2011年03月18日

そういうことだったのか フレンズ5-17その6

皆様の応援のお陰で、現在、「人気ブログランキング」は4位、「にほんブログ村」は2位です。
ブログを続ける原動力となります。どうか今日も応援クリックをよろしくお願いします。
人気ブログランキングへ にほんブログ村 英語ブログへ


[Cut to the Men's room. Chandler is practicing flashing his badge as Monica enters.]
男性用トイレに画面がカット。チャンドラーは(警官)バッジをパッと見せる練習をしている。その時にモニカが入ってくる。
モニカ: Hi, Chandler. (はーい、チャンドラー。)
チャンドラー: Monica, this is the men's room. (Pause) Isn't it? (モニカ、ここは男性用トイレだぞ。[少し間があって] そうだよね?)
モニカ: Yes, it is. But see, I've always found the men's bathroom very sexual. Haven't you? (そうよ、男性用トイレよ。でもね、私ずっと、男性用トイレってすごくセクシャルだと思ってたの。あなたはどう?(そう思ったことない?))
チャンドラー: No. And if I did, I don't think we'd be going out. Monica, this is getting ridiculous! (思ったことないよ。それに、もし俺がそう思うなら、俺たち二人は(今こうして)付き合ってないと思うけど。モニカ、これって、どんどんおかしな話になってるよ!)
モニカ: Come on, we can't let them win! (ねぇ、私たちは彼らを勝たせるわけにはいかないのよ!)
チャンドラー: Ugh, we have already proved that we are hot, okay? So why-why are you getting so obsessed about this thing? (あー、俺たちはアツアツだって、もうすでに証明しただろ? それで、どうして君はこのことにそんなにこだわってるんだ?)
モニカ: Because Phoebe and Gary are in that "can't keep their hands off each other doing it in the park" phase! (だって、フィービーとギャリーは、あの「お互いに触れずにはいられなくて、公園でエッチしちゃう」って段階にいるんだもの!)
チャンドラー: (gasps) So? ([息を呑んで] それで?)
モニカ: So? I feel really sad that we're not... really there anymore. (それで、ですって? 私は本当に悲しいのよ、私たちは…もうそんな段階にはいない、ってことが。)
チャンドラー: Oh, wow! Oh, is that what this has all been about? (わぁ。今回のことは全部、そういうことだったんだね?)

チャンドラーが鏡に向かって警官バッジを早業(はやわざ)で見せる仕草を練習しているところに、モニカが入ってきます。
モニカは色っぽい、誘うような感じでチャンドラーに声をかけます。
男性トイレに入ってきたモニカに驚いて、「ここは男性用トイレだよ」と言うのですが、その後、少しだけ目をきょろきょろさせて、「(そう)だよね?」のような付加疑問文をつけているのが面白いですね。
モニカがあまりに堂々と入ってくるので、もしかして俺が間違って入っちゃったかな?と一瞬思ってしまった感じです。

モニカは、ここは男性用トイレだと認めた上で、I've always found the men's bathroom very sexual. と言っています。
この文章は、「find+目的語+補語」の形で、「…が〜だとわかる、思う、考える」という意味になります。
現在完了形が使われているので、「私はずっと、男性用トイレがとてもセクシャルだな、って思ってたの」というような意味になりますね。
自分が、I've always found 、つまり、「ずっとそう思ってた」と言ったことに対して、Haven't you? と尋ねることで、「あなたはそんな風に思ったことない?」と尋ねていることになります。

次のチャンドラーのセリフ、No. And if I did, I don't think we'd be going out. について。
「思ったことない?」と聞かれて、「そんな風に思ったこと、感じたことはない」と否定した上で、「もし俺が男性用トイレをセクシャルだと思うなら…」という仮定を述べています。
この did は、仮定法過去でしょうね。俺はそんな風に思わないけど、もしもそう思ったと仮定すると、という「実現不可能な仮定」を意味していると思います。
I don't think we'd be going out. は、「否定語はできるだけ前に持ってくる」という英語の特性上、否定語 not が前に来て、think を否定していますが、日本語っぽく意味を取るために改造すると、I think we wouldn't be going out. になるでしょうか。
go out の基本は、「外に出る」という意味ですが、恋愛関係においては、「デートする、付き合う、交際する」という意味があります。
つまり、「俺たち(俺とモニカ)は、(今のように)付き合ったりしてないだろうと思うよ」と言いたいのですね。
woudln't go out ではなく、wouldn't be going out という進行形になっているのは、今自分たちがまさに交際中(交際が進行中)であることに反対の推定を表していて、「(今の状態とは異なり)今付き合っているっていう状態ではなくなっているだろう、今は付き合っていないだろう、デートしていないだろう」というニュアンスになると思います。

