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モニカがチャンドラーと旅行に出かけたため、部屋で一人きりのレイチェル。
フィービーが「家に一人だと裸で過ごせるわね」と言ったことを思い出し、裸になって歌など歌いご機嫌な様子ですが、その姿を向かいのアパートメントのロスに見られてしまいます。
ロスは「自分に見られるのを承知であんな行動をしている。きっと僕を誘っているに違いない」と思い、レイチェルの部屋をノックします。
ロス: May I come in? (入ってもいいかな?)
レイチェル: Uh, yeah, if you want to. (あー、いいわよ、もしあなたがお望みなら。)
ロス: Do you want me to? (君は僕にそうして欲しいと望んでる?)
レイチェル: Yeah, sure? (ええ、もちろん。)
ロス: So do I. (Slowly walks in.) Okay, Rach, before anything happens (He takes off his coat) I just want to lay down a couple of ground rules. (Turns back to face her.) This is just about tonight. I don't wanna go through with this if it's gonna raise the question of "us." (Rachel's confused) Okay? I just want this to be... (Kicks off his left shoe) about what it is! (Kicks off the other one.) (僕もそう望んでるよ。[ゆっくり歩いて部屋に入る] オッケー、レイチェル。何かが起こる前に [ロスは自分のコートを脱ぐ] ちょっと基本的なルールを2、3、決めておきたいんだ。[振り返ってレイチェルの方を見る] これは今夜だけだよ。僕はこのことをやり通したくない、もしそれが「僕たち」の問題を提起することになるのならね。[レイチェルは困惑している] いいかい? 僕はただ望んでるんだ [左の靴を蹴って脱ぐ]、このことが、今まさにそうであるもの(に関すること)であって欲しいってね。[反対の靴を蹴って脱ぐ])
レイチェル: And um, what-what is that, Ross? (それで、あの、それって何のこと、ロス?)
ロス: The physical act of love. (Hisses at her.) (愛の肉体行為だよ。 [(気取ったように)シーっという音を出す])
レイチェル: (laughs) What, are you crazy? ([笑って] 何、あなた、おかしいの?)
ロス: Oh so-so you weren't trying to entice me just now with your-your nakedness? (あぁ、それじゃあ、君はたった今、自分の裸で[裸になることで]僕を誘おうとしてたんじゃなかったのか?)
レイチェル: (gasps) Oh God, you saw me?! Oh! ([息を呑んで] まぁ、なんてこと、あなた、私を見たの? まあ!)
ロス: You weren't trying to entice me with your nakedness. (君は、自分の裸で僕を誘おうとしてたんじゃなかったのか…。)
レイチェル: Noo!! No! You thought, you actually thought I wanted to have sex with you?! Oh, my.... (そんなことしてない、してないわ! あなたは本当に私があなたとエッチしたがってると思ったの? なんてこと…)
レイチェルのドアのところに立っているロスは、気取った格好で意味ありげな表情を浮かべています。
入ってもいい?と尋ねるロスに、レイチェルは、「あなたが入りたいと思っているならどうぞ」みたいに答えますが、それにロスは Do you want me to? とさらに尋ねていますね。
「君は僕が部屋に入ることを望んでるの?」ということですが、暗に「裸で僕の気を引いて、部屋に誘い込もうとしている君の気持ちを僕は承知してるよ」みたいなことが言いたいようです。
部屋に入った後も、ずっと気取った雰囲気を保っているロスは、上着を脱ぎながら、何かが起こる前に、lay down a couple of ground rules しておきたい、と言っています。
ロスはレイチェルが誘ったと思い込んでいますので、あえて具体的に何とは言わず、anything と表現しているのですね。お互い、それが何を指しているかわかるだろ、という感じです。
lay down の基本的意味は「…を横たえる、据える」という感覚ですが、そこから、「(ルール・規則など)を定める、決める」という意味になります。
lay down rules なら「規則を定める」ですね。
ground rule は「基本原則」。
This is just about tonight. を直訳すると、「これは今夜についてだけだ、今夜だけに関することだ」みたいになるでしょうか。今から何が起こったとしても、それは今夜だけの、今夜限りの話ことだからね、と念押ししている感じです。
go through with は「やり通す、やり抜く」。
if という条件節を使って、「もし…なら」このことを最後までやり通したくはない、つまり、「もし if 以下のことになるのなら、これをするつもりはない」と言っていることになるでしょう。
raise the question は「問題を提起する」。
if 節の中に be going to が使われているのは、「この先(この流れで)、将来的に、そういう問題を提起することになるのなら」という感覚だと思います。
そのように、if の中に、be going to が使われるパターンは、if条件節の未来形 フレンズ5-3その7 にも出てきました。
その記事で、if+be going to の形について、もう少し詳しく説明していますので、興味のある方は合わせてお読み下さい。
ロスは、the question of "us" と言いながら、us の部分で、両手の指2本ずつを2回曲げるしぐさをしています。
