2011年06月18日

実際の計画とは違うように見せかける フレンズ5-23その3

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モニカは、交際1周年の記念に、ラスベガス行きのチケットをチャンドラーにプレゼントします。
ベガスに行ったらチャンドラーがジョーイと仲直りできるし、二人の思い出にもなる、と思ったわけですが、フィービーもそれに同行したいと言い出し、結局、3人でベガス行きの飛行機に乗ることになりました。
フィービーがトイレに向かい、二人きりになったチャンドラーとモニカは、記念日を祝っています。
チャンドラー: Can I give you a present now? (今、君にプレゼントあげていい?)
モニカ: Okay! (いいわよ!)
チャンドラー: Okay! (He grabs his carryon and starts rummaging through it.) Oh, man! Don't tell me I did this. (よし! [チャンドラーは持ち込んだ手荷物を掴み、その中をひっかき回して(くまなく)探す] あぁ、なんてこった! まさか俺がこんなことしちゃったなんて言わないでくれよ。)
モニカ: I love "I forgot the present" fake-out! (「俺、プレゼント忘れちゃった」ってふりをして騙すの、大好き!)
チャンドラー: How do you feel about the "I really did forgot the present, please forgive me" not fake-out? (「俺、本当にプレゼントを忘れちゃったんだ。どうか俺を許して」っていう、「何かのふりをして騙してるんじゃない」だったらどう思う?)
モニカ: Oh, honey, that's okay. Don't worry about it, you can give it to me when we get back. (あぁ、ハニー、そんなのいいのよ。心配しないで、戻った時にプレゼントを渡してくれればいいわ。)
チャンドラー: Ohh, this is the worse thing that can happen on an anniversary ever! (あぁ、これは、記念日に起こりうる(中で)最悪の出来事だよ!)
フィービー: (sitting down) Oh good! All right, so you decided to tell him about the Richard thing. ([(戻ってきて)席に座りながら] あぁ、良かった! よし、それじゃあモニカは、例のリチャードのことをチャンドラーに言うことに決めたのね。)
チャンドラー: What, what "Richard thing"? (何? どんな「リチャードのこと」?)
フィービー: Oh, no. [The patented version.] (あら、やだ。[フィービー独特のバージョンで])
チャンドラー: What "Richard thing"? (どんな「リチャードのこと」なの?)
フィービー: (To Monica under her breath) Simmons! Go with Simmons! ([モニカに声をひそめて] シモンズよ! シモンズの線で行って!)

二人きりになった時に、チャンドラーは自分からのプレゼントをモニカに渡そうとします。
ト書きの carryon は、通常は carry-on とハイフン付きで表記されることが多いですが、「(飛行機の)機内持ち込み手荷物」のこと。carry-on baggage の略ですね。
rummage は「ひっかき回して・くまなく探す」。
実際の映像からも、またその rummage が使われているト書きからも、目的のプレゼントを探しているけれども見つからない感じが出ています。

Don't tell me! を直訳すると、「俺に(…だと)言わないでくれよ!」みたいなことですが、これは、「まさか!」というニュアンスですね。
英辞郎には、
Don't tell me you don't know.=知らないなんて言わないでくださいよ。/まさか知らないとは言わせないよ。
という例が載っています。
その例にならうと、「俺がこんなことしちゃったなんて言わないでくれよ。まさか俺がこんなことやっちゃったとは言わせないよ」みたいな感じになるでしょうか。
英辞郎に載っていた他の例文も、もっぱら、Don't tell me you... のように、you が主語の文が続く形が載っていて、「君が…したって(…だって)言わないでくれよ」というニュアンスを出していますが、その主語を I に変えたバージョンが今回のチャンドラーのセリフということになるでしょう。

LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
don't tell me : used to interrupt someone because you know what they are going to say or because you want to guess, especially when you are annoyed
例) Don't tell me we're out of milk!

