2011年01月13日

自己弁護のために言うと フレンズ5-13その6

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フィービーのおばあちゃんのお葬式にやってきた男性が、行方不明だったフィービーの父親、フランク・ブッフェだとわかり、びっくりのフィービー。
自分が彼の娘であることは明かさずに、おばあちゃん(フランシス)の遺言執行者(the executor person of Francis' will)のふりをして、セントラルパークに父を呼び出します。
話をするうちに、妻(フィービーの母)リリーが亡くなっていたこと、今目の前にいるのが娘のフィービーであることを知って、フランクは動揺しています。
フランク(Frank Sr.): Phoebe, I-I-I-umm, (Sits down next to her and brushes against her leg.) Oops. (He backs up.) I just, I-I-I-I don't, I don't know what to say. I just can't believe that you're my daughter. You're so pretty. (フィービー、私は、その… [フィービーの隣に座り、彼女の脚に軽く触れてしまう] おっと。 [父は手を引く] 私はただ、何て言ったらいいかわからないよ。ただ信じられないんだ、君が私の娘だなんて。君はすごくきれいだから。)
フィービー: Yes, well, that's neither here nor there. (えぇ、そうね。そんなの、重要じゃないわ[取るに足らない問題よ]。)
フランク: So would it, would it make you feel better if I said that I was very, very sorry that I left? (それで、私が出て行ったことをものすごく申し訳ないと思っていると言ったら、それで君の気持ちはましになるかな?)
フィービー: Y'know what? It doesn't matter what you say. It's not gonna make a difference anyway. So you can just go. (ねぇ、あなたが言うことなんかどうでもいいわ。どのみち、何も変わらないもの。だから(ここから)出て行って構わないわよ。)
フランク: All right. Well, y'know, in my defense, I was a lousy father. (わかったよ。そうだな、ほら、自己弁護のために言うと、私はひどい父親だった。)
フィービー: That's your defense? (それが自己弁護なの?)
フランク: Yes. Yes it is. I burned the formula, and I put your diapers on backwards. I mean, I made up a song to sing you to sleep, but that made you cry even more. (そうだよ、そうなんだ。私は赤ちゃん用のミルクは焦がすし、おしめをさかさまにつけちゃうし。歌って寝かしつけるために歌を作ったけど、それで君をさらにもっと泣かせちゃったし。)
フィービー: You make up songs? (あなたは歌を作るの?)
フランク: Well, no, just-just that one. But it was stupid. Let's see, how did it, how did it go. Umm. Yeah, okay. (Singing.) (そうだな、いや、その曲だけだよ。でもそれがひどくてね。ほら、それはどんなだっけ、どんな…あぁ、そうだ。よし。[歌う])
Sleepy girl, sleepy girl
Why won't you go to sleep?
Sleepy girl, sleepy girl
You're, you're, you're keeping me up!

(Yeah, that's to the tune of Smelly Cat.)
(♪眠い子、眠い子
どうして君は眠らないの?
眠い子、眠い子
君は私を寝かさない[君のせいで私は眠れない]!♪
[そう、その歌はスメリー・キャットの旋律に合わせて(歌われている)])


こんなきれいな女性が私の娘だなんて…と娘の成長した姿に驚くフランクに、フィービーは、ちょっと冷たい顔をして、that's neither here nor there と言っています。
neither here not there は「無関係で取るに足らない、問題外で」。
直訳すると、「ここにもないし、そこにもない」という感じで、ここでもそこでも、つまりはどこでも関係ない、問題外の無関係なこと、大事ではなくつまらないこと、という意味になるのでしょう。

LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
be neither here nor there : used when saying that something is not important because it does not affect or change a fact or situation
例) What I think about him is neither here nor there.

