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チャンドラーと喧嘩したジョーイは、その後、ずっと一人で車を運転して、撮影現場の砂漠に到着したところ。(ドアを開けた途端に、ファストフードの入れ物が一斉にこぼれ落ちるのが、いかにもジョーイらしいです)
ジョーイ: Hey-hey! Stanley! Hey-hey! Your leading man is here! Let's get to work. (やあ、やあ! スタンレー! やあ、やあ! 君の映画の主役がここにやってきたよ! さあ仕事を始めよう。)
スタンレー: Umm, slight change of plans. We've shut down. (あー、ちょっとした計画の変更があってね。中断[停止]したんだ。)
ジョーイ: Wh-what?! Why?! (な、何? 何で?)
スタンレー: It's a money thing. We don't have any. (金のことだよ。我々は金が全くないんだ。)
ジョーイ: (laughs) You're kidding, right? ([笑って] 冗談言ってからかってるんだろ?)
スタンレー: No. (いいや。)
ジョーイ: What?! (え?)
スタンレー: It-it's probably just temporary. We're hoping to get some more money soon, so if you could just uh, hang out. (多分、ちょっと一時的なものだよ。俺たちはすぐにもっと金が入ることを願ってる。だから、ちょっとぶらぶらして時間を過ごしててくれれば。)
ジョーイ: Uh, hang out?! How long? (あ、ぶらぶらする? どのくらい(の期間)?)
スタンレー: I don't know. A week. Maybe two. The money will turn up! People always wanna invest in movies. Hey, you're not rich, are ya? (さあね。1週間。2週間かも。金はやってくるさ! 人は常に映画に投資したがるものだよ。ねえ、君は金持ちじゃないよね?)
ジョーイ: No! (金持ちじゃないよ!)
スタンレー: Eh, worth a shot. (Gets into his car.) Well, Joey. Let me know where you're staying, okay? (The car peels away.) (ま、試してみる価値はあるさ[念のため聞いてみただけだ]。[自分の車に乗り込む] なぁ、ジョーイ。君がどこに滞在するか知らせてくれよ、いいね? [その車は離れて行く])
撮影隊がいるところにやってきたジョーイ。
監督(ディレクター)らしい男性スタンリーに元気よく挨拶しています。
lead が「(映画・演劇の)主役」であることは説明しましたが、ここでは、leading man という表現が使われています。
動詞 lead は「先頭に立つ、首位を占める」という意味なので、leading は「主要な」「主役の、主演の」という意味になります。
play the leading part/role なら、「主役を演じる」「中心的な・主要な役割を務める・果たす」という意味ですね。
「一流・大手企業」という意味の a leading company は「リーディング・カンパニー」という日本語にもなっています。
ここでのジョーイのセリフは、監督に対して、「君がお待ちかねの主役がやってきたよ!」と言っているわけですね。
get to work は「仕事を始める、仕事にとりかかる」。
そんな風に張り切るジョーイに、スタンレーは、slight change of plans があるといいます。
slight は「わずかな、ちょっとした」という意味ですが、彼が言った内容は、We've shut down. でした。
shut down は「閉鎖する、活動・操業を停止する」。
つまり、映画の撮影を停止・中断した、と言っていることになります。
現在完了形が使われていますし、周囲には撮影のためのクルーや機材もありますので、たった今、撮影を取りやめたばかりだ、という感覚なのでしょう。
映画の撮影を取りやめた、というのは「超大ごと」なわけですが、それを、slight change of plan 「ちょっとしたプランの変更」と言っていた、そのギャップがジョークになっているわけです。
「いやぁー、ちょっとしたことがあってね」と言った後に、実はそれは大ごとだった、というオチは、日本でもよく見られるお笑いのお決まりパターンとも言えるでしょう。
驚いて理由を尋ねるジョーイに、スタンレーは、It's a money thing. と答えています。
thing 「こと、もの」という漠然とした単語を使っていますが、これだけで、何かお金に関することで問題があることがわかりますね。
「お金のことで、お金関係のことで」と言いたい場合には、このようにシンプルに、a money thing と表現することで十分意図が伝わる、ということです。
その後、a money thing の具体的な内容について、We don't have any. と語っています。
つまり、We don't have any money. ということで、「お金が全然ない」と言っていることになりますね。
もちろん、「1銭もない」ということはないでしょうが、とにかく映画を撮影するための資金がないんだということを大げさに言っていることになるでしょう。
「またまたぁ、俺をそうやって騙してからかおうとしちゃってぇー」みたいに、笑いながらスタンレーを指さすジョーイですが、スタンレーは真顔で No. と言うので、さすがのジョーイも冗談ではないと気づいたようです。
temporary は「一時的な」。temporary worker なら「臨時雇い(の人)」ですね。
hang out は「ぶらぶらして時を過ごす」。
shut down と言っても一時的なものだから、再開するまでどっかで時間潰しをしといてよ、と言っているわけです。
turn up は「(不意に、ひょっこり、偶然)現れる」という感覚。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
turn up [phrasal verb]
if an opportunity or situation turns up, it happens, especially when you are not expecting it.
