2010年09月20日

あんな姿じゃなかったら フレンズ5-6その4

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レイチェルとモニカは、「倉庫で、毛むくじゃらの雪男みたいなヤツと会った!」と大騒ぎしていましたが、それは下の階に引っ越してきたダニーという男性だと判明します。
不審者だと思って、スプレー式殺虫剤(bug bomb)の霧・煙を彼に浴びせた二人は、彼の部屋に謝りに行くのですが、彼は何を言っても、Okay. と軽く言うだけで、謝罪を真剣に聞いてくれませんでした。
そして、その後の話。
アパートメントのロビーのメールボックスの前。買い物袋を提げたレイチェルは、メールボックスをチェック中の男性を見て、「あら、ちょっといい男」みたいな顔で挨拶します。
レイチェル: Hi! (はーい。)
それを見て、ふっと鼻で笑う彼。
ダニー: So you like the short hair better? (じゃあ、君は短い髪の方が好きなんだ?)
レイチェル: What? Yeti? I mean Danny? (何? 雪男? あ、じゃなくて、ダニー?)
ダニー: I had to cut my hair to get rid of the uh, fogger smell. (あの(殺虫剤)噴霧器の臭いを取る[取り除く]ために、髪を切らないといけなかったんだ。)
レイチェル: Oh. Listen, I'm so sorry. I would, I would've never fogged you, y'know, if you hadn't looked so.... Y'know. (あぁ、聞いて、本当にごめんなさい。あなたに(殺虫剤の)煙を浴びせたりなんかしなかっただろうのに、もし(あの時の)あなたの見かけがそんなに…じゃなかったらね、ほら…。)
ダニー: Absolutely. Some people are just into appearances. (全くだね。見かけにだけ興味を持つ人もいるからね。)
レイチェル: (shocked) What? ([ショックを受けて] 何ですって?)
ダニー: That's cool. That's cool. (Starts to leave.) (それでいい。それでいいよ。 [立ち去ろうとする])
レイチェル: What? Hey! No, no, no! That is not cool! You don't even know me! (何ですって? ちょっと! 違う違う違う。そんなの良くないわ! あなたは私のことを知りもしないくせに!)
ダニー: Come on, you got the shopping bags and the Saks catalogue. (おいおい、君は買い物袋とサックス(・フィフス・アベニュー)のカタログを持ってるじゃないか。)
レイチェル: So, from that, you think you've got me all figured out? Well, you don't! Y'know, I, I could have toys for underprivileged kids in here! (それで、そのことから、あなたは私のことを全部理解したと思ってるの? そうねぇ、あなたはわかってない! ほら、ここ(このアパートメント)に住んでる恵まれない子供たちへのおもちゃを持ってる、って可能性もあるわ。)
ダニー: Do you? (そうなの?)
レイチェル: Well, y'know, if, if kids like to play with capri pants. (そうねぇ、ほら、もし、子供がカプリパンツで遊ぶのが好きだとしたらね。)
ダニー: Okay. (Heads for his apartment.) (オッケー。[自分のアパートの部屋に向かう])
レイチェル: And stop saying that! I hate that! (それと、それを言うのはやめて! それ、大嫌いなの!)
ダニー: Okay! (オッケー。)

So you like the short hair better? は、「それじゃあ、君は短い髪の毛の方が(より)好きなんだね」という感じ。
何かと比較して、短い髪の方が好き、と言っているので、長い髪と比較して…?、もしかして、あなたはあのボサボサ頭のダニー?…という連想がレイチェルにも働いたわけですね。
So 「それじゃあ」というニュアンスは、ちょっと興味を持って自分から声を掛けてきたレイチェルを見て、「以前の髪型の時は、不審者だと思って殺虫剤を浴びせたりしたくせに、こざっぱりした俺には、そんな風な顔で声を掛けるってことは、こういう見かけの方が君は好みみたいだね」と言いたい気持ちが感じられます。

髪の毛の話でピンと来たレイチェルは、あなたがあの雪男?…じゃなくて、ダニーなの?と驚いています。
yeti は今回のエピソードタイトルにも使われていますが「イエティー、雪男」。
Wikipedia 日本語版: イエティ
Wikipedia 英語版: Yeti
全身毛むくじゃらの男、みたいなイメージですね。

I mean は「私の言いたいことは、つまり」という挿入句ですが、この場合は特に、思わず相手のことを「あの雪男?」みたいに言ってしまった失言を撤回して、「私が言いたかったのはそういうことじゃなくて」と「訂正して言い直す」ニュアンスです。

