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フレンズ3-3その3 の記事で、以下のセリフがあり、私は下に書いたような日本語訳をつけました。
チャンドラー: Well, I'm sorry Joe. I didn't think the doctor was gonna buy that it just "fell out of the socket." (あぁ、ごめんよ、ジョーイ。そのケガはただ、「肩が(肩の穴から)ポロッと抜け落ちた」だけだ、という理由をお医者さんが信じるとは、俺には思えなかったんでね。)
そして、この場合の socket は、日本語にもなっている「(電球受け口の)ソケット」ではなく、「肩の骨がはまっている穴」を指すと思われる、という話も書きました。
最近、その記事のコメント欄で、「医療関係のサイトで、dislocate it out of its socket という表現を見つけました」という情報をいただきました。
dislocate は「脱臼させる」という意味なので、肩の脱臼の話で、dislocate it out of its socket であれば、まさに「脱臼で骨がはまっていた関節から外れる」という意味になります。
やはり、socket には、「肩の骨がはまっている関節(の穴)」という意味があると考えて間違いないようですね。
そのコメントをいただいた時に思い出したのですが、その socket の記事を書いた後に他の作品を見ている中で、同様の意味の socket が使われているセリフに二度ほど出会ったことがありました。
そこで、今回、フレンズ3-3 の追加記事として、socket が使われていた他作品のセリフを取り上げたいと思います。
外来語として「ソケット」というカタカナ語が存在するだけに、socket を見ると反射的に「ソケット」と訳したくなってしまいますが、電化製品関係の「ソケット」以外の意味もあることをここで再確認してみたいと思ったわけです。
まず1つ目は、映画「トイ・ストーリー」(3作あるうちのパート1)。
3-3 でいただいたコメントで、「(医療関係のサイトで)eye ball が飛び出すという使用例もありました」という情報をいただいたのですが、まさにそれと同じようなニュアンスのセリフです。
ウッディが、バズをドンと突いた時、バズのヘルメットの透明部分が外れます。
本当はおもちゃなのに、自分を本物の宇宙飛行士だと思っているバズは「息が苦しい…」というように、バタバタした後、呼吸可能な空気があるとわかって、以下のセリフを言っていました。
バズ: The air isn't toxic.How dare you open a spaceman's helmet on an uncharted planet! My eyeballs could've been sucked from their sockets. (この空気は有毒じゃない。[と気づいてホッとするも、自分を突き飛ばしたウッディに怒りをぶつけて] 未知の惑星で宇宙飛行士のヘルメットを開けるなんてこと、よくもできたものだな! 私の眼球が眼窩(がんか)から吸い出されたかもしれないんだぞ。)
この部分、日本語音声では「気圧の変化で目玉が飛び出したらどうする?」となっていましたが、まさにそのセリフで言いたいのはそういうことですよね。
もし外が真空だったりすると、気圧の変化で目玉が飛び出してしまった可能性だってあったんだぞ!と、不用意にヘルメットが外れるようなことをしてしまったウッディを責めているのです。
「(驚いた場合などに)目玉が飛び出る」という表現としては、Someone's eyes pop out of one's head. のような表現もありますが、「”はまっていた場所から外れて”目が飛び出してしまう」というニュアンスを出したい場合は、from their sockets のように、「どこから外れたか」を示す、ということなのでしょうね。
日本語では、肩の脱臼でも、目玉が飛び出る場合でも、「どこから」外れたか、とれたか、というようなことをわざわざ言いませんので、今回のように socket という単語が使われると、ピンと来ないのかな、と思います。
ちなみに、眼球の場合は穴が2つあるので、sockets と複数になっているのもなるほどな、という感じです。
そして2つ目は、「スター・ウォーズ」(Star Wars IV A NEW HOPE)。これは、最初に公開された3部作の1作目。
