2011年06月24日

背後から棒で殴る フレンズ5-23その6

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[Scene: Chandler's hotel room, he's sitting there with Joey who's talking about his helmet and running his hand through that feathery thing at the top.]
チャンドラーのホテルの部屋。チャンドラーはそこでジョーイと座っている。ジョーイは自分の(グラディエイター用)ヘルメットについて語っていて、ヘルメットのてっぺんについているその羽のようなものを手でとかしている。
ジョーイ: Hey, y'know, in Roman times, this was more than just a hat. (なぁ、ほら、ローマ時代にはさ、これはただの帽子以上のものだったんだぜ。)
チャンドラー: Really? (ほんとに?)
ジョーイ: Yeah, sure, sure! They would uh, they would scrub the floors with it! They would use it to get the mud off their shoe. And sometimes would get dirty. So they would stick it right-- (ああ、そうさ、そうだよ! ローマ人はそれで床をゴシゴシ磨いてたもんだ! 彼らはそれを靴の泥を落とすのに使ったもんだ。それから時々、馬の下の部分が汚れるだろ、そしたら彼らはそれをそこに突っ込んで…)
チャンドラー: (interrupting in the nick of time) Joey, I uh! I can't believe this is how I'm spending my anniversary. ([間一髪でそれを遮って] ジョーイ、俺は、あぁ! 俺はこんな風に自分の記念日を過ごしてるってことが信じられないよ。)
ジョーイ: All right well, I'll take you someplace nice then. Look! A guy tipped me a hundred bucks today. (よーし、それなら、俺がお前をいいところに連れてってやる。見ろ! 今日、ある男が俺に 100ドルのチップをくれたんだ。)
チャンドラー: Whoa! (おぉ!)
ジョーイ: Yeah-yeah, he was playing blackjack for like an hour and he won $5,000. Can you believe that? $5,000! (そうなんだよ、彼は1時間くらいブラックジャックをしていて、5,000ドル勝ったんだ。そんなの信じられるか? 5,000ドルだぞ!)
チャンドラー: Y'know, if I won $5,000, I'd join a gym, y'know. Build up my upper body and hit Richard from behind with a stick! (Mimics it.) (なあ、もし俺が 5,000ドル勝ったとしたら、俺はジムに入会するね。上半身を鍛え上げて、リチャードを殴るんだ、背後から、棒で! [その動作をする(真似る)])
ジョーイ: Wait a minute! Why don't I just do what that guy did? I'll take this $100, turn it into $5,000! And then I'll turn that into enough money to get my movie going again! (ちょっと待て! 俺もただ、その男がやったことをしたらどうなんだ? この 100ドルを持って行って、それを 5,000ドルに変えるんだよ。それからそれを、俺の映画を再開させるのに十分な金に変えるんだ!)
チャンドラー: Good luck! (幸運を!)
ジョーイ: Chandler, I don't need luck. I have thought this through! (チャンドラー、俺には運は必要ないよ。このことはじっくり考え抜いたんだ。)
チャンドラー: I see. (そうだね。)
(Joey exits as Chandler shakes his head.)
ジョーイが出ていく時、チャンドラーは(だめだこりゃ、というように)首を横に振る。

ジョーイは、グラディエーターの衣装に含まれている、てっぺんに赤いフサフサがついたヘルメットを触りながら話をしています。
ト書きの running his hand through that feathery thing を直訳すると、「その羽のようなものを通って、自分の手を走らせている」ということですから、手櫛(てぐし)のように自分の指でその羽をとかしながら触っているような感覚ですね。
英辞郎にも、
run one's hand through one's untidy hair=乱れた髪を(片)手でとかす
という例が載っています。

ジョーイは、ローマ時代はこれはただの帽子じゃなかったんだ、と言っています。
more than just a hat は「ただの・単なる帽子以上である」という感覚ですね。
ジョーイは、ローマ時代にローマ人たちがしていたと思われることを、would を使って話しています。
would は「過去の習慣、反復行動・動作についての回想」を表すものですね。
「…したものだ、…したものだった」と訳されることが多いです。
ここでも、彼らはこの帽子を使って、こんなこと、あんなことしたもんだった、と回想風に語っているわけです。
ジョーイは頭の上のブラシみたいなのは、床を磨いたり、靴の泥を落としたりするのに使ってたんだ、と説明しています。
「したもんだった」と言っているけれども、それはあくまでもジョーイの想像の産物に過ぎないことは内容からも明らかなわけですが(笑)、ブラシみたいなのはダテじゃない、ちゃんとブラシとしても使っていたんだよ、と、もっともらしい(?)説明をしているのですね。
そして時には…と話を続けていますが、underneath the horse は「馬の下の部分」のエリアですね。
stick は「刺す、突き刺す」「差し込む、突っ込む」なので、馬の下部分が汚れたら、そのブラシ状のものをそこに差し込む…と言いかけていることになります。
汚れる、という表現から、下部分は股下を指していることが想像されますので、汚い話になりそうだと思ったチャンドラーは慌ててジョーイの発言を止めたわけですね。
まさにト書きにあるように、interrupting in the nick of time 「間一髪でそれを遮った」わけです。「それ以上は聞きたくない」という気持ちです。

