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シーズン5 第4話
The One Where Phoebe Hates PBS (ロスが選ぶのはどっち?)
原題は「フィービーは PBS が大嫌い、の話」
タキシードを着て、モニカたちの部屋に入ってきたジョーイは、その理由を説明します。
ジョーイ: Well, I'm doing this telethon thing on TV. And my agent got me a job as cohost! (えっと、テレビで、テレソン(24時間テレビ)をやる予定なんだ。そしてエージェントが俺に共同司会者の仕事をゲットしてくれたんだよ!)
モニカ: Oh, that's great! (まぁ、それはすごいわね!)
ジョーイ: Yeah. A little uh, good deed for PBS, plus some TV exposure. That's the kind of math Joey likes to do. (そうなんだよ。ちょっとした、ほら、PBS に対する善行だよ。プラス、テレビに出ることもできるしね。それって、ジョーイが好きなタイプの計算だろ。)
フィービー: Ugh, PBS! (あー、PBS!)
モニカ: What's wrong with PBS? (PBS がどうかしたの[PBS に何か悪いことでもあるの]?)
フィービー: Ugh, what's right with them? (あー、PBS に何か良いことでもあるの?)
ジョーイ: Why don't you like PBS, Pheebs? (どうして PBS が嫌いなの、フィービー?)
フィービー: Okay, 'cause right after my mom killed herself, I was just in this really bad place, y'know personally. So, I just thought that it'd make me feel better if I wrote to Sesame Street, 'cause they were so nice when I was a little kid. No one ever wrote back. (いいわ。その理由はこうよ。私のママが自殺した直後に、私は本当にひどい状況にいたのよ、ほら、個人的にね。それでこう考えたの。もしセサミストリートに手紙を書いたら、気分が良くなるんじゃないか、って。だって私が小さい頃、その番組はとても優しかったから。(でも)誰も返事をくれなかった。)
チャンドラー: Well y'know a lot of those muppets don't have thumbs. (そうだな、ほら、そういうマペットたちは親指がないのが多いから。)
フィービー: All I got was a lousy keychain. And by that time, I was living in a box. I didn't have keys! (私がもらったのは、くだらないキーチェーンだったわ。そしてその時まで、私は箱に住んでたの。カギなんか持ってなかったわ!)
ジョーイは telethon という言葉を使っています。
その発音から、何となくイメージはわかりますが、telethon とは「テレビマラソン」の略ですね。
英辞郎では、
telethon=【名】テレソン、長時間テレビ放送、24時間テレビ◆テレビ+マラソン。TELE-vision + mara-THON
と出ています。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
telethon : [noun] [countable] a special television program in which famous people provide entertainment and ask people to give money to help other people.
つまり、「有名な人々がエンターテインメントを提供し、他の人を助けるためのお金を募金してくれるようにお願いする、特別なテレビ番組」。
日本でもこの夏休みの時期によくそういうチャリティー番組がありますよね。
あれを英語では、telethon と言うわけです。
deed は「行為、行動、行い」なので、good deed は文字通り「善行、善い行い」になります。
PBS は Public Broadcasting Service の略で、日本のNHK教育テレビのようなもの。
Wikipedia 英語版: Public Broadcasting Service
過去記事、フレンズ2-12その11 や、フレンズ3-12その14 でも、PBS について簡単に説明していますが、Barney & Friends、Sesame Street(セサミストリート)、Between the Lions(ライオンたちとイングリッシュ)、ZOOM などの子供向け番組が PBS で放送されたものとして挙げられます。
「セサミストリート」や「ライオンたちとイングリッシュ」は、実際に日本の教育テレビで放映されていましたので、PBS が NHK教育テレビみたいなもの、というのもすんなり納得できますね。
ジョーイは、plus 「プラス」という言葉を使っています。
この plus は「そのうえ」という意味の接続詞。
研究社 新英和中辞典では、
plus=【接】《口語》 そしてまた、そのうえ
We arrived late, plus we were hungry. 「遅く着いてそのうえ空腹だった」 (注:この用法には反対する人もいる)
と説明されています。
「この用法には反対する人もいる」とあるので、「正式な用法」とはいえないのかもしれませんが、以下のように LAAD にも載っているので、全くダメということでもない気はします。
LAAD では、
plus : [conjunction] (informal) used to add more information
例) He's really cute, plus he's got a good job.
You need a birth certificate, plus a photo I.D.