「男性トイレって、何かエッチな気持ちにさせるわよね」みたいなことをモニカは言っているわけですが、チャンドラーは、「男性トイレでエッチな気持ちになるような人間だったら、今頃、女性の君とはデートしてないだろうね」と言っているわけです。
つまり、男性の俺が男性トイレでそういう気持ちになるってことは、男性が好き、ゲイである、ということなので、女性のモニカと恋愛関係になったりはしてないよ、と言っているのですね。
女性側の例えで言うと、「女湯でドキドキするような人間だったら、(レズビアンの気がある、ということなので)、男性のあなたとはデートしてない」みたいな感じになるでしょうか。
つまり、チャンドラーは、「俺はモニカとデートしてるストレート(ゲイではない男)なんだから、男性トイレをセクシャルだなんて思わないよ」と言っていることになりますね。
モニカが色っぽい目つきで迫り、「男性トイレってエッチよね」みたいなことを言っているのは明らかにチャンドラーを誘っているのがミエミエですから、チャンドラーはいつものジョークでそれを押し留めようとしている感じです。

モニカがそこまでこだわる理由を尋ねるチャンドラー。
モニカは、フィービーたちは今、こういうフェイズ・段階にいるんだもの!と言って、フィービーたちの状態を説明していますね。
チャンドラーは息を呑んで大袈裟に驚いて見せた後、「で?」と全く普通の口調で問い返しています。
大袈裟に gasp してみただけで、実は全然驚いていないことがわかりますね。
フィービーたちのラブラブぶりに対する、モニカとチャンドラーの意識の違いが、この So? という返事に表れています。
その後、モニカは「フィービーたちはあんなアツアツの状態なのに、自分たちはもうそういう段階にはいないことが悲しいの」と正直な気持ちを述べます。
それでやっとチャンドラーも、モニカがこだわっていた理由がわかったようですね。

Is that what this has all been about? は、That's what this is all about. の現在完了形を疑問文にした形です。
That's what this is all about. は、「これはそういうことなんだな」のように訳されることが多いでしょうか。(拙著の p.72 でも、「構造をつかむ例題」としてこの文章を取り上げています)

今回のチャンドラーのセリフでは、that は、直前にモニカが言った理由を指し、this は、こういうちょっと ridiculous なほどのモニカのこだわりを指しています。
こういうこだわりは一体何だったのか、何についてそんなにこだわっているのかと思っていたら、「私たちはフィービーたちほどもうアツアツじゃないのが悲しい」、それがこだわりの原因、理由だったのか、と、チャンドラーがここで気づいた感覚になりますね。


ランキングをクリックして、応援していただけると嬉しいです。
人気ブログランキングへ にほんブログ村 英語ブログへ
posted by Rach at 11:35| Comment(2) | フレンズ シーズン5 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
初めまして。

当方20歳の学生で、ただ今アメリカに留学しております。 最近日常会話の微妙なニュアンスを掴むのに苦労することが多く、何かもっと会話を重視した良い教材等は無いのかと色々調べていた所、「フレンズ」というドラマが良いと聞き、そんな中でこのRachさんのブログを見つけました。

今はまだフレンズのシーズン1の途中なのですが、見る時は必ずこのサイトを利用させてもらっています。

セリフの裏の意味や背景を事細かく解説して頂き、ストーリーを100%とまでは行かないまでも、私の様な者でもそれに近いぐらいの理解をこのサイトのおかげで出来ており、Rachさんには非常に感謝しております。

そんな中、ふと疑問に思った事があります。

Rachさんは今TOEIC満点、そして英検も1級をお持ちとの事ですが、それらを取る事が出来た根本的な原因は「フレンズにある」とおっしゃっています。

なので、その様な資格を取られる前からフレンズを見て微妙なニュアンス等を研究されてたはずなのですが、一体どのようにしてその微妙なニュアンスを理解出来る様になったのでしょうか?

つまり、どこからドラマ内に出てくるセリフの一つ一つの意味を調べて「これは絶対この意味になる!」と断言できるほどの知識を身につけたのでしょうか?

「英辞郎 on the web」にて、よくRachさんが訳されている訳と同じような訳を見つけた事が何度もあるので、その辞書は使っていると思うのですが、それだけでしょうか?
(まだRachさんのブログを全て拝見した訳ではないので「こんなのを使って私は英語の微妙な意味を掴んでいる」という事を書かれた事があるなら申し訳ありません)

Rachさんは京大卒ということで読解力、論理的思考力共に私の様な者に比べてはるかにお持ちかと思いますが、それでも海外経験が無いとの事なので、やはり本当の意味での英語を理解するのはとても難しいと思います。

日本で言う漫才の様なもので、いくら秀才な外国人の方が日本語を勉強した所で日本の笑いを根底から理解するのは難しいと私は感じます。

でもRachさんはそれが出来ている。

これは何故なのでしょうか?