見違える姿になったダニーに驚くレイチェルに、ダニーは髪の毛を切った理由を説明しています。
get rid of は、フレンズ5-6その1 で「処分する」という意味で出てきたばかりですが、今回は「取り除く」という基本的な意味で使われています。

フレンズ5-6その3 で、She's having it cremated. を解説する時に、have my hair cut 「髪の毛を切ってもらう」という形を紹介しましたが、今回のセリフでは、I had to cut my hair つまり、I cut my hair という形になっています。
この形だと、散髪屋さんとかで人に切ってもらうのではなく、自分で自分の髪の毛を切る、ということになるわけですが…実際、彼は「自分で」髪を切ったのだろう、と思える気がします。
これはあくまで想像ですが、彼は(少し前のシーンでジョーイが説明していたように)アンデスを長期間一人旅するような人なので、髪の毛が伸びてきたら自分でチョキチョキ切ってしまうような気もするのですね。
日本人が書いた英語なら、I had to cut my hair. と書いてあっても、実際には散髪屋さんでカットしてもらった、という可能性もありますが、ネイティブはその辺りの感覚は自然に身に付いているでしょうから、I had to have my hair cut. と言うべきところを、I had to cut my hair. とは言い間違えない気がする、だからダニーの場合はほんとに自分で切っちゃった気がする、と私は思うのです。

煙の臭いがついたので、髪を切らざるを得なかった、というダニーに、レイチェルはごめんなさいと謝っています。
I would, I would've never fogged you, y'know, if you hadn't looked so....Y'know. は、「過去の事実に反対の仮定」を表す、典型的な「仮定法過去完了」の文章ですね。
条件節から訳すと、「もしあなたがあの時、見た目[見かけ]がそんなに○○でなかったなら、私はあなたに殺虫剤を浴びせなかっただろうに(実際にはあんな風にあなたに殺虫剤をかけてしまった)」になります。

so.... Y'know. とはっきりした言葉を言わずに、「ほら(私が言わんとしてること)わかるでしょ」みたいに言葉を濁していますが、so の後には、hairy 「毛むくじゃら」とか、creepy 「気味悪い」とかのネガティブな言葉が続きそうなニュアンスですね。
いくら過去の姿とは言え、本人を目の前にして悪い表現は言いにくいので、y'know でごまかした感じです。

appearance は「外見、見かけ、容姿、風貌」。
into は「…に興味を持って、夢中になって」。フレンズではこの意味でよく出てきますね。
つまりダニーは、「君の意見はごもっともだねぇ。容姿にしか興味を持たない人間、容姿だけにこだわる人間ってのもいるからね」と言っているわけです。
その言葉にレイチェルはショックを受けた様子で、観客からも、おお!みたいな歓声が上がっていますが、それだけ鋭い指摘だった、ということですね。

そう言い捨てて去ろうとするダニーをレイチェルは引き止めます。
私のことを知らないくせに、とレイチェルは怒るのですが、ダニーはレイチェルの姿を指摘して、「ほら君はそんな風にカタログ持って服を買い込んじゃって、見かけばっかり気にする女の子の典型じゃないか」とでも言いたいようです。
Saks は Saks Fifth Avenue (サックス・フィフス・アベニュー)。五番街にある高級デパートの名前です。
フレンズ1-18その5 にも出てきました。

買い物袋の中身を洋服だと決め付けるダニーに、「中身も見ないでそうやって決めつけるの?」と怒るレイチェル。
privilege は名詞で「特権」、他動詞で「…に特権を与える」。
過去分詞の形の privileged は「特権のある、特権を与えられた」という形容詞。
ですから、underprivileged は「(人が)(社会的・経済的に)恵まれていない」という意味になります。
underprivileged kids/children は「恵まれない子供」。
その形容詞に the をつけた形の、the underprivileged も「恵まれない人々」という意味になります。
そういう恵まれない子へのおもちゃが入ってるかもしれないじゃない、と could を使って「可能性」を述べるレイチェル。
Do you? は、Do you really have those toys? みたいなことですね。
「ほんとにそんなおもちゃを持ってるの? その紙袋にほんとにそんなおもちゃが入ってるの?」ということです。

if kids like to play with capri pants は、「もし、子供たちがカプリパンツで遊ぶのが好きなら、紙袋の中身はおもちゃだって言えるかも」という感じ。
カプリパンツは、くるぶし丈のぴったりした女性用パンツ・ズボンのことですから、自分用にそのパンツを買って来たレイチェルは、「こういうパンツをおもちゃにして遊ぶ子供がいるかもよ」みたいに言って、おもちゃになり得る可能性を言っていることになります。

