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シーズン5 第10話
The One with The Inappropriate Sister (シスコン男にご用心!)
原題は「不適切な妹の話」
[Scene: Chandler, Joey, and Ross's apartment, Ross is cleaning out the fridge. Joey walks from his room. He looks like he just woke up.]
チャンドラー、ジョーイ、ロスのアパート。ロスは冷蔵庫を掃除している。ジョーイが自分の部屋から歩いてくる。たった今起きたところのようだ。
ジョーイ: What are you doing? (何やってんの?)
ロス: I...reorganized the fridge. See? Bottom shelf, meats and dairy. (There's nothing on the shelf.) Middle shelf, fruits and vegetables. (There’s one lone tomato.) And top shelf, expired products. (The shelf is jammed packed.) (僕は…冷蔵庫を整理し直してたんだ。ほら見て。一番下の棚は、肉と乳製品。[その棚には何もない] 真ん中の棚は、果物と野菜。[トマトが1個だけ] そして一番上の棚は、賞味期限切れの製品。[その棚はぎっしり詰め込まれている])
ジョーイ: Why are you doing this? (どうしてこんなことしてるんだよ?)
ロス: Because I am bored out of my mind. I've already been to the bank, post office and the dry cleaners. (だって、心の底から退屈してるんだよ。もうすでに銀行も郵便局もクリーニング屋にも行っちゃったし。)
ジョーイ: Dude, you just described seven days worth of stuff. You've got to spread it out a little, you know. Haven't you ever been unemployed? (おい、お前が言ったのは、7日分の価値のある仕事だぞ。そういう仕事はもう少し(まんべんなく)広げなきゃ。ロスは今まで失業したことないのか?)
ロス: Hey, I am not unemployed. I'm on sabbatical. (おい、僕は失業してるんじゃない。僕は有給休暇[研究休暇]中なんだ。)
ジョーイ: Hey, don't get religious on me, okay? (Ross looks a little confused.) (おい、俺に宗教的な話をするなよ、な? [ロスは少し困惑したように見える])
organize は「整理する」。そこに「再び」の意味の re- がついていますので、reorganize は「再編成する、再び整理する、整理し直す」というところでしょう。
冷蔵庫の中のものをいったん外に出して、整理し入れ直している感覚ですね。
shelf は棚。bookshelf なら「本棚」ですね。bottom, middle, top のそれぞれの棚に何を入れているか説明しています。
dairy は「乳製品」。
expired products は「消費・賞味期限切れの製品」。
expire という動詞は自動詞で「(運転免許証などの)有効期限が切れる、満了する」。
My driver's license expires next month. なら、「私の運転免許証は来月切れる[期限切れになる]」という意味ですね。
自ら期限が切れちゃうもの、というよりも、誰かが抗力を失効させる気がするのですが、不思議とこの単語は「自動詞」なのですね。
フレンズ4-21その5 にも、
モニカ: You don't have a car. And your license expired. (レイチェルは車を持ってないでしょ。それに、あなたの免許は期限切れだし。)
というセリフがありました。
几帳面なロスの区分けに従って分けてみると、生鮮食料品系の棚がガラガラで、期限切れの食品ばかりがどっちゃり詰まってしまうところに、チャンドラーとジョーイの「賞味期限とかには頓着しない男」な感じが出ています。
ト書きでは、The shelf is jammed packd. と書いてありますが、通常は、jam-packed と表記するのが一般的かなと思います。
jam-packed は「ぎゅうぎゅう詰めで、すし詰めで」という意味ですね。
同じく「すし詰めで」という意味で使われるフレーズに、packed like sardines というものもあります。
sardine は「イワシ、サーディン」、sardines in oil は「オイル・サーディン、イワシのオイル漬け」ですね。
ですから、packed like sardines は、「缶詰のイワシのようにぎゅうぎゅう詰め[すし詰め]になって」という意味になります。
ちょっと脱線しますが、日本語の「すし詰め」の「すし」というのは、回転寿司とかの「すし(寿司)」ではなく、「塩や酢につけた魚肉」を指すようです。
三省堂 新明解国語辞典では、
すしづめ【鮨詰め・鮨詰】
入れ物に ぎっしり詰めた「すし1」のように、多くの人や物が、すきまも無く入っていること。
すし【鮨】
1 塩に漬けて醗酵(ハツコウ)させた魚肉。〔昔の「すし」は大部分、これ〕
