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シーズン5 第20話
The One with the Ride-Along (まさかの臨死体験!?)
原題は「車に一緒に乗る話」
マルガリータを作ろうとしたレイチェルですが、モニカがブレンダー(ミキサー)をロスに貸しているというので、そのブレンダーを取りにロスの部屋にやってきます。
[Scene: Ross's apartment, Rachel is just entering. She takes off her coat and heads for the kitchen. As she does, she knocks something off of a bookcase next to the kitchen door with her coat and it breaks.]
ロスのアパートメント。レイチェルがちょうど入ってきたところ。レイチェルはコートを脱ぎ、キッチンに向かう。その時、台所のドアの隣にある本棚の上に置いてある何かを、脱いだコートで当てて落としてしまい、その何かが壊れる。
レイチェル: Ohh, please don't be from a real dinosaur! Please! Please! Please! Please! Please! Please! Please! Please! (She picks up the 2 pieces and looks at the stand.) "Made in Mexico." Yes!! Ugh, who would buy this? (Looks for a place to hide it and finds a wall sconce and drops the pieces into it and heads into the kitchen as the phone rings.) (あー、お願い、どうか本物の恐竜のものじゃありませんように! お願い、お願い、お願い…。 [レイチェルは2つの破片を拾い上げて、スタンドを見る] 「メイド・イン・メキシコ(メキシコ製)」。やった! あー、一体、こんなの誰が買うの?[こんなの誰も買わないわ] [その壊したものを隠す場所を探す。壁の突き出し燭台式電灯を見つけ、その中に破片を入れ、キッチンに向かう。その時、電話が鳴る])
モニカ: (on the answering machine) Rach, it's me. Pick up! (留守電の声で) レイチェル、私よ。電話を取って!)
(Rachel runs over and answers the phone with the blender in hand.)
レイチェルは走って行って、腕にブレンダーを抱えた状態で電話に出る。
レイチェル: Hey! What's up? (はーい。どうしたの?)
モニカ: I need a few more things to make the margaritas. Uhh, I need some salt, some margarita mix and tequila. (マルガリータを作るのに、もう2つ3つ必要なものがあるの。あのー、塩とマルガリータ・ミックスとテキーラよ。)
レイチェル: So all we had was ice? (それじゃあ、うちにあったのはアイスだけだったのね?)
モニカ: See if he has ice. (ロスのところにアイスがあるかどうかも確認して。)
レイチェル: Okay. (わかったわ。)
ト書きの knock A off of B は、「A を B から叩き落とす、A に当てて・ぶつけて B から落とす」という感覚ですね。
コートを歩きながら脱いだ拍子に、コートが何かに当たってしまい、それを本棚から落としてしまった、ということです。
Please don't be from a real dinosaur! について。
Don't+動詞の原形は「命令文の否定形」です。
動詞が動作動詞なら、「…しないで」になりますし、今回のような be動詞なら、「…であるという状態はやめて」みたいな感覚になるでしょう。
Don't be a stranger. なら「見知らぬ人であるという状態はやめて」ということから、「他人行儀はやめてよ、よしてよ」という決まり文句になります。
今回は否定の命令文に please がついていますので、「どうかお願いだから…という状態はやめて」と懇願するニュアンスになります。
be from の from は「由来、起源」ですね。
直訳すると、「本物の恐竜が起源ではありませんように」ということで、壊したものが恐竜の化石などの「本物」じゃありませんように、と願っていることになります。
おもちゃやレプリカならいいけれど…という感覚ですね。
その化石らしきものがくっついていたスタンドを見たレイチェルは、Made in Mexico と書いてあるのを読んで安堵の声を上げています。
メキシコで作られた、つまり、本物の化石の標本とかではなくて、市販されているレプリカの置物だとわかったからですね。