その中で、腕がはまっている穴・関節のニュアンスで socket が使われています。
ミレニアム・ファルコン号の中で、ウーキー族のチューバッカと、R2-D2 がチェスをしていて、チューバッカが劣勢になり、だんだん機嫌が悪くなってきます。
それを見たソロは、
ソロ: Let him have it. It's not wise to upset a Wookiee. (チューバッカに勝たせてやれ。ウーキー族を怒らせるのは利口じゃないぞ。)
C-3PO: But, sir, nobody worries about upsetting a droid. (ですが、ドロイドを怒らせることを心配する者はいません。)
ソロ: 'Cause a droid don't pull people's arms out of their sockets when they lose. Wookiees are known to do that. (それは、ドロイドは、負ける時に人間の腕を関節から引き抜いたりしないからだ。ウーキー族はそういうことをするので知られてるんだぜ。)
C-3PO: I see your point, sir. I suggest a new strategy, R2. Let the Wookiee win. (おっしゃりたいことがわかりました。新しい作戦を提案するよ、R2。そのウーキー族を勝たせてやれ。)
ソロは今にも怒り出しそうなチューバッカ(チューイ)を見て、「勝たせてやれよ、怒り出したら大変だぞ」みたいなことを言っています。
それに対して、アンドロイドのC-3PO は、「負けて怒るのはドロイドも同じ、負けたら私たちも怒り出しますよ」みたいな返事をしています。
そこでソロは、ドロイドを怒らせるのと、ウーキー族を怒らせるのはわけが違う、というように、ウーキーを怒らせたらどうなるかを説明しています。
「ドロイドは、負けても人の腕を引っこ抜いたりしないが、ウーキーは負けたらそんなことをするって有名なんだぜ」みたいなことですね。
つまり、チューイを怒らせると、お前たちの腕を引っこ抜くかもしれないぞ、と脅しているわけです。
それを聞いて、即座に作戦を変更する 3PO がかわいいですが、ここのセリフでは、pull people's arms out of their sockets という形で使われていて、それはまさに「人の腕をそのソケットから引き抜く」ということですから、やはり、socket は「腕(肩)がはまっている関節(の穴)」を指すと考えて良さそうですよね。
つまり、フレンズ3-3その3 のセリフの socket と同じ場所を指すようです。
今、改めて、英英辞典で調べてみると、
LAAD では、
socket : a hollow part of something that another part fits into
例) eye sockets
つまり、「別の部分がそこに収まる、あるものの空洞の・くぼんだ部分」。例は、eye sockets 「眼窩(がんか)、眼球孔」。
Macmillan Dictionary では、
socket : a curved space in the human body where a moving part, for example an eye or an arm, fits
つまり、「人体の湾曲した空間、そこでは可動部分、例えば目や腕など、がはまる・フィットする」。
特にマクミランの方は、「腕などの動く部分がはまる場所」とありますので、やはり、脱臼した部分が元々はまっていた場所として、socket が使われている、ということになると思います。
ということで、「目、腕がはまっている穴」の意味の socket が使われているセリフを2例ご紹介しました。
この2つのセリフで、socket が使われていることに目が留まったのは、その前に、ブログの記事で、socket の意味について悩んだ経験があったからです。
socket って、いわゆる「電球のソケット」以外にも、人体の部分を指したりもするんだぁ、という記憶が頭のどこかにあったために、次に socket という言葉に出会った時に、「あの時のニュアンスは、これと同じか!」ということに気付けるわけですね。
過去にそこで引っかかった経験がなければ、次に会った時にも気付かずスルーしていたかもしれません。
そして今回のように、フレンズも含めて3つのセリフでこのような使われ方をしていたのを見れば、おのずとその socket の指すものがわかってくる気がします。
