2010年12月17日

勝てる試合にわざと負ける フレンズ5-12その3

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[Scene: Monica and Rachel's, Monica and Chandler are returning from the game.]
モニカとレイチェルの部屋。モニカとチャンドラーは(上司ダグ夫妻とのテニスの)試合から戻ってきたところ。
モニカ: I can't believe you let them win! (あなたがダグたちを勝たせるなんて信じられないわ!)
チャンドラー: Yeah, at least you hid your feelings well about it. (Removes a smashed racket from his bag.) (そうだね、少なくとも君は、その件について、感情をうまく隠したね。[自分のバッグから破壊されたラケットを取り出す]
モニカ: I was frustrated. (私は苛立(いらだ)ってたんだもの。)
チャンドラー: It was my racket. (俺のラケットだったんだぞ。)
モニカ: I was frustrated with you! (私はあなたに苛立ってたのよ!)
チャンドラー: If we hadn't lost the game, they never would've invited us to dinner tomorrow night. (もし俺たちが試合に負けなかったら、ダグたちは俺たちを明日の晩のディナーに招待したりはしなかったよ。)
モニカ: Y'know what really bothers me is, is how, how different you act around them. I mean y'know the throwing the tennis games, the fake laugh, the "See you later, Bing!" "Not if I see you first, Doug!" (Mocks the fake laugh.) I gotta tell you, I don't like "work Chandler." Okay? The guy's a suck-up. (私をほんとにイライラさせるのが何かわかる? それは、あの人たちのそばでは、あなたが(いつもと)違うように振る舞うことよ。つまり、あんな風にテニスの試合でわざと負けたことや、あの作り笑いや、あの「また後でな、ビング!」 「いえいえ、私があなたを先に見つけますよ、ダグ!」とかよ。 [作り笑いを真似する] これだけは言わせて、私は「仕事の(時の)チャンドラー」が好きじゃないのよ、いい? そいつ(work Chandler)は、ごますり男だもの。)
チャンドラー: Okay y'know what, because you said that, I'm not putting out tonight! (わかった、いいか、君がそんな風に言ったから、今夜はさせてやらないからな!)

テニスの試合で上司にわざと勝たせてやったチャンドラーに対して、モニカはぷりぷり怒っています。
at least you hid your feelings well about it と言いながら、めちゃめちゃに壊されたテニスラケットを見せるチャンドラーが面白いですね。
そのセリフを文字通り訳すと、「少なくともモニカは、それ(上司に勝たせるためにわざと負けたこと)について、君の感情を上手く隠した」となります。
言葉としては、「君はそうやってすごく怒っているけど、少なくともその感情をぶちまけることはなかった(ので良かったよ)」みたいなことを言っているのですが、そう言いながらバッグから取り出したラケットはボロボロ。
チャンドラーの本音は、ラケットをこんなにめちゃくちゃにしておいて、まだ怒ってるのか、というところでしょう。
ラケットに八つ当たりすることで気は済んだだろ?と言いたい感じでしょうか。
そのラケットを見れば、モニカが怒りの感情を爆発させたのは一目瞭然、それを見せながら、「君は少なくとも感情は隠してた」と言ってみせるチャンドラー流の皮肉です。

私は苛立ってたの→君が苛立ってたからってどうして俺のラケットに八つ当たりするんだ→だって私は「あなたに」苛立ってたんだもん…というやり取りも、恋人の喧嘩っぽくて楽しいですね。

If we hadn't lost... they never would've invited... は典型的な仮定法過去完了の文。
「もし試合に負けなかったら、彼らが俺たちをディナーに招待することはなかった」ということですから、つまりは「試合に負けたからこそ、ディナーに招待してくれたんだ」と言いたいのですね。
わざと負けたことを怒ってるけど、そうすることで得るものがあったんだ、と言って納得させようとしている感じです。

モニカは、上司の前での振る舞いがいつもと違うことを怒っています。
the throwing the tennis games の throw は「(試合などに)わざと(八百長で)負ける」。

LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
throw a game/match/fight etc. : to deliberately and dishonestly lose a fight or sports game that you could have won
つまり、「勝てた勝負やスポーツの試合に、わざと、そして、偽って負けること」。

ロングマンの語義にあるように、普通にしていれば勝てた試合にわざと負けることを指します。
まさに今回チャンドラーがやったことですね。
throw は元々「投げる」という意味で、throw away なら「捨てる」です。
日本語で「試合を投げる」と言うと、「あきらめる、断念する」の give up のニュアンスに近くなってしまいますが、「投げる」「捨てる」というニュアンスは、(完全に一致はしないまでも)今回の「わざと負ける」という語義に近いものはある気がします。

the throwing the tennis games のように、the ...ing の形になっているのは動名詞で、「その、テニスの試合に負けたということ」を指します。
その後も、the fake laugh, the "See you later..." のように全てに the がついているのは、そのわざと負けたこと、その作り笑い、その「…」っていうセリフ・・・のように、普段と違う行動を、名詞を箇条書きにして挙げているような感覚でしょう。

