2011年06月13日

ATMに残された暗証番号 フレンズ5-23その1

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シーズン5 第23話
The One in Vegas Part I (恋人たちのベガス PART 1 )
原題は「ベガスの話 パート1」


[Scene: Monica and Rachel's, Rachel is sitting in the living room and Phoebe is standing in the kitchen as the phone rings.]
モニカとレイチェルの部屋。レイチェルはリビングに座っていて、フィービーは台所に立っている。その時に電話が鳴る。
フィービー: (answering the phone) Hello? (Listens) Hey, Joey! ([電話に出て] もしもし? [電話を聞いて] はーい、ジョーイ!)
[Cut to Las Vegas, Joey is on the phone and wearing his gladiator costume.]
ラスベガスに画面がカット。ジョーイは電話をしていて、グラディエーターの衣装を着ている。
ジョーイ: Hey, Pheebs! Listen, uh can you do me a favor? I forgot the PIN number to my ATM card. Can, can you get it for me? (やあ、フィービー! ねぇ、お願いがあるんだけど。俺、ATM カードの暗証番号を忘れたんだ。俺のためにその番号を手に入れてくれる?[調べてくれる?])
フィービー: Sure! Where is it? (もちろん! それはどこにあるの?)
ジョーイ: Uh, I scratched it on the ATM machine down on the corner. (隅[角]にある ATM の上に走り書きしたんだ[引っかいて彫ったんだ]。)
フィービー: Ohh! So you're 5-6-3-9? (あー! それじゃあ、あなたが 5639 なのね?)
ジョーイ: That's it! Thanks, Pheebs! (それだよ! ありがと、フィービー!)

ラスベガスから電話してきたジョーイ。
ジョーイは、the PIN number to my ATM card を忘れたと言っています。
PIN は、personal identification number 「暗証番号」のことですね。
今回のセリフでは、the PIN number のように number という単語がついていますが、the PIN、または、my PIN という number のない形で使われることも多いようです。
実際、N = number の略であるわけですから、厳密に言うと、number をつけてしまうと、number が重複することになってしまうわけですが、より暗証「番号」であることをはっきりさせるために、PIN number という言い方もよく使われる、ということなのでしょう。

the PIN number to my ATM card のように前置詞 to が使われていますね。
これは、「…の鍵(かぎ)」と言いたい場合に、a key to something のように to が使われるのと同じような感覚だと思います。
a key to a door だと「ドアのカギ」、a key to a car だと「車のキー」ですね。
研究社 新英和中辞典では、そういう to のニュアンスを、
[付属・関連・関係を表わして] …の、…に(とっての)
と説明していますが、まさにそのような「付属しているという関係を示している」 to なのだろうと思います。紐付きになっている関係とでも言いましょうか。

Can you get it for me? の get は漠然とした動詞ですが、ここでは「入手する、手に入れる」という感覚が近いかなと思います。
番号を忘れちゃったんで、それを「探して、調べて」欲しいんだ、みたいなことでしょう。

I scratched it on the ATM machine down on the corner. について。
まずは動詞 scratch。「スクラッチくじ」という言葉があるように、scratch は「引っかく、かく、こする」という意味が基本ですね。
そこから、「引っかくように彫る」や「走り書きする、殴り書きする」という意味にもなります。

研究社 新英和中辞典では、
scratch :
1 〔+目+on+【(代)名】〕 〔…に〕〈印・名前などを〉ひっかくようにつける[書く]
scratch one's name on a wall (with a nail) (くぎで)壁に名前を彫りつける。
2 〈…を〉走り書きする, 殴り書きする
scratch one's signature さっとサインをする。
scratch a note to a friend 友人にさっと一筆手紙を書く。


と出ています。
「くぎで壁に彫りつける」というのはまさに日本語にもなっている「スクラッチ」のイメージですが、必ずしも「引っかいて傷をつける」というニュアンスばかりではなく、乱暴な感じで「書く」ことも scratch と表現するのですね。

Macmillan Dictionary では、
scratch : [transitive] (informal) to write something very quickly and carelessly
つまり、「(インフォーマル) 何かを非常に早く、ぞんざいに書くこと」。

the ATM machine down on the corner を定冠詞を忠実に訳すと、「その角にある、あの ATM 機」みたいな感覚になるでしょうか。
the という定冠詞は、話し手と聞き手が「それ」だと特定できるものに対して使われますので、いつも一緒にいるフレンズたちは、「あの隅・角の ATM 」と言えば、あぁ、いつも使ってるあれね!とピンとくるわけでしょう。
フレンズたちがよく使っているその ATM に、ジョーイは自分のカードの暗証番号を scratch したと言っているわけですが、何か硬いもので引っかいてその番号を彫った、ということもありうるし、ペンか何かで走り書き、殴り書きした、ということもあるでしょう。
彫って傷をつける方が時間がかかりそうなので(笑)、多分、忘れないようにどこかにささっと「落書きのように書き留めた」、という感じが近いのかな、とは思います。
いずれにしろ、学校の机に何かを彫ったり落書きしたりしてある、あんな感じのイメージですね。