つまり、「誰かがこれから言おうとしていることがわかるからという理由で、または自分が(相手の言うことを)推測したいからという理由で、相手の発言をさえぎるために使われる。特に、いらいらしている時に」。
例文は、「ミルクを切らしてるなんて言わないでくれよ」。

このロングマンの例も、主語に自分を含めた we が使われていますので、必ずしも、主語が you である必要はない、と言えそうです。
チャンドラーのセリフの、Don't tell me という命令文は、隣にいるモニカに向けられたものというよりも、もっと漠然とした対象、もしくは自分自身に向けられた言葉、という感じがします。
「…しちゃったとか言ってくれるなよ」と誰とはなしに言っている感覚、または、「こんなことしちゃった、とか言うなよ、俺」みたいに、自分自身に対して言っている感覚でしょうか。
いずれにしろ、探しているプレゼントが見つからない様子と、Don't tell me I did this. というセリフから、「こんなことしちゃった」=「プレゼントをバッグに入れるのを忘れちゃった、プレゼントを家に置いてきちゃった」であることは想像できますね。

そのチャンドラーの様子を見て、モニカはがっかりすることなく、I love ... fake-out! と嬉しそうに叫んでいます。
fake-out という単語については、fake-out という言葉そのものは手持ちの辞書にありませんでしたが、fake out という句動詞を名詞化した感覚だと思います。
fake someone out で「人をだます」という意味になります。

LAAD では、
fake somebody out [phrasal verb] : to deceive someone by making them think you are planning to do one thing when you are really planning to do something else.
つまり、「自分が本当は何か他のことを計画している時に、自分が(それとは違う)あることを計画していると人に思わせることで相手をだますこと」。

ですからここでの fake-out は、「Aをするように見せかけて、実はBをしようとしている」みたいな感覚になります。
「フェイク」という言葉は日本語になってしまっていますから、その「フェイク」という言葉で今回の fake-out のニュアンスを表せる気はします。
fake-out の前に、文を引用符でくくる形の形容詞、"I forgot the present" がついていますから、この fake-out は、「俺、プレゼント忘れちゃった、って見せかけて、実はプレゼントはここにあるんだよ〜ん」みたいに、私をだましてびっくりさせようとしてるのね、みたいなことになるでしょう。
「プレゼントがない、ない」と焦ったそぶりを見せて、私ががっかりした時に、ジャジャーン!と見せて喜びを倍増させるつもりね、と言っているわけですね。

それに対してチャンドラーは同じような、文を引用符でくくる形容詞+not fake-out を使って、「…についてどう思う?、どう感じる?」と尋ねています。
not fake-out を無理やり日本語にすると、「非フェイク、フェイクじゃないもの」みたいになるでしょうか。
「俺、プレゼント忘れちゃった」っていうフェイクじゃなくて、「俺は本当にプレゼントを忘れちゃったんだ、だからごめんね許してね」っていう「フェイクじゃないもの」だとしたらどう思う?みたいなことで、びっくりさせようと忘れたふりをしてるんじゃなくて、ほんとに忘れちゃったんだよ、これはフェイクじゃないんだよ、と言っていることになります。

モニカはチャンドラーがプレゼントを忘れたことを理解し、「戻った時に渡してくれればそれでいいわ」と言うのですが、チャンドラーは忘れたことがよほど悔やまれるようで、「記念日における最悪の出来事だ」みたいなことを言っています。
this is the worse thing that can happen on an anniversary ever を直訳すると、「これは、ある1つの記念日に起こりうる最悪のことである」になるでしょう。
記念日にはいいこと悪いこといろいろ起こるけど、相手にあげるプレゼントを忘れるなんて最悪だ、俺は最低のことをしちゃった、と言っているセリフになります。
プレゼントを忘れたことが客観的に見て「最悪」とは思えませんが、それを最悪と表現することで、モニカをがっかりさせてしまったことを俺は大いに反省しているよ、と示したいのでしょう。