ダグが "See you later, Bing!" と言ったら、チャンドラーが "Not if I see you first, Doug!" と返す、というやり取りも槍玉に上げられていますが、チャンドラーの返事の、"Not if I see you first, Doug!" の意味が意外と難しいです。
not は、その前のダグの発言を not で否定した形が省略されていると考えられます。
ダグの See you later という決まり文句は、いきなり動詞で始まっているからと言って命令形なわけではなく、I'll see you later. の最初の I'll が省略されたものですね。
ですから、チャンドラーのセリフの not 部分の省略された部分を補って文にすると、"You won't see me later, if I see you first." みたいになるでしょうか。
英辞郎に、
I see you.=(かくれんぼ) 見っけ。見ーつけた。
という意味が載っていたのですが、今回の I see you も、「あなたに会う」というよりも「あなたを見つける」というニュアンスかなぁ、と思いました。「会う」よりも「見る」という感覚ですね。

See you later という決まり文句を、「後で君を見つけるぞ」と言ったかのようにわざと解釈し、「それは無理ですよ、私があなたを最初に(先に)見つけますからね」と言ったのかなぁ、と私は思いました。
see を「会う」と訳してしまうと、「後で会おう」「後で会うことはないですよ、私が先に会いますから」となってしまい、何となく意味不明ですが、「見る、見つける」のニュアンスで訳すと、「後でお前を見つけるぞ」「それはないですよ、もし私があなたを先に見つければね」(=いえいえ、私が先にあなたを見つけますよ)のような感じになって、何となくですが意味は通じる気はします。
とにかくチャンドラーは、later を使った決まり文句を、first に変えることで遊んでみた、くらいのことだと思うのですが、あえて訳すとこうなるかな、というのを説明してみました。

(2010.12.17 14:45 追記)
Not if I see you first. について、下のコメント欄でご指摘いただきました。
これは決まり文句のようです。
the Free Dictionary に以下の語義が出ていました。
the Free Dictionary : Not if see you sooner, and Not if I see you first
Not if I see you sooner, and Not if I see you first.
Inf. a response to I'll see you later. (This means you will not see me if I see you first, because I will avoid you.)

つまり、「 I'll see you later. に対する返答で、意味は、「もし私があなたを先に見たら[見つけたら]、あなたは私に会うことはないでしょう、なぜなら私があなたを避けるから」。」

ですから、「後で会おうな」と気安く声をかけている上司に対して、「僕が先にあなたの姿を見かけたら僕は逃げますけどね、僕としてはあんまり会いたくないんですけどね」みたいに意地悪な返事を返しているやり取りのようです。

ここでは、チャンドラーが上司のダグに媚びを売っていることを指摘するセリフとして挙げられていますので、部下が上司に「またあなたにいろいろ小言を言われるんですか? 勘弁して下さいよぉ〜」みたいな感じで、本当は仲が良いのにわざとふざけてそんな言い方をして面白がっている感じを演出しているセリフなのかなぁ、と思います。
(追記はここまで)

suck-up は、「ゴマすり、おべっか使い、へつらうやつ」。
suck-up は、フレンズ2-23その26+brown-noserの話 で詳しく解説しています。

上司と一緒にいる時の、ゴマすり男になってるチャンドラーは好きじゃない、と言っているモニカ。
これだけ相手のことをけちょんけちょんに言っているわりには、I don't like "work Chandler." と言っていて、「大嫌い」という意味の hate は使っていませんねぇ。
やはり何だかんだ言っても、愛する男性チャンドラーのことを、hate とは言いたくない、言えない、ということなのでしょうかねぇ?

ゴマすりだの何だの、俺のことをそんなにひどく言うから…という理由を述べた後、I'm not putting out tonight! と言い捨てて、チャンドラーは部屋を勢い良く出て行きます。
観客からは、おぉ、という歓声も起こっていて、モニカもちょっと笑い出しそうな顔をして、立ち去るチャンドラーを見送っています。
この反応を見る限り、チャンドラーはエッチ系のジョークを言って去って行った感じがするんですよね。(シットコムをずっと見続けていると、観客の笑いでジョークの種類(エッチネタ、下品ネタ、ひどい悪口ネタなどの違い)がわかるようになってくる気がします…)

put out を調べてみると、Macmillan Dictionary に以下の意味が載っていました。

put out:
10. [INTRANSITIVE] MAINLY AMERICAN IMPOLITE (have sex)
if you put out, you agree to have sex with someone

つまり、「(自動詞)(主にアメリカ英語、無礼・不作法な表現) put out するというのは、誰かと sex することに同意すること」。

つまり、I'm not putting out tonight. は、I'm not having sex with you tonight. のような拒絶宣言(笑)のようですね。
そんなに俺を悪く言うのなら、今夜のエッチはなしだ!と言って出て行ったことになります。

マクミランの語義の agree to には、「誰かの意思に同意する」ニュアンスが感じられますよね。
ですから put out というフレーズを使うことで、「モニカはしたいと思ってるだろうけど、こちらはその申し出には応じない」みたいなニュアンスが出る気がします。
どちらかと言うと、「今夜はさせてあげないから」のような、女の子の側が言いそうなセリフかなぁ、と思います。
男性であるチャンドラーがそう言って出て行ったので、観客もウケていて、モニカも怒りよりも笑いが込み上げたような顔をしているのだと思いました。


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posted by Rach at 12:20| Comment(2) | フレンズ シーズン5 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
Rachさん
"Not if I see you first" is a typical response to "See you later".
Meaning "You won't see me if I see you first, because I will avoid you."

Another phase related to "Not if" would be "Not if I know it"
Posted by Fen at 2010年12月17日 14:05
Fenさんへ
Thank you for your valuable information.
After reading your comment, I added some explanation to the article above.

Thank you for correcting me, again.
Posted by Rach at 2010年12月17日 15:09
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