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チャンドラーの部屋に、モニカが入ってきます。
モニカ: Uh, listen, I need that broiling pan that Joey borrowed the other day. (あぁ、ねぇ、こないだジョーイが借りてった、あのブロイラーパン(焼肉用の皿)が必要なんだけど。)
チャンドラー: Oh, that was yours? Uh, yeah, we used it when the duck was throwing up caterpillars. (あぁ、あれはモニカのだったの? その、俺たちそれを使っちゃったんだよね、アヒルがイモ虫を吐いてた時にさ。)
モニカ: Williams-Sonoma, fall catalog, page 27. (ウィリアムズ・ソノマ、秋のカタログ、27ページ。)
チャンドラー: Expect it in 4 to 6 weeks. (She starts to leave.) Umm, hey, umm, Joey's gonna be at the telethon for the rest of the day. We have the whole place to ourselves. (4週間後から6週間後までのお届けになります。[モニカは出て行こうとする] あのー、ほら、あのさ、ジョーイは今日ずっとテレソンに出てるよ。この部屋全部、俺たちが独占できるんだけど。)
モニカ: Yeah, so? (そう。それで?)
チャンドラー: Well, I just thought maybe you'd wanna book some time with "the best you've ever had." (えーっと、多分、モニカは「史上最高(のエッチ)」との時間を予約したいと思ってるかな、って思っただけだけど。)
モニカ: Y'know what, champ? I think I'll pass. (ねぇ、チャンプ。私はパスするわ。)
チャンドラー: Why? (どうして?)
モニカ: Why? (She hops into the living room and imitates Chandler's happy dance.) (どうして、ですって? [モニカはリビングの方にぴょんと飛んで、チャンドラーのハッピーダンスを真似する])
チャンドラー: What's your point? (何が言いたいの?)
broil は「(肉を)直火で焼く」。broiler は「ブロイラー、焼肉用の若鶏」「焼肉用の器具」になります。
pan はフライパンのパンで「浅いなべ」または「オーブン用の皿」を意味します。
broiling pan は「直火で焼くためのパン」ということになりますが、英辞郎に broiler pan が出ているので、それと同じものでしょう。
英辞郎では、
broiler pan=《料理》焼き皿、ブロイラー・パン◆オーブンに入れて焼くための皿。
とあります。
Google の画像検索では、broiling pan でも、broiler pan でも、どちらも同じような写真がヒットします。
焼けた肉汁が隙間から下に落ちるようになっている形状のものですね。
そのパンを返して欲しいというモニカに、チャンドラーは、「モニカからの借り物だって知らなくて、アヒルがイモ虫・毛虫を吐いた時の受け皿として使っちゃったよ…」と言っています。
それを聞いたモニカは、そのことを非難したりはせずに、ただ、Williams-Sonoma, fall catalog, page 27. とだけ言っています。
カタログの27ページ、という言葉だけでも何となくモニカの言いたいことは日本人にも想像できる気はしますね。
Williams-Sonoma がブランド名であることがわかればよりピンと来やすいでしょう。
Williams-Sonoma (ウィリアムズ・ソノマ)は、キッチン用品のお店、ブランドの名前です。
公式サイトはこちら。
Cookware, Cooking Utensils, Kitchen Decor & Gourmet Foods / Williams-Sonoma
ウィキペディアはこちら。
Wikipedia 英語版: Williams-Sonoma
フレンズ3-12その26 で、"Hold Everything" catalog (「ホールド・エブリシング」カタログ)という言葉が出てきた時に、それに関連して、ウィリアムズ・ソノマについても触れました。
私(モニカ)がよく購入しているキッチン用品「ウィリアムズ・ソノマ」のカタログに、そのパンが載ってるから、忘れずに注文しといてよ、とモニカは言っているわけですね。
それを言うのに、「私が貸したパンをそんなことに使うなんて。弁償してもらうからね。それはカタログの p.27 に載ってるから…」などとくどくど説明せずに、「ウィリアムズ・ソノマ、秋のカタログ、27ページ」と単語だけ並べるところが、このセリフの面白さだと思います。
それに対してのチャンドラーの返事も面白いですね。
Expect it in 4 to 6 weeks. を直訳すると、「4〜6週間後にそのパンが着くのを期待して待て」みたいな命令形になりますが、それはつまり、「4〜6週間で、そのパンが届きますから、それまでしばらくお待ち下さいね」みたいな感じの意味になるでしょう。
多分、そのカタログにはよく「この商品の発送には、4〜6週間かかります」との注意書きが書いてある、そのイメージを使って、「ちゃんと注文しとくからさ。ちょっと時間がかかっちゃうけど待っててね」と言っているのですね。
この短いやり取りの中で、「カタログ見てちゃんと頼んどいてよ」「了解。6週間かかっちゃうかもしれないけど」と伝え合えている、お互いをよく知る長年の仲だからこそ言える「ノリ」みたいなものを感じていただけたら、と思います。
ブロイラーパンのことだけ言ってそのまま出て行こうとするモニカに、チャンドラーは声をかけます。
have...to oneself を直訳すると、「自分だけに…を持っている」ということで、は「…を独占する、独り占めする、自分(たち)だけで好きなように使う」という意味になります。
