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セントラルパークにロスが入ってきます。
ロス: Well, Emily's willing to work on the relationship. (えーっと、エミリーは(僕たちの)関係について努力することはいとわない、って。)
モニカ: That's great! (それは良かったわね!)
チャンドラー: Yes! (そうだよ!)
ロス: In London! (ロンドン、でね!)
モニカ: What? (何ですって?)
ロス: She wants me to move to London. (エミリーは僕がロンドンに引っ越すことを望んでるんだ。)
モニカ: But you live here. (Ross rolls his eyes.) You know that. (でもロスはここに住んでるのよ。[ロスはあきれたように目をグルグル回す] ロスはそんなこと、わかってるわよね。)
レイチェル: What, what, what are you gonna do? (あなたはどうするつもりなの?)
ロス: I bet if I talk to Carol and Susan I could convince them to move to London... with Ben. (キャロルとスーザンに話をしたら、二人をロンドンに引っ越すように説得できるんじゃないかな、って思うんだ。ベンも一緒にね。)
モニカ: Yeah, I'm sure your ex-wife would be more than happy to move to another country so you can patch things up with your new wife. (ええ。私も間違いないって思うわ。あなたが新妻と事態を収拾できるように、あなたの元妻は別の国に引っ越すのをすごく嬉しく思うだろう、ってね。)
ロス: It could happen. ([少しの沈黙の後] あり得るかもよ。)
willing to do は「…するのをいとわないで、…してもかまわない」。
フレンズ4-2その4 でも、be willing to do のニュアンスについて説明しています。
work on は「…に取り組む、…に励む」ということなので、ここでは「…について努力する」のような意味になります。
やっとエミリーが関係修復に前向きになったことを喜ぶフレンズたちですが、ロスは、In London! だと大きな声で言っています。
エミリーはイギリスで一からやり直そうと言っているのですね。
エミリーは僕にイギリスに来るように言ってるんだ、と説明するロスに、モニカは But you live here. と反射的に返してしまいます。
ト書きの roll one's eyes は文字通り、「目をグルグル回す」こと。
映像でもロスは目をぐるっと回していますが、そこには、あまりにも当たり前の事実を口に出して言ったモニカに対する「あきれた」気持ちが出ています。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
roll your eyes : to move your eyes around and up, especially in order to show that you are annoyed
例) My friends roll their eyes when I mention her name.
つまり、「目を回し、上へ動かすこと。特に自分がむっとしていることを示すために」。
例文は、「私が彼女の名前を出すと、友達は目をぐるっと回した(あきれてむっとした顔をした)。」
今回のエピソードでは、これより前のシーンで、「私利私欲のない善行」(unselfish good deeds, selfless good deeds)があるかないかで不毛な会話をしているジョーイとフィービーの間に座っているチャンドラーについても、Chandler rolls his eyes. というト書きが入っていました。
上のロスのセリフは、「そんなこと言われなくてもわかってるさ!」という気持ちを口に出して言う気も起こらないほど、あきれている感じですね。
そんなロスの表情を見て、ロスの言いたいことを察したモニカは、自分から「そんなこと、あなたはわかってるわよね、当然」と言っているのです。
ロスがアメリカを離れたくない理由は、「息子のベンがいるから」だと、ロスは以前から言っていました。
今回の件も、それがネックになっているようですね。
対策として、元妻のキャロルたちをイギリスに住むように説得できたら、ベンも一緒に行くことになるし…などと言っています。
bet は元々「(金などを)賭(か)ける」という意味なので、「I bet (that)+文」の形で使うと、「…だと主張する、断言する」「きっと…だと思う」のような意味になります。
could で少し表現が婉曲になっていますので、ベンたちをロンドンに移住させることができる可能性はあると思ってるんだ、というところですね。
それを聞いてモニカは、I'm sure 「私は…を確信しているわ、きっと…よね」という言葉を使って、ロスがやろうとしていることを、少し言葉を変えて表現しています。
more than は happy を修飾してその意味を強めていて、「より以上に、十二分に」というニュアンス。
patch は「つぎあて」の「パッチ」で、動詞では「…に継ぎ(つぎ)を当てる、あて布を当てる」「修繕する」という意味になります。
そこからもっと抽象的な意味での「(喧嘩など)を収める、収拾する、修復する」という意味にもなるのですね。
things は「物事、事態」という感覚なので、patch things up で「事態を収拾する」という感じになります。
LAAD では、
patch something/somebody up, patch up something/somebody [phrasal verb] : to end an argument because you want to stay friendly with someone
例) They made an effort to patch up their marriage.
Do you think you two can patch things up?
つまり、「誰かと友好的な関係でいたいから、口論をやめること」。
例文は、「彼らは結婚を修復するための努力をした。」「あなたがた二人は事態を修復できると思いますか?」
まさに上の LAAD の例文は、今回の状況にぴったりです。
モニカのセリフのキーワードは「元妻」「新妻」「別の国」ですね。
「ええ、私も確信してるわ」と言いながら、その実、「そんなことあり得ないじゃない、常識で考えてみなさいよ」と言いたい気持ちが出ています。
元夫が結婚したばかりの新妻と関係を修復するために(するため”だけ”に)、元妻がパートナーと子供を連れて遠い異国に引っ越す…なんてこと、普通はあり得ないでしょ!とモニカは言いたいのですね。
ロスがよく認識できていない厳しい現実を突きつける形で、でも言葉上では「確かにそういう引越しに、キャロルは喜んで応じてくれると思うわぁー」と皮肉を言っているわけです。
もちろんロスにはその皮肉がわかったので、しばらく絶句した後に、「あり得ないとはいえない、あるかもしれない」みたいに負け惜しみのセリフを言うことになるのですね。
このロスとモニカのやり取りは、文字通りに訳してみると、I bet に対して Yeah, I'm sure と返しているわけですから、「僕はこう思うんだ」「えぇ、私もきっとそうだと思うわ」と肯定している形になるのですが、実際のところは「そりゃそうよねー、キャロルはその話を聞いたらきっと喜ぶわよねぇー?」と思い切り皮肉を言っている、そのやり取りを感じていただけたらと思っています。
TOEIC のような試験では、こういう皮肉はまず登場しませんよね。
でも実際の会話は、ドラマや映画のように、ちょっと皮肉を言ってみたり、わざと反語的表現を使ってみたり、ということはよくあります。
親しくなるほど、そういう会話の味付けも増えてきますし、そういうのが理解できて初めて「会話が楽しめる」と言える気がします。
無味乾燥ではない会話の妙を楽しめるのも、生きた会話で英語を学ぶ楽しみの一つだと思っています。
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