。
フィービー: (One of the babies begins to cry.) Well, if you're gonna cry.... (She starts crying.) ([赤ちゃんの一人が泣き始める] ねぇ、もしあなたが泣くことになるのなら… [フィービーも泣き始める])
if you're gonna cry.... について。
if 節に be gonna (be going to) という「未来形」が使われていますが、一般的に、「if の条件節では、未来形は使わない」というような認識がありますよね。
そこで今日は、「if の条件節での未来形」について考えてみたいと思います。
「if の条件節では、未来形は使わない」というのは、「もし明日雨が降れば」は、if it will rain tomorrow ではなく、if it rains tomorrow が正しい、という文法事項のことです。
ですが、今回のセリフは、will ではありませんが、同じように未来を表す be gonna (be going to) が使われていますね。
今回のセリフの場合は、赤ちゃんは今まだ完全には泣いていなくて、泣きかかっている状態である、この状態のまま、あなたがしばらくして泣くことになるのなら…(私も一緒に泣いてしまう…)という「未来の仮定・条件」を表している、だから、be going to が使われている、という解釈が成り立つと思います。
今回のセリフは、be going to が使われていますが、その流れから、以下では、「if の条件節に will が使われる場合」を考えてみたいと思います。
「if の条件節で、will が使われるのは「意志未来」のみ」というような認識もあるようですが、必ずしもそうとは言えません。
研究社 新英和中辞典では、if の条件節について、以下のように説明されています。
if
1 [仮定・条件を表わして] もしも…ならば、…とすれば
(1) [現在・過去・未来の実現の可能性のある事柄について推量する場合]
用法:この場合には未来[未来完了]のことでも if 節には現在[現在完了]時制を用いる; 仮定法の動詞を用いるのは 《古》
語法 (if)
次のような場合には if 節に助動詞 will が用いられる。
(1) if 節がその主語の意志にかかわる仮定・条件を表わす場合
If you will help, we'll [we shall] finish sooner. 「手伝っていただければ(仕事が)早くすみますが。」
(2) if 節が未来の仮定・条件を表わしても, 文全体が現在の事実にかかわる場合
If it will help, I'll give you support. 「お役に立つのなら支援しましょう。」
語法(1) の If you will help が「意志未来」ですね。あなたにそういう「意志・つもり」があるのなら、という感覚です。
語法(2) は、「もしそれが”将来的に”役立つのなら」という「未来の仮定」ですね。
「将来的に役立つのなら、後でそれが役立つことになるのなら、私はあなたを支援します」という感覚が、上に説明されている「未来の条件が、現在の事実にかかわる」ということになるでしょう。
このように「If の条件節 で will を使う話」については、
マーク・ピーターセンさんの 続 日本人の英語 (岩波新書) の p.123 「遅れることになったら電話する−未来形」に詳しく書かれています。
ピーターセンさんが、日本人の学生に講義していて、「われわれは、"If..." の条件節には、未来形を使わないと教わりました」と言われてびっくりした話に始まり、If I am late, I will call you. と、If I will be late, I will call you. のニュアンスの違いも説明して下さっています。
ピーターセンさんの訳では、
If I am late, I will call you. 「遅れてしまったら、電話する」
If I will be late, I will call you. 「遅れることになったら、電話する」
となっています。
未来の時点での仮定である場合は、If 節でも will を使う、というお話なのですが、興味のある方は是非、「続 日本人の英語」をお読みになって下さい。
「"If" の条件節には、未来形は用いられない」という日本の文法書の説明に腹が立った、とか、その例外として「意志未来」のみが説明されていることを面白いと思った、などの記述もあります。
そういう「変なルール」が生じた過程についても、
「"If" の条件節に未来形を使わない」という「理屈抜き」のルールで説明した方がよほど楽だからではないかと思う。」
と説明されていますが、私もそれが「アタリ」だろうなと思いました。
日本人はどうしても、If it will rain tomorrow と書いてしまいたくなる、まずはそれは違うんだよ、と言うためには、そういうルールがあるんだ、と「とりあえずは」納得させる必要があるのかもしれない、と私も思うのですね。
日本語で書かれた文法書は、日本人英語学習者のために書かれた本です。
そういう本が「日本人が犯しやすい間違い」を基準にして構成されているのは、ある程度やむを得ないことだと思います。
