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[Scene: Central Perk, Chandler, Ross, Joey, Monica, and Rachel are there. Phoebe walks in ringing a bell.]
セントラルパーク。チャンドラー、ロス、ジョーイ、モニカとレイチェルがそこにいる。フィービーはベルを鳴らしながら入ってくる。
フィービー: Hey, you guys! Guess what? (ねぇ、みんな! 何だと思う?)
チャンドラー: The British are coming? (イギリス人が来るの?)
フィービー: Ohh, you and your ways. (She shakes the bell at him and sits down.) Since it's Christmastime, I'm going to be one of those people collecting donations. (あぁ、あなたとあなたのやり方ね[相変わらずね]。[フィービーはチャンドラーに向かってベルを振り、座る] クリスマスの時期だから、寄付を集める(ああいう)人たちの一人になろうと思ってね。)
みんな: Ohh. (おーぉ。)
フィービー: (Excitedly) Yeah, I already have my bell, and later on I get my bucket. ([嬉しそうに] そうよ、すでにベルは持ってるの。それから、あとでバケツも手に入れるわ。)
チャンドラー: Ohh. (おー。)
フィービー: Yeah, yeah, I'm going to be out there spreading joy to the people. I mean, last year I spread a little joy, but not really enough. So this year, I'm going to do the whole city. (そう、そうなの。私は外で[世間で]人々に喜びを広めるのよ。ほら、去年、ちょっとだけ喜びを広めたんだけど、十分ってほどじゃなかったから。それで今年は、街全体にそれをしようと思って。)
モニカ: You know, I knew a girl in high school who did that. She was very popular. (Chandler laughs.) (ねぇ、高校で、そういうこと[それと同じこと]をした女の子を知ってたわ。彼女はすごく人気だった。 [チャンドラーは笑う])
ジョーイ: So Pheebs, where are you doing all your bell ringing? (それで、フィービー、ベルを鳴らすっていうのはどこでするの?)
フィービー: Ohh, they gave me a great spot right by Macy's. Yeah, they hardly ever give such a good corner to a rookie, but I'm the only one who can say "Merry Christmas" in 25 languages. (She smirks.) I lied. (あぁ、メイシーズのすぐそばの良い場所を私に与えてくれたの。そうよ、新人にそんな良い場所を与えてくれることはこれまでほとんどなかったの。でも、私は「メリー・クリスマス」を 25ヶ国語で言えるただ一人の人間だから[言えるのは私だけだから]。[フィービーはニヤニヤ笑う] 私、嘘ついたの。)
大きなベルを上下に振って鳴らしながら入ってくるフィービー。
このベル、何だと思う?と言われて、チャンドラーはまた何か言わずにはいられないようです。
The British are coming? の The British は「イギリス人、英国人」。
ですから、「イギリス人が来る?」みたいな意味になるわけですが、どうして「イギリス人」と言ったのかについて、2つ思いついたので、以下にそれを書いてみます。
まず1つ目。
イギリスで bell 「鐘」と言えば、ビッグ・ベンを思い出す方も多いでしょうか。
Wikipedia 日本語版: ビッグ・ベン
ウィキペディアにあるように、「ビッグ・ベン (Big Ben) とは、英国の首都ロンドンにあるウェストミンスター宮殿(英国国会議事堂)に付属する時計台 (Clock Tower) の大時鐘の愛称」ですね。
時計台や大時計を指す場合もあるけれども、基本的にはその「鐘」の名前だそうです。
Wikipedia 英語版: Big Ben でも、
Big Ben is the nickname for the great bell of the clock...
