2011年03月24日

フェア・シェア フレンズ1-3その8

皆様の応援のお陰で、現在、「人気ブログランキング」は3位、「にほんブログ村」は4位です。
ブログを続ける原動力となります。どうか今日も応援クリックをよろしくお願いします。
人気ブログランキングへ にほんブログ村 英語ブログへ


フレンズ1-3その1 のコメント欄 で、セリフについてのご質問がありました。
そのセリフの中の表現が、なかなか興味深いなと思ったので、今回は、フレンズ1-3 の追記記事の形で解説したいと思います。

ご質問があったやり取りは以下の部分。

SCENE 3: IRIDIUM (MONICA AND PAULA ARE AT WORK)
イリジウム (モニカとポーラが仕事中)
(注:「イリジウム」はモニカが働いているレストランの名前)
モニカ: Why should I let them meet him? I mean, I bring a guy home and within five minutes they're all over him. They're like... coyotes picking off the weak members of the herd. (どうして彼ら(フレンズたち)に(今、付き合っている)彼を会わせなきゃいけないの? ほら、私が男性を家に連れてくると、5分以内にみんなは彼に殺到するのよ。彼らはまるで…群れの中の弱いメンバーをむしり取る[狙いうちする]コヨーテみたいなの。)
ポーラ: Listen, as someone who's seen more than her (fair) share of bad beef, I'll tell you, that is not such a terrible thing. Come on. They're your friends, they're just looking out after you. (ピンクの文字は1つ目の質問部分なので和訳は省略。ねぇ、彼らはあなたの友達なのよ。ただあなたを心配してるだけよ。)
モニカ: I just wish that once, I'd bring a guy home that they actually liked. (私はただ願うわ、一度でいいから、彼らが本当に気に入る人を家に連れてきたい、って。)
ポーラ: Well, you do realize the odds of that happening are a little slimmer if they never get to meet the guy.... (2つ目の質問部分なので和訳は省略。)

まず1つ目の、
ポーラ: Listen, as someone who's seen more than her (fair) share of bad beef, I'll tell you, that is not such a terrible thing.
について。
As someone who..., I'll tell you は、「…する人間として、今から(以下のことを)言うよ」という感覚だと思います。ですから、この場合の as は、「…として」という意味ですね。

fair share という表現について。
ネットスクリプトでは、her fair share となっているのですが、DVD英語字幕は her share だけで fair はありません。
音声を聞いてみると、her share と言っていて、やはり fair は発音されていませんでした。
ですが、ネットスクリプトを書き起こした方が感じた通り、このセリフには、her fair share のニュアンスがあるように思います。

fair share は決まり文句で、

英辞郎には、
fair share=公正な取り分、正当な分け前
と出ています。

研究社 新英和中辞典では、share の項目に、
get a fair share 正当な[当然の]分け前をもらう
という例も出ています。

LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
fair [adjective] の項目の 5 番目に、以下のフレーズが出ています。

5. have had more than your fair share of something :
to have had more of something, especially something bad, than seems reasonable or fair
例) Tim's had more than his fair share of bad luck this year.

つまり、「何かを、特に何か悪いものを、正当(妥当)、公平に思われるよりもいっそう多く持ってしまうこと」。
例文は、「ティムは今年、不公平だと思われるほどの不運を持ってしまった」。

そのフレーズを直訳すると、「何かの正当な分け前以上のものを持ってしまった」ということなので、特に something が悪いものの場合だと、「本来課せられるべき以上の悪いことをあてがわれてしまった、普通の人が持つべき一人分以上のものを持ってしまった」というような感覚になるのだろうと思います。
ロングマンにほとんど同じフレーズが載っていることから、ポーラが使ったような言い回しはよく使われる表現のようですね。
fair share が「エア」の音で韻を踏んでいるのもポイントなのだろうと思います。
have had のように常に「完了形」で使われるようですが、それは「今に至るまでのこれまでの人生でそういうものを持った、与えられてしまった」という「経験」のニュアンスがあるからだと思います。

ポーラのセリフは、
has seen more than her fair share of bad beef
ですから、have が see となり、「何か悪いもの(something bad)」は、bad beef になります。
ここでは、モニカに恋愛のアドバイスをしているので、bad beef は、「悪い、ダメな、ひどい男」のニュアンスのようです。
ちょうどその前のセリフで、フレンズたちを「群れの弱いものをむしり取るコヨーテ」に例えているので、その流れから、「コヨーテに狙われるような肉のうちでも悪いもの」という感覚で、bad beef と表現しているのだと思います。

see は「見る」ですが、I'm seeing someone. 「私は誰かと付き合っている」のように、「付き合う、交際する」という意味もあるので、「一人の人間にとって正当な取り分だと思える以上に、ひどい男をたくさん見てきた、ダメな男とたくさん付き合ってきた」というニュアンスが出ると思います。
who's 以下が、someone を説明する形となって、「そういう経験をしてきた人間として言わせてもらうと」という意味になるのですね。