2 握りずし・押しずし・散らしずし・五目ずしなどの総称。
(表記) 1は、「鮓」とも書く。また、売品としての2は、「寿司」という好字を用いることが多い。
広辞苑では、すしづめ(鮨詰)の鮨が何を指すかの説明は載っていないのですが、
すし【鮨】(「酸(す)し」の意」
2 酢に漬けた魚肉。また、魚肉を飯と共に圧して酸味を生じさせたもの。
という意味は載っています。
すし詰めの「すし」が「酢や塩につけて醗酵させた”魚肉”」を指すのであれば、保存のためにオイルにつけたオイル・サーディン(イワシ)と何だか似ている気がしますね。
ちょっと面白いなと思ったので、ご紹介してみました(笑)。
be bored out of one's mind について。
英辞郎では、
bored out of one's mind=《be 〜》心の底から飽き飽きする、ほとほとうんざりする
と出ています。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
bored out of your mind : (informal) extremely bored
つまり、「非常に・極めて退屈である」。
意味としては、英英辞典にあるように、extremely bored ということで問題ないと思うのですが、ちょっと気になったことがあるので、補足的に書いてみます。
(細かい話なので、興味のない方は飛ばして下さい)
out of one's mind だけだと、「気が狂った、頭がおかしくなった、常軌を逸した、正気を失った」みたいな意味になります。
正常な思考をつかさどる心(mind)の外に(出た)、という感覚から、そういう意味になるのでしょうね。
マクミラン(Macmillan Dictionary)では、
be/go out of your mind : (informal) to be/become crazy or confused
be/go out of your mind with worry/jealousy/boredom etc.
例) I'll go out of my mind with boredom if I have to stay in this job.
つまり、be/go out of your mind は、「クレイジーである/クレイジーになる、困惑している/困惑した状態になる」。
with worry/jealousy/boredom とくっついた形も紹介されていて、boredom 「退屈」が使われている例文は、「もし私がこの仕事にとどまらなければならないなら、私は退屈で頭がおかしくなるわ」。
また、LAAD に戻って、今度は go out of your mind を調べてみると、
go out of your mind also lose your mind : (informal) to start to become mentally ill or very worried, bored etc.
つまり、「精神的な病気になり始めること、または非常に心配したり、退屈したりするようになること」。
LAAD の語義では、go out of your mind のニュアンスに、bored も含まれているのですね。
「心ここにあらず」というくらい退屈極まりない、という感覚でしょうか。
DVD英語字幕では、I am bored out of my mind. と書かれていますが、ネットスクリプトでは、I am bored...Out of my mind. という表記になっていました。
bored out of your mind = extremely bored だとロングマンに載っているので、解釈としては「心底あきあきしている」という意味で良いと思うのですが、I am bored...Out of my mind. とディクテーションした方は、「僕は退屈で、頭がおかしくなってるんだ」、つまり、be out of my mind with boredom という意味に解釈したのかなぁ、とも思うのですね。
とにかく「退屈している」ということは間違いないので、意味としては大差はないのですが、細かいニュアンスで言うと、ここでの out of my mind には crazy のようなニュアンスが含まれているのかどうかが、個人的には少し気になりました。
(細かい話は以上です)
I've already been to は「すでに…に行ってしまった」という感覚ですね。
用事のある行くべき場所には全部行ってしまったので、行くところもないんだよ、という感じです。
spread out は「広げる、分散する」。
上のセリフのニュアンスも、やるべきことを一日にかためてしまわないで、一週間のうちにまんべんなく分散してやれよ、と言っているわけですね。
「経験」を尋ねる現在完了形の疑問文、Haven't you ever been...? を使って、今まで、unemployed 「失業した」という状態になった経験がないのか?とジョーイは尋ねています。
unemployed と言われたのが、ロスは聞き捨てならなかったようで、僕は unemployed じゃなくて、on sabbatical なんだよ、とジョーイの発言を否定しています。
ロスは前回のエピソードで、自分のサンドイッチを食べてしまった上司を大声で怒鳴りつけたため、仕事を休むように言われています。
だから僕は失業してるわけじゃないんだ!と言いたいようですね。
sabbatical は名詞で、「研究休暇、有給休暇」。
研究社 新英和中辞典では、
sabbatical 【名】【C】 研究休暇, サバティカル 《研究や旅行のため本来7年ごとに大学教授などに与えられる1年または半年の有給休暇》