のように、bell のことだと書いてあります。
ですから、イギリスで bell と言えば、あのビッグ・ベンのことを言ってる可能性もあるのかなぁ、と。
シーズン4の終わりからシーズン5にかけては、イギリスがフレンズの舞台になっていましたが、そこがイギリスであることをはっきり示すために、場面の切り替え時にビッグ・ベンの映像が挿入されたりもしていましたよね。
もし「ビッグ・ベン」を意図したセリフだとすると、ベルを鳴らしながら入ってきたフィービーに対して、「ビッグ・ベンみたいな鐘の音が聞こえるけど、イギリス人でも来るのか?」みたいなことを言ったのかなぁ、と思ったりします。
ただ、その鐘がビッグ・ベンを思わせると言いたいのなら、"Where are we? Still in London?" 「ここはどこ? まだ(俺たち)ロンドンにいるの?」みたいなセリフの方がそれっぽいかなぁ、などと思ったり…。
…ということで、1つ目の解釈は、The British はわかるけれども、are coming が続いているのがよくわからない…という感じです。
そして、2つ目。
「イギリス人が来る?」というのは、「イギリス人が攻めてくる」というニュアンスで、「だからフィービーは、ベルをガンガン鳴らして、みんなに警告してるの?」というニュアンスのジョークを言っているのかなぁ、という解釈。
その場合は、「鐘を鳴らす→昔の人が使っていた合図、大きな音による警告」という連想なのでしょう。
昔、それは多分、アメリカ独立戦争の頃のイメージで、その頃の敵と言えばイギリスだからかなぁ、と思います。
今現在は、アメリカとイギリスは友好関係にありますが、フレンズでは時折、そういう「独立戦争ネタ」が出てくることがあります。
1776年のアメリカ独立宣言 フレンズ4-15その2 では、
エミリー: Well, I mean, you're American, to start with. You don't even have rugby here. (そうねぇ、だって、そもそもあなたはアメリカ人だもの。ここ(アメリカ)にはラグビーはないでしょ。)
ロス: Well, we didn't have freedom here until 1776 either, so…. (そうだねぇ、ここ(アメリカ)には、1776年までは自由もなかったんだ、だから…)
というやり取りもありました。
ラグビーどころか、1776年にアメリカがイギリスから独立するまでは、自由すらなかったんだ、という、アメリカ人ロスからイギリス人エミリーへの皮肉のセリフでした。
今回のチャンドラーのセリフも、「昔の敵と言えばイギリス人」みたいなイメージからのジョークなのかな?と思ったりします。
DVDの日本語字幕も、「イギリス人 襲来?」となっていて、私も最初に英語のセリフを聞いた時は、その「襲来」のイメージかなぁ、と思ったのです。
日本で言うと、誰かが、ほら貝をプォ〜と鳴らしているのを見て、「蒙古襲来?」みたいに返す感覚に近いのかなぁ…とか(笑)。
ということで、私は2つ目の「襲来の合図」というジョークかな、と思っているのですが、正直よくわかりません。
フィービーの You and your ways. を直訳すると、「あなたとあなたのやり方ね」みたいなことですが、これは「またチャンドラーったら、そんなこと言って茶化すんだから」みたいに、チャンドラーのいつものやり方、いつものパターンにあきれている感じが出ているように思います。
相手がしたことについて怒っている時に、これと似た形の、"you and your stupid+名詞" というフレーズが過去に登場したことがあります。
フレンズ3-10その21 では、
チャンドラー: You-you-you don't wanna give in to The Fear. (その恐怖に降伏したくはないんだろ?)
レイチェル: You and your stupid Fear! I hate your Fear! I would like to take you and your Fear.... (あなたとあなたのばかげた恐怖ね。私はあなたの言っているその恐怖ってやつを憎むわ。あなたとあなたの恐怖を…)
というやり取りがあって、あなたがそんな「恐怖が必要だ」なんてバカなことを言うからこうなったのよ、とレイチェルが怒っている時のフレーズでした。
また、過去記事では取り上げていませんが、フレンズ1-9 でも、"you and your stupid balloon" というフレーズが登場していました。
今回のフィービーのセリフは、stupid とまでは言っていませんが、「また、あなたのいつものパターンね、あなたって相変わらずね」みたいな感じが込められていると思いました。
since は現在完了形と共に使われる「…以来」という意味ではなくて、ここでは「理由」を表す「…だから」という意味ですね。
collecting donations が後ろから前の people を修飾していて、そういう「寄付を集める人々」の一人になろうとしてるの、と言っています。