例) I'm ready to take any job that turns up.
「機会や状況が turn up するというのは、それが起こること、特にそれを予期していない時に」。
例文は、「不意に出てくるどんな仕事も受ける準備はできている。」
invest は「投資する」。
スタンレーは、「お金は現れるさ。人間ってのは常に映画に投資したいものだからね」みたいに言っていることになりますね。
映画を作ると言うと、それに投資したがる人が必ずいるから、そのうち、お金も集まるさ、と呑気なことを言っているわけです。
自分から積極的にお金を作ろうとしている感じはなく、誰かが投資してくれるのをただ待っているような「人任せ」な感覚が彼のセリフから感じられます。
スタンリーは、Hey, you're not rich, are ya? 「ねぇ、君はリッチじゃないよね?」と何ともぶしつけな質問をしています。
当然のごとく(笑)、No! と強く否定するジョーイですが、スタンレーは、worth a shot と言っていますね。
この shot は attempt 「試み」の意味ですね。
過去記事、フレンズ1-14その6 で、give it another shot 「もう一度試してみる、もう一度やってみる」というフレーズが登場しましたが、その時の shot と同じニュアンスということになります。
つまり、worth a shot は「試すだけの価値がある」ということで、worth a try と同じ意味になります。
スタンリー自身も、ジョーイが金持ちであるはずはない、とわかっていたようですが、もしかしたら見かけによらず意外と金持ちだったりするかもしれないので(?)一応念のために聞いてみた、という感覚だと思います。
ダメ元で聞いてみただけだけど、聞いてみないことにはわからないので一応試してみた、試す価値はあったよ、というところでしょう。
Let me know where you're staying, okay? は、「君の滞在場所を僕に教えてくれ」。
この周辺に滞在するにあたっての連絡先を教えておいてくれ、ということですね。
ト書きの The car peels away. について。
peel は、「(じゃがいもなどの)皮をむく」。peeler は「ピーラー、皮むき器」ですね。
そのように、「皮がむける、皮・表面がはがれる、はがれ落ちる」という意味があるために、peel off だと、「(飛行機が)編隊から急に離れる、集団から離れる」という意味にもなるようです。
LAAD では、
peel off [phrasal verb]
to leave a moving group of vehicles, aircraft etc. and go in a different direction
例) The last two motorcycles peeled off to the left.
つまり、「車(乗り物)や飛行機などの移動しているグループから離れて、別の方向に行くこと」。
例文は、「最後の2台のオートバイは(他から)左に離れて行った」。
このト書きでは、peel off ではなく、peel away が使われていますが、「離れて」という意味の away には、off の「分離」と同じような感覚が感じられますよね。
このシーンでは、スタンレーの車以外に他のクルーの車(トレーラーなど)も駐車していますので、そのグループから離れてスタンレーの車だけ先に行ってしまった、という感じを出すために、peel away が使われているのかな、と思います。
もしくは、茫然と立ちすくむジョーイを残して、ジョーイから「はがれるように去って行く」感じを出すための peel away かもしれません。
辞書の peel off のニュアンスは、何かの「集団」から離れるイメージがありますから、このト書きの peel away もどちらかと言えば、「ジョーイ」という一人の人間よりも、「他の複数止まっている車」から離れることを指している可能性が高いのかな、とは思います。
辞書の語義を厳密に見てみると、a moving group 「移動している(車、飛行機などの)グループ」とありますから、実際には、車や飛行機が揃って「移動している最中」に、1台、1機だけが群れから「はがれるように離れていく」というニュアンスが基本だとは思うのですが、いずれにしろ、peel に他動詞「皮をむく」、自動詞「皮がむける」という意味があることから、何かから分離する、離れる様子をイメージできるようになれば、自ずと意味は想像できるだろう、ということですね。
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