結局、電球でも、肩の骨でも、何かをカポッとはめ込む部分の穴を socket と表現している、というだけのこと…と言ってしまえばそれまでですが、ソケットという言葉から電化製品しか連想できないと、訳を間違えてしまう恐れもあります。
socket なんて、別に重要単語でもありませんが、「できるだけ多くの英語に触れて、英語のニュアンスを掴んでいく」というのは、こういうことなんだろうなと思っています。
1回だけではまだどうもしっくりこない部分があるけれど、2回、3回と同じ単語に出会うことで、そのニュアンスやイメージが自分の中にできてくる、という感じですね。
そういう「実感」「確信」をたくさん持てるようになることが、英語を学ぶ上での自信になってくるのだろうと私自身は思っています。
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最近のRachさんの解説は丁寧すぎで正確すぎて隙がないように思われます。アクセス数は横ばいなのにコメントが減っているように感じるのはそのせいかと思われます。
話は飛びますがきのう4/9(土)のフジテレビのめちゃx2イケてる!日本一面白い女子高抜きうち学力テストを見ていたら英語の問題文に現在完了形の文章なのにagoを使っていました。経験だから完了形なのだと説明していました。番組監修として大学教授の名前もテロップで流れていたと思います。唖然とさせられました。
socketとくると最初に思い浮かぶのはeye socketかなと。そーいや、肩もsocketだよなぁ。。。くらいな。
こう思えるようになったということは5年の英語生活は無駄ではなかったのかしら。
最後に書いておられる通り、何回も、コンテクストの中で出会うことでイメージができてくるということですね。
ぼんやりと「この人は英語圏の人間でないから」と許されるマチガイを自分がしていることに気づかないまま何となく過ごすよりも、「なんでこれはこの語?」と会話の流れや話している人のバックグラウンドを意識しながら、おすすめのようにDVDを鑑賞するのは有効だと思います。
蛇足ながら。
先日まで再放送でやっていた大西先生のNHKの英会話のシリーズに、だんなと2人でハマってました。ていうか、あの着こなしをできるのはただ者じゃないわと(笑)
コメントありがとうございます。
第6シーズンに突入されたのですね。私の更新ペースはのんびりなので、どんどん進んで行って下さい。
拙ブログは元々コメントは概して少なめだったのに、最近は何だか多いなぁ、と私自身は思っていました。少し前のコメントの多い頃が、逆に珍しい感じ、と言いますか。
また、「丁寧、正確、隙がない」というお褒めのお言葉もありがとうございます。ただ、「隙がない」というよりは、説明に余裕がなくてガチガチな感じかも、と自分では思ったりもします。
その「めちゃイケ」は見ていなかったのですが、バラエティ番組だとそういうことはよくありそうですよね。監修の先生はきちんとチェックされていたのかもしれませんが、「まぁ、バラエティだから楽しけりゃいいじゃない」みたいに思う人がスタッフのどの段階かにいることで、きちんと訂正されずに見逃されてしまう、ということもありそうかな、と思ったりもします。
テレビを見ていると、そういう「気になる表現」が結構ありますよね。そういうものが大いにまかり通っていて、「そんな細かいこと、別にいいじゃん」という開き直りが見られる間は、日本人の英語力の全体的な向上も難しいような気がします。
おちかちゃんへ
コメントありがとうございます。
>socketとくると最初に思い浮かぶのはeye socketかなと。そーいや、肩もsocketだよなぁ。。。
というのはさすがですねぇ。私など、その「フレンズ3-3」のセリフを見るまでは、ソケットと言えば電化製品しか浮かびませんでした。普通にただ見ているだけでは、きっとそのままスルーしていたと思うのですが、ブログのための日本語訳をつける時になって、「おや?」と気付いたということなんですよ。
おちかちゃんのおっしゃるような「意識」は本当に大切ですよね。意識することで「気づき」が生まれ、自分の知識が修正されていくわけです。普段からそういう意識を持っているかどうかが、何かを学ぶ際の分かれ目になってくるんだろうと思います。
大西先生のシリーズにハマったとのお話、私もファンの一人として嬉しいです。…でも、「あの着こなし」って、「(注目したのは)そこ?!」と言いたくなりますが(笑)。
感覚やイメージを大切にされているところが、先生のシリーズの魅力ですよね。