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シーズン5 第6話
The One with the Yeti (雪男に胸キュン!)
原題は「雪男の話」
セントラルパークにロスが入ってくる。
ロス: (entering) Hey! ([入ってきて] やあ!)
ガンター: Oh, Ross? Ross! You can't put up flyers in here. (あぁ、ロス? ロス! ここにビラを掲示しちゃだめだ。)
ロス: How come? Everybody else does. (どうして? 他のみんなはそうしてるのに。)
ガンター: You can't. (君はだめなんだ。)
モニカ: What is that? (それ、なあに?)
ロス: Oh, umm, I'm just getting rid of a couple of things. (あぁ、うーんと、僕はただ、所持品を2、3個、処分しようとしてるんだよ。)
モニカ: (looking at the flyer) This is all of your things. ([ビラを見て] これって、ロスの所持品の全てじゃないの。)
ロス: Yes, yes, it is! No, but it's good, it's, Emily thinks we should get all new stuff. Stuff that's just ours. Together. Y'know, brand new. (そう、そうだね! いや、でもいいんだ。僕らは全部新しいものを買うべきだってエミリーは思ってるんだよ。僕たちだけのものをね。一緒に、ほら、新品を。)
モニカ: So basically, this is a getting-rid-of-anything-Rachel-ever-touched sale. (じゃ、基本的に、これって、「レイチェルが今まで触ったものはどんなものでも処分する」セールなのね。)
ロス: Touched, used, sat on, slept on.... ((今までに)触った、使った、座った、寝た…)
ガンター: I'll take it all. (僕が全部もらうよ。)
put up はここでは「(掲示などを)掲げる、掲示する」。
put up a notice on a bulletin board だと「掲示板に掲示を出す」ですね。
flyer は flier とも綴り、「ビラ、チラシ」という意味になります。
私は flier という単語は映画「バック・トゥ・ザ・フューチャー」で覚えました。
"Save the clock tower!" 「時計台を守りましょう!」と言いながら、ビラを配っていた女性に、マーティーが募金した時に、その女性が、"Thank you. Don't forget to take a flier." 「ありがとう。ビラを(受け取るのを)お忘れなく」と返すセリフがあったんですよね。
そのチラシが後々、物語の重要なアイテムになることもあって、印象に残っていました。
You can't... 「君は…できない、…してはいけない」と言われ、ロスは、「他のみんなはしてるのに、僕だけどうしてだめなの?」みたいに聞き返していますね。
それに対して、理由も述べず、ただ、You can't. を繰り返すガンターが面白いです。
理由も何も、他の人がどうであろうとも、とにかく君はだめなんだ、と有無を言わさない感じです。
ガンターはずっとレイチェルに片想いしていて、ロスに対して敵意を持っているために、嫌がらせのようなことを言っているわけですが、当のロスは全くそれに気付いていない…というのがいつものパターンなのですね。
get rid of は「…を処分する、取り除く」。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
get rid of somebody/something : to throw away, sell etc. something you do not want or use anymore
例) I got rid of all those old CDs.
つまり、「自分が欲しくないもの、またはもう使わないものを捨てる、または売るなどすること」。
例文は、「その古いCD全部を処分した。」
今回はまさにその sell 「売る」のニュアンスですね。
a couple of things 「持ち物を2、3個」と言ったロスに対して、モニカが、all of your things と返すのも面白いです。
ロスは所持品2、3個とか言うけど、数個どころか家財道具一式じゃない!と言ったところですね。
チラシにはありとあらゆる家具や電化製品が書いてあったのでしょう。
そう指摘されたロスは、そのことを認めた上で、二人で新しいもの、僕たちだけのもの、新品を買おうとしてるんだ、それはエミリーの考えなんだよ、と説明しています。
Emily thinks の部分で、モニカはピンと来たようですね。
あぁ、つまり、このビラに書いてあるセールは、基本、こういうコンセプトなのね?という感じで、this is a getting-rid-of-anything-Rachel-ever-touched sale. という言葉で表現しています。
getting-rid-of-anything-Rachel-ever-touched の部分は、長い文章をハイフンで繋げることで、形容詞化したものですね。
This is a 〜 sale. 「これは〜の(〜という)セールである」という文章のセールを説明する部分がハイフンで繋がった形容詞になっていて、「レイチェルが今まで触ったものはどんなものでも処分する」っていうセールなんだぁ…と、その目的をモニカはズバリ指摘した、ということです。
それを当てられてしまったロスは、触ったもの、だけじゃなくて…みたいな感じで、used, sat on, slept on... という動詞を並べています。
モニカが表現した、getting-rid-of-anything-Rachel-ever-touched の touched の部分を、used, sat on, slept on に置き換えたもの、何もかもを処分するんだ、ということですね。
touched と used は他動詞なので、touched something の形になりますが、sat (sit), slept (sleep) は自動詞なので、sat on the chair, slept on the bed のように必ず前置詞 on が必要になります。
日本人はこのように目的語が前に来ると、最後の on を忘れてしまいがちになりますが、What are you talking about? の about のように、必要な前置詞は必ず文尾に残ります。
今回のセリフでも、「on がないと何だか気持ち悪い」という感覚になれると、いい感じ、だと思います。
レイチェルが触ったもの、使ったもの、座ったもの、寝たもの…と挙げていくのを聞いて、ガンターが I'll take it all. と言うのがまた面白いです。
どうやら、slept on が効いたようですね(笑)。
それまではビラを貼るのにも反対していたガンターでしたが、「レイチェルが寝たベッド」と聞いた途端に、それを買おうと決意した、その「その時、決めた」感覚が、I'll の will に出ています。
これが、I'm going to take it all. だと、その話を聞く前から買おうと決めていたことになってしまい、この状況にはそぐわないセリフとなってしまいます。
恋敵のロスの野郎が物を売ろうとしてることに協力なんかしてやるかぁ!という感じで、ビラの掲示に反対していたのに、売り物がレイチェルがらみのものであると知るやいなや、「僕、それ全部いただきます」みたいにころっと態度を変える、その面白さが、will に出ている、ということですね。
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またまた解説にない所なんですが・・・
フィビーのママが遺品を送ってきたときのセリフ:
Doesn't she know me but at all?
