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[Scene: Monica and Rachel's, Phoebe is entering.]
モニカとレイチェルの部屋。フィービーが入ってくる。
フィービー: Monica! I'm sorry I'm late! (Starts looking around for her) Monica? (Goes into Monica's bedroom.) (モニカ! 遅れてごめんなさい! [モニカを探し始める] モニカ? [モニカの寝室に入る])
モニカ: (entering) Phoebe? (Phoebe comes back into the living room) Oh, Phoebe, I'm so sorry. Have you been here long? ([(外からアパートメントの中に)入ってきて] フィービー? [フィービーはリビングに戻ってくる] あぁ、フィービー、ごめんなさい。ここに長い間いた?)
フィービー: (saddened) That's okay. What the hell took you so long? ([悲しんで(悲しそうな顔をして)] そんなのいいのよ。一体どうしてそんなに長い時間がかかったの?)
モニカ: Okay, you cannot tell Chandler. Okay? That I ran into Richard. (いいわ、チャンドラーには言っちゃだめよ、いい? 私、リチャードにばったり会ったの。)
フィービー: Which Richard? (どのリチャード?)
モニカ: The Richard. (あのリチャードよ。)
フィービー: Richard Simmons? Oh, my God! (リチャード・シモンズ? なんてこと!)
モニカ: Noo! My ex-boyfriend Richard! Y'know, the tall guy, mustache? (違うわ! 私の元カレのリチャードよ! ほら、背が高くて、口ひげの。)
フィービー: Oh! Okay, that actually makes more sense. So how was it? (あぁ! そうね、実際、その方が納得いくわね。それで、どうだったの?)
モニカ: It was, it was really nice. We started talking and I-I ended up having lunch with him. (本当に良かったわ。私たちは話し始めて、それで、結局、私は彼とランチを食べたの。)
フィービー: That is so weird! I had a dream that you'd have lunch with Richard. (それってすごく変な感じだわ! 私、あなたがリチャードとランチを食べる夢を見たのよ。)
モニカ: Really? (ほんとに?)
フィービー: But again, Richard Simmons. Go on. (でも、それもまた、リチャード・シモンズだけどね。(話を)続けて。)
外からアパートメントに入ってきたフィービーは、「遅くなってごめんなさい」と言いながら、モニカを探しています。
その後にアパートメントに入ってきたモニカは、フィービーの姿を見て、ここに長くいた?と尋ねます。
フィービーは悲しそうな顔をして、That's okay. と言っていますね。
これは、フィービーは予定の時刻に遅刻したけれど、モニカがさらにそれより遅かったので、自分がこの部屋でさも長い間モニカを待っていたかのようなお芝居をしているのですね。
最初は「遅れてごめん」と申し訳なさそうにモニカを探し回っていたのに、モニカが遅かったとわかると、「すごく待たされちゃったけど、まあいいわ、許したげる」みたいに、わざと不機嫌そうな顔をしてみせているわけです。
「take+someone+時間」は、「人に(時間が)かかる、人に(時間を)要する、必要とする」。
この場合は、「何があなたにそんなに長い時間を要したの?」ということで、つまりは、「何をしていたせいで、どんな用事で、あなたはそんなに遅くなった(時間がかかった)の?」と言っていることになります。
自然な日本語にするならば、「どうしてそんなに遅くなったの?」になるでしょうが、厳密に言うと、「遅くなった理由」を尋ねているというよりは、「遅くなった原因」を尋ねているニュアンスになるでしょう。
モニカは、「チャンドラーに言っちゃだめよ」と言いながら、「私、リチャードにばったり会っちゃったの」と言っています。
ネットスクリプトには、That I ran into Richard. と書いてあり、実際、that が音として聞こえるかどうかは微妙なところですが、この that は、You cannot tell Chandler that I ran into Richard. ということです。
that のニュアンスを出そうとすると、「チャンドラーには言わないでね。私がリチャードにばったり会ったことを」みたいになるでしょうか。
このように、「…ということ」の意味で、文頭がいきなり That で始まるような「That+S+V」という形は、ドラマや映画などのセリフに結構登場します。
その前に言ったセリフに続く形で、that が使われているのだと認識すれば良いでしょう。
リチャードに会ったと話すモニカに、フィービーは「どのリチャード?」と聞いています。
それに対するモニカの返事、The Richard. は、The の部分が強調され、通常の「ザ」ではなく、「ジ」…というより「ディ」みたいな発音に聞こえます。
モニカは、「どのリチャードって、あのリチャードに決まってるじゃない」という感じで、The の部分を強調しているわけですね。
「あの」リチャードと聞いて、フィービーが名前を出したのは、Richard Simmons という人。
それに対してモニカは、「違うわ、あのリチャードと言えば、私の元カレのリチャードよ!」と言い、背が高くて口ひげが生えているという彼の特徴を述べ、元カレのことを思い出させようとしています。
フレンズをずっと見てきたファンにとっても、モニカがリチャードと言えば、あの親子ほど年の離れた元カレのリチャードに決まってる、とわかるのに、全然関係のないリチャードの名前を持ち出すフィービーのズレ具合が「いかにもフィービー」という感じですね。
フィービーが名前を出した、リチャード・シモンズについては以下のウィキペディアで。
Wikipedia 英語版: Richard Simmons
彼のオフィシャルサイトはこちら。
Richard Simmons Official Site and Clubhouse: Weight Loss and Fitness Tools and Motivation
減量プログラムなどを行なう、フィットネス界の有名人のようです。
ウィキペディアの説明には以下の記述があります。
... is known for his eccentric, outgoing and frequently flamboyant personality.