日本語の視点から見て不思議に思う事柄から、英語という言語の特徴に気づく、ということも大いにあると思うのですね。
そしてそういう「大雑把なルール」としての英文法を最初に学んでいれば、If の条件節で will や be going to が使われているのを見て、「あれ?」と思うこともできるわけですし。
文法はあくまで「大きな流れ」を示しているだけですから、実際に個々の言葉に当たっていく過程で、例外を知り、その知識を修正しながら、学んでいくしかないのだろう、と思います。
今回のフレンズでの、if you're gonna cry.... というフレーズも、日本語の文法書ではなかなかお目にかからない表現ですよね。
そういう言葉があると知って、そこに隠されているニュアンスを知ることが、「生きた英語」で英語を学ぶということです。
私が今回ご紹介したのは「続編」の方で、ピーターセンさんのご本ではその前作の
日本人の英語 (岩波新書) が非常に有名ですよね。
未だに新刊本並みに売れているすごい本です。
そのベストセラーの「日本人の英語」が素晴らしい本なのは、今さら私が言うまでもないですが、続編の「続 日本人の英語」も、実に素晴らしい本です。
(実は私は、こちらの「続編」の方がお気に入りなんですね。私にとっては「続編」の方が、「目からウロコ」の説明が多かったので。)
「日本語のわかる英語ネイティブスピーカーに聞きたかったのは、こういうことなんだよなぁ」と思える事柄が満載です。
「続編の方は読んでない」という方は是非そちらも合わせてお読み下さい。
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このページにリンクを貼らせていただきました。
リンクの件、ご連絡ありがとうございます。上の記事の私の説明がお役に立てたとしたらとても光栄で嬉しいです。
ご丁寧なメッセージ、ありがとうございました。
とてもわかりやすくて、勉強になります!
お返事も、ありがとうございました。
「わかりやすい、勉強になる」と言っていただけて光栄です。
こちらこそ、お返事ありがとうございました。
何回か読んだもののしっくりこないです、、、
私にはまず日本語のニュアンス自体難しいみたいです 笑
if節には未来は使えないとインプットされていたので戸惑います。。。とりあえず今回は、使われることがある、とだけインプットし直して、また細かいニュアンスは回を重ね身に付けたいと思います☆
追伸、先日のお返事読みました!いつもご丁寧にありがとうございます。
コメントありがとうございます。
おっしゃるように、「if 節には未来は使えないとインプットされて」いましたよねぇ^^
そんな風にインプットされていた人間として、マーク・ピーターセンさんのお話が非常に興味深かったので、記事内で紹介させていただきました。
こういうものは、このような実例に何度も遭遇しないと、ニュアンスは掴みにくいですよね。私もまた、次回出会った時には、今回の記事とも関連付ける形で、説明したいと思っています。
また、お返事もお読みいただきありがとうございます。
こちらこそご丁寧なお返事ありがとうございました!
お手すきの時間でお願いします。
ここのジョークは、ラマーズ法と松田自動車
を絡ませたものなのでしょうか。
解説よろしくお願いします。
03:50-
Frank: Uh, Delaware. She's on her way though, so until she gets here, I'm gonna be your coach. But don't worry, she told me all about the la-Mazda stuff.
Chandler: Yeah, that's when if you get the babies out by the end of the month, they give you 2% financing.
Frank: Yeah.
ご質問ありがとうございます。お返事大変遅くなり申し訳ありません。
おっしゃる通り、このジョークは「ラマーズ法と、自動車メーカーのマツダ」をかけたものですね。
Wikipedia 日本語版 : マツダ
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9E%E3%83%84%E3%83%80
では現在の社名について以下のように説明されています。
(引用ここから)
現在の社名は、事実上の創業者である松田重次郎の姓と、叡智・理性・調和の神を意味するゾロアスター教の最高神アフラ・マズダー(Ahura Mazdā)にちなみ、自動車産業の光明となるよう願ってつけられた。英語表記は「MAZDA」。
(引用ここまで)
英語表記が MAZDA なので、英語の発音は「マツダ」ではなく「マズダ」のような感じに聞こえます。日本のCMでも、最後に MAZDA のロゴが出る時には「マズダ」のように発音しています。
日本語読みの「マツダ」なら「ラマーズ(法)」とはあまり似ていないことになりますが、英語読みの場合だと「ラ・マズダ」にすれば「ラマーズ」に似た音に聞こえることから、「ラマーズ法」という言葉を知らないフランクが「ラ・マズダ法」と間違え、それじゃあ車のメーカーみたいだぞ、というツッコミでファイナンスの話をしたという流れになります。