2010年12月15日

いっそひと思いに楽にして フレンズ5-12その2

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チャンドラーとモニカは、上司のダグ夫妻とテニスをしています。
相手が上司であろうと構うことなく、全力でプレーし、ダグ夫妻を打ち負かしてしまうモニカ。
へとへとになったダグ夫妻が休憩している間の二人の会話。
モニカ: Am I on fire today or what? Those birds are browned, basted and ready to be carved! (私って今日、燃えてるって感じね? あの鳥たちはキツネ色に焼かれて、たれをかけられて、切り分けられる準備は万端ね[切り分けられるのを待ってるわね]。)
チャンドラー: Okay, easy, Martina. I think we should let them win the next game. (よし、落ち着いて、マルチナ(・ヒンギス)。次のゲームはダグたちに勝たせるべきだと思うよ。)
モニカ: I'm sorry, I don't understand what you just said. (ごめんなさい、あなたが今言ったこと、私には理解できないわ。)
チャンドラー: Let them win one. (彼らをゲームに勝たせるんだ。)
モニカ: Are you crazy? We own those two! I mean, look at them. He can't even breath, and she's popping pills. (あなた、おかしいんじゃないの? 私たちは、あの二人に勝ってるのよ! ほら、彼らを見て。彼は呼吸さえできてないし、彼女は薬を頻繁に服用してるし。)
チャンドラー: You're not even giving them a chance. (君は彼らにチャンスを与えてすらいないだろ。)
モニカ: They have rackets, don't they? (彼らはラケットを持ってるでしょ?)
ダグ: Uh Bing, I think we're gonna make this the last game. (あー、ビング。これを最後のゲームにしようと思うんだ。)
チャンドラー: Oh yes, sir. Put me out of my misery. Are you sure you never played pro? (Does his work laugh.) (To Monica) Please let them win! (あぁ、そうですね。僕をひと思いにやっつけちゃって下さい。プロとしてプレーしたことがなかった、って本当ですか? [仕事笑い(仕事用の愛想笑い、作り笑い)をする] [モニカに] お願いだから彼らを勝たせてやって!)
モニカ: I'll take it down to 95%, but that's the best I can do. (95%まで力は落とすけど、それが私のできることのベストよ。)

on fire は「燃えて、炎上して」という、実際に火や炎が出ていることも指しますが、精神的に「熱狂して、燃えて、興奮して」という意味にもなります。
or what は直訳すると「それとも(他の)何か」になりますから、Am I on fire today or what? は「私は今日、燃えてる、それとも他の何か?」みたいな感じになり、「燃えてる、もしくは他にどう表現できる? やっぱり、燃えてるって表現が一番合ってるわよね、私はまさに燃えてるって感じよ」というニュアンスが出ると思います。

Those birds are browned... のように主語が鳥になっているのは、ゲームでこてんぱんにやっつけたダグ夫妻のことを、「料理されている鳥」のように表現しているわけですね。
鳥は turkey 「ターキー、七面鳥」のイメージでしょう。
brown は茶色のブラウンのことで、動詞では「…を茶色・褐色・きつね色にする」、特に料理においては「きつね色に(こんがり)焼く」という意味になります。
baste は「(肉などに)たれなどをかけながら焼く」ことで、carve は「(食卓で)(肉)を切る、切り分ける」。
ですから、モニカのセリフは、「あの鳥たちは、キツネ色にこんがり焼かれて、たれもかけられて、切り分けられる準備が整っている」という意味になります。

日本語でも敵を上手くやっつけてしまうことを「敵を料理する」などと言いますし、「まないたの鯉(こい)」というような表現もありますね。
相手を料理の材料のように表現することで、相手はこちらに対して抵抗できない、手も足も出ない、こちらは相手を好きなように扱え、処理できる、というニュアンスが出るのは、英語も日本語も同じようです。

ゲームで圧倒的に勝っていることを興奮して語るモニカに対して、チャンドラーは、easy, Martina と言っています。
Easy. は「落ち着いて、落ち着け」。
Martina は、女子プロテニス選手のマルチナ・ヒンギスのことでしょう。
Wikipedia 日本語版: マルチナ・ヒンギス
テニスのことでそんなにムキになって興奮して、君はプロのテニスプレーヤーか、みたいに皮肉を言っている感覚です。

ちなみに、マルチナという名前のテニス選手には、他にも、マルチナ・ナブラチロワがいますね。
ヒンギス選手のウィキペディアに、
誕生時に、当時チェコスロバキアの代表選手だった母親メラニーが、同じチェコスロバキア出身の名選手マルチナ・ナブラチロワにあやかって娘を「マルチナ」と命名した。
という記述があります。
松坂大輔選手の「大輔」という名前は荒木大輔選手にあやかったもの…と同じような感覚ですね。