席に戻ってきたフィービーは、そのチャンドラーのセリフを聞いて、「それじゃあ、モニカは例のリチャードの件をチャンドラーに告白することに決めたのね」みたいなことを言っています。
チャンドラーが、「それって何のこと?」みたいに言うので、フィービーは自分の失言に気づいたように、Oh, no. と言っていますね。
観客も、フィービーのそのセリフにどよめいていますから、フィービーがヤバいことを言ってしまったことは容易に想像できます。

たまたま席を外していて「記念日で最悪のこと」というセリフだけを聞いたフィービーは、チャンドラーが最悪のことと言ったのは、モニカがリチャードと食事したことを告白したからだ、と勘違いしたのですね。
you decided to tell him about 「…について彼に話すと決めた」という過去形は、そう決めて、今、実際にそれを話したのね、と言っていることになるでしょう。
「言わないって言ってたけど、今のチャンドラーのセリフを聞くと、モニカは話すことにしたのね」と軽く言ったわけですが、その内容を the Richard thing と名前を出して言ってしまったので、チャンドラーの注意を強く引いてしまったわけですね。
チャンドラーは、What "Richard thing"? と2回言っていますが、厳密に言うと、What's the Richard thing? (= What is the Richard thing?) とは微妙にニュアンスが違うように思います。
What's the Richard thing? なら、「例のリチャードのこと」って何?と問うていることになるでしょうが、What "Richard thing" だとその what は、「何の、どんな」という形容詞になり、何の「リチャードのこと」なの?、どんな「リチャードのこと」なの?、とその「リチャードのこと」の内容、「どのような”リチャードのこと”なのか?」を問うている感覚になると思います。

チャンドラーが「リチャードのこと」が何かわかっていないことから、フィービーは自分が失言したことに気づいたようで、Oh, no. と言っていますが、そのト書きには、[The patented version.] と書いてありますね。
patent は「特許、特許権、パテント」のことで、動詞では「…の特許(権)を取る、特許を受ける」という意味になります。
ですから、直訳すると、「例の特許を与えられたバージョン」みたいな意味になるわけですが、それはつまり、「フィービーがよく使うと多くの人に認められている、そのバージョンで」みたいな感じでしょう。
何か言ってはいけないことを言ってしまった後に、こんな風に、Oh, no. と言うのがフィービーの口癖、いつものパターンである、という感覚なんだろうと思います。

「リチャードのこと、ってどんなことだよ?」と追及するチャンドラーを見て、フィービーがモニカに、リチャード・シモンズのことを言うのが面白いですね。
リチャード・シモンズについては、1つ前の記事、あのリチャードってどのリチャード? フレンズ5-23その2 で説明しましたが、モニカが「あのリチャード」と言った時に、フィービーが思い出したのが、減量プログラムで有名なフィットネス界の有名人、リチャード・シモンズでした。

go with は「…と共に行く」ということですが、ここでは、英辞郎の
go with=【句動-9】〜を選ぶ、〜の線[路線]で行く
という語義が近いように思います。
リチャードという名前を聞いて、私はあなたの元カレのリチャードじゃなくて、リチャード・シモンズのことを思い出したんだから、ここでもその路線で、「リチャード・シモンズの線で」行きなさいよ、リチャードっていうのはあのリチャード・シモンズのことよ、って話をそらしちゃいなさいよ、と勧めているわけですね。
最初にシモンズの名前がセリフに出てから、このように、かなり後のシーンで再度シモンズの名前を出してくるところも、コメディの定石と言えるかもしれません。
モニカがリチャードと言えば、誰もが元カレのリチャードを思い出すに決まっているのに、シモンズだと言い張って逃げられるかのように思っているところに、フィービーのオトボケ具合が感じられて、楽しいなと思いました。


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posted by Rach at 08:36| Comment(0) | フレンズ シーズン5 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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