bucket は「バケツ」で、お金を入れてもらうための入れ物ですね。
フィービーは spread joy to the people 「人々に喜びを広める」と言っています。
去年も少しやったけど、十分とは言えなかったから、今年は町全体に喜びを広めるのよ、と嬉しそうに話します。
それを聞いたモニカは、高校の時、そんな風に、街中に joy を広めたっていう女の子を知ってたけど、その子はすっごく人気者だったわ、と言っています。
モニカはフィービーが言った、joy 「喜び」という言葉を、エッチなニュアンスとして捉えてみてジョークにしている感じですね。
あえて日本語で感じを出そうとすると、「ヨロコビ」「悦び」「悦楽」みたいな感じでしょうか。
街中の男性に悦楽を与えた、つまり、街中の男性にエッチなサービスをした(もしくはエッチをした)子が高校にもいたわぁ…みたいに言って、茶化しているわけです。
有名百貨店メイシーズのすぐそばの場所を与えてもらったの、とフィービーは言っています。
rookie は「ルーキー、新人」ですね。
hardly は「ほとんど…しない」という否定のニュアンスですから、they hardly ever give such a good corner to a rookie を直訳すると、「彼ら(配置を決める担当者)が、新人にそんな良い場所をこれまで与えたことはほとんどなかった」になります。
でも…と言って、新人でありながら、そんな良い場所をゲットできた理由を、その後に述べています。
I'm the only one who can... は「私は…できる唯一の人間である」。
もちろんここでは、世界中でたった一人の人間、というニュアンスではなくて、何人かいるその寄付集めの候補者の中で、これをできる人間が私だけだから、ということですね。
で、何ができるかと言うと、say "Merry Christmas" in 25 languages 、つまり、「25ヶ国語で「メリー・クリスマス」と言える」という特技だということになります。
過去記事、リスニングの脳内処理 でも触れたのですが、この部分、DVD英語字幕では、say になっていて、ネットスクリプトでは、sing になっていました。
実際の音声を聞いてみるとやはり字幕どおり say と言っているようです。
このエピソードを見ていくと、後のシーンでフィービーが、英語以外の言葉で、クリスマスの挨拶みたいな声掛けをしているシーンがありますから、そういう意味でも say がやはり正しいかなと思います。
また、sing だと「メリー・クリスマス」の歌を 25ヶ国語で歌う、という意味になりますが、いろんな国の言葉に翻訳された「メリー・クリスマス」という歌があるとして、そんなにたくさんの言語で歌えたりするというのはちょっとムリがある感じもしますし、25ヶ国語の言葉でメリー・クリスマスの挨拶を「言える」という方が、意味としても妥当なのかなと思いました。(まぁ、Merry Christmas という(恐らく)サビの部分を「歌える」だけなら、say と能力的には同じことですけれど…)
その過去記事でも触れたのですが、単なるちょっとした聞き間違いというレベルの話ではあるものの、この位置には動詞しか来ない、という感覚や、恐らく、s- の音だけがはっきり聞こえたので、say ではなく sing に聞こえてしまった、という単語の選択の仕方、などは、ディクテーションのヒントになる気がしました。
ネイティブも全ての音を聞き取っているというよりは、文脈や構造から一番適切だと思われる単語を選択しながら意味を取り、それを文字にしている、ということだと思うし、それを証明してくれる一つの例のような気がするのです。
新人だけど、そういう特技があったから私、選ばれちゃったの…みたいに言うフィービーですが、そのすぐ後に、「…ってそれは、嘘なんだけどね」みたいに言ってニヤニヤしています。
25ヶ国語の話を聞いた直後は、フレンズたちや観客の中には一瞬、「え? そんな特技があるの?」と思った人もいたかもしれませんが、フィービーの I lied. で、なぁんだ、やっぱりそうかぁ…と拍子抜けしちゃう感じですね。
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上記の二つ目の思いついた解釈が正解です。「イギリス人が攻めて来るの?」より「イギリス軍が攻めて来るの?」の方がいいと思います。これはポール・リビアの真夜中の騎行の台詞に基づいて出来た冗談です。歴史的な伝説です。
詰まらないかもしれませんが、ウィキペディアの記事を読みたかったら、こちらへどうぞ:http://bit.ly/aCcqjb
つまり、チャンドラーはフィビーのベルを持っていた姿を見るとポール・リビアの話を思い出したんです。もしかして、リビアの伝説のようにイギリス軍がそろそろ攻めてくることについての警告をしに喫茶店に入ったと。
日本語での説明はちょっと苦手ですが、わかりましたでしょうか?