ちなみに、ATM は、automated teller [telling] machine 「自動現金預払機」の略。
セリフでは、ATM machine と書いてありますが、これも、さきほどの PIN number と同じく、最後の machine が重複しています。
「自動現金預払機の機械」みたいな感じになるわけですが、PIN number と同様、machine を付けた方が「機械」であることをよりはっきりイメージできる、という効果もありますし、また、英語はこのような頭文字を使った略語が多いために、他の分野の同じ略語と見分けるために(紛らわしくないように)、念のため、number や machine をつけた形で使う、ということもある気がします。

いつもの ATM に書いてある、と言われたフィービーは、So you're 5-6-3-9? と驚いています。
その機械を使うと、その数字がどうしても目に入るので覚えてしまったようですね。
Your PIN number is 5-6-3-9? 「あなたの暗証番号は 5639 なの?」というような意味ですが、ここでは、be動詞 are で結ばれて、「you = 5-6-3-9」のように表現されています。
本来、「あなた(人)=暗証番号(数字)」という等式は成り立ちませんが、ATM に書かれている4桁の番号となると、それはカードの暗証番号であるに決まっている、誰の番号なんだろう?とずっと疑問に思っていたけれど、「暗証番号5639 の持ち主・正体はあなただったのね!」という感じで、「あなたが 5639 (さん)なのね」のように言っている感覚だと思います。

That's it. は「それだよ、それが求めていたものだ」というニュアンス。
that は今フィービーが言った暗証番号を指し、it はジョーイが頭の中にイメージしているもの、彼が求めているものを指しています。
「今言ったのが、俺が探していたものだ」ということですね。

ちなみに、この 5639 という番号はでたらめな数字ではありません。
この数字はアルファベットを意味しています。
正確に言うと、あるアルファベットを数字化すると、この数字になるということです。

過去記事、架空の電話番号 フレンズ3-7その3 では、お店の広告に、212-555-KING という電話番号が出てきました。
携帯電話には、数字キー(dial pad)に、アルファベットが割り振られていますよね。
この場合は、KING のアルファベットを押すと、5464 になる、という仕組みです。

今回のジョーイの暗証番号については、
5-J, K, L
6-M, N, O
3-D, E, F
9-W, X, Y, Z
と割り振られているので、5639 がどういうアルファベットから来ているかを想像してみると…なんと、JOEY という綴りを数字化したもの、だったのですね。
5639 = JOEY なわけです。

この暗証番号のやり取りが面白いのは、カードを使って引き出す機械そのものに暗証番号をメモっているという大胆さ、つまり、「人に見られるところに暗証番号をメモしてはいけない」というセキュリティーの鉄則を思いっきり破っているということがまずあります。
そこにカードを置き忘れたり、周辺に落としたりした場合に、他人にお金を引き出されてしまう可能性があるわけです。

さらに面白いのは、この暗証番号が、JOEY というアルファベットを数字化した数字になっているのに、それがわからないなんておかしいでしょ?とツッコミたくなる、ということもあるでしょう。
暗証番号に電話番号や生年月日を使わないように、という警告がよくありますが、ある意味、それよりもバレやすい暗証番号のような気もしますしね。
これもたまたま、ジョーイの綴りが4文字だったのでぴったり数字4つに収まるわけで、フレンズの中だと彼以外には、ROSS くらいしかこのパターンは使えません(ちなみにロスだと、7677 になります)。
「名前をそのまま暗証番号にした上に、それを ATM にメモっている。そんな覚えやすい番号なのに忘れてしまい、フレンズに助けを求めている」というところが、「いかにもジョーイ」という感じがして、楽しいなと思いました。


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posted by Rach at 13:38| Comment(2) | フレンズ シーズン5 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
なるほど!数字にそんな隠れた意味があるとは知りませんでした。そこに気付かれるとはさすがRachさん。ということは携帯電話が普及する前から米国の電話のボタンにはアルファベットが付いていたのですね(日本のにもあったのかもしれませんが…)。

改めて自分の携帯電話を見直してみると確かに数字キーに上のとおりのアルファベットが書いてありました…ってもう常識ですね。何しろ私は携帯でメールしたことが無く、持っている携帯もプリペイド式でメールできないという化石のような人間で、若い女性が親指一本で目にも留まらぬ速さで文章を打ち込んでいるのを見るたび神業と思えてしまいます。

姉からは「今どきプリペイド式なんてアホか」(笑)と言われますが、何しろアナログ人間なので今回の数字の意味もまるで見当が付かなかった次第。スマホデビューするのはいつになることやら…。
Posted by ET at 2019年06月30日 11:18
ETさんへ
コメントありがとうございます。
そして「さすが」と言っていただきありがとうございます。この 5639 の謎(笑)が解けると、このセリフが俄然面白くなるので、上の記事でもノリノリで記事を書いてしまいました^^

私もあまり携帯を打つのは早くないんですよね。簡単なメモでも、携帯でトロトロ打つなら、パソコン立ち上げた方が早いんじゃないかと思うくらいで。目にも止まらぬ早業で携帯を打っている人を見ると私もすごいなーと感心してしまいます、、、

懐かしい記事へのコメント、ありがとうございました!
Posted by Rach at 2019年07月02日 16:51
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