幸い私には日本語と英語の、ほぼバイリンガルの友人がいるので何か聞きたい事があればその人によく聞くのですが、Rachさんにもその様な方がいるのでしょうか?

その人に微妙なニュアンスを聞いて、その上でこのブログにその意味載せているのでしょうか?

それとも何か他の辞書等を用いているのでしょうか?

急に現れてこんな質問は失礼極まりないと重々承知の上でございますが、どうしてこれはこうだ!と「断言」する事ができるのだろうか、と疑問に思った為に今回ここに書かせて頂きました。

フレンズの話とは直接関係の無い話をして申し訳ありません。

お暇であればご回答頂けたらと思います。

(ちなみにビリーとは黒人のルームメイトの名前です^^笑)
Posted by ビリー at 2011年03月20日 11:01
ビリーさんへ
初めまして。お返事が遅くなり申し訳ありません。
私の解説に対する高い評価のお言葉、誠にありがとうございます。拙ブログが何かしらのお役に立てているとすれば、大変光栄で嬉しいです。

「どのようにしてその微妙なニュアンスを理解出来る様になったのか」というご質問に対するお答えは、コメント欄ではなく、1つの記事として近いうちに投稿するつもりです。そこでは、私がこれまで行なってきた学習法とその意義について、ご説明したいと思います。以前にも、DVD学習法の記事をいくつか書いたことがあったのですが、どれも随分前の記事となってしまったので、「今の私が思うところ」を盛り込んだ記事を新たに書き起こすべきかな、と思ったので。

その前に、このコメント欄で、お返事できる部分だけ先にお答えさせていただきますね。

まず「使っている辞書」について。
私が主に使っているのは、
英和では、研究社 新英和中辞典、そして、ビリーさんも名前を挙げられた「英辞郎」も使っています。
英辞郎は、「英辞郎 on the web」ではなくて、購入した CD-ROM を PC にインストールしたものです。
私は英辞郎を「データベース」や「フレーズ集」のような認識で使っています。映画やドラマに出てくるような日常表現が多く載っているので、「とりあえずどんな意味か知りたい」場合には便利な辞書だと思います。

ブログを始めた頃は、英英辞典は全く使っていなかったのですが、ブログを続けるうちにだんだん使えるようになってきました。
英英は、今、一番使っているのが、
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) で、その他には、Macmillan Dictionary (マクミラン英英辞典)も使っています。英語の本当のニュアンスを知るのに、英英辞典はとても強力なツールとなっています。

それから、私がこのブログに書いている解釈は、「私自身の解釈」です。「バイリンガルの友人に質問してその答えを書いている」ということはありません。「誰かに尋ねてその答えを載せる」のであれば、「私」という人間がこのブログを書いている意味がありません。
私は「海外経験のない私が、日本にいながらにして、辞書を引き、文法書を調べ、ネットでサブカルネタを調べたりすることで、これくらいのことまではわかった、ということを示す」ことに、私の存在意義があると思っています。

また、私が記事で書いているものはあくまで「私個人の意見、私が考える解釈」に過ぎないのであって、必ずしも「正解」とは限りません。実際、これまでもいろんな方に間違いを指摘していただきながら、ここまでやってきました。ですから私は、「これは絶対この意味になる!と断言」しているつもりは全くないのですね。
ブログの初期の記事では、言葉が足りないせいで、断言しているように感じられる文章の語尾になっている場合もあったかもしれませんが(それについてはお詫びします)、私としては、「私はこう思うのですが、皆さんはどうでしょう??」というのが基本スタンスとなっています。

確かに「コメディー」「お笑い」のようなものをノンネイティブが理解するのは難しいですよね。それを理解するには、やはりそういうものを「できるだけたくさん見る」しか方法はないと思います。単語や文法を理解したからわかる、というものではなく、そういう知識を増やしながら、実際にそういうものに当たってみるしかないのだろうと。

私自身がどこまで「微妙なニュアンスを理解できているか」ということは、正直よくわかりません。ただ、英語学習を続けて、このようなブログを書き続けている間に、「前よりもわかるようになってきた」という実感はありました。私がそういう「確信」を持つに至った「海外ドラマを使ったDVD学習法」について記事を書かせていただきますので、もうしばらくお待ち下さいませ。
Posted by Rach at 2011年03月25日 10:43
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。