正当な取り分、分け前、という表現が使われているのは、「人間、誰でも悪い男を掴むことがあるけど(私は人と比べて必要以上に悪い男ばっかり掴んできた、付き合ってきた)」という気持ちが入っているのだと思います。
友達に認めてもらえないようなひどい男と何人も付き合ってきたけど、その私に言わせると、フレンズたちがモニカの彼氏に群がってあーだこーだ言うこともそんなにひどいことじゃない、という感覚ですね。
ですから、そのセリフを私なりに訳してみると、「ねぇ、自分に与えられた公正な取り分以上に、悪い牛肉(男)を見てきた人間として言うけど、モニカが言ったようなことは、それほどひどいことじゃないわ」になるでしょうか。

実際のセリフは fair がないので、「公正な取り分(fair share)」ではなく、ただの「取り分(share)」ですが、それでも、セリフを言ったポーラも、聞いているモニカや観客・視聴者も、そこに fair share のニュアンスを感じ取っているのだろうと私は思いました。


2つ目の、
ポーラ: Well, you do realize the odds of that happening are a little slimmer if they never get to meet the guy....
について。
このセリフの if は「もし…ならば」という仮定です。
the odds of that happening は「それが起こる可能性、確率」、slim は 「(可能性・見込みが)少ない、かすかな、ほんのわずかな」。
you do realize の do は realize を強調していて、あなたは…であることがよくわかっているわよね」という確認、念押しのニュアンス。
get to は「…するようになる、…の状態になる」なので、get to meet the guy は「その男性に会うことになる」になるでしょう。
ですから、私なりに訳してみると、「そうねぇ、もしあなたの友達がその男性(モニカのデート相手)に会うことにならなければ、その男性を気に入る確率がごくわずかになってしまうってこと、わかるでしょ?」みたいになるでしょうか。
フレンズたちが彼を気に入るかどうかモニカは気をもんでいるけれども、「会わせない限りは、気に入られることもない、気に入ってもらいたいなら、会わせないことには始まらない」とポーラは言いたいのですね。

ちなみに、これらの英語のセリフは、DVDの日本語訳ではそれぞれ以下のように訳されていました。

1つ目のセリフ
(字幕) ひどい獲物を つかんできた私に言わせりゃ
(吹替) いいかい、自慢じゃないが、あたし今までひどい獲物ばっか掴んできた

2つ目のセリフ
(字幕) 会わせなかったら 気に入る可能性はゼロだよ
(吹替) でもあんた、そう言って彼氏を会わせなかったら、気に入ってもらえる可能性は限りなくゼロに近くなっちまうよ

上の日本語訳は、今回のセリフのニュアンスがよく出ていると思います。
私自身、多分、このエピソードを最初に英語で見た時は、このセリフの意味がよくわからなかったと思いますが、そういう日本語訳を参考にして、辞書でそれらしい意味を探し、その英語のセリフを解釈した、ということですね。

DVDの日本語訳は、字幕なら文字数制限、吹替なら秒数制限があります。あるいは、直訳しても日本人にはピンと来ないという理由などで、意訳されている場合も多いです。
が、それでもやはり、参考になる部分は多いと思います。
私もいつも、「必ずしも直訳されているとは限らない」ということを念頭に置きつつ(←これをしっかり意識することはとても大切です)、「プロの翻訳者はどう訳しておられるか?」というのを、貴重な意見として参考にしています。
やはりネイティブが普通に楽しんでいる娯楽作品なので、ノンネイティブの我々には難しい部分も多いですから、そういう日本語訳のヒントもどんどん有効活用していきたいな、と思っています。


ランキングをクリックして、応援していただけると嬉しいです。
人気ブログランキングへ にほんブログ村 英語ブログへ
posted by Rach at 10:52| Comment(2) | フレンズ シーズン1 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
Rachさん。はじめまして、
はじめましてですがお世話になっておりますw
Rachさんのブログを読ませていただいて、
friendsをもう一度見直して、英語をやり直そうと思い立ちました。
TOEICも何度も受けていますが伸び悩み(今月も受けてきましたが手応えは感じられませんでした)、このままではいけない…と思い。。
フレンズで見た単語は忘れないなぁーと思いながらネットサーフィンしていると、こちらにたどり着き感動しています。
さっそくドラマを見直して、分からないことだらけでしたので、Rachさんのブログで学んでいるところです。
感謝を申し上げたくてコメントさせて頂きました。
これからもお世話になります(ૢ˃ꌂ˂⁎)
Posted by なっつん at 2015年05月28日 14:59
なっつんさんへ
はじめまして。コメントありがとうございます。
ネットサーフィンで拙ブログを見つけて下さったこと、そして、このブログでフレンズ英語を学んで下さっているとのこと、重ねてありがとうございます。

私のこのブログが、少しでも英語学習のお役に立てるとしたら、とても嬉しいです。これからも頑張りますね!
こちらこそ、今後ともどうかよろしくお願いします。
ご丁寧で温かいコメント、ありがとうございました!(^^)
Posted by Rach at 2015年05月29日 20:55
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。