つまり、「事実や状況に影響を与えない、それらを変えないという理由で、あることが重要ではない、と言う時に用いられる」。
例文は、「彼について私が思うことは、重要ではない」。

つまりフィービーは父がフィービーの姿を褒めているのを聞いて、「そんなのどうでもいいつまらない問題よ」と言っているわけですね。
口ではそう言っているのですが、やはりそう言われたことはまんざらでもないらしく、髪をかき上げて、しなをつくるような仕草もしています。
自分たちを捨てた父に対する怒りは消えていないので、そのパパの発言を素直に喜ぶわけにはいかない、そこで、「私がきれいって褒めたって、そんなのどうでもいいことよ」みたいに言ってみせている、一種の照れ隠しでしょうね。

defense は「ディフェンス、防御」で、この場合は「弁護」のニュアンスになります。

LAAD では、以下の例文が出ています。
In his defense (= used before making a statement to support someone), he is very new to the job.

つまり、「in someone's defense は、人をサポートするための発言をする前に使われる」ということで、例文の意味は、「彼の弁護のために言うと、彼はその仕事では全くの新入りだったんだ[その仕事についたばかりだったんだ]。」

今回のパパのセリフも、in my defense と先に言うことで、「私の自己弁護のために言わせてもらうと」というようなニュアンスになるわけですが、その後、無理もないもっともらしい理由を述べるのかと思ったら、「私はひどい父親だった」と、そのひどさをただ認めただけの発言をしているので、フィービーは、「それが、あなたの言う defense なの?」と聞き返しているのですね。
会話のやり取りがトンチンカンなところは、さすがはフィービーの実のパパ、という感じです。

パパは、自分がダメなパパであったことを語り始めます。
formula には「公式」などの意味もありますが、ここでは「乳児用ミルク(人工乳)」を指します。
母乳(breast milk)の代わりとなるミルクのことですね。
それを鍋で温めているうちに焦がしてしまった、ということです。
子守歌を作ったけど、that made you cry even more 「その歌が、君(たち)をさらにもっと泣かせてしまった」とも言っていますね。

歌を作った、という話を聞いて、フィービーは、You make up songs? と聞き返しています。
これは「そんな歌を(実際に、本当に)作ったの?」という過去の事実を尋ねている過去形ではなく、「現在形」になっていますね。
これは、習慣を表す現在形で、普段から歌を作るの? あなたは歌を(何曲も)作ったりする人なの?という意味になります。
それで、songs という複数形が使われているのですね。
歌を作った、という事実に驚いているというよりも、フィービー自身がシンガーソングライターなので、血の繋がったパパも、そういう趣味があるのかどうかを確認したかった感じです。

パパが思い出しながら歌った歌は、メロディーを聞くと、フィービーの Smelly Cat にそっくりなところも(ある程度予期された流れではありますが)、やはり微笑ましいと思いました。
メロディーだけではなく、歌詞の構造も似ているのも楽しいですね。
keep someone up は、「人を up の状態にしておく」ということで、up は(寝ていることに対して)「起きている(状態)」を指します。
子守歌を歌っているのに、ちっとも寝ないで泣き続けるから、私は全然眠ることができないよ、という意味になります。


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posted by Rach at 12:28| Comment(6) | フレンズ シーズン5 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
 毎回楽しく拝見させて戴いてます。
 フレンズを観ながら、そしてRachさんのブログを参考にしながら英語学習してます。ついさっき1stシーズンをやっと終えまして、切りがいいのでお礼を言いたくて、コメント欄にて失礼します。
 いつもお世話になってます。有難うございます。

 仕事や自分の頭の悪さでなかなか前に進まないんですが、英語上達を目的にしてる事自体と共に、Rachさんの「新聞のコラムにも勝る」濃密な記事を読む事が目標になって、毎日少しずつフレンズを見ています。本当に毎回ボリュームがあって読み応えがあります。最新記事を読む事は殆んどないんですが(今視聴してる所に対応した記事を順に読んで行ってるので)、次を早く読みたい、早く最新記事に追いつきたいと常に思いながら勉強してます。
 何だか目的がすり替わってる様な気がしなくもないですが。

 ツイッター(未だに使い方が良く分からないんですが)の方もフォローしました。
 寒いですが、お体に気を付けて、頑張って下さい。
Posted by yuta at 2011年01月14日 00:53
yutaさんへ
コメントありがとうございます。
ファースト・シーズンを終えられたとのこと、そういうお話を聞くととても嬉しいです。