このbut at allが判らなくていろいろ調べてみました。で、"not but that"で(that以下)でないとは言わないが、
(that以下)とはいうものの、 というのを見つけました。これだとすると
「彼女(フィビーママ)は私のことをすべてとは言わないけど知らない訳?」となるのでしょうか? そうなのかなぁと思うんだけど自信がなくてRachさんの一押しが欲しくて・・・
他の考え方もあれば合わせて教えてください。よろしくお願いします。
コメントありがとうございます。
Doesn't she know me but at all? って、よく見ると、ちょっと気になる表現ですよね。but のない Doesn't she know me at all? なら、not ... at all 「全然・少しも〜でない」、つまり「彼女(私のママ)は私のことを全然知らないの? 少しもわかってないの?」ですんなり納得できるところですが^^
この but は「強意の副詞」のようですね。
研究社 新英和中辞典では、副詞の but として、以下の語義が載っていました。
but 【副】
1. ただ、ほんの、…だけ
He's but a child. 彼はほんの子供にすぎない。
2. [強意に用いて]《米俗》 まったく、本当に、断然
That horse is but fast. あの馬は実に速い。
英辞郎にも、
but=【副-2】〈米〉非常に、絶対に、まさに
と出ています。
ですから、not at all の at all を「強調」する副詞として使われていて、それを日本語訳に出そうとすると、「彼女(私のママ)は私のことを全然まったく知らないの? ほんの少しも、これっぽっちもわかってないの?」のように、「少しもない、全くない」ことを大げさに表現するような訳になるのかな、と思います。
このような「強意」の意味の but は、英英辞典 Merriam-Webster Online Dictionary では、
http://www.merriam-webster.com/dictionary/but
but [adverb] : used as an intensive <get there but fast>
つまり、副詞。強意語(an intensive)として使われる。例文は「そこにものすごく速く、到達・到着する」。
英和辞典に(米)と出ているように、主にアメリカで使われる用法のようですね。
He's only a child. のような意味で、He's but a child. と使うことはたまに見かけますが、「ただ〜だけ」というような「限定感」が、「とにかく、ただ、ひたすら」みたいに何かを強調する強意語として使われるようになったという感覚かな、と思ったりします。
ということで、Doesn't she know me but at all? は、Doesn't she know me at all? と大意は同じで、それを強めた表現だ、ということですね。
今回自信がなくてお聞きしたけど聞いて良かったです。英語は暗記ではないけれど知らないと訳せない、意味の取れないことって結構ありますよね。一つ一つつぶしていかなくちゃ。
これからも疑問に思ったこと書かせていただきますね、どうぞよろしくお願いします。
こちらこそ、いつもご丁寧なお返事ありがとうございます。
日本人学習者にとっては、「but=しかし」という逆接のイメージが強すぎて、but と来ると、何だか but より前の発言を「ひっくり返す」つまり「否定する」かのようなイメージを持ってしまいそうになりがちかもしれません。
今回のように、not... but at all と使う用法は、「アメリカの俗語」で、それほど頻繁に目にするものではないかもしれませんが、「ちょっと変わった用法があったな」と記憶にとどめておくことで、また強意の but に出会った時に、「これは!」と思い出せるかもしれませんね。
この but の用法自体はそれほど重要な項目ではないかもしれませんが、きちんとセリフをチェックしながら、「この but は何?!」と立ち止まることが、英語学習においては何より大切だと思います。その作業は時間もかかるし、大変だと思いますが、私もそうやって「一つ一つつぶしてきた」ことが自信と確信となって、ブログを続ける力となってくれています。
どんなささいなことでも、気になることがあれば、これからもどしどしご質問下さいね♪