Professor Robins is on sabbatical this year. 「ロビンズ教授は今年サバティカルです」 (注:on sabbatical は無冠詞)
と説明されています。
LAAD では、
sabbatical [noun] : a period when someone, especially someone in a college or university job, stops doing their usual work in order to study or travel
つまり、「誰かが、特に大学の仕事についている誰かが、研究したり旅行したりするために、通常の仕事をするのをやめる期間」。
この sabbatical という言葉は Sabbath の形容詞形です。
Sabbath は「(キリスト教・ユダヤ教の)安息日」。
ですから、Sabbatical という形容詞は「安息日の」という意味にもなるのですね。
それで、sabbatical という言葉を使ったロスに対してジョーイは、Don't get religious on me. 「俺に対して宗教的になるな、俺に宗教的な話をするな」みたいに返したようです。
ジョーイは大学の専門用語っぽい sabbatical の意味を知らなくて、安息日のことかと思った、ということでしょう。
宗教的な言葉で(比喩的に?)表現されても俺にはわからないよ、と言いたいようですね。
サバティカルを宗教用語と勘違いしているのがわかって、ロスも困惑の表情を浮かべているのですね。
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やっぱり毎回、ジョーイのあのアホさが、ツボです(笑)
コメントありがとうございます。
この後のシーンも面白いですよね。その部分は、英語としては比較的わかりやすいものだったので、解説では省略しましたが、声色を変えたジョーイと、仕事中は真面目そうな声のチャンドラーとの対比が面白かったです。
こういうことをしても、何かジョーイには憎めないところがあって、可愛いです(笑)。
いつもありがとうございます。
ここの ジョーイのセリフ、
don't get religious on me
イディオムっぽいな、って思って調べたらこんなサイト見つけました。
https://uk.answers.yahoo.com/question/index?qid=20110111144634AADxk4s
日本版、Yahoo知恵袋? 面白いなって
思いました。
コメントありがとうございます。
おっしゃる通り、この「YAHOO! ANSWERS」は、日本の「Yahoo! 知恵袋」と同じもので、サイトのURLからすると、イギリス版(UK版)のようですね。
そこでの回答では、「俺に説教をするな」とか「”君の言動はモラル的に悪いことだ”などと言うな」という説明がされていますね。
「俺に対して宗教的になるな」ということですから、宗教的モラルの観点から俺に説教するな、という意味になる、ということでしょう。
そういう意味では上の和訳も、単に「宗教的な話をするな」ではなくて、「宗教的な説教をするな」という風に解釈した方がしっくりきますね。
そう思って問題のセリフを見てみると、get religious 「宗教的になる」という動詞 get に、「言動が宗教的な人になる、宗教的な感覚の人になる」というニュアンスが確かに感じられる気がします。
ジョーイは、sabbatical (研究休暇、有給休暇)という言葉を知らなかったけれど、「安息日の」という意味から、ロスが何か宗教的なことを言ったのだと解釈した。ジョーイとしてはその意味がわからなかったけれど、宗教的モラルの観点から自分が説教されているように感じて、「そんな風に宗教用語で説教するのはやめてくれ」という意味で、そのセリフを言った、ということになりそうです。
ロスはただ、「研究休暇」と言っただけなのに、「おいおい、そんな牧師さんみたいな説教はやめてくれよ」と言われたので、ロスは困惑の表情を浮かべた、という面白さになるのでしょうね(^^)
発見したのが嬉しくてつい書き込んでしまいました。メンターのRachさんに対して大変失礼なことをしてしまったと反省しています・・・ イディオムの意味だけでなく更に膨らませて解説していただいてありがとうございました。覚えた表現をこうして映像に反映させていくことで定着率もあがりますよね。この表現次に出会った時に(きっと 笑)しっかり覚えていると思います。ありがとうございました。
ご丁寧なお返事ありがとうございます。
まず、私のことをメンターだと言っていただけたこと、大変光栄で嬉しいです。本当にありがとうございます。そして、やっちんさんが下さったコメントに関しては「失礼なこと」や「反省」していただくことなど何もありませんので、どうかそんなに恐縮なさらないで下さいね(^^)
get religious 「宗教的になる」を、私は「話が宗教的になる、宗教的な話をする」と解釈したのですが、YAHOO! ANSWERS (UK) では、preach 「説教する」という言葉で説明されているのを読んで、私も「なるほど!」と思いました。英語ネイティブであるイギリスの質問サイトで、複数の方が preach という言葉で説明されていたことを考えると、やはりそれが「その言葉を聞いてネイティブが持つイメージ」であることは間違いないだろうと思います。
「使われている言葉が宗教的」ということではなくて、「道徳・倫理面において宗教的になる」みたいなことだとすると、そのセリフを聞いたロスのリアクションも非常に納得できる気がします。
私もとても勉強になりました。ありがとうございました(^^)