フレンズを見るための時間を捻出するのは本当に大変だと思います。私の記事が何らかのお役に立てているとすれば、大変光栄に思います。また、拙ブログの記事についても、お褒めのお言葉を頂戴し、ありがとうございます。そう言っていただけると、これからも頑張ろうと思えます。

また、ツイッターのフォロー、そして、温かいねぎらいのお言葉もありがとうございます。お陰様で、風邪もひかずに元気に過ごしております。健康にも気をつけて頑張りますので、ブログ、ツイッターの両方で、これからもよろしくお願いいたします。
Posted by Rach at 2011年01月15日 08:54
Rachさん、こんばんわ

フィビーパパとフィビーのやりとりで判らないところがあるので教えてください。
Phoebe: She's dead.

Frank Sr.: Are you sure?

Phoebe: Well, if she isn't then cremating her was a big mistake.

フィビーのif she isn'tの後にはdeadが省略されていますか?if節が現在形で、その後の文にwasが使われているのが判りません。「彼女が死んでいないのなら、彼女を火葬したことは大きな間違いだった」っていうことは仮定法??やっぱり判りません(涙)
よろしくお願いします。
Posted by やっちん at 2014年09月25日 21:38
やっちんさんへ
こんにちは。ご質問ありがとうございます(^^)

やっちんさんのご想像通り、問題の文章は dead が省略されていて、省略しないで書くと、
if she isn't dead, then cremating her was a big mistake.
になります。
この文章では、if 節が現在形で、帰結節が過去形という「ずれ」が生じていますね。
そのような「ずれ」は、仮定法を思い出させますが、今回の場合は、仮定法ではない、普通の if 節の文章で、
「もし今〜なら、(過去に)…したことは間違いだった」
と述べている感覚になります。
「現在または過去の事実とは異なる仮定」をする場合には仮定法を使いますが、今回は単に「もしも〜であると仮定したら」と言っているシンプルな if 節になります。
"If it rains tomorrow, I will stay at home." 「もし明日雨なら、僕は家にいよう」のような「もし〜の場合は、もし〜なら」という感覚ですね。

私自身はブログ記事でこのやりとりをスルーしてしまっていますが、こうして改めてご質問をいただくと、「この文章が気になってしまう、引っかかってしまう」というやっちんさんのお気持ちがよくわかります。これは、dead という形容詞の使い方にもポイントがある気がします。

LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
dead [adjective] : not alive anymore (OPP: alive)
つまり、「もう生きていない。対義語:alive」。

このセリフは、DVDの日本語訳では以下のように訳されていました。
(字幕)生きたまま火葬にしたと?/(音声)生きたまま火葬にしたんじゃなきゃね。

パパはリリー(フィービーのママ)が死んだことを知らなかったことから、
フィービー: She's dead. (ママは死んでいるわ[ママは死んだわ])
パパ: Are you sure? (確かなのかい?)
というやりとりがあって、問題のセリフになるわけですが、そのセリフをもう少し言葉を付け加えて訳すとすると、
「ええ、確かにママは死んでいる(She's dead)わ。もし彼女が死んでいない(今も生きている)とすれば、(17年前も生きていたことになって)(あの時)ママを火葬にしたことは大きな間違いだった(ということになる)」
という感じになるでしょうか。
パパが「死んだってそれは確かかい?」みたいに尋ねたので、「あの時確かに亡くなったから火葬にしたのよ。もし今でも生きているとしたら、あの火葬は生きたまま火葬にしちゃったってことになるわ」みたいに言ってみせたわけですね。

日本語でも、誰かが亡くなったという話をする場合に、「彼女は(もう)死んでいる」という「状態」で表現することがありますね。
「彼女は17年前に死んだ、亡くなった」という場合は、She died 17 years ago. のように過去形で表現することになりますが、「今、生きているかいないか」という「今の彼女の状態」を語る場合には、シンプルに、She's dead. 「彼女は死んでいる、生きていない」と表現することができるわけです。

今回のエピソードでは、これより前のシーンで、おばあちゃんが亡くなったことをフィービーがアースラに知らせに行く場面がありましたね。
そこでのアースラのセリフに以下のものがありました。

