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[Scene: Monica and Rachel's, Monica and Phoebe are cooking, Chandler is reading a magazine.]
モニカとレイチェルの部屋。モニカとフィービーは料理をしている。チャンドラーは雑誌を読んでいる。
ロス: (entering) Okay, that's it. I cannot make this decision! It is too difficult. So I'm just gonna leave it entirely up to the gods of fate. (He holds up and starts shaking a...) ([入ってきて] よし、それで終わりだ。僕はこんな決心はできないよ! 難しすぎる。だから僕はただその決定を完全に運命の神(々)にゆだねることにするよ。[ロスはあるものを掲げて、それを振る])
モニカ: A Magic 8 Ball? You can't be serious. You can't make this decision with a toy! (マジック・エイト・ボール? 冗談よね。おもちゃで意思決定をすることなんてできないわ!)
フィービー: Ooh, it's not a toy. (あぁ、それはおもちゃじゃないわ。)
ロス: Well, I don't know what else to do! I mean, I either keep my wife and lose one of my, my best friends or I keep my friend and get divorced for the second time before I'm 30! So, so if anyone else has, has a better suggestion, let's hear it. 'Cause I, I got nothing! All right, don't be shy. Any suggestion will do. (There are none.) Okay, then. Here we go. Magic 8 Ball, should I never see Rachel again? (He turns it over and reads the answer) "Ask Again Later." Later is not good enough. (He shakes it up again and reads the answer.) "Ask Again Later." What the hell? This is broken! It, it is broken! (その、僕は他に何をすべきかわからないんだよ! つまり、妻をそばに置いて、僕の親友を失うか、もしくは、友達を選んで30歳になる前に2度目の離婚をするかのどちらかなんだよ! だから、だからもし(僕以外の)他の誰かにこれより良い提案があるのなら、それを聞こうじゃないか。だって、僕には何にもないんだから! よし、遠慮しないで。どんな提案でもオッケーだよ。[提案はない] よし、それじゃあ、いくよ。マジック・エイト・ボール、僕は二度とレイチェルに会わない方がいいですか? [ロスはボールをひっくり返して答えを読む] 「後で再び尋ねよ」。 後で、じゃダメなんだよ。[ロスはボールを再び振って答えを読む] 「後で再び尋ねよ」。一体どういうことだ? これは壊れてる! そのボールは壊れてるんだ!)
モニカ: All right, let me see. (She grabs the 8 ball.) Will Chandler have sex tonight? (Reads the answer.) "Don't Count On It." Seems like it works to me. (いいわ。見せて。[モニカはエイトボールを掴む] チャンドラーは今夜エッチしますか? [答えを読む] 「当てにするな[期待するな]」。私には、ボールはちゃんと機能しているように思えるけど。)
エミリーから、「私とやり直すつもりなら、もう二度とレイチェルと会わないと約束して」と言われてしまったロス。
妻を選ぶか、長年の親友を選ぶかでロスは迷っています。
決めかねたロスは、手に持っているものに決定をゆだねることにするのですが…。
fate は「運命」なので、gods of fate は文字通り「運命の神」。
通常、英語では、「神」は、God という大文字で表され、それはキリスト教の神である「イエス・キリスト」を意味しますね。
今回のように gods と小文字、さらには複数形になっているのは、その「キリスト」ではなく、異教の神、今回のイメージでは恐らく、ギリシャ神話・ローマ神話などに出てくるような神々のイメージでしょう。
神話の世界では、それぞれの神々にそれぞれの役割がありますね。