つまり、「さらに情報を付け加える時に用いられる」。
例文は、「彼はとってもセクシーで、その上、良い仕事をゲットした。」
「あなたは出生証明書、さらには写真付き身分証明書が必要です。」
日本語でも同じようなニュアンスで「プラス」という言葉を使ったりしますので、日本人にもすんなり理解できますし、同じような感覚ですぐに使えるようにもなりそうな便利な表現ですね。
exposure は「露出」。「人前に出ること」「テレビなどに出演すること」も指します。
日本語でも、「最近、あの人はテレビでの露出も増えてきた」などと言いますよね。
That's the kind of math Joey likes to do. について。
do the math は「計算する」。
フレンズ1-9その4 でも、
ジョーイ: I got one keyhole and a zillion keys! You do the math. (一つの鍵穴に対して、数え切れないくらいのカギがあるんだ。計算してくれよ。)
というセリフもありました。
自分でプラス(+)という言葉を使ったことに対して、「PBS への善行+テレビでの露出」という式は、俺が計算するのが好きなタイプの式だからね、と言っているのですね。
数字が得意なチャンドラーに比べて、計算は苦手なタイプのジョーイですが、「こういう足し算は好きだから」と言っているわけです。
PBS の話題が出て、フィービーは見るからにいやそうな顔をして、いやそうな声を出しています。
What's wrong with...? は「…のどこが悪いの?、なぜ…はダメなの?」という決まり文句。
そう尋ねられてフィービーは、What's right with them? 「…のどこが良いの? なぜ…は良いの?」と返しています。
What's right with...? という表現は一般的ではないでしょうが、wrong という言葉を使って質問してきたモニカに対して、正反対の right という言葉で「じゃあ逆に、PBS の何が良いって言えるのよ?」と、反抗的に返した、ということでしょう。
「どうして…するの?」と聞かれて、「じゃあ逆に、どうして…しないの?」と聞き返すのと同じパターンですね。
フィービーは PBS を嫌いな理由を説明しています。
子供の頃、あの番組が好きだったから、ママの自殺後に落ち込んでいる時に手紙を書いたんだけど、返事をくれなかったのよ、というのがその理由です。
「返事を書こうにも、マペットのあの手の形状じゃ、手紙を書けなかったんじゃないかな」とチャンドラーは言っています。
ヒューマノイドタイプのキャラも結構いるように思うのですが(笑)、実際のところは返事を書くのは番組のスタッフだとわかっていながら、「マペットには返事を書くのは無理だったんだよ」とジョークを言っているのですね。
返事の代わりに、PBS はキーチェーンを送ってきた、と言ってフィービーは怒っています。
その頃まで私は「箱」に住んでいた、と言っていますが、これは恐らく、路上生活をしていた、ということでしょう。
フィービーが若い頃、street で生活していた、という話はこれまでにも何度か出てきましたしね。
カギがついているようなまともな家じゃない、箱みたいなところに住んでいたから、カギなんて持ってなかったのよ。そんな私にキーチェーンなんか送ってきて!と怒っているわけです。
PBS としては感謝の気持ちを込めて、ロゴ入りのチェーンを送ってきたのでしょうが、それが却ってフィービーの怒りを増幅させることになってしまった、という流れですね。
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一瞬迷ったんですが、過去の時点の話で仮定法を使う場合って、上記の時制でいいんでしたっけ?
コメントありがとうございます。
このセリフのニュアンスでは、この時制で合っていると思います。
仮定法過去完了が使われる場合は、「過去の事実に反対の仮定」の場合ですね。その場合は「もしあの時…していたら、〜しただろうに(実際にはしなかった)」というニュアンスになります。
フィービーの I just thought... のセリフは、その当時にどんな気持ちだったかを語っていて、"It will make me feel better if I write to Sesame Street." 「もしセサミストリートに手紙を書いたら、気分が良くなるだろう」と「思った」ので、「実際にそうしてみた」ということですね。
if I write の部分は「事実に反対の仮定」を表す「仮定法」ではなくて、ただの「仮定の if 節」になると思います。それが、I thought と合体して、時制の一致で、will が would、write が wrote になった、ということでしょう。
「あの当時、セサミストリートに手紙を書いていたら気分が良くなっただろうに(当時はそうしなかった、そうしなくて残念だった)」というニュアンスなら、仮定法過去完了の形を使って、
It'd have made me feel better if I'd written to Sesame Street.
になると思います。