お久しぶりです! 覚えていていただけて光栄です。
The British are coming! というのは、「ポール・リビアの真夜中の騎行(The Midnight Ride of Paul Revere)」の台詞なんですね。
紹介していただいたウィキペディア(日本語版)に詳しく書いてありました。ありがとうございます。
ポール・リビアは、アメリカ独立戦争中の愛国者として有名な人で、イギリス軍の動きについて「警告」を伝える人であった、ということですね。
私は、「鐘、ベル」と「イギリス人(が来る)」という2つの繋がり・関連ばかりを追いかけていて、The British are coming! というフレーズそのものズバリがキーワードであることに気付けませんでした。
"The British are coming" で検索したら、
英語版ウィキペディア: Paul Revere
http://en.wikipedia.org/wiki/Paul_Revere
がヒットし、元ネタがわかったようでしたのに…。
でも、アメリカ人のデイズさんが即座に反応して下さったように、アメリカ人の方々にとっては、The British are coming! と言えば、ポール・リビア、という連想が瞬時に働くのだ、ということがわかったことも、私にとっては大きな収穫でした。
また、ウィキペディア(英語版・日本語版とも)には、"The Brisith are coming!" という台詞が有名だが、本当は、"The regulars are coming out." が正しい、などというトリビアも載っているのも興味深いです。
英語版ウィキペディアには、Paul Revere's ride というタイトルの「ポール・リビアが鼻息の荒い(?)馬に乗って走っている絵」が載っていますが、手に持っているのはムチ…でしょうかねぇ?
ポール自身は、ベルをガンガン鳴らしながら警告したわけではない、ということでしょうね?
フィービーの「ベル」がポイントなのではなく、その「大きな音」が「警告」を連想させ、「フィービーはポール・リビアみたいに、イギリス軍が来ることを警告してるわけ?」というジョークを言った、ということなのですね?
私はポール・リビアその人にたどり着くことはできませんでしたが、「アメリカ独立戦争時の敵の襲来を伝える警告」であると考えた方向性は合っていたようで良かったです。
それから、「日本語での説明はちょっと苦手」だなんてとんでもないです!
デイズさんの日本語は実に素晴らしいです。
ご説明も的確で非常にわかりやすかったですし、デイズさんのプロフィールを知らない人なら、アメリカ人の方が書いた日本語だとは気付かないくらいにお上手です、決してお世辞ではなく。
貴重な情報、わかりやすいご説明、本当にありがとうございました!
hardly は「ほとんど…しない」という否定のニュアンスですから、they hardly ever give such a good corner to a rookie を直訳すると、「彼ら(配置を決める担当者)が、新人にそんな良い場所をこれまで与えたことはほとんどなかった」になります。
という部分ですが、現在形のgiveを過去形で訳されているのはeverの意味からでしょうか?
ご指摘ありがとうございます。
おっしゃる通り、give という「現在形」が使われていますね。
私は「現在完了形」の「経験」のニュアンスで訳してしまったようです。ever を見て、つい、「かつて、これまで」のように訳してしまいましたが、これは、否定の語句と結びついてそれを強調するニュアンスで、not ever = never と同じ感覚ですよね。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) には以下の例文が載っていました。
Brent hardly ever (=almost never) calls me anymore.
つまり、「ブレントが私に電話してくることはもうほとんどない。」
hardly ever = almost never で「ほとんど…ない」という意味になるわけですね。
ですから、問題のセリフも、
「彼らが、新人にそんな良い場所を与えることはほとんど(めったに)ない」
という「現在形」で訳さなければいけませんでした。
彼らは新人に良い場所を与えたりしないのよ、しないものよ、という「習性、習慣」を述べている感覚ですよね。
貴重なご指摘、ありがとうございました。
ご丁寧なお返事、そして数々の温かいお言葉ありがとうございます。そう言っていただけると、これからも頑張ろう!と思えます。
自分では気をつけているつもりでも、「なんとなく」訳してしまうこともまだまだあります。また何かお気付きの点がありましたら、ご指摘いただければ幸いです。
これからもよろしくお願いします。これからも更新、頑張ります!
またあなたの〜がはじまった
〜はあなたの口癖だ
という意味の慣用句として載っています。
Rachさんの言葉にたいする洞察力と感受性は素晴らしいです。
コメントありがとうございます。
you and your... は、そのように英和辞典に載っていたのですね。
あまりの基本単語なので、今まで調べたこともなかったのですが、確かに私の手持ちの英辞郎にも、研究社 新英和中辞典にも載っていました。
ドラマのセリフで感じたニュアンスが合っていたようで良かったです。
また、そのような素晴らしいお褒めのお言葉をいただけると、とても光栄で嬉しいです。ありがとうございます。