the god of day 「日輪の神」は Apollo 「アポロ、アポロン」、
the god of the sea 「海の神」は、ギリシャ神話では Poseidon 「ポセイドン」、ローマ神話では Neptune 「ネプチューン」と呼ばれています。
the fates of god の場合は gods と複数になっていますが、これは「運命の三女神」を指していると思われます。
Wikipedia 日本語版: モイラ (ギリシア神話)
ウィキペディアの説明では、
モイライは、ギリシア神話における「運命の三女神」である。幾つかの伝承があるが、ラケシス、クロートー、アトロポスの3人で、姉妹とされる。
モイライは複数形で、単数ではモイラと呼ぶ。
とあります。
私は神話に詳しいわけではないのですが、永野護さんの漫画「ファイブスター物語」に、「運命の3人の女神」として、ラキシス、アトロポス、クローソーというキャラクターが出てきますので、運命の女神が3人いることを私はたまたま知っていただけなのですが…(オタクな知識もたまには役に立ちます…笑)
leave it up to... は「…に任せる、ゆだねる」。
leave it up to one's judgment なら「…の判断に任せる」ですね。
それを、entirely 「完全に」という副詞でさらに強調しています。
ロスが見せたものを見て、モニカはあきれています。
You can't be serious. を直訳すると、「あなたが本気であるはずがない」で、「嘘でしょ、冗談でしょ」と、相手の言動を信じられないと言っていることになります。
モニカは「そんなおもちゃで決めるなんて」と言っていますが、フィービーは「おもちゃじゃないわ」と反論していますね。
このやり取りからも、ロスが持っているものは一般的に「おもちゃ」と認識されているものであることがわかります。
マジック・エイト・ボール(Magic 8 Ball)についての詳しい説明は以下のウィキペディアで。
Wikipedia 英語版: Magic 8-Ball
最初の説明部分を引用させていただきますと、
The Magic 8-Ball is a toy used for fortune-telling or seeking advice, manufactured by Mattel.
つまり、「マジック・エイト・ボールは、占い、または、助言を求めるのに使われるおもちゃで、マテル社によって製造されている。」ということです。
Design の項目に、ボールの仕組みや使い方が書いてありますので、興味のある方は合わせてお読み下さい。
ビリヤードの the (black) 8 ball に似せた形状なので、この名前があるようですね。
仕組みを簡単に説明すると、ボールの中の液体に正20面体のさいころが浮かんでいて、その20個の表面にはある言葉が書いてあります。
ボールを動かすことで、中身のさいころも動き、何か質問をした後、窓から覗いた時に見えた言葉がお告げの言葉になる、という感じです。(私は現物を見たことないのですが…)
日本のおみくじに近い感覚でしょう。
製造元のマテル社の、以下の公式サイト、
Mattel - MattelGameFinder.com では、
Magic 8 Ball (R) Demo があり、
Ask a Question... Shake the ball for the answer.
と書いてあります。
Shake Me!! の部分をクリックすると、ボールが揺れて回転し、文字が出てくる、という仕組みです。
ネット上で雰囲気を味わえる感じですね。
フィービーは霊感が強く、スピリチュアルなものを信じる人なので、「これはただのおもちゃじゃない」と頑張っているのも彼女らしいところです。
そんなおもちゃに頼るなんて、とモニカに非難されて、他に方法はないんだ、とロスは反論します。
keep my wife はまさに「妻をキープする」という感覚で、今は遠く離れたところにいる妻を自分のところに連れてきて、そのまま自分の近くにいさせる、という感じでしょう。
「ずっと持っている」という keep の基本的な意味の通りですね。
keep a dog なら「犬を飼う」ですが、それも自分のそばにずっといさせるイメージですよね。
自分のそばにいて欲しいのは、自分がキープすべきなのはどちらか、でロスは悩んでいて、もし親友のレイチェルを選んでしまったら、30前にして2度目の離婚を経験することになる、と言っています。
Any suggestion will do. の will do は「役に立つ、間に合う」。
誰か他に良い案があったら言ってくれ、とロスは言いますが、他の人からは何も意見は出てきません。
そこで、最後の頼みである、マジック・エイト・ボールに質問をします。
出てきた答えは、"Ask Again Later." 「後で再び尋ねよ」。
もう一度やってもまたその同じ答えなのに笑ってしまいますね。
上のウィキペディアに書いてあるのですが、Ask again later というのは、マジック・エイト・ボールの答えとして実際に存在するものです。