安心したレイチェルは、その後、Ugh という、うんざりしたような声を出して、who would buy this? と言っています。
この Who would buy this? は、「こんなもの、(一体)誰が買おうとするだろうか? (誰もこんなもの買わない)」という修辞疑問文(rhetorical question)、つまり、反語のニュアンスですね。
Who knows? 「誰が知っているだろうか?→誰も知らない、誰にもわからない」
Who cares? 「誰が気にするのか?→誰も気にしない、かまうもんか」
などと同じタイプの反語で、「誰が…するか?」という、「who を主語にした疑問文の形」にして問いかけることで、「いや、そんなことをする人は誰もいない」ということをより強調するテクニックとなります。
Who knows? や、Who cares? は「現在形」が使われていますが、今回のセリフは、would が使われているのもポイントですね。
この would は「…しようとする」というような「意志」のニュアンスが感じられる気がします。
英辞郎では以下のように説明されています。
who would=【1】誰が〜するものか◆【用法】そんなことをする人はいるはずがないとの前提に立って「誰もするわけない。誰がする?」と修辞的に尋ねる
例) Who'd buy it? 「誰が買うかよ、そんなの。/誰も買わないって。」
上の英辞郎の例文は、今回のレイチェルのセリフに非常によく似ていますよね。
趣味の悪い品物の購入(笑)という行為が、「誰がそんなことする? そんなこと誰もしないよ」と言いたい場合の例として一番わかりやすい、ということでしょう。
実は今回のエピソードでは、この Who would...? を使ったセリフが後の方にも登場します。
その時もまた説明したいと思っていますが、まずは典型的な例として、レイチェルのセリフを取り上げてみました。
こういう would の感覚を日本語で説明するのはなかなか難しいものがあるのですが、話の流れを理解しながら、そのセリフを発した話者の気持ちを考えつつ、そのセリフを受け止めてみると、こういう難しい would のニュアンスも、わかってくる気がします。
ドラマのような「生きた英語」に触れているとよく感じるのですが、would という単語は本当に奥が深いです。
Would you...? 「…してくれますか?」という依頼文や、I would like to 「私は…したいです」という want to の丁寧な形などは、参考書で学べば使えるようになりますが、今回の Who would buy this? のように、「ここに would を持って来れる感覚」というのは、なかなか参考書だけでは身につかない気がするのですね。
本当に英語ができる人、本当の英語の達人というのは、こういう would のニュアンスをよく理解した上で、それをネイティブ並みに使いこなせる人だと私は思っています。
その人の書く英文、その人の話す英文に、そういう would がどんな具合に盛り込まれているかを見ることで、その人が生きた英語にどれだけ触れてきたかがわかる…という感じです。
壊した置物を隠すのに、レイチェルはお皿のような形のライトの中に破片を放り込んでいます。
ト書きにある、sconce は「壁の突き出し燭台式電灯」のこと。
重要単語ではありませんが(笑)、参考までに英英辞典の語義を載せておきます。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
sconce : an object that is attached to a wall and holds CANDLEs or electric lights
つまり、「壁に取り付けられていて、キャンドルや電灯を支える物体」
レイチェルがロスの台所でブレンダーを発見した後、モニカから電話がかかってきます。
ブレンダー以外に、もう2、3個必要なものがある、と言っていますね。
モニカの挙げるものを聞いていると、マルガリータに必要なもの全部を言っている感じで、結局はブレンダーがないだけではなく、マルガリータを作るための材料が、モニカのうちには全然なかったことがモニカのセリフからわかります。
その後、レイチェルは、So all we had was ice? と言っていますね。
all we had was は、「私たちが持っていたものすべては…であった」ということで、つまりは、「私たちが持っていたのは…だけだった」という意味。
そんなにあれもこれも必要なの、って言うのなら、私たちの家にあったのはアイスだけだったってことなのね?、うちにはアイスしかなかったわけね、と言ってレイチェルは笑っているわけです。
それを聞いたモニカは、See if he has ice. 「ロスがアイスを持っているかどうか見て」、つまり、「ロスのうちにアイスがあるかどうか確認して」と言っています。
「アイス以外は何もなかったのね」と言ってレイチェルは笑ったのですが、「そのアイスすらなかった」ことがわかるオチになっているわけですね。
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