これは「引用符」を意味するジェスチャーですね。
「僕たち」の問題、「僕たち」っていう問題、みたいな感覚で、元恋人同士である君と僕がまたよりを戻すなどのそういう「僕たちの(恋愛・男女)関係」の問題を提起することになったとしたら、僕は今からしようとしているこのことをやり通したくはないからね、と言っていることになるでしょう。
今から this (これ、あること)をしようとしているけれど、将来的に、僕らの問題が再浮上することになるんだったら、これをするのはやめにする、と宣言していることになると思います。
聞いているレイチェルは混乱した顔をして、ロスの言っている意味が理解できないようですが、ロスはさらに続けます。
I just want this to be about what it is! について。
シンプルな単語ばかりが並んでいますが、こういうものは却って自然な日本語に訳しづらいです。
this が、be about what it is であることを僕はただ望んでいる、ということで、This is about what it is. であることを望んでいる、ということになるでしょう。
what it is は「(今の)まさにそのもの」という感じになるでしょうか。
研究社 新英和中辞典では、
what
(関係代名詞)
(2) [関係詞節中 be の補語に用いて] (…ある)まさにその人[もの]
He's not what he was. 「彼は昔の彼ではない」
(用法:昔と比べて現在は「堕落した」「衰えた」など通例悪い意味に用いる)
You have made me what I am today. 「私の今日あるのはあなたのおかげです」
などの例が載っています。
what he was が「昔の彼」、what I am が「今の私」であるとすると、what it is は「今のそれ、それの今の姿」みたいな感じなんだろうと思います。
about が入っているので余計に訳しにくいのですが、意味としては、「このことが、今の状態、今の姿、今の形であって欲しいと望んでいる」みたいなことだろうと思います。
過去や未来は関係なしに、今からしようとしていることが今あるその姿の状態であってほしいと望んでいる、その行為そのもの以上の意味は持たせなくない、というようなことかなぁ、と。
ロスが、what it is という抽象的な表現を使ったので、「それは一体、何のことを言っているの?」という感じで、レイチェルは、What is that? と尋ねています。
ロスは the physical act of love だと答えていますね。
act of love 「愛の行為」だけでも、エッチ行為を示唆することになると思うのですが、ロスは、mental 「心の」の対義語となる physical 「身体の、肉体の」を使って、さらにそれを具体的に、ダイレクトに表現している感じです。
その言葉を聞いて、ロスの言っている意味にやっと気づいたレイチェルは、「あなた、クレイジーね」と言っています。
それに対してロスは、「君は僕のことをクレイジーだって言うけど、じゃあ君は、窓越しに見せていたあの裸で、たった今、僕を誘おうとしてたんじゃないのか?」と強気な発言をしています。
entice は過去記事、フレンズ5-9その6 にも出てきました。
このセリフは、疑問文の語順になってはいませんが、you weren't trying...? のように文尾が上がり調子になっていますので、Weren't you trying...? 「君は…しようとしてたんじゃないのか?」という否定疑問文のニュアンスになります。
このような否定疑問文は、通常の疑問文と比べて、話者の推測を感じ取ることができます。
「…しようとしてたのか?」ではなく、「…しようとしてたんじゃないのか?」と否定疑問文にすることで、「君は…しようとしてたはずだ、そうしようとしてたに決まってる、僕はそう思った、そう感じた」という話者(ここではロス)の考えが出るわけですね。話者がそうだと信じて決めつけている感じがこの否定疑問文にはあって、君はそれを否定するっていうのか?という感覚です。
your nakedness という言葉を聞いて、レイチェルは、「私を見たの?」と驚いています。
自分が裸でいたことをロスに見られたことに、ここで初めて気づいたわけですね。
そのレイチェルの発言で、「レイチェルはロスに見せようとして裸になっていたわけではない」という事実をロスも知ることになります。
その次のセリフ、You weren't trying to... は少し前にロスが言ったセリフとほぼ同じですね。
違うのは、さきほどのように決めつけて勝ち誇るような否定疑問文のニュアンスではないところです。
今回のセリフは語尾には疑問符はついておらず、レイチェルの発言から、レイチェルの過去の行動の意味は実際にはそうだったんだ、とロスが悟ったかのようなセリフになっています。
「…してたんじゃなかったのか?(僕には…しているように見えたけど)」ではなくて、「(それじゃあ本当に)…してたんじゃなかったのかぁ…そうなんだね」と改めて事実を確認するようなセリフになっているわけです。
セリフというのは文字から判断する意味だけではなく、その言い方やイントネーションが意味を大きく左右します。
今回のよく似た2つのセリフも、見た目は同じようなセリフなのに、イントネーションの違いで、「そうしようとしてたくせに(僕にはわかってるんだぞ)!」と「本当にそうしようとしてたわけじゃなかったんだ(僕の早合点だったんだ)」という二つの意味になる、というところが面白いわけですね。
最初のセリフが、Weren't you trying...? のような「疑問文」の形になっていなかったことで、余計に二つの文章がそっくりになっているのもポイントなんだろうと思います。
同じ言葉を発しているのに、言っているロスの気持ちが天と地ほど違う、という楽しさでしょう。
部屋に入ってからのロスはあえて、sex という言葉を使わないでずっと会話をしてきましたが、レイチェルは、have sex with you というダイレクトな言葉を使っています。
ロスの勝手な思い込みにあきれたために、「私があなたと sex したがってるって、あなたは勝手にそう思ってたの?」と、わざとそういう直接的な言葉を使って、そういうことを想像していたロスを非難しているわけですね。
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