マルチナという名前の有名テニス選手が2人いるので、どちらとも決めかねる、とも言えそうですが、今回のフレンズのエピソードの放映は、1999年1月。
ウィキペディアに載っているヒンギス選手が様々な記録を打ち立てた時期の年号は、1997年、1998年あたりが特に多いように思われます。
それを考えると、やはり、往年の名選手であるナブラチロワ選手ではなく、エピソードの放映当時、大活躍していたヒンギス選手のことを言っている、と考えるのが妥当だと思います。

あちらに勝たせてやろうよ、というチャンドラーに対して、I'm sorry, I don't understand what you just said. という妙に長いセリフで返すモニカにも笑えますね。
普通なら、What? 「何ですって?」とか、What are you talking about? 「何言ってるのよ?」くらいで済ますところを、わざわざ、「申し訳ないんだけど、あなたの言ったことが理解できないわ」と表現しているのが、ちょっといじわるな感じがします。
「あなたの言ってること、わけわかんない、意味不明」というのをわざと丁寧な感じで言ってみせることで、余計にモニカの怒りが伝わる感じです。

We own those two! の own は「所有する」で、このような勝ち負けのゲームにおいては、「(人)に勝つ」という意味になります。相手を自分のものにしてしまう、ということから、そういう意味になるのですね。
英辞郎にも、
own=【他動-4】〈俗〉(人)に勝つ◆ゲームや議論の対戦で
例) I just owned you. 「私の勝ちだ。」

と出ています。

pop pills は「(薬を)(しょっちゅう)服用する」。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
pop pills : (informal) to take drugs in the form of PILLS too often.
つまり、「錠剤の形態で薬を非常に頻繁に飲むこと」。
too often というフレーズに、「通常考えられる以上に頻繁に度を過ぎて飲む」ニュアンスが感じられます。

ちょうどその時、息が切れてしまっているダグの妻が薬を飲んでいる姿が画面に映っています。
動悸が激しい時に飲むような薬を少し飲んでいるだけでしょうが、モニカはそれを「薬(もしくはヤク)に頼ってる状態」みたいに表現したいようですね。
夫は呼吸困難、妻はヤク漬け、みたいに容赦のない表現をして、私がそんな人たちに負けるわけにはいかないわ、と言っているのでしょう。

相手にチャンスも与えてない、と言うチャンドラーに、「ラケットは持ってるじゃない」と返すモニカ。
相手だって私たちと同じようにラケットを持ってるわけだから、別に相手に不利な条件をつけて戦ってるわけじゃない、平等な条件で戦ってるわけだから、これ以上相手に何かしてあげる必要なんかないわ、というところです。

これを最後のゲームにしようと思う、というダグに対して、また部下らしくお世辞を言うチャンドラー。
misery は「悲惨、みじめさ」ですが、ここでは「苦痛、苦しみ」というニュアンス。
ですから、put someone out of his misery を直訳すると、「人をその人の苦しみから出してやる、解放してやる」というような意味になりますが、そこから「(人や動物)を安楽死させる、ひと思いに殺す」という意味になります。

研究社 新英和中辞典では、以下のように出ています。
put ... out of its [his, her] misery
(1) 〈ひどく苦しんでいる病人などを〉苦しみから解放してやる、〈苦しんでいる動物を〉ひと思いに殺す
(2) 〈(どっちつかずで)気をもんでいる人に〉本当のことを話して気を楽にさせる


LAAD では、
put something/somebody out of their misery : to kill a person or an animal that is sick or wounded in order to end their suffering
つまり、「苦しみを終わらせるために、病気である、またはけがをしている人や動物を殺すこと」。

ですからこのチャンドラーのセリフも、「僕の息の根を止めて、早く楽にして下さい」みたいに言っていることになるわけです。
日本でも「楽にしてやる」という意味がその人の命を絶つことを意味する場合がありますので、ニュアンスは似ていますね。

どう見てもチャンドラーたちの方が有利で、ダグたちの方がヘロヘロなのに、「もう僕たち苦しいので、ひと思いにとどめを刺して、僕たちをやっつけちゃって下さいよ」みたいに言っているお世辞のセリフになります。

play pro は「プロとしてプレーする」というニュアンスでしょう。
このセリフも、見え透いたお世辞で、「プロの経験はない、っておっしゃるけれど、昔プロテニスプレーヤーだったとしか思えない実力ですよ。ほんとはプロの経験あったんじゃないんですか? プロじゃない、って話は確かなんですか?」みたいに言っているわけですね。
明らかにダグの方が劣勢なのに、こんなミエミエのお世辞を言われると、却って相手は怒りそうな気もしますが…(笑)。

相手に勝たせてやってよ!と懇願するチャンドラーに、「力は95%までは落とせるけど、それが私にできるベストよ、それが私にできる最高のことよ」と返すモニカ。
5%だったら誤差の範囲だろうと思いますが(笑)、相手が上司であろうが何だろうが、勝ち負けがかかるとムキになる、モニカの competitive なところ(負けず嫌いなところ)がよく出ているシーンだなと思いました。


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posted by Rach at 12:11| Comment(0) | フレンズ シーズン5 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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