ウィキペディアの説明では、20個の Standard answers が一覧になっています。
ありがたいことに、答えの種類を、affirmative 「肯定的」(緑)、negative 「否定的」(赤)、non-committal 「どっちつかずの、あいまいな」(黄)の3種類に色分けしてくれていますね。
Ask again later は「どっちつかずの答え」に該当します。
決死の覚悟で、ボールに運命をゆだねたのに、何回やっても「どっちつかずのあいまいな答え」しか返ってこない、そこがこのシーンの面白さなわけです。
このボール壊れてる!と怒るロス。
今度はモニカがそのボールに質問します。
count on は「…を当てにする、…を期待する」。
チャンドラーは今夜のエッチを期待できない、という答えですね。
ウィキペディアにも、否定的な答えとして、Don't count on it が載っています。
モニカは、チャンドラーのハッピーダンスにげんなりして、今はエッチする気分ではありません。
それを考えると、このボールの予言は当たってると言えるので、他の人にはその事情は説明できないながらも、ボールは正しく機能してるみたいよ、と言っているのですね。
それは同時に、近くにいるチャンドラーに対して、「今はそういう気持ちになれないから、今夜のエッチはなしだからね」と宣告していることにもなります。
なお、余談ですが、過去のエピソードでも、マジック・エイト・ボール関連のセリフが出てきました。
フレンズ1-22 で、フィービーがチャンドラーの秘書のバイトをするシーン。
ロスからかかってきた電話に、秘書らしく応対した後、
フィービー: This is so fun! All right, what do we do now? (これってとっても楽しいわ! よし、今は何をするの?)
チャンドラー: Well, now I actually have to get to work. (そうだな、実は、今は、(こんな風に二人で遊んでないで)仕事に取り掛からないと。)
フィービー: "Most likely." [raises and goes toward the door] Okay, I'm gonna be out there. (「多分[十中八九]。[立ち上がり、ドアのところへ行く] オッケー、外に出てくるね。)
ネットスクリプトのト書きには、あまり詳しく書いてありませんが、君とこうやって秘書ごっこするのも楽しいけど、俺はそろそろマジで仕事を始めなきゃ、と言われたフィービーは、チャンドラーの机の上にあるボールを見て、Most likely と言っています。
このボールが、今回登場したマジック・エイト・ボールなのですね。
ウィキペディアに、「肯定的な答え」の一つとして、Most likely が載っていたので、間違いないと思います。
実はずっとこの "Most likely." というセリフが気になっていて、なんかおみくじっぽいものを見てのセリフのような気がしていたのですが、今回、マジック・エイト・ボールについて詳しく調べていて、それがお決まりの答えであることを知ったのですね。
長年の謎が解けて、ちょっと嬉しいです(笑)。
これで、1-22 と今回の 5-4 のセリフで、マジック・エイト・ボールの、肯定的な答え(Most likely)、否定的な答え(Don't count on it)、どっちつかずの答え(Ask again later)の3種類全てが登場したことになりますね。
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そういう意味でフィービーの"Ooh, it's not atoy."というセリフにも かなり笑いがあったのですがこれもimplicationがあるのでしょうか?
あとつまらないことお聞きしますが、しばらく前の出産シーンで赤ちゃんがすごくリアルでしたが、本物だと思いますか?
いつもそのように解説をお褒めいただき、ありがとうございます。そう言っていただけると、本当に励みになります。
フィービーの、"Ooh, it's not a toy." で笑いが起きたのは、非常にフィービーらしい反応だったから、かなと私は思いました。「そんなオモチャで…」というセリフも、現実的なモニカらしいし、それに真剣に反論するところもまたフィービーらしくて楽しい、と。
「たかがおもちゃ」と言ってしまえばそれまでですが、自分では決めかねる場合にそういうものに頼ってしまうことはあるのかもしれませんよね。アメリカではジャンケンよりもコイントスで決めることが多いですが、それと似た感覚があるのかもしれません。
前回 5-3 の出産シーン、赤ちゃん、すごくリアルでしたよね。動いていましたし(笑)、人形じゃなくてやっぱり本物ですよね、きっと。
子役俳優とか、赤ちゃん俳優はわかるのですが、あそこまでの「新生児俳優」っているんでしょうかねぇ? でも、リアルな作品であれば、人形を使うわけにもいかないので、ああいう撮影に使える新生児、が存在するのでしょうね。ほんとに生まれたてで湯気が出てそうで、そんな子、どっから連れて来たんだ?って感じですよね(笑)。