フィービー: Umm, well, umm Grandma died today. (えーっと、おばあちゃんが今日死んだのよ。)
アースラ: Wow! Didn't she die like five years ago? (まぁ! おばあちゃんは5年前くらいに死んでなかった?)
フィービー: No, she just died today! Umm, okay, we're having a memorial service tomorrow. (いいえ、おばあちゃんは今日死んだばかりよ! うーん、いいわ、私たちは明日、告別式をする予定なの。)
アースラ: Okay, I know I went to that already. (それ(おばあちゃんの告別式)にはすでに行ったわよ。)
フィービー: No, you didn't! (いいえ、行ってないわ!)
アースラ: Well, then who's been dead for five years? (それじゃあ、死んで5年になる人は誰?)

アースラのセリフでは、「5年前に死んだ」という動詞 die を使った文章と、「5年間死んだ状態である」→「死んで5年になる」という be dead を使った文章の二つが使われていますね。
このように、誰かが死んだということを言う場合には、動詞 die を使う場合と、be dead という「be 動詞+形容詞」を使う場合があって、死んだという事実があったのは過去のことだけれども、「今の彼女の状態は dead である」という風に現在形で表わす、もしくは「5年間、dead の状態である」という現在完了形で表わすことも可能である、ということになります。

dead の説明が長くなってしまいましたが、ママが死んだことを知らないパパに、フィービーは「ママは死んでいる」という「ママの現在の状態」を述べる形で She's dead. と現在形を使って答えています。
その流れのままに、「もしそうじゃないと仮定すると、ママが今も生きていると仮定すると(if she isn't dead)」、17年前に火葬したことは大きな間違いだった、と表現していることになるのですね。
「現在が〜であると仮定すると、過去の出来事は…だった」と言っていることになり、現在の仮定が過去の出来事の判断基準になっている感覚になると思います。

日本人英語学習者にとっては「仮定法」という概念が難しく、実際、フレンズのセリフでも「仮定法」が出てくることは多いですね。
このフィービーのセリフは、「ママは実際には死んでいるのに、それを生きていると仮定している」という意味では、「現在の事実に反対の仮定」である仮定法を使っても良さそうなところですが、「もしそうであると仮定したら、過去の出来事はこうだった(ということになる)」という「仮定に基づく判断」の話に過ぎないので、どちらの時制も、実際の時制に合わせてシンプルに表現している、ということになると思います。
Posted by Rach at 2014年09月26日 13:47
Rachさん、今回もとても詳しく解説して頂きありがとうございました。お返事遅くなりました。
仮定法にこんな「法則」はないし、でもこの時制のズレってなんだろうって思ったらドンドン判らなくなりました。deadが死んでいるという状態を表すというのは判っていましたが、でも咄嗟にこういう文に反応出来ないのはまだまだ使える英語にはなってないなぁ〜と感じます。
"「現在が〜であると仮定すると、過去の出来事は…だった」と言っていることになり、現在の仮定が過去の出来事の判断基準になっている感覚になると思います。"の説明とても判りやすかったです。文法書でいろいろ調べてもすぐにピンとこない文ってその表現を丸ごと覚える、という方法をとることもあるのですが、やはりきちんと理解してから丸ごと覚える方がずっと応用利きますね。これからも頑張りますのでよろしくお願いします。
Posted by やっちん at 2014年09月28日 20:00
やっちんさんへ
ご丁寧なお返事ありがとうございます。

仮定法には時制のずれがよく出てくるので、今回のような if 節の文が出てくると、またそれか、と思ってしまいがちですよね^^

このセリフは、ブログ解説でも飛ばしてしまったように、当時の私は何も思わずスルーしてしまったのですが、よく見ると、英語学習者的になかなか面白い文章で、dead の感覚や使い方を理解する好例でもあると思いました。

「わからない場合は、とにかく、そういう言い方があるのかぁ、、と覚える」というのも一つの手ではありますね。そういうものをいくつか覚えて行くうちに、「前にもよく似たフレーズや構文があったなぁ」と思い出して結びつけることで、それらに共通してある「感覚」に気づけることもあります。

いつも興味深いご質問をありがとうございます。こちらこそこれからもよろしくお願いします(^^)
Posted by Rach at 2014年09月29日 14:56
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