I can't believe this is how I'm spending my anniversary. を直訳すると、「俺が自分の記念日をどんな風に過ごしているか、がこれ[こんな風]だなんて信じられないよ」みたいな感じになるでしょう。
I can't believe I'm spending my anniversary like this. 「こんな風に記念日を過ごしているなんて信じられない」と同じようなニュアンスですが、「これ、この今の状態が、記念日を過ごしている様子であることが信じられない」のような言い方をすることで、余計にその「本来、記念日を過ごしているであろう理想の形」と「今の悲惨な状態」とのギャップがはっきり出るような気がします。
恋人とラブラブで記念日を過ごしているはずが、どうして馬の下半身の掃除の話を聞かされるはめになるんだよ、みたいなことですね。

落ち込んでいるチャンドラーに、ジョーイは「俺がいいところに連れてってやる」と言います。
ある男が 100ドルのチップをくれたんだけど、そいつは1時間で 5,000ドルも稼いだんた、と言っていますね。

カジノで儲けた人の話を聞いて、チャンドラーは、if I won $5,000, I'd join a gym と言っています。
これは典型的な仮定法過去ですね。
5,000ドルも勝てるわけはないけど、もしそれだけ勝てたとしたら、俺ならこうするだろう、と言っていることになります。
その後に続く、Build up... and hit Richard... もすべて、I would に続く部分ですね。
ジムに入会して、上半身を鍛えて、リチャードを殴る…みたいなことを言っているわけですが、その後に続く言葉がチャンドラーらしくて面白いです。
from behind は「後ろから、背後から」で、with a stick は「棒で」ですね。
つまり、稼いだ金でジムに入って、体を鍛えてリチャードをやっつけてやるんだ!と、腕力で彼を負かしてやるかのように言っているのかと思ったら、正々堂々と戦うのではなくて、背後からの不意打ち、しかも棒(凶器)で殴る・叩く、という、非常に卑怯で姑息な方法でリチャードをやっつけようとしている、というオチです。

そう説明した後、その様子を再現して、「えいっ! このっ、このっ!」みたいに、スティックを持った手を伸ばして、リチャードを叩く真似をする姿にも笑えます。
今回のエピソードのセリフでは、私はこの、from behind with a stick という最後のオチが一番面白くて、DVDを見ながら声に出して笑ってしまいました。
背後から凶器を持って襲うなら、別にジムで上半身を鍛えなくてもいいじゃん、何のために上半身を鍛えたの?みたいな面白さですね。
過去記事、オチは最後に持ってくる フレンズ3-8その26 でも説明しましたが、英語のニュアンスと同じように日本語訳もオチを最後に持ってこようとすると、「リチャードを殴るんだ、背後から、棒でね」のような倒置の形にならざるを得ないため、ちょっとわざとらしいセリフになってしまいます。
英語ではこのように「背後から」「棒で」という副詞句が最後に来るのが普通なのでわざとらしい感じがない、自然なジョークになるわけですね。

ジョーイは突然、「5,000ドル稼いだ男と同じことを俺もすればいいんじゃないか?」みたいなことを言い出します。
100ドルを 5,000ドルにして、それをもっと大金、つまり、資金不足で中止になっている自分の主演映画を再開させるために十分なお金に変えることができるじゃないか、みたいな考えです。
その自分の考えに大いに納得した様子のジョーイは、チャンドラーの肩をポンと叩いてさっそくカジノに向かおうとします。
そのジョーイに、Good luck! 「グッドラック、幸運を!」とチャンドラーは声をかけるのですが、ジョーイは「俺には幸運なんて必要ない」と強気な発言をしています。
I have thought this through! の think through は「考え抜く、じっくり考える」。
現在完了形が使われていますので、「それを思いついてから今に至るまでじっくり考え抜いてきた(から大丈夫さ)」というニュアンスになると思います。
ついさっき、思いつきで言ったばかりなのに、ある程度の期間、熟慮熟考したかのように言っている面白さもあるでしょうね。

チャンドラーは、運が良ければカジノで儲かることもあるだろう、という気持ちで Good luck! と声をかけたのですが、ジョーイは、論理的に考えて出した結論だから、うまく行かないはずがないと信じ切っているのですね。
ギャンブルには当たりもあればはずれもある、という大前提をジョーイはすっかり忘れているようです。
お金をかければ必ずもうかって大金が手に入ると思いこんでいるジョーイを見て、チャンドラーもあきれたように首を横に振るしかありませんね。


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posted by Rach at 14:52| Comment(0) | フレンズ シーズン5 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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