あきれたように立ち去るダニー。
ダニーが言う Okay. は、「オ・ケイ」みたいにすごくそっけなくて、ちょっと人をバカにしたような響きがあります。日本語で言うと、「あっそ」みたいな感じでしょうか。
殺虫剤をかけたことを謝りに言った時も、この Okay. を連発されてレイチェルたちは気分を害していましたが、またその Okay. を使っているので、レイチェルは「その Okay ってやつ、嫌いだからやめてよね」と言っているわけですね。


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posted by Rach at 07:15| Comment(2) | フレンズ シーズン5 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
Rachさんこんにちは。しばらく見れない日がありましたが、この連休でDVDもRachさんの解説にも追い付きました。最近はロスの結婚話でseriousな会話もかなりありますが、こういうちゃんと語る会話はある程度分りやすいと思いますが、やはりジョークを含んだ軽い会話はなかなか手ごわいです。そういう時にRachさんの(いつも申し上げている)深い解説を読むと、なるほど、とまたひとつひとつ勉強になります。

今回のダニーの"I had to cut my hair to get rid of......." なども言われてみるとなるほどと思います。I had to have my hair cutは通常の言い回しですがこれはたしかに床屋さんで髪を切って来た、という感じがしますね。あと、もしかしたらこのセリフは次のget rid of 以下を言いたいために簡単に表現したのかもしれませんが。いずれしてもさっと通りすぎずに着目するのはさすがですね。
今後も引き続きよろしくお願いいたします。
Posted by koroyakun at 2010年09月20日 21:52
koroyakunさんへ
いつも温かいお褒めのお言葉、ありがとうございます。「深い解説」と言っていただけて、とても嬉しいです。

"I had to cut my hair to get rid of..." についてですが、私ももう一度考えてみました。ちょっとそれについていくつか書かせて下さいね。

ちょうど、1つ前の記事で、She's having it cremated. という形が出てきて、そこで、have my hair cut (have+目的語+過去分詞)の形についても語りました。その時、日本語から英語に訳そうとする場合に、この have を使った形は日本人からはすんなり出てこない感覚だよなぁ、いかにも英語っぽいフレーズだよなぁ、と改めて思ったのです。
その強い印象があったため、今回、I had to cut my hair という文を見た時に「おや?」と思いました。それで、have my hair cut と、cut my hair のニュアンスの違いを、今回のセリフにも当てはめてみたわけなのですが…。

改めてもう一度このセリフを見た時に、ポイントは had to にあるのかな?という気がしてきました。例えば、I cut my hair last night. という過去の出来事を語る文であれば、やはりそれは cut という動作をした動作主は主語の I である、ということになるでしょうが、今回の場合は、I had to 「僕は…しなければならなかった」という「(自分の置かれた)状況」を語っているセリフですよね。I という主語は、cut という動作の動作主であるよりも、had to という状況を抱えている主語だと考えるのが自然なのかなと。cut my hair というのは「髪を切る」という情報を言っているだけだと。

そう考えると、散髪屋さんで切ってもらった場合であっても、セリフとしては、I had to cut my hair to get rid of... の形が自然なのかな、と思えてきました。逆に、I had to have my hair cut. だと、「誰かに切ってもらう」ことを妙に強調した形になって、自分で切るのではなくて、誰かに切ってもらわなければいけない特別な事情や理由があるように聞こえてしまう恐れがある、という気もします。

ということで、自分が記事で書いたことと、今の見解は違ってしまうわけですが、私が今書いたことは、koroyakunさんのコメントの「もしかしたらこのセリフは次のget rid of 以下を言いたいために簡単に表現したのかもしれませんが」という部分にも通じるところがありますね。
I had to 〜 to get rid of... 「…を取り除くために〜しなければならなかった」と言いたいので、〜の部分は動作主を明確にする必要はない、だから、cut my hair というシンプルな形で問題ない、ということなのだろうと今は思います。

私も改めていろいろ考えてみて、大変勉強になりました。興味深いコメント、ありがとうございました。
こちらこそ、これからもよろしくお願いいたします。
Posted by Rach at 2010年09月22日 09:40
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