ジョーイはしばらく帰ってこないから、この部屋を二人だけで好きなように使えちゃうんだぜ、と言っているわけです。
このセリフだけでも、「今なら誰にも邪魔されずにエッチもできちゃうよ」と「誘っている」のはわかりますね。
しかし、モニカは Yeah, so? と返します。
それでチャンドラーは、「二人だけで部屋を使える」というボカした表現ではなくて、もう少し具体的に説明しています。
その I just thought maybe you'd wanna book some time with "the best you've ever had." というセリフについて。
book は「予約する」ですから、「モニカは多分 "the best you've ever had" との時間を予約したいと思ってるんじゃないかな、って俺は思っただけなんだよ」ということですね。
引用符で括られた "the best you've ever had" というのは、俺(チャンドラー)という「人」を表している感覚だと思います。
抽象的な言葉で「人」を表しているために、引用符でくくっているように思えます。
book some time with... の with という前置詞も、「(人)と一緒の[一緒に過ごす]時間を予約する」というニュアンスが感じられますしね。
「俺と一緒の時間を予約したいんじゃないの?」と言いながら、俺っていうのはつまり、モニカが言っていた、"the best you've ever had" なわけだけど、と、「史上最高の人、史上最高のエッチをした人」と言われたことを自分のキャッチフレーズとして使っている感覚かな、と思いました。
「史上最高」というフレーズについては、まず今回のエピソードの前半に、
レイチェル: I wanna meet this guy who's the best sex she ever had. (モニカのこれまでの最高のエッチ、っていうその男性に会いたいわ。)
というセリフがありました。(解説では飛ばしています)
このセリフから、モニカ本人がそのセリフを言うシーンはないながらも、そういう感想を親友のレイチェルには話した、ということがわかりますね。
その事実を知ったチャンドラーはとても嬉しくなって、
前回の記事、フレンズ5-4その3 で、
チャンドラー: I mean if this guy was me and it was me who had learned that it was me who was the best you'd ever had, (だって、もしこの男性が俺だったら、そして、君の今までの最高の(エッチの)相手が俺だってことを知ったら)
と言ったわけです。
(the) best という名詞には、「最上の人、最高の人」という意味があるので、the best you'd ever had は、「君の人生の中で最高の人」と訳すことも可能ですが、最初にレイチェルが、the best sex she ever had と言っていることから、その後に出てくる the best という言葉には常に、the best sex のイメージが付いて回っている気がします。
ですから、上のチャンドラーの the best you've ever had という表現も、ただの the best ではなくて、the best sex と表現するのをあえて the best で止めているような気がするのですね。
the best だけで、何がベストだと言っているのかがわかるからでしょうし、具体的な名詞を挙げないことで、却って the best sex を指しているのを強調している気がするのです。
with me と言う代わりに、with "the best you've ever had" と表現する感覚は、自分自身のことを、Mr."the best (sex) you've ever had" 「ミスター・史上最高の sex、史上最高の sex くん」と表現している感覚に近い気がします。
そういう「人」のイメージがあると考えると、レイチェルが言った最初のフレーズ、this guy who's the best sex she ever had で、人を表す関係代名詞である who が使われている理由も納得できる気がします。
つまり、this guy is the best sex she ever had という意味になるわけですが、the best sex が「行為」を指すとすると、who が使われるのは違和感がある、the best sex を Mr. "the best sex..." みたいな意味で使っているとすると、who でも納得できる気がするのです。
モニカは俺を「史上最高のエッチ(の相手)」だと思ってるんだろ? その男との時間を予約したいんじゃないのかな?」と言ってチャンドラーは誘っているわけですが、そこまで言っているのに(笑)、モニカはあっさり「パスするわ」と言っています。
champ は champion ですから、自分を史上最高だと言って得意気なチャンドラーに対して、「自信満々のチャンピオンさん」と呼びかける感覚でしょう。
いつもなら二人きりになるとすぐ始めようとするのに(笑)、今回はあっさり断られてしまい、チャンドラーは理由を尋ねます。
それに対して、言葉では説明せずに、チャンドラーのハッピーダンスを大袈裟に真似してみせるモニカ。
エッチしたら、また「俺は史上最高なんだよ!」と大喜びしちゃって、このダンスを始めちゃうでしょ?と言いたいのですね。
バカにしたようにチャンドラーのダンスを真似するモニカを見つめていたチャンドラーのセリフ、What's your point? 「何が言いたいの?」が何だか妙におかしいです。
「そのダンスをバカにしてるの? それを踊る俺がバカだとでも言いたいわけ?」という気持ちでしょうが、口で説明せずに、ダンスの真似だけで理由を語ろうとするモニカに対して、「で、モニカの話のポイントは何だ? いったいそのダンスで何が言いたいんだ?」とむすっとした顔で言っているわけで、(うまく説明できないのですが)私は思わず笑ってしまいました。
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