つまり、「彼は、エキセントリック(風変り)で、社交的で、しばしば、けばけばしい(派手な)性格で有名である」。
ついでにその flamboyant の英英辞典の語義も紹介しておきます。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
flamboyant : behaving or dressing in a confident or surprising way that makes people notice you.
つまり、「人に(存在を)気づかせるような[人目を引くような]、自信に満ちた[大胆な]、または驚くようなやり方で行動する、またはそのような服を着る」。
つまり、行動や服装が大胆で人目をひくような人を指す言葉だということになります。
フィットネスやダンスのような華やかな業界は、派手めで、元気ハツラツな人が多いですよね。
このリチャード・シモンズもそういうイメージの人なのでしょう。
有名な映画俳優(例えば、リチャード・ギア)とかではなくて、フィットネス業界の人の名前を出してくるところが、変化球ぽいというか、どこかマニアックで意外性があって余計に笑えてしまう、ということかもしれません。
ダイエットのビデオなども多く出している有名人のようですが、それにしても、数多くいるリチャードと名のつく有名人の中で、なぜ彼の名前が一番最初に出てくる?!みたいな、人選のセンスの面白さなのでしょう。
口ひげの生えた元カレだと説明するモニカに、フィービーは、that actually makes more sense と言っています。
make sense は「道理にかなう」ですから、それを比較級にした、make more sense は「(主語)の方が、より道理にかなう」ということですね。
つまり、フィービーは、今のモニカの言ったことの方が、私の言ったことよりも道理にかなってるわ、と言っていることになります。
これがもし more がなければ、「あなたの言ったことは道理にかなってるわ、納得いくわ」になるのですが、more がついているために、自分の言ったことと比較して「より道理にかなっている」と言っていることになり、つまりは、自分の言ったことも多少は道理がかなっていると思っていることがわかります。
モニカがリチャードという名前を出した時に、全く何の関係もない、リチャード・シモンズだと思い込むのは超ナンセンスなのに、フィービーはその自覚がない、ということですね。
「うーん、なるほど、あなたの元カレのリチャードね、確かに”そっちの方が”納得いくわね」と「2つを比較した上でモニカの意見の方がより道理にかなう」と判断している、そのセリフの面白さに注目していただければと思います。
わりと最近の記事でも、これと同じようなパターンを取り上げたことがあります。
あまり道理にかなってるとは言えない フレンズ5-20その6 で、「銃声がしたから、サンドイッチを守ろうとしたんだ」というジョーイに、
チャンドラー: From a bullet? ((救うって)銃弾から?)
ジョーイ: I know it doesn't make much sense. (それほど筋が通らないのはわかってるけど。)
チャンドラー: "Much" sense? (「それほど」だって?)
というやり取りでした。
これも、自分の言っていることに「多少は道理がある、多少の筋は通っている」と思っているジョーイに、チャンドラーはあきれていたわけですね。
誰かの発言を受けて「なるほど。それなら道理にかなってる」と言いたい場合に、That makes sense. というフレーズをよく使いますが、それに more をつけることで、自分の言ったことも多少は道理があった、ということを示している、その面白さを楽しんでいただけたらと思います。
リチャードと会って話をして、結局はランチを一緒に食べたと言うモニカ。
フィービーは、「それって妙な感じね。(だって)私、あなたがリチャードとランチを食べる夢を見たんだもの」と言っています。
「モニカが実際にやったことを、それより前に夢で見ちゃったの。何だか予知夢みたいで奇妙な感じがするわよねぇ…」と言っているように聞こえるのですが、その後のセリフを聞いてみると、その夢に出てきたリチャードは、元カレのリチャードではなくて、またもや、リチャード・シモンズ!(笑)
「また、そっちのリチャード!?」とツッコミたくなるようなセリフですね。
さっきの話で、シモンズの件はオチがついていたと思ったら、少し間を置いてまた持ち出す、という、ある意味、喜劇の王道と言うべきジョークだと思います。
こんなところで再登場するとは思わず油断していると、まんまとそのジョークにハマってしまう、という感覚ですね。
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リチャードシモンズの説明ありがとうございます。
最初読んでて誰かわかりませんでした。
でもとても面白い会話のシーンですね。
コメントありがとうございます。
私もネットで調べるまでは、どんな人か全く知りませんでした。
しばらく経ってからまたシモンズネタを出してくるところが、コメディっぽくて面白いなと私も思います。